2018年9月28日 (金)

【映画評 感想】スカイスクレイパー

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  映画「スカイスクレイパー」原題:
Skyscraperを見ました。スカイスクレイパーとは「摩天楼」の意味ですが、本作はそのものズバリ、最新鋭の超高層ビルを舞台に繰り広げられる「密室パニック・アクション」という系譜の一作です。ということになれば、同様に高層ビルからのサバイバルや、テロリストとの死闘をテーマとした過去の大ヒット作品「タワーリング・インフェルノ」や「ダイ・ハード」が想起されますが、本作はそれらのリメイクではないにしても、影響を受けた、と製作側が公言しています。実際、一部では先行作品に話が似すぎている、との評もあるようです。

しかし、本作の主演・製作はドウェイン・ジョンソン。結局、この人が出ることで、映画も「ドウェイン印」の作品という印象になり、スティーブ・マックイーンでもなければ、ブルース・ウィリスでもない現代のお話、というイメージになるのは間違いないところ。

このところのジョンソンの活躍ぶりはすさまじく、「モアナと伝説の海」「ワイルド・スピード」「ジュマンジ」「ランペイジ/巨獣大乱闘」と、関わった作品は軒並みヒットを連発しております。今やアメリカを代表するアクション・スターになった、と言っていいでしょう。この人が、元々はプロレス界の大御所選手「ロック」だった、という事実も、既に若い世代の人は知らない、というほどに映画界で成功しました。

それでも、ドウェイン・ジョンソンというキャラは、その出自から言って、破格の身体能力を持っていることが前提の人物なわけです。別に特撮でもなく、何かの超能力でもなく、本当に格闘すれば相手をねじ伏せる戦闘能力があり、自動車を投げ飛ばせるような怪力の持ち主なので、いってみれば「本物のヒーロー」。画面の中だけのコミック・ヒーローとは勝手が違います。よって、今までは超人的な人物を演じることが多かったのですが、今回は新しい試みとして、ハンデのある身体障害者、かつてある事件に巻き込まれ、左脚を失った人物、という役柄に挑戦しています。

こうなると、さすがにロック様といえども、全力疾走はできないし、派手なキックも決まりません。特に段差を越える、よじ登るといったアクションのたびに、何をするにも制約があります。そういう意味で、ジョンソンが「普通の人」を演じる、いやむしろ「通常以上に制約が多い立場」を演じる、という点が、非常に目新しく感じます。これまでですと、ついつい「彼なら実際に、このぐらいの事はできるだろう」などと、どこか安心して見てしまったわけですが、本作での彼のアクションは、言ってみればパラリンピックの選手を応援しているような、どこかハラハラした感覚になるのが見どころです。

そんな主人公が、決死の難行苦行に立ち向かう理由が、愛する家族を助けるため、というのも巧妙な設定です。家族がビルの中で危険な目に遭っている、という状況でなければ、単なるビジネスマンであるこの主人公は恐らく、無茶な行動をとる必要はなかったでしょう。世界を救うとか、正義を行うのではなく、あくまでもファミリーのために一途に行動する、という要素が熱い共感を呼びます。

それからもう一点、本作の現代的な背景をみると、中国資本がバックにあるレジェンダリー製作の映画らしく、ビルが建つのは香港であり、出演者も中国系の人が多い、という点が挙げられます。これも、いかにも21世紀の映画です。

一方で、映画の終盤には、「燃えよ ドラゴン」や「007 黄金銃を持つ男」で印象的に使われたミラー・ルーム(鏡の間)を想わせるアクションもあり、先行作品へのリスペクトも強く感じさせています。

 

 10年前、アメリカで発生した人質立てこもり事件。海兵隊を除隊後、FBIの特殊部隊指揮官を務めるウィル・ソーヤー(ジョンソン)は、現場に突入。しかし一瞬の隙を突いた犯人は自爆を図り、ウィルも瀕死の重傷を負います。

 海軍病院に運び込まれた彼を手術したのは、アフガン戦線帰りの軍医将校、サラ(ネーヴ・キャンベル)でした。ウィルは左脚を失い、FBIを退職することになります。

 そして現在。事件が縁でウィルはサラと結婚し、かわいい子供2人に恵まれました。経歴を生かして小さなセキュリティー会社を設立し、ビジネスマンとして活躍しています。

 10年前の事件で、一緒に爆発に巻き込まれて負傷し、FBIを辞めたベン(パブロ・シュレイバー)が、香港での大きな仕事を紹介してくれます。中国の大富豪ジァオ・ロン・ジー(チン・ハン)の部下となったベンは、ジャオが7年がかりで建設した1066メートル、240階建ての世界最高層ビル「パール」の保安審査を依頼してきたのです。

 ウィルはサラと2人の子供を連れて香港に赴きます。半年かけた書類審査でビルの構造や保安体制を頭に入れたウィルは、最終審査の日、家族を動物園のパンダ見物に送り出した後、ジャオと面会して審査結果を報告します。

その後、ベンと街に出たウィルは、ビルから離れたところにある管理センターを訪れようとしますが、途中で何者かに襲われて、鞄を盗まれてしまいます。ウィルは最終検査のために、全システムにアクセスできるタブレットを渡されていましたが、襲われる前に、鞄から上着のポケットにそれを移しており、盗まれずに済みました。

 ところが、その事実を知ったベンの顔色が変わります。ベンのアパートに招かれたウィルは、豹変したベンから突然、暴行を受けます。ベンの狙いはタブレットで、窃盗犯もグルだったのです。

 ウィルの左脚を攻撃してくる卑劣なベンの攻撃をなんとかかわし、その場を逃れたウィルでしたが、今度は謎の女テロリスト、シア(ハンナ・クイリヴァン)の攻撃を受け、タブレットを奪われてしまいます。シアの一団は管理センターを襲撃し、ウィルから奪ったタブレットを使い、ビルのシステムを乗っ取ってしまいます。

 その間に、潜入していた国際テロリスト、コレス・ボタ(ローランド・ムーラー)がビルに火を放ち、大火災が発生します。シアが防火装置を切ってしまったので、火は瞬く間に燃え広がります。

 サラと子供たちは、長男が体調不良を起こして早めに動物園を去り、この時には、ビルの上階にある宿泊室に戻ってしまっていました。家族がビルの中に取り残されたことを知ったウィルは、何とかしてビルの中に入ろうとします。

 しかし、そんなウィルの行動を見た香港警察のウー警部(バイロン・マン)は、保安システムを熟知するウィルが、テロリストの一味であると疑い、部下に彼を逮捕するように命じます。

 こうして、警察に追われ、テロリストとも戦いながら、燃え上がるビルの中に突入していくウィルは、愛する家族を守り抜くことができるでしょうか。そして、テロリストたちの狙いは何なのでしょうか…。

 

 サラ役のネーヴ・キャンベルは、ホラー作品「スクリーム」シリーズのヒロインとして有名ですが、今回は子供を守って戦うお母さん、という役どころがカッコいいです。彼女を、元は戦地帰りのバリバリの海軍将校という設定にしたのが巧妙ですね。武闘派であるのは当たり前ですので、サバイバル・シーンでも、武器をとっても、格闘シーンでも、そういう人物像なら、全く違和感がありません。

 ウィルが、外部の人間なのにビルの構造やシステムを、何もかも熟知している、という設定もうまいです。保安審査の担当者、というのは秀逸な状況を考えたものです。

 今回のもう一人の主人公といえるのが、高さ1キロを超える240階建ての架空の摩天楼「パール」です。これが魅力的に描けないと、映画としても台無しになりかねませんが、技術監修に世界的に著名な設計家エイドリアン・スミスを据えて、実際にビルを建てるように設計してもらったそうです。同氏はドバイにある実在の世界最高のビル「ブルジュ・ハリファ」(828メートル、206階建て)の設計者ですが、なるほど、この人のおかげで、ビルの実在感、リアリティーは素晴らしいものがあり、本当にこんなビルがあるような感覚を覚えます。ちなみに「東京スカイツリー」は634メートル、地上160階で、今現在はブルジュ・ハリファに次ぐ高さがあります。

 最後まで、一瞬の無駄も緩みもない構成は堅実で、この種の作品のお手本と言っていいかもしれません。このあたりは、やはり21世紀の映画です。

 中盤からは濃密なアクション満載となりますが、私のように高いところが苦手な人間からすると、映画だと分かっていても足がすくむようなシーンが続出で、思わず手に汗を握ります。充実の一作です。

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2018年9月21日 (金)

【映画評 感想】ザ・プレデター

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  映画「ザ・プレデター」原題:
The Predatorを見ました。あの1987年に大ヒットしたアーノルド・シュワルツェネッガー主演「プレデター」を受ける形の続編です。

一作目から約30年後、ということになっており、劇中でも何度か「87年に現れて以来…」などと言及されます。当初はシュワちゃんがカメオ出演、という話もあったようですが、今回は実現しませんでした。

あの「プレデター」は、85年の傑作「コマンドー」の続編か、と思わせるような戦争アクションから、後半は一転して、兵士が一人、また一人と殺されていくSFホラーになる展開が斬新で、シュワちゃんにとっても初期の成功作の一つとなりました。

それで、今回の作品のメガホンを執るシェーン・ブラック監督は、一作目でシュワちゃんの部下ホーキンス兵卒役で出演していた人です。下品な冗談ばかり飛ばしていたら、プレデターによる人間狩りの最初の犠牲者になってしまう、という役柄でした。

