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2019年3月 2日 (土)

【映画評 感想】移動都市/モータル・エンジン

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  映画「移動都市/モータル・エンジン」
Mortal Enginesを見ました。フィリップ・リーヴの小説『移動都市』を基に、あの「ロード・オブ・ザ・リング」「ホビット」などの監督として有名なピーター・ジャクソンが脚本を書き、ジャクソン監督の右腕として長年、視覚効果を担ってきたクリスチャン・リヴァーズが監督を務めました。リヴァーズはジャクソン監督の「キング・コング」でアカデミー視覚効果賞を受賞しています。現在の特殊映像、モーション・キャプチャーなどの映像技術は、この2人のコンビが基礎を作ってきた、といえます。長い間、「映像化は無理」と言われ続けた「ロード…」を見事に映画にしてみせた時、世界の映画人が「そうか。もうなんでもコンピューターで思い通りに絵にできる時代になったのだ」と気付いたのです。

本作も、キャタピラ付きで2キロ四方もある巨大な移動都市が轟音を立てて疾走する、という斬新な発想で、これまた「とても映像化は難しいだろう」といわれた原作を、さすがの技術力で、まさに見たこともない映像に仕上げています。しばしば「この映画は名作だろうけれど、テレビで見ればいいや」というものと、「これはとにかく劇場で見ておかないと」という作品とがありますが、本作は典型的な「劇場で見ないと」という作品。

なんとなく、日本人の目からすると、初期の宮崎駿監督や大友克洋監督の、サイバーパンク色の強い作品に似ているようにも見えます。また、設定が「スター・ウォーズ」や「マッド・マックス」のようだ、というのもうなずけるところです。それにしても、なんとも摩訶不思議な移動都市「ロンドン」の威容は、一度は大画面で見ておきたいものです。

本作は、2118年に起きた「60分戦争」で荒廃し、文明が崩壊してから1600年後、3718年の物語、ということで、この時代の博物館では、21世紀などは「古代」に分類されております。いろいろ期間の長さで名前が付いている戦争がありますが、たとえば百年戦争、八十年戦争、三十年戦争、七年戦争、それに機動戦士ガンダムの「1年戦争」というのもありました。十日戦争とか、六日戦争、「ぼくらの七日間戦争」なんていう短期決戦もあります。しかし「60分」というのはすごいです。超短期決戦。これは、22世紀に使用された恐怖の量子エネルギー兵器「メデューサ」により、アメリカを中心に世界中の地核が崩壊し、人類が地上に住めないほどの破壊をもたらした、という戦争だと言います。

急速に悪化する環境の元、人々が考えたのが、巨大な都市ごと移動して、常に最適な環境に逃れるような「移動都市」の開発でした。かくて、名だたる大都市が移動都市となり、小さな都市を食い物にして、食料や燃料を強奪する弱肉強食の「大捕食都市時代」が1000年以上も続いた、というのです。中でも、西方で最強の捕食都市(プレデター・シティ)として生き残ったのが、かつての大英帝国の首都「ロンドン」なのです。

 

 移動都市ロンドンは、久しぶりにヨーロッパに帰ってきました。近年は捕食するべき小さな都市もめっきり減り、獲物に飢えていたのです。その日も、ドイツの小型移動都市ザルツハーケンを襲撃し、呑み込もうとしていました。

 小山のようにそびえるロンドンの威容を、厳しい眼光でひたと見据える覆面の女性の姿がありました。その女性、ヘスター・ショウ(ヘラ・ヒルマー)は、交易のために停止中のザルツハーケンに飛び乗り、これがロンドンに捕食されると、捕虜たちと一緒にロンドンの下層に侵入。ロンドン市長クローム(パトリック・マラハイド)の腹心で、事実上の指揮権を握る考古学者サディアス・ヴァレンタイン(ヒューゴ・ウィーヴィング)に襲いかかり、刺殺しようとします。このとき、ヴァレンタインの娘キャサリン・ヴァレンタイン(レイア・ジョージ)を案内していた博物館の見習い研究員トム・ナッツワーシー(ロバート・シーハン)は、ヘスターを止めに入ります。トムは、へスターの顔に残る痛々しい大きな傷痕を見てショックを受けます。

