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2018年9月15日 (土)

【映画評 感想】アントマン&ワスプ

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映画「アントマン
&ワスプ」原題 : Ant-Man and the Waspを見ました。2015年の「アントマン」の続編であり、「マーベル・シネマティック・ユニバース」シリーズとしては、記念すべき20作品目の映画となります。

「ナイト・ミュージアム」などのコメディー出演が続く俳優ポール・ラッドが主演の「アントマン」は、正統派のヒーローが多いマーベル・シリーズの中では異色です。もともと泥棒出身で、妻から離婚された落ちこぼれの三枚目、虫のように小さくなって戦う、という設定は他には見当たりません。

東欧の小国ソコヴィアが壊滅した悲劇を機に、国連主導で締結された、超人たちの活動を各国政府の監視下に置く「ソコヴィア協定」を巡り、ヒーローたちがキャプテン・アメリカ派とアイアンマン派に分かれて内部抗争することになった「キャプテン・アメリカ/シヴィル・ウォー」の戦いでは、アントマンは協定を否定するキャプテン側の味方として参戦しましたが、これに続き、最強の敵キャラ、サノスが地球に攻めてきた「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」では一切、アントマンは姿を見せませんでした。

これは意図的なもので、非常にシリアスで悲劇的なインフィニティ・ウォーの作風にアントマンは合わない、という明確なものがあったそうです。やはりアントマン・シリーズは、ちょっと三枚目でコミカル、楽しい作品でありたい、ということなのですね。

そこで、この作品では、他のヒーローたちが全宇宙の命運をかけて死闘を繰り広げていたインフィニティ・ウォーの戦いのさなか、アントマンたちは何をしていたのか、どういう事情でこのメインの決戦に参加できなかったのか、が描かれます。

ところが、これがわき筋の小さなお話なのか、というと、もちろんミクロの世界、量子の世界にまで小さくなるアントマンなので、小さいと言えば小さいのですが、お話のスケールは大きいです。

それに出演陣が実に、豪華絢爛です。ミシェル・ファイファー、マイケル・ダグラス、ローレンス・フィッシュバーンと大御所クラスが名を連ねていて、それらのあり余る演技力で、コミックだとかヒーローものだとかいう先入観を簡単に打ち破ってしまいます。

今回は特に「家族愛」が大きなテーマです。ここの描き方が大きな感動を呼びます。実力派のキャストを得て、よく出来た脚本が生きている、と思いました。

 

 米ソ冷戦時代の1987年、ソ連の核ミサイル暴発を阻止するため、当時、平和維持組織シールドのメンバーだった初代アントマンことハンク・ピム博士(ダグラス)と、やはり初代ワスプで妻のジャネット(ファイファー)は、爆発の迫る弾頭に到達します。もはやこれを止めるには、量子サイズにまで小さくなって内部に入るしかなく、しかしそれは、制御不能なほどのミクロ化であり、二度と普通の世界に戻れないことを意味しました。ジャネットは犠牲を払い、姿を消しますが、ミサイルは無事に破壊されました。

 それから30年もの間、シールドを離れたハンクは、娘のホープ(エヴァンジェリン・リリー)と共に、姿を消したジャネットを元のサイズに戻すための研究を続けています。

 その後、前作で二代目アントマンとなったスコット(ラッド)が、量子レベルに縮小した後、元の世界に生還した事実が、2人に光明をもたらしました。この事実により、ジャネットを探し出して元に戻すことが、本当にできるかもしれない、と思われたからです。

 ところが、3年前の「シヴィル・ウォー」の戦いで、スコットは2人に無断でキャプテン・アメリカ側について参戦してしまい、ヒーローの活動を制限する国連の「ソコヴィア協定」違反に問われて逮捕され、2年間の自宅監禁処分を受けてしまいます。

スコットがFBIに逮捕されたせいで、ハンクとホープの父娘も、官憲に追われる立場になってしまい、潜伏することになった父娘と、スコットとの関係は切れてしまいました。

 逮捕されてからの日々、スコットは元妻のマギー(ジュディ・グリア)たちとうまく付き合いながら、娘のキャシー(アビー・ライダー・フォートソン)との交流を唯一の楽しみに、FBIのウー(ランドール・パーク)の厳しい監視を受けつつ、処分が解けるのを待っています。スコットが、かつての泥棒仲間たちと立ち上げた防犯会社は、ルイス(マイケル・ペーニャ)に社長を任せていますが、スコットを欠いてはうまくいかず、倒産すれすれの状態。

 監視処分の解除まで、あと3日に迫ったある日、スコットは非常にリアルな夢を見ます。それは、幼い日のホープが衣裳部屋で隠れん坊をしていて、母親のジャネットに見つかる、という光景でした。気になったスコットは、FBIから禁じられているにもかかわらず、ハンクに電話してしまいます。

