2008年4月27日 (日)

本を出版する方法

それにしてもウィンドウズ・ビスタ、使いにくいですね。なんでこう面倒なものにしたのかな。普通のユーザーは性能や安全性はは高めてほしいが、機能や操作はあまり変えてほしくないのじゃないかと思いますが。
 ところで、身近の人から「本というのはどうやって出すものなんですか」と聞かれました。それで、ご存じの人にはありきたりの話ばかりでしょうが、こういう世界に無縁な人とか、漠然と「いずれ著者になってみたい」という方もいらっしゃるでしょうから、自分の経験の範囲で少し書いておきます。
 いわゆる自費出版については自費出版専門の版元があるのは今では誰でも知っていますし、それがこのところ経営破たんしたり、大変であることも知られています。要するにハードルが低くて誰でも出版してくれる反面、後の面倒は全然みてくれないので、著者の不満が高まったのは当然です。そもそも基準が甘いのだから、仕方ないとは言えます。
 大体のところ、ああいうところで全額自費で出版すると、まあ100万円ぐらいが最低出資額だと思います。企画によってもっと安いところもあるでしょうが、まあ宣伝を万全にやり、豪華な造りにし、部数を増せば上限はいくらでも上がるでしょう。200~300万円出した人もいると思います。
 次に、ちゃんとした商業出版社からの企画出版をするにはどうするか。まずは、一番、王道なのはなにかの文芸賞をもらってデビューすることです。しかし、これは才能がある人であっても一生の間に受賞できるかどうかは相当に運次第なのは明らかで、その僥倖を待っていてはいつまでたってもデビューできません、というかなにがなんでもデビューしたい、というなら、30代半ばぐらいまでの若い内はともかく、受賞を前提にしているわけにはいかないでしょう。それに、どなたもお気づきのように、世間に出回っている書籍のほとんどは別に文学賞をとった作家が書いているわけではありません。著者になるには文学賞は必須条件ではないことになります。
 文学賞タイトルが絶対必要なのは、文芸作品の企画出版です。だから、無名の人が文芸作品の原稿を版元に送ったり持ち込んでも、まあほとんどの場合、何事も起こりません。見てもくれません、通常は。漫画と違い、持ち込まれても簡単に概要を理解できないので、時間を作ってくれないのが普通でしょう。ごくまれにそれでうまくいった、という話がありますが、それはいい編集者と縁があったためで、まれだからそういう話が有名になるんですね。
 もし文芸でとにかくデビューしたい、という人は、実は小説よりも詩歌のほうが本そのものは出しやすいのですが、ただしこれはほぼ100%が自費出版となります。流通することはゼロではないが、ほとんど期待できません。しかし、詩歌については自費出版が昔から常識なので、ほかの分野と違い自費だから格が低いとは言われない、というメリットがあります。つまりちゃんと実績になる。詩歌の世界の文学賞の審査対象にもなるし、詩歌の世界で一人前として扱われる。ただし、そういうわけだから詩歌の専門の版元は、お金の面では自費なのに、けっこう審査基準は厳しく、なんでもいいから出してくれる普通の自費出版社のようにはいきません。通常は、既に実績のある先生の下でしばらく様子を見て、その紹介を得る、といった手順を踏んだ方が確実です。
 さてそれで、本当に版元の企画出版として出してもらうにはどうするか。こちらは、文芸を狙わない方が間違いなく有利です。小説のたぐいはあまり相手にされません、どうしても小説家に、という人はなにがなんでも文学賞をとるしかないでしょう。しかし「とにかく著者になりたい」ということなら、文芸じゃない分野でまずは何か原稿を書くことです。
 次に、その原稿を持って多くの版元を大きいところから小さいところまで回ってみることです。私の今までの経験ですと、非文芸でそれなりの内容の原稿だと、大抵の版元は読んでくれます。50~60社ぐらい打診すると内容次第でしょうが、10社ぐらいから前向きな返事が来たりしましてその後は具体的な条件交渉に入ったり、あるいは、この企画はこのままじゃ駄目だけど、別の企画で書きませんか、という話になったりします。まあこれはあくまで私の経験です。
 一度、それで軌道に乗ると、少しずつほゥの話も見えてきたり、ものによっては空中分解したり、という中で、形になるモノが出てきます。そして、やっと企画出版できるというわけです・・・。この場合も、いい編集者と縁があるかないか、が最も重要になります。自分に惚れ込んでくれるような編集者に巡り会えばいうことはありません。逆に大手版元から声がかかっても、担当編集者と反りが合わず駄目になる、ということも私自身経験していますので、結局は人の縁ほど大事なモノはない、というのはどこの世界でも真理です。
 これも、ある程度の買い取りを求められることが珍しくないですが、しかし経験的にいって著書は100冊以上は手元に残しておくべきです。その後、次の企画の売り込みやらなんやらで、けっこう2、3年もするとなくなってしまいます(50社に売り込むなら50冊ななくなりますから)。新聞社や雑誌社に売り込みをするならもっと必要でしょう。だから200冊ぐらいを買い取りしても後で見ると、別に無駄にはなりません。
 その買い取りをしても、20~40万円ほどですから、100万円以上かかる自費出版とは全く次元が違うし、宣伝もしてくれるし、流通もちゃんとしてくれます。従って、なにがなんでも自費ではなくて企画出版しないといけない、ということです。
 印税なんてものは実に微々たるモノで、入ってきてもお小遣い程度です。これで生活できる著者は部数10万部を超える人だけで、今の出版不況下でそんなに売れる人は、そういません。1000円の本が1万部売れて売り上げ1千万円、印税5%なら50万円。まあこれなら赤字にはならない、お小遣いとしてはいいかな、というところ。10万部売れれば500万円、こうなると職業として意識できるでしょう。本の単価が高ければ印税も増えるでしょうが、それだけ部数は伸び悩むのは言うまでもありません。
 にしても、ロングセラーとなるような内容で、増し刷りにこぎ着ければ、れっきとした著者としてやっていけることになります。少なくとも赤字のない程度にやれれば、活動としては成り立つことになる。ただ、プロのライターだけで暮らすというのなら、常に1万部以上、できれば10万部を超えるような売れるような本を出す必要があり、大変でしょう。
 また、著書があると、ほかの雑誌などの依頼がある場合がある、また文芸家協会やペンクラブに入れる(著書3冊以上が最低条件で、いずでも理事の先生の推薦が必要)といったことがあります。ここまでくれば、一応、どこに行っても「私は文筆家です」と名乗れるレベルには達するわけです。当然、次の売り込みがしやすくなります。儲かる、儲からないという次元ではなく、その方面で一応の見識がある人、専門家、ということも言われるようになります(内容次第ですけど)。
 それ以後は、本人の努力次第でしょうし、私も目下、努力している次第です。
 とにかく、こういう時代でもいわゆる活字をやってみたい、まずはデビューしてみたいという方は、ベテラン世代にも若い人にも多いと思います。しかし上記のようなわけで、最初の1冊を形にするまでに相当な信念と行動力が必要なようで、著者の皆さんはそこを乗り越えてこられた方ばかりということです。
 参考までに書いてみました。お役に立つことあれば幸いです。
 