そんなわけで、このシリーズの最初から熟知している監督だけに、一作目への思い入れと言うものも感じさせつつ、これまでシリーズ作品が作られてきた中で、みんなが抱いてきた疑問、「彼らは一体、なんで地球にやって来るのか?」「強い相手を血祭りに上げることが、彼らにとって(文化的な意義のほかに)なんの意味があるのか?」「彼らの知的レベルはどのくらいで、人間の言葉を操れるのか?」といったテーマに応えるような内容になっております。

さらに、最初から言われてきた素朴な疑問、このエイリアンは生存のために食料を狩るのではなく、一種の娯楽のように殺戮を楽しむのだから、「プレデター(捕食者)」ではなくて「ハンター(狩人)」と呼ぶ方が適切ではないか、ということにも、映画の中で言及していたりもします。

 今回の作品の一つの軸は、最近の映画でよく描かれる「破綻している夫婦」および「親子の絆」というテーマ。それからもう一つは、正規の組織から排除された犯罪者やならず者の部隊が、非常時を迎えて大活躍する、というパターンです。つまり、古くは「七人の侍」や「特攻大作戦」「戦略大作戦」、それに「兵隊やくざ」などもそうでしょう。近年で言えば、そういった作品の影響を受けた、と製作側が公言している「スーサイド・スクワット」や「ローグ・ワン」もそれに当たります。

 そういうわけで、最新の技術を使った映画である一方、どこか80年代以前のアクション映画のようなノリがある作風です。

 

元米陸軍の特殊部隊の狙撃手で、殊勲勲章や銀星勲章を受勲しているクイン・マッケナ大尉(ボイド・ホルブルック)。今は部下と共に傭兵稼業に就き、南米某国で麻薬組織のボスの暗殺作戦に成功します。しかし、そこで異変が起こり、突如飛来した異星人の宇宙船の墜落に巻き込まれます。宇宙船から現れたプレデターは部下を皆殺しにしますが、マッケナはプレデターの装備品であるガントレット(腕に着ける防具)を奪い、これに搭載されていた武器でプレデターを負傷させます。マッケナはガントレットとマスクを証拠品として持ち去り、自宅の最寄りの郵便局私書箱に発送。マッケナが立ち去った後、異星人対策の専門機関「スターゲイザー」のウィル・トレーガー(スターリング・K・ブラウン)が現場に到着し、傷ついたプレデターを捕獲しました。

 帰国したマッケナはスターゲイザーに逮捕され、脱走兵や犯罪者が送致される軍刑務所送りになってしまいます。彼が私書箱に送付したプレデターのマスクとガントレットは、私書箱が滞納扱いとなって留守宅に送り届けられ、発達障害がありながら、天才的な知性を持つ息子ローリー(ジェイコブ・トレンブレイ)の手に渡っていました。ローリーはプレデターの装備品の扱い方をたちまち独学で理解し、これを起動させてしまいます。

 トレーガーは、動物生態学の第一人者ケイシー・ブラケット博士(オリヴィア・マン)を強制的に徴用して研究施設に連れてくると、プレデターが今回飛来した目的を探ろうとしますが、プレデターが、かつて地球に来た時と異なり、人類の遺伝子を組み込んでいる事実に気付き、一同は愕然とします。マッケナの乗る護送バスは、スターゲイザーの秘密基地に呼び戻されますが、ちょうどその時、ローリーが起動した装置に反応してプレデターが息を吹き返し、基地から逃亡。

さらに同じころ、やはり装置の起動に気付いた別のプレデターが、地球目指してやって来ます。この2体目のプレデターは、3メートル近い巨体で、遺伝子の組み換えで強化された新型プレデターです。

マッケナは、一緒に護送されていた受刑者である5人の兵士たちと協力してバスを奪い、プレデターを追跡していたケイシーと共に、自宅に向かいます。というのも、プレデターたちが狙うのは、息子のローリーが起動させた装置だと悟ったからです。

ちょうどハロウィーンのその時期、ローリーは母親エミリー(イボンヌ・ストラホフスキー)に無断で、街に出てしまいます。様々な仮装を楽しむ子供たちに交り、ローリーはプレデターのマスクを被り、腕にガントレットを装備していました…。

 

 主役のボイド・ホルブルックは、なかなかふてぶてしい軍人役が似合っています。最後に正規の軍服アーミー・サービス・ユニフォームを着込んだ姿も様になっていました。シュワちゃんの後継者、というのとはタイプが違いますが、人間臭さのある欠点も多い男、というのを好演しています。この人、「LOGAN/ローガン」で敵役をやって注目されていましたね。ケイシー役のオリヴィア・マンも「マジック・マイク」「NY心霊捜査官」と話題作でキャリアを重ね、「X-MEN アポカリプス」でブレイクしました。実はこの人、お父さんが在日米軍に在籍して日本で育ったので、初期には日本でモデル活動しており、日本語もかなり出来るそうです。

 ジェイコブ・トレンブレイは、ブリー・ラーソンにアカデミー賞をもたらした「ルーム」で有名になった天才子役。今回は、実際に自閉症の子供たちと接して役作りをしたそうで、これが実に見事です。

 なお、一部のネット情報で、陸軍の将軍という役柄でベテランのエドワード・ジェームズ・オルモスが出演しているように書かれています。どうも撮影はしたようですが、出演シーンは全部カットされていて、今回の本編で彼は一切、出ておりません。DVD化すると復活するかもしれませんが。

 「なんで今さらプレデター?」という当初の疑問は、見てみると忘れてしまいます。やはり、一作目から関わるブラック監督が、「1987年以来の疑問点を解決しよう」と意気込んだ成果が、脚本に現れていると思いますね。細かいところを真面目に考えると、突っ込みどころもあるでしょうが、やはり、30年を経て世界観が見えてきた、という印象が強い作品です。私は「そうか、そういうことだったのか」と、長年の疑問点が、色々と腑に落ちた作品でした。SF要素、アクション、ドラマ、適度なギャグ、と各要素のバランスもよく、期待以上の快作になっている、と思いました。

 

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2018年9月15日 (土)

【映画評 感想】アントマン&ワスプ

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映画「アントマン
&ワスプ」原題 : Ant-Man and the Waspを見ました。2015年の「アントマン」の続編であり、「マーベル・シネマティック・ユニバース」シリーズとしては、記念すべき20作品目の映画となります。

「ナイト・ミュージアム」などのコメディー出演が続く俳優ポール・ラッドが主演の「アントマン」は、正統派のヒーローが多いマーベル・シリーズの中では異色です。もともと泥棒出身で、妻から離婚された落ちこぼれの三枚目、虫のように小さくなって戦う、という設定は他には見当たりません。

東欧の小国ソコヴィアが壊滅した悲劇を機に、国連主導で締結された、超人たちの活動を各国政府の監視下に置く「ソコヴィア協定」を巡り、ヒーローたちがキャプテン・アメリカ派とアイアンマン派に分かれて内部抗争することになった「キャプテン・アメリカ/シヴィル・ウォー」の戦いでは、アントマンは協定を否定するキャプテン側の味方として参戦しましたが、これに続き、最強の敵キャラ、サノスが地球に攻めてきた「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」では一切、アントマンは姿を見せませんでした。

これは意図的なもので、非常にシリアスで悲劇的なインフィニティ・ウォーの作風にアントマンは合わない、という明確なものがあったそうです。やはりアントマン・シリーズは、ちょっと三枚目でコミカル、楽しい作品でありたい、ということなのですね。

そこで、この作品では、他のヒーローたちが全宇宙の命運をかけて死闘を繰り広げていたインフィニティ・ウォーの戦いのさなか、アントマンたちは何をしていたのか、どういう事情でこのメインの決戦に参加できなかったのか、が描かれます。

ところが、これがわき筋の小さなお話なのか、というと、もちろんミクロの世界、量子の世界にまで小さくなるアントマンなので、小さいと言えば小さいのですが、お話のスケールは大きいです。

それに出演陣が実に、豪華絢爛です。ミシェル・ファイファー、マイケル・ダグラス、ローレンス・フィッシュバーンと大御所クラスが名を連ねていて、それらのあり余る演技力で、コミックだとかヒーローものだとかいう先入観を簡単に打ち破ってしまいます。

今回は特に「家族愛」が大きなテーマです。ここの描き方が大きな感動を呼びます。実力派のキャストを得て、よく出来た脚本が生きている、と思いました。

 

 米ソ冷戦時代の1987年、ソ連の核ミサイル暴発を阻止するため、当時、平和維持組織シールドのメンバーだった初代アントマンことハンク・ピム博士(ダグラス)と、やはり初代ワスプで妻のジャネット(ファイファー)は、爆発の迫る弾頭に到達します。もはやこれを止めるには、量子サイズにまで小さくなって内部に入るしかなく、しかしそれは、制御不能なほどのミクロ化であり、二度と普通の世界に戻れないことを意味しました。ジャネットは犠牲を払い、姿を消しますが、ミサイルは無事に破壊されました。

 それから30年もの間、シールドを離れたハンクは、娘のホープ(エヴァンジェリン・リリー)と共に、姿を消したジャネットを元のサイズに戻すための研究を続けています。

 その後、前作で二代目アントマンとなったスコット(ラッド)が、量子レベルに縮小した後、元の世界に生還した事実が、2人に光明をもたらしました。この事実により、ジャネットを探し出して元に戻すことが、本当にできるかもしれない、と思われたからです。