 トムに暗殺を妨害されたヘスターは、排出口からロンドンの外に逃れますが、去り際にトムに「私はヴァレンタインに母親を殺された」と言い残します。その直後、姿を見せたヴァレンタインは、トムがヘスターの言った言葉を口にすると態度を豹変し、トムを排出口に突き落としてしまいます。

 キャサリンは、トムの転落と父親の態度に不審を抱き、現場を目撃したトムの友人ベヴィス・ポッド(ローナン・ラフテリー)から真相を聞くと、ヴァレンタインがロンドンの最上層の大聖堂で行っている秘密実験の内容を探り始めます。

 一方、地上に落ちたヘスターとトムは、南方の奴隷商人に売られてしまう寸前で、伝説の空賊アナ・ファン(ジヘ)に救出され、天空の秘密基地エアヘイヴンに赴きます。

 ヴァレンタインは刑務所に捕えられていた古代のサイボーグ、「ストーカー」の生き残りであるシュライク(スティーヴン・ラング)を解き放ち、ヘスターの後を追わせます。というのも、シュライクはヘスターに強い恨みを抱いている様子だったからです。

 やがて、ロンドンは方向を東に変更します。その先には、移動都市の争いに加わることなく繁栄している静止都市シャングオがあり、高さ1800メートルもある「楯の壁」で護られています。ヴァレンタインの恐るべき野心に気付いたクローム市長は、停止を命じるのでしたが、時すでに遅く、ヴァレンタインの研究は後戻りできない段階に達していました…。

 

 というわけで、見終わった後の私の最初の感想は、「やっぱり巨神兵は復活させてはならぬ」というものでした(笑)。最後まで一気呵成に進むストーリーは、こういうSF冒険ものの王道です。とにかく設定といいデザインといい、斬新さに満ちた映像は、それだけで一見の価値があると思います。

 ピーター・ジャクソン監督自身もそういう傾向がありますが、本作においても、いわゆる有名俳優は「ロード…」「ホビット」6部作のほか、ウォシャウスキー姉妹監督の「マトリックス」や「クラウド・アトラス」でも知られるヒューゴ・ウィーヴィングぐらいで、後は比較的、無名の新人を起用しています。

ヒロインに抜擢されたヘラ・ヒルマーは、よくこういう人を見つけたな、と思います。これまでキーラ・ナイトレイ主演の「アンナ・カレーニナ」で主要キャストの弟の奥さん、という役をやっただけで、本国アイスランドでは活躍しているものの、国際的にはあまり知られていない女優さんですが、気が強くて本当は繊細なヘスターという人物像をよく表現しています。トム役のロバート・シーハンもニコラス・ケイジ主演の「デビルクエスト」やジェラルド・バトラー主演の「ジオストーム」で大事な役を演じていますが、大きな主演作はこれが初めて。

もう一人、注目したのがキャサリン役のレイア・ジョージ。長編映画は本作が初出演のようですが、この人、数年前にショーン・ペンがシャーリーズ・セロンと別れた後、「32歳差の若い新恋人」として騒がれた時の当事者です。2016年当時、ペンが56歳で、レイアは24歳だったのですが、その後はどうなったのでしょうか。レイアのお父さんは、俳優のヴィンセント・ドノフリオ。よく知られているところでは「メン・イン・ブラック」でゴキブリ型の宇宙人に身体を乗っ取られる男エドガー役で有名ですが、この人のお嬢さんです。ちなみに、現在のショーン・ペンは58歳、ドノフリオは59歳で、ほぼ同い年です。

 シュライク役のスティーヴン・ラングは、今回はモーション・キャプチャーで誰だかよく分かりませんが、あのジェームズ・キャメロン監督の「アバター」で頑迷な傭兵隊長クオリッチ大佐を演じた人。今後も「アバター」続編で登場する予定とのことです。

 現在の最新鋭の映像技術で何ができるか、というのを見せつけている作品です。ぜひ、劇場の大画面でご覧ください。やはり「捕食」シーンは圧巻です。

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