2015年9月 2日 (水)

アラサーちゃん4(峰なゆか著)、やせる石鹸(歌川たいじ著)

 20150902115831


20150902115851


 今日は当ブログでは珍しく自分以外の書籍の紹介をば。『アラサーちゃん4 無修正』(峰なゆか著、扶桑社 900円税別)と、『やせる石鹸』(歌川たいじ著、角川書店 1500円税別)です。
 この著者のお二人は、全く無関係な方々ですが、共通点もあるように思います。峰なゆかさんは元AV女優で漫画家、エッセイストに転身した方。歌川たいじさんはゲイで、普通のサラリーマンだったのですが漫画家に転身された方。つまり、お二人ともその世界では異端児、といっていい経歴で、いろいろなものをはねのけて、ここまで来た方です。
 稚拙な私の紹介文など意味がありませんので、ちょっと内容から引用を・・・。
 
 まずアラサーちゃんから。アラサーちゃんに「絵うまいんだね! 絵の才能ある人ってうらやましいなー」と声をかけられたある友人がこう答えます。
「絵心ない人ほどそういうこと言うけどさ。私が努力して得た技術を、生まれつき持ってたものみたいに言うのやめてくれない? 私が描けるのは才能があるからじゃなくて、努力したから。アラサーちゃんが描けないのは才能がないからじゃなくて、努力してないから。ていうか本気でやる気もないのに、描けるようになる方法とか聞かないでくれる?」

 次に「やせる石鹸」から。主人公があるダンスの先生に教えを乞いに行ったところ、その先生がこう言うのです。
「あんたのやろうとしていることはね、いまだかつて誰もやったことのない、誰も見たこともないものでしょ。誰も理解しちゃくれないよ、それをわからせていくんだよ。それがどんなにつらいことか、あんたにわかる? わかってないよね、たぶん」

 どちらの作品も、こうしたセリフの端々に、おそらく著者のお二人がこれまで闘ってきた想いを反映しているのではないか、というものが垣間見えるのが興味深いです。そもそも、うちの妻がこのお二人のファンなのですが、私もこの新刊2作を読んでみて、ご紹介したくなりました。

 このところ、順風満帆で、いい家に生まれ、偉い人にかわいがられて、割と安易な方法で挫折知らずに来たけれど、人生をかけた大舞台で、ノーベル賞級の発表とか、五輪のロゴとか、そういうレベルまで来て急速に失速する、という人たちを何人か見ましたが、こう、闘って這い上がってきた人たちと、そういう人たちとはまた、住んでいる世界が違うんだろうな、とも感じないではありません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年11月 3日 (日)

『図説軍服の歴史5000年』と、新しいイラスト本の予定につきまして。

 日本シリーズもクライマックスのようですが、およそスポーツネタの似合わない私としましては、まあ取り上げないこととしまして・・・。
 61bqydmqyml__sl500_aa300_ ちょっと、久々に出版関係のご報告を。まず『図説軍服の歴史5000年』(彩流社)ですが、昨年初めに出してから、もう2年近くが経ったわけで、普通、本の売れ行きなどは2年も経てば完全に忘れ去られるものですが、本作はお陰様でたくさんの皆様のご愛顧をいただきまして、いまだに売れ続けてくれております。本当にありがたいことでございます。
 ところで、本作は私どもとして、通史として勉強する上で絶対に必要なものでしたし、おそらく自分たちにとって基礎の基礎、バックボーンとして一生、大事にしていきたいとおもっている著作です。今後も増刷等のたびに、手を加えて新しい情報をアップデートし育てていきたいと考えています。
 しかし本書の問題として、やはり経費の問題でカラーページが少ない、また図版も後ろ姿や装備のディテールなどがほとんどない・・・これは致し方ありません。あの本だけで200点の図版を描くのに4年以上もかかりましたので、あの時点ではあれが限界でした。またフルカラーとなれば、1冊の単価はどうしても5000円とか6000円とか、あるいはもっと高い1万円前後とか、にするしかなく、それはリーマン・ショック後の厳しい経済状況からみても版元に冒険しろ、というのは酷な話でした。もちろん、私たちがたとえば有名タレントかなにかで、出せば必ず何万冊も売れる、とわかっていれば出来るのですが、初刷り数千冊、というところからフルカラーで挑むのは無理というものでした。
 しかし、あの本を出してから、私どももあまり予想していなかったことに、漫画やイラストの基礎資料として軍服の本が欲しい、という声が多いことがわかってきたのです。
 そこで。実は現在、カラーイラストを大幅に増量し、後ろ姿や、装備品のディテールなどを描き込んだ、図版中心の「漫画家やイラストレーター、ファッションデザイナーの方のための」書籍、というものを計画中で、鋭意、制作進行中です。古代ローマから、中世の騎士や三銃士のいでたち、ベルばら時代の服やナポレオン戦争のきらびやかな服、英国の近衛兵などを中心に分かっている限り精密に詳細に、イラストで見せる本、というわけですが・・・やはりそういうことになると、時代考証にも制作にも時間がかかります。今、着手してから1年弱になりますが・・・しかし、カラー部分はかなり出来てきました。
 ぜひもうしばらく、お時間を頂戴したいと思います。よろしくお願い申し上げます。