 ところが、3年前の「シヴィル・ウォー」の戦いで、スコットは2人に無断でキャプテン・アメリカ側について参戦してしまい、ヒーローの活動を制限する国連の「ソコヴィア協定」違反に問われて逮捕され、2年間の自宅監禁処分を受けてしまいます。

スコットがFBIに逮捕されたせいで、ハンクとホープの父娘も、官憲に追われる立場になってしまい、潜伏することになった父娘と、スコットとの関係は切れてしまいました。

 逮捕されてからの日々、スコットは元妻のマギー(ジュディ・グリア)たちとうまく付き合いながら、娘のキャシー(アビー・ライダー・フォートソン)との交流を唯一の楽しみに、FBIのウー(ランドール・パーク)の厳しい監視を受けつつ、処分が解けるのを待っています。スコットが、かつての泥棒仲間たちと立ち上げた防犯会社は、ルイス(マイケル・ペーニャ)に社長を任せていますが、スコットを欠いてはうまくいかず、倒産すれすれの状態。

 監視処分の解除まで、あと3日に迫ったある日、スコットは非常にリアルな夢を見ます。それは、幼い日のホープが衣裳部屋で隠れん坊をしていて、母親のジャネットに見つかる、という光景でした。気になったスコットは、FBIから禁じられているにもかかわらず、ハンクに電話してしまいます。

 次の日、スコットは家から拉致されます。犯人はホープとハンクでした。2人はスコットの夢は、ジャネットからの何らかの信号であると判断し、スコットに協力を求めます。

ホープは、ジャネットを救い出す「量子トンネル」の実験に必要な部品を手に入れるために、闇ブローカーのソニー(ウォルトン・ゴギンズ)に接触します。しかし、ソニーはFBIの内通者から事情を聞いており、部品と引き換えに量子分野の研究を悪用し、ひと儲けすることを提案してきます。これを断ったホープは、スコットと共に部品を力ずくで手に入れようとしますが、そこに思いがけず謎の敵が現れ、妨害されます。まるで幽霊のように壁をすり抜け、実体化と消滅、瞬間移動を繰り返すゴースト(ハンナ・ジョン・カメン)は、ハンクが実験に使っている縮小サイズの研究設備を持ち去ってしまいます。

スコットたちは途方にくれる中、協力してくれそうな唯一の人物を思いつきます。それはかつてシールドでハンクの同僚だった大学教授のビル・フォスター(フィッシュバーン)。ハンクとビルは昔から反目している仲で、30年ぶりの再会は険悪なものになります。しかし、その助言を基にゴーストの拠点を突き止めたスコットたちは、研究設備を持ち出そうとした瞬間、あっさりとゴーストの返り討ちに遭って捕えられてしまいます。

 実はゴーストことエイヴァ・スターと名乗る彼女は、父がハンクから追放されたシールドの研究者で、その後、ハンクを見返すために行った量子実験に失敗し、母と共に爆死したこと、自分は独り生き残ったものの、量子レベルで存在の安定しない特異体質となったこと、そのために長らくシールドで実験体として使われ、さらに破壊工作員まで務めていたことを語り、自分たち家族の悲劇の責任はハンクにある、となじります。ビルは孤独なエイヴァを助けて、ずっと見守ってくれた父親のような存在でした。エイヴァは、自分の身体が長く持たず、治療するにはハンクの量子実験設備が必要、と考えたのです。

 隙を見てその場を脱出したスコットとハンク、ピムは、ついにジャネットからの確かな通信を受け取ることに成功します。しかし、そこにFBIの一団が押し寄せ、ゴースト、ソニーも現れて大騒動に発展、事態は急展開していきます…。

 

 ということで、コミカルなシーン、鮮やかな戦闘シーン、人間ドラマのシーン、とテンポよく話が組み合わさり、さすがに極上のエンターテインメントになっています。安定したベテラン陣と、「ホビット」シリーズで名を上げたエヴァンジェリン・リリー、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」以来、急激に注目度が増している新星のハンナ・ジョン・カメンら若い世代の実力派が、がっちりと魅力を引き出し合っている感じが見て取れます。きっと、非常に感じの好い撮影現場だったのではないでしょうか。

 興味深いのが30年前の回想シーンで、マイケル・ダグラス、ミシェル・ファイファー、ローレンス・フィッシュバーンがそれぞれ、若いころの姿で登場します。これは、各人の8090年代の出演作品を基に、若いころの顔をCGで再現しているそうで、本当に昔の本人が出演しているようです。以前はこういう場合、不自然な若作りメイクに頼るしかなかったのですが、現在の技術では、魔法のような若返りが、画面上では簡単にできるようになりました。

 本作は、いったん話が終わった後、追加映像が二つもある作りになっており、ここが非常に重要な意味を担っています。つまり、この作品のエンディングの時期が、「インフィニティ・ウォー」の悲劇的な結末時と一致しており、無関係ではなかった、という意味合いが込められた映像です。今後、アントマンがアベンジャーズの世界と再び密接にかかわることを明示しているわけです。

 本作の後、マーベル・シリーズとしては新キャラとなる「キャプテン・マーベル」が次回作(21作目)で作品世界に加わり(この人物については、「インフィニティ・ウォー」のエンディングで、ニック・フューリーがスマートフォンで、彼女に連絡を取ろうとしていたことが暗示されており、重要人物としての登場が予告されていました)、そして「アベンジャーズ4」(22作目)に、すべての話とキャラクターがつながっていくことになっています。

 本作も、このエンディングを見てしまうと、22作目ではどう決着をつけるのだろう、ということになってきます。まことに製作側の術中にはまってしまうのが悔しいとも言えますが(笑)、これは確かに、今後の展開が気になってしまいます。

 また、今回から登場した人物の動向も加えて、アントマン・シリーズとしての今後にも、大いに期待したいと思います。

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2018年9月14日 (金)

【映画評 感想】MEG ザ・モンスター

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MEG ザ・モンスター」原題 : The Megという映画を見ました。「ナショナル・トレジャー」シリーズで知られるジョン・タートルトーブ監督の作品です。

スティーブ・アルトンの原作小説『Meg: A Novel of Deep Terror』は1997年に出版され、その直後からディズニーやニューライン・シネマなどが映画化を試みたものの、曲折があって断念。実に20年越しで今回の映画化となった次第です。

「メグ」などというと可愛らしい響きです。特に日本人には、女の子の名前のように感じられます。しかしその正体は、全長23メートル、重量20トンにもなるという潜水艦サイズの巨大なサメ、メガロドンです。史上最大のサメとして有名ですが、200万年ほど前に絶滅したとされています。

しかしこれが、シーラカンスのように深海で密かに生き延びていて、あることを契機に現代の海に現れたらどうなってしまうか……そんなお話で、「ジョーズ」と「ジュラシック・パーク」を足したような展開の、SF要素がある海洋アクション作品です。

「トランスポーター」「ワイルド・スピード」「エクスペンダブルズ」など名だたるヒット・シリーズ作品で活躍するアクション・スター、ジェイソン・ステイサムが主演ですが、この人は元々、飛び込み競技で英国代表チームにいたほどのアスリート。しかし、映画スターとしては、銃を持って走り回り、猛スピードの車に乗って撃ちあう「陸の人」のイメージでした。本人も「今回はそういう作風から変化するいい機会」と思って引き受けたそうです。さすがに元水泳選手だけあり、鍛え上げられた肉体を見せつけ、難しい水中シーンをこなす身体能力は見事なもので、まさにはまり役です。確かに、彼にとって新境地を開いた作品となったのではないでしょうか。

作品そのものも、率直に言って「今さらサメ映画? どうせジョーズの亜流でしょ」といった類の、冷ややかな前評判があったのも事実ですが、それを打ち破り、製作費150億円ほどに対し、興行収入500億円に届くヒット作となりました。最後は人でいっぱいの海水浴場にサメが突入し大パニックになるなど、あの「ジョーズ」を想わせるシーンが随所にあって、監督の一種の開き直りが心地よい一作と思えます。

しかし、やはり水中撮影は非常に苦しく、ルビー・ローズは溺れかけるシーンの撮影で本当に溺れて沈んでしまい、危険だったとか。ほかの皆さんも相当に水泳の特訓をして臨んだそうですが、迫力ある仕上がりを見ると、それだけの甲斐があったといえますね。

 

5年前、事故を起こし深海に沈んだ原子力潜水艦を救助に向かった潜水救命チーム。しかしそれは単なる事故ではなく、未知の巨大な生物から攻撃を受けて発生したものでした。正体不明の化け物はさらに執拗に攻撃を繰り返し、リーダーのジョナス・テイラー(ステイサム)は2人の仲間を艦内に残したまま脱出する、という苦渋の決断をします。

この結果、11人の乗組員が救助されますが、その中の一人、ヘラー医師(ロバート・テイラー)はジョナスの非情な決断を責め、「正体不明の化け物」などというジョナスの説明も受け入れられることはなく、傷心のジョナスは仕事を離れ、妻とも離婚し、隠遁して酒浸りの生活に入ってしまいます。

そして現在。中国沖に建設された深海研究所に、スポンサーである大富豪のモリス(レイン・ウィルソン)がやって来ます。彼を出迎えた総責任者のジャン博士(ウィンストン・チャオ)、博士の娘で海洋学者のスーイン(リー・ビンビン)、プロジェクトの指揮官マック(クリフ・カーティス)、それに技術者のジャックス(ルビー・ローズ)らは、モリスに最終段階の重要な潜水活動を披露します。というのも、その日はジャン博士の仮説に従い、深海底の底にさらに別の閉ざされた暖かい海が広がっている事実を証明することになっており、操縦士のローリー(ジェシカ・マクナミー)、日本人技術者のトシ(マシ・オカ)らが搭乗する潜航艇が、海溝の最深部に突入していました。