 

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2008年4月14日 (月)

スーツ=軍服!? 朝雲新聞に登場

 さて、拙著も刊行以来、ちょうど1か月たちましたので、そろそろこの話題も打ち止め・・・と思ったのですが、これは自分の記録としてもぜひ載せておかないと。自衛隊関係者向けの専門紙「朝雲新聞」様4月10日号の新刊紹介に載ってしまったのです。本当に驚きました。http://www.asagumo-news.com/
 
「スーツ=軍服!? スーツ・ファッションはミリタリー・ファッションの末裔だった」
 http://www.junkudo.co.jp/detail2.jsp?ID=0277911305
 日本人の男性がふだん着ている洋服は、元々は西欧の軍服から発展したということはよく知られているが、スーツはフランスのルイ14世時代の軍服に由来し、ブレザーは英海軍の軍艦名であり、トレンチ・コートは塹壕戦用の野戦服だったと認識している人はそうは多くないだろう。
 本書は今日の洋服のルーツを歴史的に明らかにし、漫画家の著者夫人が描いたイラストと共に、古今東西のさまざまなミリタリー・ファッションを体系的にまとめた軍用被服の研究書だ。
 スーツ、ブレザー、コート、ネクタイ、ブルゾン、靴、帽子などの項目別に分かれ、それぞれの由来やその後の発展について詳述。カーディガンはクリミア戦争が起源で、タキシードは英海軍の礼装から生まれたことなどが紹介される。英国人男性が今も色や柄の美しいレジメンタル・タイに特別な関心を寄せるのはそれがレジメント(連隊)識別用のものだったからというのは興味深い。
 このほか階級章や勲章の歴史、敬礼の裏話など逸話も抱負に盛り込まれ、さらに随所に挿入されたナポレオンやマッカーサー、ロンメル将軍などのイラストはとてもファッショナブルで、眺めているだけで楽しい。