 51i1dlhqsdl__sl500_aa300_


  また、もう一つ。『図説軍服の歴史5000年』の前に、2008年に出しました『スーツ=軍服!? スーツ・ファッションはミリタリー・ファッションの末裔だった!!』(彩流社)につきまして、こちらもありがたいことにロングセラー化しまして、ほとんど在庫がなくなりました。そこで、単なる増刷ではなく、徹底的に書き直した完全改訂版を出そうか、という話になっております。こちらも来年にははっきりしてくると思います。盛り込みたい新しい情報は増えている一方、今までの内容はいろいろ古くなっていますので(たとえば今さら小泉政権のクールビズ批判の内容など、自分から見ても古すぎます)、もうほとんど5割方、原形をとどめないレベルの新しい別の本のように書き直す予定です。

 そのほかにも進行中のお話がいくつかありますが、またそれはおいおい・・・。

 ということで、久しぶりにそれらしいご報告でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年1月15日 (日)

『図説 軍服の歴史5000年』刊行前の心境・・・。

 入稿をすませた私たちの次回本『図説 軍服の歴史5000年』(彩流社)につきましてですが・・・手を離れたのだから、楽になったのだろう、と思われると存じますが、そうはいきません。出版する、となったら今度はどこに謹呈するか、どこの雑誌の編集部に書評をお願いするか・・・こういったことに頭を悩ませている日々です。お世話になった方々にはやはり一冊ずつ謹呈すべきだし・・・ということで、著者というのは実際には、相当な冊数を買い取らないと本当のところ、あっという間に在庫がなくなってしまいます。本当に出版ってのは苦労多く、しかしもうかる物ではなく、むしろ持ち出しばかり・・・となりがちなものです。それでも出したい、というのはやはり、自分たちがなんといっても充実感があるし達成感がある、それに喜んで下さる方が確かにいらっしゃる・・・それに尽きます。
 とはいえ、この刊行前となると、著者というのはどなたもそうでしょうが、ナーバスな気分にも陥ります。酷評する人や、中には悪質な中傷めいたことをしてくる嫌なヤツだっているかもしれません。読者といってもいろいろ、味方ばかりではない、敵に回る者だって出てくるでしょう。建設的な意見ならいいですが、足を引っ張るような誹謗もあり得ます。
 そんなことを考えると、どんどん暗い気分に落ち込みます。よく、そんなしんどいことが出来るな、と仰る方もいるでしょう・・・まあ、好きだからこそ、少しでも意味があると思っているからできる、としか申せませんですね。
 ところで、本書の単価は結局2500円となりました。250頁ほどの本ですので、ページあたりの単価は10円。どうかご理解いただきたいところです。精いっぱい、版元さんと我々、著者で頑張った価格ですので・・・。
 特にイラスト担当の妻には、本当に感謝しなければならないと思っています。丸4年もかかってイラスト総数約200点。もし外部の画家に頼めば、どんなに安くしてもらったとしても、仮に1枚1万円としても(しかし、実際にはこの値段じゃ引き受けてくれないと思います。簡単なカット画ではないので)200万円はかかってしまいます! カラー画もありますので、まあ最低でも300万円ぐらい請求されるのが順当でしょう。
 話を単純にして、イラスト料金が300万円ちょうどで、初刷り部数が3000部、とした場合、どうでしょう・・・。本の一冊当たり単価は、なんと1000円アップ! 従って2500円のものが3500円になってしまうわけです。本当はそのぐらいの値付けをして妻に報いてもいいような話なわけです・・・。
 家族だからできた企画、というわけなんですね。まあはっきり言って、外部の画家さんなら、料金が300万円でも400万円でも、4年間も拘束されるとしたらなかなか引き受けてくれないと思う次第です・・・。
 そんなわけで、とにかく早いところでは25日ごろにも店頭にお目見えする予定です。もう本当に、楽しみというよりは気がかりですが・・・。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年1月12日 (木)