しかし、その途中で潜航艇は正体不明の何かに襲われ、通信が途絶してしまいます。ジャンとマックは、この難局を乗り切ることができるただ一人の男、ジョナスを探しに行きます。すっかり荒んだ生活をしているジョナスは、2人をすげなく追い返そうとしますが、今回の経過が5年前の事故と似ていること、さらにローリーが彼の元妻であることから、仕事を引き受けることにします。だが、研究所の医療責任者はあのヘラーで、再会した2人は、いきなり険悪な雰囲気に。

そのころ、潜航艇ではさらに危険が迫り、スーインが独断で救助艇に乗って深海に出発してしまい、ジョナスもその後を追って潜航しました。海底に到達したスーインは、そこで見たこともない巨大なサメの姿を目にします。「メガロドンだ…」とジョナスが呟きました。こうして、伝説の巨大ザメとジョナスたちの死闘が始まったのですが…。

 

というわけで、序盤は典型的な「潜水艦もの」の密室劇映画ですが、メガロドンが深海を離れて浮上して来る中盤からは、緊迫したサメとの死闘に、さらにパニック映画的な展開へと移っていきます。このあたりの配分が非常にうまく、適度にリラックスしたシーンや人間ドラマも挿入して、冒頭から最後まで非常によく出来た脚本だと思いました。さすがに手練れの監督が手がけた、という感じです。

メガロドンは当然、CGなわけですが、全くそれを感じさせない迫真の映像です。もちろん現在の技術ならではの達成ですが、とはいえ、金さえかければ簡単にできる、などというものではなく、視覚効果の編集だけで2000ショットものシーンを組み合わせて、気の遠くなるような作業が延々と続いたそうです。

この作品、人間ドラマ的には家族の物語、という要素が強く、また犠牲的な精神で仲間のために危険を冒す人々の姿も心を打ちます。モンスター映画では、序盤から一人、また一人と少しずつ、登場人物が減っていくものですが、そのあたりが丁寧に作られていて、単純なアクション映画で終わらせることなく、どこか「白鯨」を想わせる作品になりました。

「ジョーズ」に続く「サメもの」映画の王道として、記憶に残る一作になったと思います。日本での評判も上々だそうで、お薦めの作品です。

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2018年8月 9日 (木)

【映画評 感想】ミッション : インポッシブル-フォールアウト

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  映画「ミッション
:インポッシブル-フォールアウト」Mission : Impossible - Falloutを見ました。テレビシリーズ「スパイ大作戦」を基にしたトム・クルーズ主演の大人気シリーズの6作目になります。ブライアン・デ・パルマが監督した第一作は1996年、ということで、もう20年以上も続いているのですね。「フォールアウト」という言葉は、「予期せぬことが降りかかる」という一般的な意味合いのほかに、「死の灰が降る」という意味もあります。その通り、次々と主人公に降りかかる困難と、核兵器の脅威をテーマにしたのが本作です。

本作は、トムがジャンプして隣のビルに飛び移るシーンで骨折し、撮影が中断。製作が危ぶまれたのが大きな話題となりましたが、まさに「予期せぬ災難」に見舞われながら、完成にこぎつけたわけです。

本作の見どころとして、3作目の「M:i:III」で主人公イーサン・ハント(クルーズ)と結婚したジュリア(ミシェル・モナハン)が再登場します。4作目「ゴースト・プロトコル」で、ハントは敵に妻ジュリアを殺され、任務外の個人的な動機で復讐に走った、としてモスクワの刑務所に収監されている、という設定でした。しかし、ジュリアは実際には死んでいなかった、というわけです。彼女の登場で、ドラマは一挙に重厚さを増していきます。

それから、前作「ローグ・ネイション」で大注目された女スパイ、イルサ・ファウスト(レベッカ・ファーガソン)も引き続き活躍します。

 

前作ローグ・ネイションでIMFImpossible Mission Force=不可能作戦部)は、ソロモン・レーン(ショーン・ハリス)率いる国際テロ組織「シンジケート」に翻弄されましたが、辛くもレーンを逮捕。シンジケートも壊滅したはずでした。

しかし、ハント(クルーズ)が新たに受け取った指令によれば、シンジケートの残党が「アポストル=神の使徒」と名乗り、テロ活動を再開している、といいます。

東欧の軍事施設から三つのプルトニウム・コアが盗み出され、これがアポストルの手に渡ることを未然に防ぐために、盗み出したマフィア組織と接触したハントとベンジー(サイモン・ペッグ)、ルーサー(ヴィング・レイムス)は、これを買い取ろうとしますが、取引の場に予期せぬ何者かが現れて、襲撃を受け失敗。プルトニウムは奪われてしまいます。

アポストルに協力して核爆弾の製造をしていた反体制科学者デルブルック博士(クリストファー・ヨーネル)から情報を聞き出したハントたちは、アポストルの謎の首領とされる人物「ジョン・ラーク」が、パリで闇社会の仲介人ホワイト・ウィドウからプルトニウムを手に入れようとしていることを知り、IMF長官ハンリー(アレック・ボールドウィン)の指示を受け、現地に乗り込もうとします。しかしそこに、IMFとハントに不信感を抱くライバル組織CIAの長官スローン(アンジェラ・バセット)の横槍が入り、凄腕のCIA工作員ウォーカー(ヘンリー・カヴィル)が監視役としてハントに同行することになります。

ハントとウォーカーはパリで、ラークらしき男(リャン・ヤン)を襲いますが、相手は格闘の達人で、2人がかりでも大苦戦。そこに現れて「ラーク?」を射殺し、2人を救ったのは、英国情報部MI6の女スパイ、イルサ(ファーガソン)でした。

ハントはラークに成りすましてホワイト・ウィドウことアラーナ(ヴァネッサ・カービー)に接触。アラーナはプルトニウムを引き渡す見返りとして、別の依頼主から注文を受けている仕事、フランス警察が護送中のソロモン・レーンを奪取する作戦に協力する、という条件を提示します。警察を相手にする犯罪に加担することにハントは躊躇したものの、この条件を呑み、アラーナから手付けとしてプルトニウム1個を受け取ります。

しかし、ハントと共同作戦をとるウォーカーは、ハントこそが本当に犯罪組織のボス、ジョン・ラークなのではないかと疑い、上司のスローン長官に、死んだ「ラーク?」から手に入れた情報を渡します。

作戦決行の日、ハントたちはフランス警察の護送車からソロモン・レーンを連れ出すことに成功しますが、そこをバイクに乗って襲ってきたのはイルサでした。彼女はMI6からレーンを暗殺するよう命令を受けていたのです。

激しいカーチェイスの末、その攻撃もかわしたハントは、ロンドンでアラーナにレーンを引き渡そうとします。ところが、そこに現れたハンリー長官は、CIAに渡った情報に基づき、IMFは本件から手を引き、作戦を中止する、と告げます。窮地に立ったハントたちですが、その後、事態は急展開。

結局、プルトニウムはアポストルの手に渡り、世界は核攻撃の危機に見舞われます。身分を偽って密かに生きていたハントの妻、ジュリアも巻き込み、お話はクライマックスに向かいます…。

 

今回、4人の女性が活躍しますが、非常に魅力的に描かれていますね。なんといってもレベッカ・ファーガソンとミシェル・モナハンが人間ドラマの部分まで見せるいい演技をしています。それに加えて、女だてらに闇商売を仕切るホワイト・ウィドウ役のヴァネッサ・カービーという人が素敵です。元々、舞台で活躍し、近年、急速に注目されている若手女優さんだそうで、つい数年前には「ジュピター」でほんの脇役を演じていましたが、その後にテレビや映画で台頭し、期待の人です。それから、非情なCIA長官役のアンジェラ・バセットも存在感たっぷりです。1993年の「TINA ティナ」のティナ・ターナー役でアカデミー賞にノミネートされて一躍、有名になったベテランで、近年では「ブラックパンサー」でも重要な役どころをやっていました。この人も、次回作でも出てくるかもしれません。

トム・クルーズは可能な限りスタントマンを使わない、というのは有名な話で、56歳になった今回も、激しいカーチェイスにアクション、さらにヘリの操縦免許を取得してスカイ・アクションまでこなしています。本作では、街中を疾走してビルからビルに飛び移るシーンで負傷し、医師から全治9か月、と宣告されて、一時は製作が危ぶまれたわけですが、不屈の精神で、なんと6週間後には撮影を再開した、といいます。そういうことを知っているので、映画なのに、生中継を見ているかのように、ハラハラしてしまいます。激しいアクションに付き合うことになったヘンリー・カヴィルも「何度も死ぬかと思うほど危険な目にあった」と言っているようです。スーパーマン役で知られる彼も、本物の超人トムを前にして、圧倒されたようですね。

今作は、妻ジュリアや、ハントが気になっている女性イルサの再登場もあって、これまで超人的なヒーローとして活躍してきたイーサン・ハントなる人物がいかなる人間なのか、そういう内面の人物描写に深みが出ており、単なるアクションだけの娯楽作品ではなく、最後まで見どころが満載でした。このあたり、さすがにアカデミー脚本賞を受けた経歴のあるクリストファー・マッカリー監督の手腕は確かなものです。そもそもトム・クルーズとは「ワルキューレ」の脚本家として知り合い、「オール・ユー・ニード・イズ・キル」で脚本を担当しているときに、本シリーズへの参加をトム本人から打診された、と言います。