 これまで「産経新聞」様のほか、アパレル専門紙「繊研新聞」様、銃器専門誌「アームズ・マガジン」様などに取り上げて頂いて、専門的なお立場からご紹介頂いたことは本当に光栄です。この場を借りまして御礼申し上げます。

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2008年4月 1日 (火)

繊研新聞さんに掲載されました。

4月に入りました。今日から社会人という方も多いと思いますが・・・なんかけっこう肌寒いですね。サクラ台無しですね。なんでも北海道じゃ大荒れの大吹雪とか。どうなってんでしょう。
 大荒れといえば、ガソリンですね。福田政権、3回目ですね。ねじれ国会といっても前から分かっていることなのに・・・なんで何にも出来ないのですかね。
 ◆  ◆  ◆
 今日も一つご報告ですが、アパレル業界の専門紙「繊研新聞」http://www.senken.co.jp/の新刊書コーナーに私どもの新刊「スーツ=軍服!?」の書評が載りました。なにしろ業界の専門紙ですので、本当に光栄です。この手の本を見慣れているプロの方たちにご評価いただけるというのことは何よりのことでございます。
「ミリタリーファッションの影響など、服飾の歴史から男の服装を見直す。・・・由来やエピソード、史実など詳述。イラストや写真も豊富で男の服飾と服飾雑貨の事典としても有益な一冊。」ということで、感動しております。

 なにとぞ、まだ御覧になっていない方はお手に取ってみてくださいませ。内輪で恐縮ですが、妻の描いたイラストも美麗です。
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%84-%E8%BB%8D%E6%9C%8D-%E2%80%95%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%84%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%81%AF%E3%83%9F%E3%83%AA%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%81%AE%E6%9C%AB%E8%A3%94%E3%81%A0%E3%81%A3%E3%81%9F-%E8%BE%BB%E5%85%83-%E3%82%88%E3%81%97%E3%81%B5%E3%81%BF/dp/4779113059
 

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2008年3月22日 (土)