軍事選書堂、訪問

 先日、東京・大井町にある軍事・歴史書籍の専門書店「軍事選書堂」さんに行ってきました。http://www.chickenhead.co.jp/cgi-bin/top.cgi
 年初に、あるイベントでこちらの出展ブースにお邪魔した妻の玲子が、私たちの既刊『スーツ=軍服!?』や、ほかの彩流社の軍事・歴史系の書籍、たとえば山下英一郎さんの『制服の帝国』などを置いてくださっているのを発見し、我々がいま刊行準備中の『図説 軍服の歴史5000年』の宣伝も兼ねて、夫婦そろって大井町まで出かけたわけです。
 さすがに専門書店だけに圧巻の品ぞろえ、ことに洋書がすごいです。日本では絶対に出回らないようなマニアックな本だらけです。有名なオスプレイ・シリーズも、日本でよく見かけるのはごく限られたものですが、ここは珍しいものがいろいろ。というわけで、一挙に30冊近くも買い込んできました。
 こちらの売り上げは、8割がインターネット通販だそうですが、やはり実店舗に赴いて実物に触れ、品ぞろえを確認しながら、というのは醍醐味です。
 ご興味のある方、ぜひ一度、足を運んでいただきたいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年12月25日 (日)

図説 にほんのかたちをよむ事典

 いよいよクリスマスで年末モード、の方も多いと思いますがいかがお過ごしでしょうか。ところでこのほど、『図説 にほんのかたちをよむ事典』(形の文化会編、工作舎、3800円+税 ISBN978-4-87502-441-5)http://www.kousakusha.co.jp/NEWS/weekly20111220.htmlという本が出版されました。これは一種の事典でありまして、日本の「かたち」を読み解くキーワードを解説する、というものです。私、辻元も「たたかう」だとか「武器」だとか、いくつかの項目を執筆しております。
 この本ですが、1992年に結成された形の文化学会という会の本として企画され、私も今から十数年前、まだコンピューターでなくワープロで記事を入稿した記憶があります。だからまあ、12、3年はかかって出た本だと思います。私どもの次の新刊『図説 軍服の歴史5000年』は4年で出るのですから、まあこれよりはずっと早い、といえそうです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月23日 (火)

『軍服の歴史5000年』予告。

 ここ数日、9月下旬並みの涼しさでした。私もせっかくなので、スーツを着込んで出かけています。しかしまた、暑くなるみたいですね。さすがにこのまま秋にはならないか。
 ◆  ◆  ◆
 私たち夫婦の前作『スーツ=軍服!?』(彩流社)が出ましたのが、2008年3月。お陰さまでロングセラーとなっておりまして、4年たっても目にとめていただける方がいらっしゃるようで、筆者としては喜んでおります。
 そして、その前著発行の直後からスタートした次作『軍服の歴史5000年』(彩流社)ですが、妻の玲子が膨大なイラストとの格闘を3年以上、続けてきましたが、いよいよ最終局面、残すところあと数点というところまで来ました。
 すでに、版元ドットコムや、アマゾンでこの本の予告紹介が掲載されています。一応、10月か、遅くとも11月には世に出せるのでは、と思っております。が、何しろ画家は一人だけでして、これが緻密に写実的に、徽章や階級章、勲章、服の仕立て方に至るまで可能な限りリサーチして、一点一点、描いているので、時間がかかるのはどうにもならないものがあります。心労のために妻も私も、この4年間に何度も病気になりました。このせいばかりではないでしょうが、相当なストレスになってきたのは確かです。
 本書の内容を目次から、こちらでも紹介しておきますと・・・。