しかし、話が二転三転する盛りだくさんの複雑なストーリーを、2時間半に収めるのには、かなり苦労した感じも受けます。そんなにアップテンポではないのですが、見ていて、ちょっと説明不足というか、ストーリー展開的に分かりにくい印象も私個人は受けました。

そういえば、4作目、5作目で重要な役どころだったブラント(ジェレミー・レナー)は出演していません。本作では全く言及がないので、きっとほかの仕事をしているのか、異動したのか、ひょっとしたら転職したのか…。もっとも、一作目からずっと出ているルーサー、三作目から続投しているベンジー以外は、どの人物も入れ替わっています。そういう意味で、すでに卒業したと思われていたジュリアの復活は、かなり異例だったと思われますね。

きっと、このシリーズは次もある、と思うのですが、本作は、ここまでのストーリーの集大成的な内容でした。今後はますます新展開が期待できそうですね。

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2018年7月15日 (日)

【映画評 感想】ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー

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映画「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」
Solo : A Star Wars Storyを見ました。言わずと知れた「スター・ウォーズ」シリーズの中核、エピソード5~6で事実上の主人公を務めたハン・ソロの若き日を描く作品です。

本来の主人公ルーク・スカイウォーカー役のマーク・ハミルが顔面を負傷して登場シーンが減ったこともあり、大きくクローズアップされて人気者になったという大胆不敵な宇宙のアウトロー、ハン・ソロ。全体的に日本の時代劇や、往年の戦争映画の影響が強い同シリーズの中で、西部劇的な要素を担っている人物です。演じたハリソン・フォードは当時、ジョージ・ルーカスの初のヒット映画「アメリカン・グラフィティ」(1973年)で脇役を務めた以外、ほぼ無名の役者でしたが、このハン・ソロ役を契機に大スターに成長しました。当初、ジョージ・ルーカスがハン・ソロ役に考えた候補の中には、アル・パチーノ、ジャック・ニコルソン、シルベスター・スタローン、さらにバート・レイノルズまでいたそうです。

それで、すでに語りつくされていると思いますが、本作で主演のオールデン・エアエンライクが、これからわずか10年かそこらの後で、あのふてぶてしく、男くさいハリソン・フォードに成長するものか、というのが大きな疑問を持たれたわけです。正直に言って、私も本作を見て、エアエンライクがやがて、ハリソンになりそうには全く感じませんでした(笑)。

しかし、決して物真似ではないけれど、ハリソンのハン・ソロを想起させるような言い回しやしぐさはしっかりやっているようで、ことに独特の腰を落とした無造作な銃の撃ち方などは、なかなか堂に入っています。実際にハリソン本人が、ハン・ソロを演じるための秘訣をいくつかエアエンライクに伝授したそうですね。

 本作は非常に製作が難航し、監督も出演者も途中で入れ替わりました。ロン・ハワード監督(この人も、アメリカン・グラフィティに主演俳優の一人として出演していましたね。ちなみに、お嬢さんが「ジュラシック・ワールド」シリーズのヒロイン、ブライス・ダラス・ハワード)になってから、全く新規の撮り直しに近い改造がなされて、今の形に落ち着いたといいます。その難行苦行から考えて、意外にといってはなんですが、作品はしっかりまとまっており、一本の作品としてみると、完成度は高いと感じます。監督がいかに苦心したか、と思います。

ただ、公開時期のずれ込みもあって、エピソード8からたった半年後の公開、となったのは、ちょっと不運だったと言えます。「ついこの間、新作を見たばかりなのに、またスター・ウォーズ?」という印象になってしまったのは、間違いありません。

 結局、「あのハン・ソロ」と思うかどうか、でしょうね。先入観を持たずに見れば、大変よくできた作品だと思います。

一言でいえばSF調の西部劇、でして、スラムで育った若者が、師匠の下で修業し、理不尽な悪党集団のボスと対立していく…といった成長物語は、典型的なガンマンもののストーリーです。

 本作では、なぜ「ハン・ソロ」という名前なのか、どういう経歴でパイロットとなったのか、いつチューバッカと出会ったのか、ランド・カルリジアンがオーナーだった高速宇宙船ミレニアム・ファルコン号をどうやって手に入れたのか、そして、エピドード4でハリソンのハン・ソロがオビワン・ケノービ(アレック・ギネス)に語っていた「ケッセル・ランを12パーセクで飛んだんだぜ」という自慢話の真相について…つまり、シリーズのファンにとっては非常に重大な情報が数々、盛り込まれています。その意味で、やはりファンは必見、という一作だと思います。

 

 共和政が崩壊、ジェダイ騎士団が解体し、皇帝の帝国が徐々に銀河を制圧しつつある時代。しかし、帝国による秩序も完成しておらず、あちこちの星では、地方の小悪党や盗賊がのさばっている時期のことです。

惑星コレリアのスラム街に住む貧しい人々は、レディ・プロキシマという独裁者の圧政に苦しんでいました。この星の若者ハン(エアエンライク)は、幼馴染のキーラ(エミリア・クラーク)と共に逃走を試みますが、ハンだけが密航に成功し、キーラはプロキシマの部下に捕えられてしまいます。お尋ね者となったハンはとりあえず、新入隊員を募集している帝国軍に志願し、コレリアを離れることとします。

 それから3年後。泥の惑星ミンバンの戦線に、帝国軍歩兵部隊の一兵卒となっていたハン・ソロの姿がありました。ハンは上官に逆らい地下牢に放り込まれますが、そこで知り合ったのが帝国の奴隷となっていたウーキー族のチューバッカ(ヨーナス・スオタモ)。2人は牢を脱出し、たまたま帝国軍から宇宙船を盗み出そうとしていた盗賊ベケット(ウディ・ハレルソン)の一味と共に飛び立ちます。ベケットの腹心ヴァル(タンディ・ニュートン)はハンたちを全く信用してくれませんが、パイロットのリオ(ジョン・ファブロー)は気に入り、正式に一味の仲間となります。

 ベケットたちは、帝国軍の軍用列車から希少な宇宙船の燃料コアクシウムを盗み出す計画を実行します。しかしもう少しで成功、という時に、周辺を縄張りとする別の盗賊エンフィス・ネスト(エリン・ケリーマン)の襲撃を受けて、失敗してしまいます。

 ベケットとハン、チューバッカは、ベケットの雇い主であり、あたりの星系では最大の勢力を持つ犯罪組織クリムゾン・ドーンの首領ドライデン・ヴォス(ポール・ベタニー)と面会し、作戦失敗を報告することになります。ここでハンは、キーラと思いがけなく再会します。キーラは今やドライデンの片腕となり、組織の大幹部となっていました。

 ベケットはコアクシウムをなんとしても手に入れることをドライデンに約束します。かくて、キーラをお目付け役に加えた一行は、惑星ケッセルにある鉱山から精製前のコアクシウムを手に入れ、宇宙の難所として知られるケッセル星の周辺空間「ケッセル・ラン」を突破する困難な作戦を実行することになります。

不安定なコアクシウムを積んで難所を通過するには、極めて高性能な宇宙船が必要となります。一行はまず惑星ヴァンドアに向かい、高速船ミレニアム・ファルコン号を所有している密輸業者ランド・カルリジアン(ドナルド・グローヴァー)に接触することにします…。

 

 といったわけで、話はやがて、ハンとチューバッカが砂漠の惑星タトゥイーンでジャバ・ザ・ハットの密輸仕事を請け負うようになり、ルークやオビワン・ケノービと出会う方向に進んでいくわけです。そういうゴールが決まっている話なので、ある意味でストーリー上の緊張感が失われるのも事実。だが、本作は何回もどんでん返し、裏切りが相次いで、最後まで巧みに引っ張っていると思います。

 ドライデン・ヴォスを演じたポール・ベタニーは、今や「アベンジャーズ」「アイアンマン」などマーベル・シリーズの常連スターですが、ロン・ハワード監督の大ヒット「ダヴィンチ・コード」で名を上げた俳優さん。今回は、一連のスケジュールの遅れで、本来、同役を務めていた人が参加できなくなり、急きょ、監督の指名を受けて憧れのスター・ウォーズ・シリーズに出演が決まったというラッキーな人です。パンフレットによれば「自分から監督に売り込んだのは初めて」だそうです。

 キーラ役のエミリア・クラークは「ターミネーター」の新作で、二代目サラ・コナーを演じて注目されましたが、熱演しながら、その清楚な美貌がかえって「リンダ・ハミルトンには見えない」という批判が絶えず、苦労しました。ある意味、今回のエアエンライクの立場に似ています。「有名人に似ていないと批判され、物真似をしても批判される」困難さを一番、理解できる女優さんだったかもしれません。

しかし今作での彼女は、今まで全く言及されていない新キャラを演じるということで、生き生きとした人物像になりました。本作で一番、目立った人、成功した人の一人ではないでしょうか。

 それで、この人が最後には、さらに思いもよらない正体を現すのが本作の結末なのですが、ここらへんはネタバレとなるので書かないでおきましょう。

 それにしても、ハン・ソロの初恋の人であるこのキーラ。それほど重要な人物であるのに、エピソード4以後の歴史には全く、名前すら登場しないわけで、ハンもその後に知り合ったレイア姫にどんどん惹かれていくわけです。このあたりをどういう扱いにするのか、今後の作品でフォローするのか、興味深いところです。