 次の日、スコットは家から拉致されます。犯人はホープとハンクでした。2人はスコットの夢は、ジャネットからの何らかの信号であると判断し、スコットに協力を求めます。

ホープは、ジャネットを救い出す「量子トンネル」の実験に必要な部品を手に入れるために、闇ブローカーのソニー(ウォルトン・ゴギンズ)に接触します。しかし、ソニーはFBIの内通者から事情を聞いており、部品と引き換えに量子分野の研究を悪用し、ひと儲けすることを提案してきます。これを断ったホープは、スコットと共に部品を力ずくで手に入れようとしますが、そこに思いがけず謎の敵が現れ、妨害されます。まるで幽霊のように壁をすり抜け、実体化と消滅、瞬間移動を繰り返すゴースト(ハンナ・ジョン・カメン)は、ハンクが実験に使っている縮小サイズの研究設備を持ち去ってしまいます。

スコットたちは途方にくれる中、協力してくれそうな唯一の人物を思いつきます。それはかつてシールドでハンクの同僚だった大学教授のビル・フォスター(フィッシュバーン)。ハンクとビルは昔から反目している仲で、30年ぶりの再会は険悪なものになります。しかし、その助言を基にゴーストの拠点を突き止めたスコットたちは、研究設備を持ち出そうとした瞬間、あっさりとゴーストの返り討ちに遭って捕えられてしまいます。

 実はゴーストことエイヴァ・スターと名乗る彼女は、父がハンクから追放されたシールドの研究者で、その後、ハンクを見返すために行った量子実験に失敗し、母と共に爆死したこと、自分は独り生き残ったものの、量子レベルで存在の安定しない特異体質となったこと、そのために長らくシールドで実験体として使われ、さらに破壊工作員まで務めていたことを語り、自分たち家族の悲劇の責任はハンクにある、となじります。ビルは孤独なエイヴァを助けて、ずっと見守ってくれた父親のような存在でした。エイヴァは、自分の身体が長く持たず、治療するにはハンクの量子実験設備が必要、と考えたのです。

 隙を見てその場を脱出したスコットとハンク、ピムは、ついにジャネットからの確かな通信を受け取ることに成功します。しかし、そこにFBIの一団が押し寄せ、ゴースト、ソニーも現れて大騒動に発展、事態は急展開していきます…。

 

 ということで、コミカルなシーン、鮮やかな戦闘シーン、人間ドラマのシーン、とテンポよく話が組み合わさり、さすがに極上のエンターテインメントになっています。安定したベテラン陣と、「ホビット」シリーズで名を上げたエヴァンジェリン・リリー、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」以来、急激に注目度が増している新星のハンナ・ジョン・カメンら若い世代の実力派が、がっちりと魅力を引き出し合っている感じが見て取れます。きっと、非常に感じの好い撮影現場だったのではないでしょうか。

 興味深いのが30年前の回想シーンで、マイケル・ダグラス、ミシェル・ファイファー、ローレンス・フィッシュバーンがそれぞれ、若いころの姿で登場します。これは、各人の8090年代の出演作品を基に、若いころの顔をCGで再現しているそうで、本当に昔の本人が出演しているようです。以前はこういう場合、不自然な若作りメイクに頼るしかなかったのですが、現在の技術では、魔法のような若返りが、画面上では簡単にできるようになりました。

 本作は、いったん話が終わった後、追加映像が二つもある作りになっており、ここが非常に重要な意味を担っています。つまり、この作品のエンディングの時期が、「インフィニティ・ウォー」の悲劇的な結末時と一致しており、無関係ではなかった、という意味合いが込められた映像です。今後、アントマンがアベンジャーズの世界と再び密接にかかわることを明示しているわけです。

 本作の後、マーベル・シリーズとしては新キャラとなる「キャプテン・マーベル」が次回作(21作目)で作品世界に加わり(この人物については、「インフィニティ・ウォー」のエンディングで、ニック・フューリーがスマートフォンで、彼女に連絡を取ろうとしていたことが暗示されており、重要人物としての登場が予告されていました)、そして「アベンジャーズ4」(22作目)に、すべての話とキャラクターがつながっていくことになっています。

 本作も、このエンディングを見てしまうと、22作目ではどう決着をつけるのだろう、ということになってきます。まことに製作側の術中にはまってしまうのが悔しいとも言えますが(笑)、これは確かに、今後の展開が気になってしまいます。

 また、今回から登場した人物の動向も加えて、アントマン・シリーズとしての今後にも、大いに期待したいと思います。

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