紹介
我々が日常身につけている洋服の起源でもある軍服の誕生と変遷の歴史5000年を、200点以上の豊富なイラストで図説する。軍服が現在のジャケット、ズボン、帽子、履き物、そしてネクタイなどにどのような影響を与えてきたのか、その歴史を探りつつ、古代シュメールから現代まで5000年にわたる軍服の歴史を解説する。軍服の歴史・関係年表と各国軍階級対照表も付す。

目次
推薦の辞 スタイル・クリエーションズ社社長 滝沢滋/はじめに クラシックとは「立派な海軍のオーナー」だった

一、 ジャケットとズボン
 ローマ戦士と「蛮族」の衣装
 ヴァイキングの戦士と最初の「洋服」
 「パンツ丸出し」でも平気?
 「股隠し」と男性用スカートの登場
 布袋腹の奇妙な上着「ダブレット」
 ボロキレ・ファッションの傭兵たち、ついにスウェーデン軍で「軍服」が登場
 ペルシャ風衣装「スーツ」型軍服の誕生
 英国式スーツ誕生の瞬間
 オスマン・トルコの影響とポーランド有翼騎兵
 バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン~燕尾服とダブル服の登場
 オスカル様の肩章は「小さな肩」?
 袖口のボタンはナポレオンの考案?
 軍服のモール飾りはいつから―参謀懸章
 フン族のアッチラ大王の軍服? 軽騎兵の肋骨服
 勲章は実は教会から生まれた
 フリードリヒ大王の寒がりファッション
 英国のダンディーも愛したプロシャ・スタイル
 そして「背広」の誕生
 クリミア戦争と男たちの衣装
 男らしいズボンとは……
 海軍の制服導入とネルソン提督
 ネイビー・ブレザーと軍艦「ブレザー」
 ヴィクトリア朝の海軍士官

二、帽子、被り物、履き物それにネクタイ
 兜の飾りはどこでもハリボテ
 三角帽はとんがり帽子ではない
 二角帽はナポレオン専用ではない
 敬礼の作法は脱帽から
 さまざまな「トルコ風」の軍帽
 「お巡りさんの帽子」ドイツで登場
 王者たる者、赤い靴?
 靴に名を残した二人の将軍
 エリザベス女王の襟巻きからクラヴァットへ
 今のネクタイの原型は暴走族風? 
 レジメンタル・タイの意味合い

三、非西欧文明の軍装
 北米、インカ、アステカの戦士たち
 中国の甲冑とチンギス・ハンの軍隊
 日本の甲冑史と洋服
 日本人と洋服との出会いは「軍服」として

四、軍服の現代化と第一次世界大戦
 カーキ色の軍服の時代
 詰め襟軍服、背広型軍服
 第一次大戦が変えた市民の服装

五、第二次世界大戦から現代まで
 ナチス・ドイツ「制服の帝国」
 迷彩服とダンディズム―両極端のドイツ将校
 第二次大戦でのその他の国の軍服
 実用的なアメリカ軍の戦闘服
 カジュアルだから助かったS・マックイーン 
 現代の軍服と未来