 また、本作では、思いがけない登場人物として、エピソード1「ファントム・メナス」で若き日のオビワン(ユアン・マクレガー)に倒されたはずの皇帝の弟子、ダース・モールが出てきます。彼は実際、あそこで死んだわけではなく、外伝などでは復活劇が描かれているようです。これもハン・ソロの物語とどう絡むのか、も気になるところです。

 どうも「ハン・ソロ」シリーズとしての続編、も考慮した展開となっているように思われる本作。一応、三部作を前提としているそうですが、必ず続編を製作する、という話もないようなので、このあたりは大いに気になる、というのが見終わった後の感想です。

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2018年7月14日 (土)

【映画評 感想】ジュラシック・ワールド/炎の王国

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 映画「ジュラシック・ワールド/炎の王国」
Jurassic World : Fallen Kingdomを見ました。2015年のヒット作「ジュラシック・ワールド」の続編であり、1993年にスティーブン・スピルバーグが監督して世界を驚かせた「ジュラシック・パーク」シリーズとしては、通算5作目にあたります。新シリーズは3部作の予定だそうで、次の6作目は2021年公開予定、とアナウンスされているようです。

 前作の主人公オーウェン役のクリス・プラット、クレア役ブライス・ダラス・ハワードが再演している他、なんとシリーズ初期に活躍したイアン・マルコム博士としてジェフ・ゴールドブラムが登場します。また、肖像画という形ではありますが、ジュラシック・パークの創業者ジョン・ハモンドとして、故リチャード・アッテンボローの姿も映し出されるのは、ファンには嬉しいサービスでしょう。

 

 前作ジュラシック・ワールドでの悲劇的な大騒動から3年たった2018年。施設は廃墟と化したものの、生き延びた恐竜たちはイスラ・ヌブラル島で野生化していました。

 しかし、この島の休火山が活動を再開し、恐竜たちは二度目の絶滅の危機に瀕していました。かつてジュラシック・ワールドの前身ジュラシック・パークで起きた事件にかかわり、滅びたDNAの復活やクローン技術に懐疑的なマルコム博士(ゴールドブラム)は、米上院の委員会で参考人として意見を述べ、このまま恐竜たちが火山島とともに滅びることを受け入れるべきで、政府は手を出すべきでない、と主張します。それもあって、議会はこの件には公的な関与をしないことを決定します。

 前作でジュラシック・ワールドの運営責任者だったクレア(ダラス・ハワード)は、その後、恐竜保護活動の民間グループを立ち上げていましたが、政府の決定を聞いて心を痛めます。そこに、かつてジュラシック・パークを創業した亡きジョン・ハモンドのパートナー、ベンジャミン・ロックウッド(ジェームズ・クロムウェル)から連絡があり、ロックウッド財団の運営責任者ミルズ(レイフ・スポール)と面会することになります。

ミルズは恐竜を島から救出する財団独自のプランを計画しており、特に際立って知能の高いラプトルの「ブルー」を捕獲したいと考えていました。そこでクレアはミルズに協力し、ブルーの育ての親で、元恋人でもあるオーウェン(プラット)を誘い、自分の団体の仲間で獣医のジア(ダニエラ・ピネダ)、IT技術者のフランクリン(ジャスティス・スミス)を連れて、島に赴くことになります。

 島でクレアたちを出迎えたのは、財団が雇ったウィートリー(テッド・レヴィン)という野卑なハンター風の男で、その後、オーウェンが森の中でブルーと3年ぶりに再会すると、悪党の本性を現します。ブルーを傷つけながら捕獲し、オーウェンには麻酔弾を撃ち込み放置。さらに手近にいた恐竜を片端から捕えて船に積み込み、クレアたちを置き去りにして、噴火する島を逃げ出します。

結局、クレアたちは、ブルーを捕獲するために利用されただけだったと悟りますが、命からがら島を脱出し、ウィートリーの船に密かに潜入します。

 船はロックウッド財団の本拠地を目指して進んでいました。ミルズは病身のロックウッドには無断で、武器商人のエヴァーソル(トビー・ジョーンズ)に話を持ちかけ、競売会を開いて恐竜たちを売りさばこうとしていました。さらに、財団の地下にある秘密研究所には、前作で暴走した凶悪なハイブリッド恐竜を生み出した遺伝子学者ウー博士(BD・ウォン)の姿もあり、恐竜の遺伝子を生体兵器に応用するべく、違法な研究を続けていました。

しかし、この陰謀にロックウッドの孫娘メイシー・ロックウッド(イザベラ・サーモン)が気付き、祖父に打ち明けます。ロックウッドはミルズを詰問し、競売をやめさせようとしますが…。

 

 といったお話で、島を脱出するまでの前半はジェットコースターのようなアクション、後半は密室的なロックウッドの屋敷の中での息詰まる死闘、といった感じの盛り沢山な内容。これまでのシリーズとの継承性に敬意を払いつつ、新しい要素も盛り込んで、意欲的な一作となっていると感じます。

 クリス・プラットとブライス・ダラス・ハワードの2人は、前作からの共演で息もぴったり。非常にいい感じです。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」などマーベルの一連のシリーズで知名度を上げたプラットにとっても、オーウェン役は当たり役の一つとなりました。

 癖のある役というと、あちこちの映画で引っ張りだこのトビー・ジョーンズ。今回も悪徳商人を存在感たっぷりに演じています。

 ゴールドブラムは、せっかくの再登場ですから、もっと大活躍をしてもらいたかった、という気もします。しかし、この人が前に出過ぎると、旧作のリメイクのような印象になりかねず、そのあたりを考慮した結果のバランスなのだろう、とも思います。

 それにしても、このシリーズは結構、人が死ぬ映画です。恐竜が大暴れすれば、そのエサである弱い生き物=人間が次々に犠牲になるのは必然なわけです。何しろ彼らから見て、いちばん数が多く、無力で手に入れやすい獲物と言えば、人間でしょうからね。

 そして、最終的にはこの恐竜との共存が、人類には出来るのだろうか、というのが大きな問題となってきます。

映画の最後、このあたりがクローズアップされて、次作に続いていきそうな展開です。実際、圧倒的に強力で知能も高い恐竜が完全復活するとなると、あくまでも恐竜がたまたま隕石の衝突などによって滅びてくれた後の世界で繁栄してきた人類という種族にとり、大変な危機になることが分かります。マイケル・クライトンの最初の原作が取り上げた主要なテーマもそこにありました。

 シリーズを通じての核心的なテーマが、最後に集約されてきそうな予感。それを、マルコム博士の再登場が示しているようです。

 次作は東京五輪より後の公開、ということで、まだまだ先のことですが、シリーズとしてどういう結論を導き出すのか。それから、クレアやオーウェンはこれからも登場するのか。非常に興味深いです。

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2018年6月22日 (金)

【映画評 感想】メイズ・ランナー:最期の迷宮

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「メイズ・ランナー
: 最期の迷宮」Maze Runner: The Death Cureを見ました。アメリカのヤングアダルト(わが国でいうライトノベル)小説を映画化してヒットしたシリーズ三部作の最終章です。

この作品は当初、昨年初めに公開される予定でしたが、主演のディラン・オブライエンが撮影中に大怪我を負って中断し、一時は製作が危ぶまれた経緯があります。1年遅れで完成して最後まで「完走」した関係者に拍手を送りたいですね。

少年少女が成長する過程を描く、というヤングアダルト作品であるために、スタート時点では、ほぼ無名の若手が多数、出演したこのシリーズ。本作で名を上げたオブライエンが、「アメリカン・アサシン」でマイケル・キートンと共演したのを始め、ヒロインのカヤ・スコデラリオはジョニー・デップの「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのヒロインに、ウィル・ポールターはレオナルド・ディカプリオ主演の「レヴェナント:蘇えりし者」に、トーマス・ブロディ=サングスターは「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」に、さらにローサ・サラザールはジェームズ・キャメロン製作の「アリータ:バトル・エンジェル」の主演に抜擢される、など、その後の数年間で各人がキャリアアップを果たして(年齢的にも、皆さんアラサー世代となり)、立派なスターになっています。後になって、有望な若手の登竜門だった、と言われるようなシリーズとなりました。初めからキャスティングが見事だった、ということだと思います。

メイズ・ランナーとは「迷路の走者」という意味ですが、この3作目だけを見た人には意味が分からないと思います。実際、このシリーズは一作ごとにかなり作風が異なり、迷路に閉じ込められた少年たちが逃走を図る、という意味で文字通りのメイズ・ランナーと呼べるのは、最初の作品だけと言えます。

広大な迷宮の中に閉じ込められた少年たちが、自分たちが何らかの実験の対象であることに気付き、命がけの脱出を図ったのが一作目。そして、その実験が、人類を破滅させようとしている細菌に対し、免疫を持っている子供を集めて、特に強靭な素質の者を選別するための手段だったことが二作目で明らかになります。

彼らは、実験を行っている世界災害対策本部(WCKD)の施設を抜け出し、危険な砂漠を越えて、レジスタンス組織と合流します。しかし、思いがけないことに、行動を共にしていたテレサ(スコデラリオ)の裏切りにより、ミンホ(キー・ホン・リー)たち多くの仲間がWCKDの手に落ちてしまいます。