銀座松坂屋ヘンリープール展

昨日の話の続きであるが、英国大使閣下からの書簡には、「銀座松坂屋でヘンリープール展をやっているのでぜひご覧を」とあった。
 そう言われては、見に行かずばなるまい。
 ということで、銀座松坂屋の「UK-JAPAN2009公認イベント ヘンリープール展~サヴィル・ロウ、スーツの源流」http://www.matsuzakaya.co.jp/ginza/fair/m080304.html3月19日~24日、というのを見てきました。
 ヘンリープールはロンドンの紳士服街サヴィル・ローでも最も古いテーラーで1806年創業とか。ナポレオン戦争の時代ですね。そしてナポレオン3世、エドワード7世、チャーチル首相、吉田茂首相、昭和天皇の服を作った老舗中の老舗。
 まず銀座松坂屋に行きますと、1階のショーウインドーにいきなりでーん、とネルソン提督の軍服の復刻がある。トラファルガー海戦で彼が着用していたネイビーブルーの燕尾服の精密再現だそうで、写真や肖像画では分かりにくいディテールがよく分かります。中央の隠しボタンはホック留め、左右の折り返し襟は肖像通りに非常に先端がとがっていて、ああ、おそらく後のピークドラペル(剣襟)はこの海軍の様式なんだろうな、と納得されます。
 その折り返し襟と、袖口のボタンホールは想像よりも大きくかつ細い。しかしちゃんと開閉できるのは当然であります。正肩章エポレットはベタ金で格別な飾りはなく、これが将官の階級を表して、袖口の金線は二本。海軍中将を表すのでしょう。二角帽は中央に金色の組みひもがぶら下がっており、珍しいディテールがよく分かる。
 その隣にはエドワード7世の夜会服。ぱっと見は普通のショールカラーのタキシードだが驚いたことに、前合わせがダブルになっていて、ハンガリー風の綴じ紐がついている。つまり軍服の肋骨服の仕様になっているのに驚きました。
 5階に上がるとヘンリープールの店内に展示あり。
 まず目を見張ったのがガーター騎士団のガウン。例の「人を笑うものに災いあれ」を刺繍した深い紫のガウンで、中央に下がる見事な太い組みひもの装飾は目を引きます。
 隣には1820年ごろの御者の制服。派手な縞柄でやはり前合わせはホック。金ボタンは飾りです。これはダブレットスタイルの最後の生き残りだと思われますが、おそらく1850年ごろまでに廃止された大礼服の類はこんなものだろうと納得。
 それから1900年代初頭の赤い英陸軍のジャケット。これは総督の着る礼服で普通の軍服じゃないらしい。エポレットの付け方がよく分かりました。留めボタンを受ける金具が、肩の生地に直に埋め込むのでなく、台布を置いて盛り上げて取り付けている。またエポレット本体も金属製の芯がついており、旧日本軍の正肩章と同じスタイルであること、など見て取れます。裏地は当然ながら白、また燕尾服の裾にまで王室紋章があるのは総督用の意匠でしょう。
 チャーチルのストライプのグレーのスーツの復刻もありました。ああ、こういうのを着ている写真もあるなあ、と思いました。もうちょっとダークな印象もありますが、明るいグレーも着たんですね。
 それから日本の明治時代に制定した枢密院侍従長の大礼服。見事な刺繍で、やはりこれも金ボタンは装飾、ホック留めと軍服の仕様なのがよく分かります。
 ほかに吉田茂や昭和天皇の注文台帳の実物も展示されています。そこらの電話帳よりずっと分厚い代物です。
 ということで、私みたいな者には面白いのですが、ちょっと店内展示なんでもっと大規模にやってくれればいいのに、とその点は残念というか、もっとたくさん見たかったですね。
 そして、やはりというか、こういう軍服のディテールとか仕立て技術が、そのまま紳士服の仕立て技術に応用されたのだな、ことにナポレオン戦争以後にサヴィル・ローが勃興して今のスーツの原形を作っていく、という流れは本当であるな、と実物展示で納得できるものでありました。
 私も「スーツ=軍服!?」http://www.hanmoto.com/bd/ISBN978-4-7791-1305-5.htmlなどと言う本を出した手前、しかしこういう本物を手元に持っているわけではなく、本当にいい勉強になりました。
 この展示は、3月26~31日には名古屋の松坂屋本店に移る予定だそうです。
 
 
 

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2008年3月10日 (月)

3月10日、ついに発売日!

今日は・・・「東京大空襲の日」ですよね。「東京大空襲から63年にあたる10日午前、空襲や関東大震災の犠牲者を弔う法要が、東京都墨田区の都慰霊堂で営まれ、常陸宮ご夫妻をはじめ、被災者や遺族ら計320人が参列」(読売)というわけですが、しかし考えてみるとわずか63年前、ですよね。そんなに大昔という話でもない。
 世の中、変わり果てました。犠牲になった方が今の日本を御覧になったらどう思われるだろうか、と思います。もちろん平和でよかった、と思うでしょうが、しかし「うーん、こんなはずでは」ということも多いのでは・・・。
 たとえば。国交省の皆さんには悪いですが、しかしそんなにマッサージチェアが必要なんですかねえ、とは誰しも思います。なんとかならんですかね、もう少し。
 ◆  ◆  ◆
 この3月10日というのは私にとりまして。
 「スーツ=軍服!? スーツ・ファッションはミリタリー・ファッションの末裔だった」(彩流社、本隊2200円)の一般発売日であります。
 http://www.bk1.jp/product/02976958
 著者としまして、すべてのご縁のある方にお読みいただきたい、そして、少しでも皆さんのお役に立つことがあれば、と切望しております。
 歴史ファンの方、特に西洋史にご興味のある方、また服飾史、ファッションに関心の高い方、軍事史、ミリタリーファンの方、プラモデルがご趣味の方・・・などぜひ、お手に取っていただきたいと存じます。
 なにとぞよろしくお願い申し上げます。

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