軍服の歴史・関係年表

各国軍階級対照表

主要参考文献

著者あとがき

イラストレーターあとがき

感想と激励の辞 歴史復元画家 中西立太

 こんな感じになっております。お気づきになったように、巻頭にはスタイル・クリエーション社の滝沢滋社長の推薦の言葉を掲げております。また、巻末には、玲子に助言を与えていただき、指導していただき、2009年1月に急逝された歴史復元画の大家・故・中西立太先生が、生前に寄せられた激励の辞を載せさせていただきます。本書刊行の際には中西先生の跋文をいただくことになっていましたが、それがかなわなくなったためのことです。
 こんな内容になっていて、古代シュメールの軍人から、エジプト、アッシリア、ペルシャにギリシャ、古代ローマ、中世の騎士、ドイツ傭兵、そしてナポレオン戦争の各国の軍人、さらにオスマントルコの精鋭イェニチェリ、アステカやインディアンの戦士、モンゴル兵、日本の武士の甲冑、ボーア戦争やズールー戦争、第一次大戦の各国の軍装、第二次大戦の各国の軍装、各国の婦人部隊の女性兵士たち、そして戦後の戦闘服、最後は中国軍の07式戦闘服や自衛隊の制服、米軍の最新式ACU戦闘服まで・・・。歴史の流れを大局的に追う本文と詳細な解説、200点を超える精密イラストに、詳しい説明。
 そんなことになっていまして、まずはこういう分野で、今のところ出来る限りのことは尽くした、という内容になっているのじゃないかと自負しております・・・。
 さらにはっきりした日程が出ましたら、ご報告します。まずは予告まで。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年4月30日 (水)

ミリタリークラシックスにも書評

「ミリタリークラシックスvol.21」(イカロス出版)の152ページ「MC放送局」にも拙著「スーツ=軍服!? スーツ・ファッションはミリタリー・ファッションの末裔だった」(彩流社)の書評が出ました。http://tenant.depart.livedoor.com/t/gunjisenshodo/item4617330.html

「スーツ型衣裳の原型はルイ14世時代の軍服」「ダブルのブレザーの語源は英海軍の
フリゲート艦」など、われわれの身近なところにもミリタリーファッションの影響はたくさん残っている。日本でも企業戦士の戦闘服といえばスーツだが、それも元をただせば軍服に由来するものなのだ。本書は服飾史と戦史の観点から、洋服やその正しい装い方、それぞれが持つ意味まで学べる内容になっている。ミリタリーマニアでなくても、一読すればスーツに対する見方も着こなし方も変わる、目からウロコの軍装解説書。

という具合です。イカロス出版様ありがとうございました。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2008年4月27日 (日)