主人公のトーマス(オブライエン)は、テレサの裏切りに傷つきながら、ニュート(ブロディ=サングスター)、フライパン(デクスター・ダーデン)と共にミンホの救出を誓うわけでした…。

 

さて、ここからが本作。トーマスたちは、レジスタンスのリーダー、ヴィンス(バリー・ペッパー)、前作からトーマスたちと行動を共にしているブレンダ(サラザール)、ホルヘ(ジャンカルロ・エスポジート)と協力し、少年少女を運ぶWCKDの列車を襲撃。ハリエット(ナタリー・エマニュエル)、エリス(ジェイコブ・ロフランド)、ソーニャ(キャサリン・マクナマラ)たちの奪還に成功しますが、ミンホの姿はありませんでした。

WCKDの拠点とされる「ラスト・シティー」で、ミンホは人体実験を受けているらしい。ヴィンスは強く反対しましたが、トーマスは危険を顧みず、敵の本拠地に乗り込むことにし、ニュートたちもそれに従います。

ついにたどり着いたラスト・シティーの前で、WCKDの保安責任者ジャンソン(エイダン・ギレン)の攻撃を受けて一行はピンチを迎えますが、そこで彼らを助けたのは思いがけない人物でした…。

WCKDに対する抗議活動を率いている過激派のリーダー、ローレンス(ウォルトン・ゴギンズ)の支援を得て、シティーの中枢部に潜入するトーマスたち。そこには、ペイジ博士(パトリシア・クラークソン)の元で冷酷な人体実験に明け暮れているテレサの姿がありました。トーマスは動揺しつつも、彼女に接近し、力づくでも協力させ、ミンホが捕えられている施設の中心部に乗り込もうとします…。

 

 といった具合で、お話は終幕に向かってひた走っていくわけです。5年がかりのシリーズで出演者の息もぴったり、独特の雰囲気が出来上がっているのが分かります。先にも書きましたが、若い出演者たちが、その後、それぞれが違う映画に出て活躍し、久々の同窓会と言うか、卒業式と言うか、そんな感じも受けます。

 お話の細かいところを見れば、突っ込みどころは多々あると思います。ことにシリーズを通しての敵役ジャンソンというのが、保安責任者のくせにとにかく無能なヤツで、素人考えで見ていても、あり得ない凡ミスを繰り返すのに唖然としてしまいます。普通ならとっくに首になっていそうなものですが、WCKDも人材不足なんでしょうかね。もちろん、この役柄が無能らしい、ということで、演じているエイダン・ギレンが好演しているからこそ、このキャラクターの表面だけ抜け目ない風を取り繕いながら、実は抜け穴だらけのダメさが見えてくるのですが。

 一方、今作で初登場のローレンス役、ウォルトン・ゴギンズは迫力がありました。実に壮絶です。この人のおかげで終盤が大いに引き締まりました。

 最後の幕切れは、なんというか物悲しい感じで終わります。多くの登場人物が姿を消し、ずっとシリーズを見守ってきた人たちには、何か喪失感を覚えさせるような、静かなエンディングを迎えます。

 「トワイライト・サーガ」「ハンガー・ゲーム」などと続いてきたヤングアダルト小説原作のシリーズ映画作品、というのもそろそろアメリカでは一段落してきているようです。映画化できそうな原作は、みんな映像化してしまった、という感じなのでしょう。事情があって、ムーブメントのしんがりに近い位置を占める形になった本作は、有終の美を飾ったといっていい一作だと思います。不思議な名残惜しさと余韻が残りました。

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2018年6月 9日 (土)

【映画評 感想】デッドプール2

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「デッドプール
2Deadpool 2という映画を見ました。2016年のヒット作「デッドプール」の続編で、X-MENシリーズとしては通算11作目にあたります。デヴィッド・リーチ監督を始め、主要スタッフには「ジョン・ウィック」シリーズ(主演:キアヌ・リーブス)や「アトミック・ブロンド」(主演:シャーリーズ・セロン)で名を連ねた人が多数、参加しています。つまり、それらのバイオレンス・アクション作品に共通する「新感覚アクション」の要素が濃いわけです。それにもかかわらず、デッドプールは1作目も、どんなにバイオレンス・シーンがあろうが、おふざけがあろうが、実はせつない恋愛映画でした。本作でも、まさにその持ち味が前作以上に強まっています。

雰囲気を盛り上げる音楽面では、あのバラードの巨匠セリーヌ・ディオンが主題歌を熱唱。また挿入歌として、前作ではワム!の「ケアレス・ウィスパー」が効果的に使用されましたが、本作ではa-haの「テイク・オン・ミー」が哀切な場面で流れます。しかしこの1985年の大ヒット曲、「ラ・ラ・ランド」でも演奏されていましたが、今から振り返ると80年代を代表する楽曲という地位に就きましたね。

ちょっとノスタルジックな感傷が、これほど上手く演出や音楽で効果を発揮するのは奇跡的とすらいえるでしょう。「ジョン・ウィック」や「アトミック・ブロンド」もそういった作風ですが、このデッドプール2は際立っているように思えます。随所にてんこ盛りで展開される、懐かし映画(音楽同様、80年代から90年代前半のものが中心)のパロディー場面も、一つ一つが非常に洗練されています。

スピリチュアルな死生観まで提示して、まさにバイオレンスと脱線コメディーを装った「せつない恋愛映画」が、より一層の高い完成度で迫ってきます。そもそもX-MENのパロディー的な外伝、低予算のスピンオフとしてスタートした本シリーズも、今や押しも押されもしない人気シリーズとなってきた感じがします。

主演のライアン・レイノルズは、「ウルヴァリン」第1作で「ウェイド・ウィルソン」として出演したものの、ヒュー・ジャックマン演じるローガンにあっけなく倒されてシリーズを去りました。それ以後、コミックもの大作として「グリーン・ランタン」の主演を獲得したのですが、こちらは興行的に不発で終わり、シリーズ化はされませんでした。

そのへんを踏まえますと、本シリーズの成功でついに捲土重来、長き不遇をはねのけたわけです。そして、そのへんの事情を本作では、前面に押し出して自虐的な笑いに変えています。実にしたたかですね。そういうわけで、本作ではヒュー・ジャックマンが終盤で思いがけない形で登場するほか、ついに本家のX-MENのレギュラー・メンバーまで、ほんのワンシーンですがしっかり登場してしまいます。つまりビーストのニコラス・ホルトや、チャールズのジェームズ・マカヴォイ、クイックシルバーのエヴァン・ピーターズなど、おなじみのスター本人が顔をそろえます。デッドプールの世界観がX-MENの正史に組み込まれた瞬間というわけです。お見逃しなく。

 

前作で、最愛の女性ヴァネッサ(モリーナ・バッカリン)と結ばれてから2年。「デッドプール」ことウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ)は、マフィアや麻薬の売人などを始末する危険な暗殺稼業でその日を送っていますが、ある日の任務に失敗。敵から報復を受けて失意のどん底に。

不死身の肉体を持つ故に死ぬことも許されず、絶望するウェイドを、X-MEN教官のコロッサス(声:ステファン・カピチッチ)が助け出し、見習いの身分ながら正式にX-MENに加入させます。その初仕事として、コロッサスやネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッド(ブリアナ・ヒルデブランド)、その恋人であるユキオ(忽那汐里)と出動したウェイドは、ミュータント養護学校で暴走している少年ラッセル(ジュリアン・デニソン)を制圧します。しかし、学校の理事長(エディ・マーサン)は邪悪な人物で、ラッセルたちを日常的に虐待していることが分かります。怒りに駆られたウェイドは学校の職員を殺してしまい、X-MENを除名に。ただちにラッセルと一緒に、ミュータント専用の刑務所アイスボックスに収監されてしまいます。

そこに突如、出現したのは、未来からやって来たという謎の戦士ケーブル(ジョシュ・ブローリン)。彼はなぜかラッセルを執拗に殺そうとしますが、ウェイドは身を挺してその攻撃をかわし、結果的にケーブルとともに刑務所から外に放り出されてしまいます。

ラッセルたち囚人は、護送車に乗せられて、さらに要塞度の高い別の施設に送られることになります。当然、ケーブルがそこを襲撃するとみたウェイドは、悪友のウィーゼル(TJ・ミラー)と共に、新たな独自のヒーロー・グループを結成することにします。そこに集まったのは酸性の液体を吐くというツァイトガイスト(ビル・スカルスガルド)、ひたすら幸運であるという女性戦士ドミノ(ザジー・ビーツ)、何の特技もない失業者ピーター(ロブ・ディレイニー)と、使えるのか使えないのかよく分からない面々。ウェイドは新グループを「X-フォース」と名付け、ケーブルの攻撃からラッセルを守ることにします。というのも、愛しのヴァネッサがそう望んだから。ラッセルを守ることが、ウェイドの心を「正しい位置」に導くきっかけになるかもしれない、と彼女は告げたのでした…。

 

 ケーブル役のジョシュ・ブローリンはマーベルの別の世界「アベンジャーズ」シリーズでは敵の大ボスであるサノスを演じており、おふざけなんでもありの本作でも、いきなりウェイドから「サノス」と呼ばれています(!)。実はコミック原作では、デッドプールとサノスはライバル関係にあるので、今回の配役はそのへんをあえて混乱させるためのものかも。また、原作ではケーブルは、サイクロプスとジーンの息子、という設定なのだそうですね。本作では背景を何も描いていませんが。

