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2018年12月18日 (火)

『考証要集2』(大森洋平著、文春文庫)刊行されました!

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NHKの時代考証ディレクターで、私どもとも親交がある大森洋平氏の新刊『考証要集2 蔵出し NHK時代考証資料』(文春文庫)が発売されました。大河ドラマや朝ドラの時代考証はとにかく大変なはず。たくさんの人が見ているので、ちょっとした間違いでも大騒ぎになりかねません。

 戦国時代や江戸時代についての時代考証なら、一般の人でも想像がつきますね。

 たとえば「サボる」という表現。なんとなく昔からありそうな言葉ですが、

 「サボタージュする、の略語だから、時代劇・明治劇の台詞では絶対不可。明治末~大正初めの学生語らしい。以前、ある戦国大河の考証会議で「稽古をさぼってはならぬ」という台詞の間違いに(中略)誰も気が付かず、危うく見逃して大惨事になるところだった」(122ページ)といった具合です。

「赤字」などという言葉も「これは近代語なので、江戸時代の商家のシーンで「今月も赤字だ」等と使ってはいけない」(35ページ)と指摘されると、なるほどと思います。

こんな調子で、戦前や戦時中の軍隊の用語や、作法、服装などの考証が重要なのも、当然なことと理解されます。ところが、最近では、昭和の末ごろの風俗でも分からない人がテレビの現場でも増えてきているそうです。

「昭和四十年代の新宿駅の映像を見ていた若手ディレクターから「大森さん、改札口のところで雑踏に交ってカチカチカチカチという音がずっと聞こえるのですが、一体これなんなんでしょう?」と質問され(中略)もはや改札係の鋏(はさみ)の音が分からない世代が、昭和を扱う番組の担当となる時代になりました」(26ページ)ということで、そうでしょうね。私などは自動改札が普及する前をよく覚えています。関西の方で普及が早く、首都圏では私が大学生ぐらいから人間の改札係がいなくなりました。しかし現在、30代以下の人だと、係員が客から切符を受け取って、ハサミを入れていた時代は知らないでしょう。同様に「最近の昭和ドラマでオフィスのシーンを出すと、うっかりそこで使っている紙をA4にしてしまいがちだが、(中略)A4用紙は八〇年代半ば以降のオフィスOA化によって普及したもので、筆者がNHKに入局した当時でもまだB4、B5が標準だった」(59ページ)などというのも興味深いです。確かに、私の子供のころはB判用紙が普通で、A判が普通になったのは、ワープロが出回った1980年代後半だったと思います。

今現在だと、普通の人でも、1990年代はポケベルの時代で、パソコンやインターネットが本格的に普及したのは2000年ごろから、00年代まではガラケーの時代、2010年代になってスマホの時代、ということを知っていますが、こんなこともあと2030年もすると分からなくなるに違いありません。

という感じで、ドラマの時代考証という枠を超えて、本当に興味深いお話がいっぱいの一冊です。300ページ、本体価格730円。

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