本を出版する方法

それにしてもウィンドウズ・ビスタ、使いにくいですね。なんでこう面倒なものにしたのかな。普通のユーザーは性能や安全性はは高めてほしいが、機能や操作はあまり変えてほしくないのじゃないかと思いますが。
 ところで、身近の人から「本というのはどうやって出すものなんですか」と聞かれました。それで、ご存じの人にはありきたりの話ばかりでしょうが、こういう世界に無縁な人とか、漠然と「いずれ著者になってみたい」という方もいらっしゃるでしょうから、自分の経験の範囲で少し書いておきます。
 いわゆる自費出版については自費出版専門の版元があるのは今では誰でも知っていますし、それがこのところ経営破たんしたり、大変であることも知られています。要するにハードルが低くて誰でも出版してくれる反面、後の面倒は全然みてくれないので、著者の不満が高まったのは当然です。そもそも基準が甘いのだから、仕方ないとは言えます。
 大体のところ、ああいうところで全額自費で出版すると、まあ100万円ぐらいが最低出資額だと思います。企画によってもっと安いところもあるでしょうが、まあ宣伝を万全にやり、豪華な造りにし、部数を増せば上限はいくらでも上がるでしょう。200~300万円出した人もいると思います。
 次に、ちゃんとした商業出版社からの企画出版をするにはどうするか。まずは、一番、王道なのはなにかの文芸賞をもらってデビューすることです。しかし、これは才能がある人であっても一生の間に受賞できるかどうかは相当に運次第なのは明らかで、その僥倖を待っていてはいつまでたってもデビューできません、というかなにがなんでもデビューしたい、というなら、30代半ばぐらいまでの若い内はともかく、受賞を前提にしているわけにはいかないでしょう。それに、どなたもお気づきのように、世間に出回っている書籍のほとんどは別に文学賞をとった作家が書いているわけではありません。著者になるには文学賞は必須条件ではないことになります。
 文学賞タイトルが絶対必要なのは、文芸作品の企画出版です。だから、無名の人が文芸作品の原稿を版元に送ったり持ち込んでも、まあほとんどの場合、何事も起こりません。見てもくれません、通常は。漫画と違い、持ち込まれても簡単に概要を理解できないので、時間を作ってくれないのが普通でしょう。ごくまれにそれでうまくいった、という話がありますが、それはいい編集者と縁があったためで、まれだからそういう話が有名になるんですね。
 もし文芸でとにかくデビューしたい、という人は、実は小説よりも詩歌のほうが本そのものは出しやすいのですが、ただしこれはほぼ100%が自費出版となります。流通することはゼロではないが、ほとんど期待できません。しかし、詩歌については自費出版が昔から常識なので、ほかの分野と違い自費だから格が低いとは言われない、というメリットがあります。つまりちゃんと実績になる。詩歌の世界の文学賞の審査対象にもなるし、詩歌の世界で一人前として扱われる。ただし、そういうわけだから詩歌の専門の版元は、お金の面では自費なのに、けっこう審査基準は厳しく、なんでもいいから出してくれる普通の自費出版社のようにはいきません。通常は、既に実績のある先生の下でしばらく様子を見て、その紹介を得る、といった手順を踏んだ方が確実です。
 さてそれで、本当に版元の企画出版として出してもらうにはどうするか。こちらは、文芸を狙わない方が間違いなく有利です。小説のたぐいはあまり相手にされません、どうしても小説家に、という人はなにがなんでも文学賞をとるしかないでしょう。しかし「とにかく著者になりたい」ということなら、文芸じゃない分野でまずは何か原稿を書くことです。
 次に、その原稿を持って多くの版元を大きいところから小さいところまで回ってみることです。私の今までの経験ですと、非文芸でそれなりの内容の原稿だと、大抵の版元は読んでくれます。50~60社ぐらい打診すると内容次第でしょうが、10社ぐらいから前向きな返事が来たりしましてその後は具体的な条件交渉に入ったり、あるいは、この企画はこのままじゃ駄目だけど、別の企画で書きませんか、という話になったりします。まあこれはあくまで私の経験です。
 一度、それで軌道に乗ると、少しずつほゥの話も見えてきたり、ものによっては空中分解したり、という中で、形になるモノが出てきます。そして、やっと企画出版できるというわけです・・・。この場合も、いい編集者と縁があるかないか、が最も重要になります。自分に惚れ込んでくれるような編集者に巡り会えばいうことはありません。逆に大手版元から声がかかっても、担当編集者と反りが合わず駄目になる、ということも私自身経験していますので、結局は人の縁ほど大事なモノはない、というのはどこの世界でも真理です。
 これも、ある程度の買い取りを求められることが珍しくないですが、しかし経験的にいって著書は100冊以上は手元に残しておくべきです。その後、次の企画の売り込みやらなんやらで、けっこう2、3年もするとなくなってしまいます(50社に売り込むなら50冊ななくなりますから)。新聞社や雑誌社に売り込みをするならもっと必要でしょう。だから200冊ぐらいを買い取りしても後で見ると、別に無駄にはなりません。
 その買い取りをしても、20~40万円ほどですから、100万円以上かかる自費出版とは全く次元が違うし、宣伝もしてくれるし、流通もちゃんとしてくれます。従って、なにがなんでも自費ではなくて企画出版しないといけない、ということです。
 印税なんてものは実に微々たるモノで、入ってきてもお小遣い程度です。これで生活できる著者は部数10万部を超える人だけで、今の出版不況下でそんなに売れる人は、そういません。1000円の本が1万部売れて売り上げ1千万円、印税5%なら50万円。まあこれなら赤字にはならない、お小遣いとしてはいいかな、というところ。10万部売れれば500万円、こうなると職業として意識できるでしょう。本の単価が高ければ印税も増えるでしょうが、それだけ部数は伸び悩むのは言うまでもありません。
 にしても、ロングセラーとなるような内容で、増し刷りにこぎ着ければ、れっきとした著者としてやっていけることになります。少なくとも赤字のない程度にやれれば、活動としては成り立つことになる。ただ、プロのライターだけで暮らすというのなら、常に1万部以上、できれば10万部を超えるような売れるような本を出す必要があり、大変でしょう。
 また、著書があると、ほかの雑誌などの依頼がある場合がある、また文芸家協会やペンクラブに入れる(著書3冊以上が最低条件で、いずでも理事の先生の推薦が必要)といったことがあります。ここまでくれば、一応、どこに行っても「私は文筆家です」と名乗れるレベルには達するわけです。当然、次の売り込みがしやすくなります。儲かる、儲からないという次元ではなく、その方面で一応の見識がある人、専門家、ということも言われるようになります(内容次第ですけど)。
 それ以後は、本人の努力次第でしょうし、私も目下、努力している次第です。
 とにかく、こういう時代でもいわゆる活字をやってみたい、まずはデビューしてみたいという方は、ベテラン世代にも若い人にも多いと思います。しかし上記のようなわけで、最初の1冊を形にするまでに相当な信念と行動力が必要なようで、著者の皆さんはそこを乗り越えてこられた方ばかりということです。
 参考までに書いてみました。お役に立つことあれば幸いです。
 