 忽那汐里さんが演じたユキオというキャラは、漢字で書くと「雪緒」という日本人(あるいは日系人)の戦士で、これまでにも日本を舞台にした「ウルヴァリン」シリーズの2作目で登場しています(演じたのは福島リラさん)。しかし今回は、ネガソニックとの同性愛関係という大胆な設定に。

 後半で特に目立つのがX-フォースのメンバー、ドミノの活躍ぶりです。この役を演じたザジー・ビーツはドイツ出身の新進女優で、近作では「ジオストーム」で、米国務省の職員でありながら異色の女性ハッカーという役柄で注目されました。知的な美貌で、強い女性役にぴったりの存在感があっていいですね。

 悪徳理事長を演じたエディ・マーサンは、いろいろな映画に出ている英国のベテランですが、この独特の暗い表情、最近の映画でもどこかで見たなと思いましたら「アトミック・ブロンド」で東ドイツの秘密警察幹部スパイ・グラスを演じていました。リーチ監督のお気に入りの役者さんのようです。そういえば「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」のピエロ役で知られ、名優ステラン・スカルスガルドの息子さんでもあるビル・スカルスガルドも、「アトミック・ブロンド」つながりといえます。同作でヒロインを助ける東ベルリンの現地工作員の役をやっていました。

 非常に感動的なお話…ですが、最後の方はもう自虐的な「歴史修正」の嵐! 最後の最後まで見ると、「要するにこれが言いたかったのか」とあっけにとられてしまいますが、もうなんでもありなのが、デッドプールの世界。

 本作もヒットして、おそらく3作目の製作も期待されます。今度こそX-MENと本格共演するか、それともいきなり掟破りのアイアンマンやマイティ・ソーと絡んだりするのか。いやいや、なんならダースベイダーやジェームズ・ボンドと共演したって構わないのかもしれません。なんでも許される作品なだけに、今から大いに楽しみです。

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2018年5月25日 (金)

【映画評 感想】ランペイジ 巨獣大乱闘

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 「ランペイジ
 巨獣大乱闘」RAMPAGEという映画を見ました。元ネタは1986年にアメリカのゲームセンターで大ヒットした「ランペイジ」というアーケード・ゲーム。原題の意味は「大暴れ」です。

 そのゲームというのは、3人の人間がふとしたきっかけで巨大なゴリラ、狼男、ワニに変身し、全米の街をひたすら破壊しまくる、というもの。街の建物を全て破壊しつくせばステージクリア、という、この身もふたもない話から、一本の映画にしようというのもかなり強引ですが、主演にプロレス界に長く君臨した人類最強の男ドゥエイン・ジョンソンを据えることで(というか、本作では彼は製作総指揮までやっていますが)、これがどうして、きわめてよく出来たアクション怪獣映画になっています。

 今や映画スターとして引く手あまたのジョンソン。ディズニー・アニメ「モアナと伝説の海」では声優を務め、歌も披露するなど、なんでもできる器用さも際立ちます。待機作品も控えており、若い世代など、この人が本来は有名なレスラーだったことを知らないかもしれません。しかしこの、強靭な肉体と高い知性を感じさせるジョンソンだからこそ、この映画の主人公に与えられている「元米軍特殊部隊の隊員で、その後、密猟捜査官に転じ、今ではサンディエゴ野生動物保護区で霊長類学者として活躍」というかなり難易度の高そうな経歴を無理なものに感じさせません。

 そして、主人公と、彼が育てている白いゴリラ、ジョージとの心の交わり、というのが、娯楽作品の枠組みを超えて実によく描けており、感動を呼びます。この要素がなければ、本当に「大暴れ」だけになりそうなところを、うまく考えたストーリーだと思います。

 

 1993年に、難病治療の切り札として開発された遺伝子編集技術クリスパー。しかし、悪用の危険性を憂慮した米政府は2016年、この研究を禁止しました。

 シカゴを本拠とする米企業エナジン社は、宇宙ステーション「アテナ1」の中で極秘に遺伝子編集の研究を進め、動物実験を繰り返していました。ところが実験は失敗し、アテナ1は崩壊。生き残ったアトキンズ博士(マーリー・シェルトン)は、エナジン社の経営者クレア・ワイデン(マリン・アッカーマン)の厳命を受けて実験サンプルを3個、持ち出し、アテナ1から脱出しますが、救命ポッドが大気圏突入時に爆発してしまいます。博士は死亡し、三つの危険な遺伝子サンプルは米国内の地上に落下します。

 サンディエゴ動物保護区の霊長類学者デイビス・オコイエ(ドウェイン・ジョンソン)は、かわいがっている白いゴリラのジョージ(モーション・キャプチャー : ジェイソン・ライルズ)の心身に異変が起こり、どんどん巨大化して狂暴になっていくことに気付きます。そこに現れたケイト・コールドウェル博士(ナオミ・ハリス)は、自分がエナジン社で行った遺伝子研究が悪用され、アテナ1の事故によって危険なサンプルが地上に落下、その影響を受けた動物に変異が起きていると説明します。とうとうジョージは暴れ出し、デイビスとケイトの2人は、政府の秘密組織OGAのエージェント、ラッセル(ジェフリー・ディーン・モーガン)に逮捕され、麻酔弾を撃ち込まれたジョージも輸送機で運ばれることになります。

 同じころ、ワイオミング州の森林地帯から、巨大化したオオカミが出現。エナジン社を率いるクレアと弟のブレット・ワイデン(ジェイク・レイシー)は、バーク(ジョー・マンガニエロ)を隊長とする傭兵部隊を派遣して、大ごとになる前に倒そうとしますが、逆に部隊があえなく全滅してしまいます。

 クレアとブレットのワイデン姉弟は、2体の巨獣をおびき寄せるために、シカゴのエナジン本社から特殊な周波数の信号を発信。軍部に巨獣を倒させた後、一連の騒動の責任をケイトに押し付け、自分たちは遺伝子を回収して、生物兵器として売り込もうと画策します。

 信号を受けてジョージは暴れ出し、輸送機は墜落。デイビスとケイトは辛くも落下傘で脱出し、気絶していたラッセルの命も助けます。

 ラッセルはデイビスとケイトを、軍のシカゴ防衛指揮官であるブレイク陸軍大佐(デミトリアス・グロッセ)の元に連れて行きますが、ワイデン姉弟の差し金により、違法な研究をしていたのはすべてケイト一人の責任、ということにされた結果、ケイトとデイビスはそのままFBIに身柄を引き渡されることに。

 しかし、事情を察したラッセルは、2人を病院の輸送用ヘリで脱出させ、ワイデン姉弟の悪事を阻止させようとします。ケイトによれば、エナジン社には巨獣を制御するための解毒剤があるはず。デイビスはジョージを救うために、エナジン社に乗り込みます。

 そんな中、軍の作戦は次々に失敗。シカゴに入った2体の巨獣は、まさにランペイジして破壊の限りを尽くします。さらに川からは、三つ目のサンプルが落ちたフロリダ州で巨大化したワニが出現。万策尽きたブレイク大佐は、ついに最後の手として、爆撃機からシカゴの市街地に悪夢の巨大爆弾MOABを投下する決断をしますが…。

 

 といった流れで、娯楽作品のお手本のようなスムーズな展開は小気味よく、といって話をかっ飛ばし過ぎる感じもなく、しっかり情緒的な描写やコミカルなシーンも盛り込んでいます。なんといってもドウェイン・ジョンソンの存在感が光りますが、ケイト役のナオミ・ハリスもいいです。今や007シリーズのマネーペニー役で有名になった人ですね。

 それから、傭兵隊長を演じたジョー・マンガニエロ。どこかで見た顔、と思いましたが、あの男性ストリッパーの世界を描いた異色作「マジック・マイク」で、男性フェロモンむんむんのストリッパーを演じていました。

 本作の悪役、クレア・ワイデン役のマリン・アッカーマンという人はスウェーデン出身の女優さんで、いろいろな映画に出ているようですが、私の記憶にあったものでは、2012年にニコラス・ケイジが主演した「ゲットバック(原題: Stolen)」で、銀行強盗グループの女性ドライバーを演じていたのが印象深いです。

一癖ある秘密組織エージェントを演じたジェフリー・ディーン・モーガンは、日本ではあまり知られていない俳優さんです。本作では後半のコミカルなシーンを大いに支えていました。今後の活躍を期待したいです。

展開上、巨獣を倒すべくアメリカ軍が多数、出てくるのですが、A-10攻撃機やB-2爆撃機、F-16戦闘機など、非常に堅実と言うか、現実的な兵器が登場しているのには好感が持てます(この手の映画と言うと、まだ配備されていないSF的な試作兵器や新型兵器が登場しがちですので)。しかし米軍の車両がすべて砂漠地仕様の黄色いサンド塗装なのはなぜだったのでしょう? ついでに申せば、初動対応はともかくとして、最終的には三軍統合の大規模作戦となると、指揮官が大佐クラスというのは荷が重いのでは? 銀星の付いた人(つまり将軍)が出てこないと説得力がないような気もしました。というか、映画の枠を大きくしたくなかったのでしょうが、このぐらいの大騒ぎになれば、連邦政府と大統領は何をしているのだ、ということになりそうな気もします。

ともかく、ゲームが原作の怪獣映画、と聞くと軽いノリのお気楽な娯楽作品、というイメージになりますが、なかなかどうして。主演2人やモーション・キャプチャーの人の熱演もあって、非常に力の入った作品になっています。これは拾い物という感じの一作でした。

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