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2019年10月26日 (土)

【映画評 感想】マレフィセント2

Photo_20191026131901 映画「マレフィセント2Maleficent: Mistress of Evilを見ました。アンジェリーナ・ジョリー主演で、名作アニメ「眠れる森の美女」(1959年)に登場する魔女、マレフィセントを主人公にしたヒット作「マレフィセント」(2014年)の続編となります。

 

「マレフィセント」は典型的な「おとぎ話」だったオリジナルの話をひねりにひねって、現代的な作風にしたことでヒットしました。王子様のキスで眠れる美女が目を覚まし、めでたし、めでたし、という直球勝負をそのまま実写化しても、現代の映画としてもたない、という判断があったのは間違いないでしょう。そこで、ディズニー・ヴィランの中でも名高いマレフィセントを主人公に据え、あちら側から見た映画にした斬新さが最大の特徴でした。

 

しかしオリジナルの世界観が好きな人から見ると、ディズニー映画の割に、あまりにダークな内容と、「それで終わっていいの?」という感じの落ちに違和感を覚えるものでもありました。オリジナル版では、娘思いの父親だったオーロラ姫の父、ステファン王が、成り上がり者の極悪人に成り果てていたのは、良くも悪くも印象的でした。この作品の後、ディズニーの実写化作品は、現代版の実写映画として必要なアレンジを加えるにしても、出来るだけオリジナルの作風や設定に忠実な路線のものが増えていったように思います。

 

今作では、ジョリーのほかに、オーロラ役のエル・ファニングも続投しております。監督は「パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊」で敏腕を発揮したヨアヒム・ローニングが務めることになり、作風も変化が見られたようです。前作よりバランスがよくなったのではないでしょうか。オリジナル版を意識的に再現している演出もあちこちに見られ、最後は「めでたし、めでたし」というカタルシスに向かう、という意図が感じられます。

 

そして何より、描写としては「戦争映画」といってよいものになっています。スケールの大きい戦闘シーン、人種差別問題や環境問題を想起させる「人間と妖精との戦い」というテーマ性が際立ちます。後半になると、まるでナチス強制収容所のツィクロンBを使ったユダヤ人虐殺を想起させるようなシーンもあります。

 

本作で真のヴィランを務めているのは、ミシェル・ファイファー演じるイングリス王妃という人物ですが、この人にもこの人なりの背景があり、単なる性格異常者、悪人として済ませていない点が、興味深いところです。ファイファー自身も単なる悪人ではなく、もっと複雑な、国政の重責を負う為政者として演じたそうです。

 

【ストーリー】前作で狂気にかられたステファン王を退け、オーロラ姫(ファニング)を我が子のように育てることとなったマレフィセント(ジョリー)。ところが込み入った事情は忘れ去られ、世間の人々は恐ろしい魔女が糸車の針で美女に呪いをかけた、ということだけを語り伝えるようになりました。オーロラは成人し、妖精たちが暮らすムーア国の女王となり、マレフィセントはオーロラの守護者、後見役として、一歩退くようになっています。

 

そんな中、ムーアと国境を接するアルステッド王国のフィリップ王子(ハリス・ディキンソン)が訪れます。彼は5年前の騒動で、オーロラに一目ぼれしてキスをしたものの彼女は目覚めず、それからはなんとなく距離を置いた関係が続いていました。しかし、この日の彼はオーロラにプロポーズし、内心ではフィリップを好ましく思っていたオーロラも喜んで受け入れます。

 

人間の王子との結婚、という話をカラスのディアヴァル(サム・ライリー)から聞いて不機嫌になったマレフィセントですが、愛するオーロラの願いを聞き入れ、アルステッド国王夫妻の招待を不承不承ながら受けることにします。

 

フィリップの父、ジョン王(ロバート・リンゼイ)は戦争を嫌う好人物で、フィリップの婚約を心から喜びます。しかし軍部を率いるパーシヴァル将軍(デヴィッド・ジャーシー)はマレフィセントを毛嫌いしており、さらに王妃のイングリス(ファイファー)は腹に一物ある様子。祝宴の席で、王妃はマレフィセントを挑発するような言動を繰り返し、ついに怒らせてしまいます。怒りを爆発させたマレフィセントはアルステッド城から逃げ出す途中、王妃の腹心ゲルダ(ジェン・マーリー)の放った鉄製の弾丸を受けて墜落。一方、ジョン王は意識を失って倒れ、マレフィセントの呪いを受けたためと思われました。オーロラの心は婚儀を台無しにしたマレフィセントから離れ、イングリスの指示に従うようになります。

 

海に落ちて気絶したマレフィセントは、同じ闇の妖精のリーダーであるコナル(キウェテル・イジョフォー)に助け出されます。彼が案内した妖精の島には、世界中から人間の迫害を逃れてきた闇の妖精たちが集まっており、人間と平和的な共存を望むコナルたちと、徹底抗戦を叫ぶボーラ(エド・スクライン)たちの間で意見が割れていました。ここに、強大な戦闘力を持つマレフィセントが現れたことで、不穏な空気が流れ始めます。

 

同じころ、王妃の行動に不信感を覚え始めたオーロラは、城の地下室に幽閉されている妖精リックスピットル(ワーウィック・デイヴィス)が恐ろしい研究を続けていることを知り、愕然としますが…。【ストーリーここまで】

 

ということで、緊張はどんどん高まって、終盤はアルステッドの軍隊と、妖精たちとの戦争状態に突入していくことになります。目を見張る映像美は素晴らしく、雄大な城塞を舞台として、スケールの大きな戦闘シーンが次々に展開していきます。

 

主演級の人たちは、皆、実力通りの好演をみせています。善人も悪人も見事に演じ分けるミシェル・ファイファーは今作でも存在感十分です。それから、フィリップ王子役のディキンソンの好青年ぶりが目立ちましたが、彼は今、伸び盛りの若手で、来年公開の「キングスマン」シリーズの新作「キングスマン: ファースト・エージェント」では主演に抜擢されたそうです。

 

ボーラ役のエド・スクラインは「デッドプール」の悪役フランシスや、「アリータ:バトル・エンジェル」の悪役ザパンで知られる人。今作でもちょっと凶悪な雰囲気ですが、役どころは全く違います。また、ゲルダ役のジェン・マーリーという女優さんの印象が強いので、どういう人かと思えば「ファンタスティック・ビースト」で悪役クリーデンスの妹の養女という脇役ながら、注目された人でした。今後、活躍が期待されそうな個性派です。

 

話の流れから見ると、一応、このシリーズはこれで完結していると思われますが、アンジェリーナ・ジョリーの近年の当たり役となったマレフィセント、まだスピンオフ的な作品も出来るかもしれません。丁寧に作り込まれた美術や衣装が素晴らしく、映画館の大画面でディテールを見たい一本です。

 

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