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年4月14日 (月)

スーツ=軍服!? 朝雲新聞に登場

 さて、拙著も刊行以来、ちょうど1か月たちましたので、そろそろこの話題も打ち止め・・・と思ったのですが、これは自分の記録としてもぜひ載せておかないと。自衛隊関係者向けの専門紙「朝雲新聞」様4月10日号の新刊紹介に載ってしまったのです。本当に驚きました。http://www.asagumo-news.com/
 
「スーツ=軍服!? スーツ・ファッションはミリタリー・ファッションの末裔だった」
 http://www.junkudo.co.jp/detail2.jsp?ID=0277911305
 日本人の男性がふだん着ている洋服は、元々は西欧の軍服から発展したということはよく知られているが、スーツはフランスのルイ14世時代の軍服に由来し、ブレザーは英海軍の軍艦名であり、トレンチ・コートは塹壕戦用の野戦服だったと認識している人はそうは多くないだろう。
 本書は今日の洋服のルーツを歴史的に明らかにし、漫画家の著者夫人が描いたイラストと共に、古今東西のさまざまなミリタリー・ファッションを体系的にまとめた軍用被服の研究書だ。
 スーツ、ブレザー、コート、ネクタイ、ブルゾン、靴、帽子などの項目別に分かれ、それぞれの由来やその後の発展について詳述。カーディガンはクリミア戦争が起源で、タキシードは英海軍の礼装から生まれたことなどが紹介される。英国人男性が今も色や柄の美しいレジメンタル・タイに特別な関心を寄せるのはそれがレジメント(連隊)識別用のものだったからというのは興味深い。
 このほか階級章や勲章の歴史、敬礼の裏話など逸話も抱負に盛り込まれ、さらに随所に挿入されたナポレオンやマッカーサー、ロンメル将軍などのイラストはとてもファッショナブルで、眺めているだけで楽しい。

 これまで「産経新聞」様のほか、アパレル専門紙「繊研新聞」様、銃器専門誌「アームズ・マガジン」様などに取り上げて頂いて、専門的なお立場からご紹介頂いたことは本当に光栄です。この場を借りまして御礼申し上げます。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2008年4月12日 (土)

アームズマガジンに拙著掲載!

ホビージャパン社の「アームズマガジン」誌5月号の206ページ「ARMS BOOK REVIEW]の中、「今月の一冊」といういちばんいい扱いで拙著「スーツ=軍服!?」が掲載されました。http://www.hobbyjapan.co.jp/armsmagazine/ 以下引用します。

 なんとも「そうなのか!?」というタイトルで始まる本書は、現代日本でもよく使用されているスーツなどの衣類のルーツが、もとは軍用であったことを解き明かしていくという異色の書籍です。・・・考えてみれば、軍服を「歴史的」に眺め、その由来がなんであったか、なぜ現在の形となったのかという点に目線を向けた書籍はあまりありません。そうした点を考慮して、今回はこの書籍をオススメとさせていただきました。

ということで、大手他社の本などを押しのけて堂々の大扱いで驚きました。専門誌の中でもきわめつきの専門誌に評価してもらったのは嬉しいことです。いや、本当にマニア受けな内容なんですかね、何処へ行っても玄人受けは非常にいいんです、この本。ファッション関係でもセレクトショップの人なんかにけっこう受けるのは確かです。http://www.hanmoto.com/bd/ISBN978-4-7791-1305-5.html

| | コメント (0) | トラックバック (0)