« 『海軍善玉論の嘘』(是本信義著、光人社NF文庫) | トップページ | 【映画評 感想】スカイスクレイパー »

2018年9月21日 (金)

【映画評 感想】ザ・プレデター

Photo


  映画「ザ・プレデター」原題:
The Predatorを見ました。あの1987年に大ヒットしたアーノルド・シュワルツェネッガー主演「プレデター」を受ける形の続編です。

一作目から約30年後、ということになっており、劇中でも何度か「87年に現れて以来…」などと言及されます。当初はシュワちゃんがカメオ出演、という話もあったようですが、今回は実現しませんでした。

あの「プレデター」は、85年の傑作「コマンドー」の続編か、と思わせるような戦争アクションから、後半は一転して、兵士が一人、また一人と殺されていくSFホラーになる展開が斬新で、シュワちゃんにとっても初期の成功作の一つとなりました。

それで、今回の作品のメガホンを執るシェーン・ブラック監督は、一作目でシュワちゃんの部下ホーキンス兵卒役で出演していた人です。下品な冗談ばかり飛ばしていたら、プレデターによる人間狩りの最初の犠牲者になってしまう、という役柄でした。

そんなわけで、このシリーズの最初から熟知している監督だけに、一作目への思い入れと言うものも感じさせつつ、これまでシリーズ作品が作られてきた中で、みんなが抱いてきた疑問、「彼らは一体、なんで地球にやって来るのか?」「強い相手を血祭りに上げることが、彼らにとって(文化的な意義のほかに)なんの意味があるのか?」「彼らの知的レベルはどのくらいで、人間の言葉を操れるのか?」といったテーマに応えるような内容になっております。

さらに、最初から言われてきた素朴な疑問、このエイリアンは生存のために食料を狩るのではなく、一種の娯楽のように殺戮を楽しむのだから、「プレデター(捕食者)」ではなくて「ハンター(狩人)」と呼ぶ方が適切ではないか、ということにも、映画の中で言及していたりもします。

 今回の作品の一つの軸は、最近の映画でよく描かれる「破綻している夫婦」および「親子の絆」というテーマ。それからもう一つは、正規の組織から排除された犯罪者やならず者の部隊が、非常時を迎えて大活躍する、というパターンです。つまり、古くは「七人の侍」や「特攻大作戦」「戦略大作戦」、それに「兵隊やくざ」などもそうでしょう。近年で言えば、そういった作品の影響を受けた、と製作側が公言している「スーサイド・スクワット」や「ローグ・ワン」もそれに当たります。

 そういうわけで、最新の技術を使った映画である一方、どこか80年代以前のアクション映画のようなノリがある作風です。

 

元米陸軍の特殊部隊の狙撃手で、殊勲勲章や銀星勲章を受勲しているクイン・マッケナ大尉(ボイド・ホルブルック)。今は部下と共に傭兵稼業に就き、南米某国で麻薬組織のボスの暗殺作戦に成功します。しかし、そこで異変が起こり、突如飛来した異星人の宇宙船の墜落に巻き込まれます。宇宙船から現れたプレデターは部下を皆殺しにしますが、マッケナはプレデターの装備品であるガントレット(腕に着ける防具)を奪い、これに搭載されていた武器でプレデターを負傷させます。マッケナはガントレットとマスクを証拠品として持ち去り、自宅の最寄りの郵便局私書箱に発送。マッケナが立ち去った後、異星人対策の専門機関「スターゲイザー」のウィル・トレーガー(スターリング・K・ブラウン)が現場に到着し、傷ついたプレデターを捕獲しました。

 帰国したマッケナはスターゲイザーに逮捕され、脱走兵や犯罪者が送致される軍刑務所送りになってしまいます。彼が私書箱に送付したプレデターのマスクとガントレットは、私書箱が滞納扱いとなって留守宅に送り届けられ、発達障害がありながら、天才的な知性を持つ息子ローリー(ジェイコブ・トレンブレイ)の手に渡っていました。ローリーはプレデターの装備品の扱い方をたちまち独学で理解し、これを起動させてしまいます。

 トレーガーは、動物生態学の第一人者ケイシー・ブラケット博士(オリヴィア・マン)を強制的に徴用して研究施設に連れてくると、プレデターが今回飛来した目的を探ろうとしますが、プレデターが、かつて地球に来た時と異なり、人類の遺伝子を組み込んでいる事実に気付き、一同は愕然とします。マッケナの乗る護送バスは、スターゲイザーの秘密基地に呼び戻されますが、ちょうどその時、ローリーが起動した装置に反応してプレデターが息を吹き返し、基地から逃亡。

さらに同じころ、やはり装置の起動に気付いた別のプレデターが、地球目指してやって来ます。この2体目のプレデターは、3メートル近い巨体で、遺伝子の組み換えで強化された新型プレデターです。

マッケナは、一緒に護送されていた受刑者である5人の兵士たちと協力してバスを奪い、プレデターを追跡していたケイシーと共に、自宅に向かいます。というのも、プレデターたちが狙うのは、息子のローリーが起動させた装置だと悟ったからです。

ちょうどハロウィーンのその時期、ローリーは母親エミリー(イボンヌ・ストラホフスキー)に無断で、街に出てしまいます。様々な仮装を楽しむ子供たちに交り、ローリーはプレデターのマスクを被り、腕にガントレットを装備していました…。

 

 主役のボイド・ホルブルックは、なかなかふてぶてしい軍人役が似合っています。最後に正規の軍服アーミー・サービス・ユニフォームを着込んだ姿も様になっていました。シュワちゃんの後継者、というのとはタイプが違いますが、人間臭さのある欠点も多い男、というのを好演しています。この人、「LOGAN/ローガン」で敵役をやって注目されていましたね。ケイシー役のオリヴィア・マンも「マジック・マイク」「NY心霊捜査官」と話題作でキャリアを重ね、「X-MEN アポカリプス」でブレイクしました。実はこの人、お父さんが在日米軍に在籍して日本で育ったので、初期には日本でモデル活動しており、日本語もかなり出来るそうです。

 ジェイコブ・トレンブレイは、ブリー・ラーソンにアカデミー賞をもたらした「ルーム」で有名になった天才子役。今回は、実際に自閉症の子供たちと接して役作りをしたそうで、これが実に見事です。

 なお、一部のネット情報で、陸軍の将軍という役柄でベテランのエドワード・ジェームズ・オルモスが出演しているように書かれています。どうも撮影はしたようですが、出演シーンは全部カットされていて、今回の本編で彼は一切、出ておりません。DVD化すると復活するかもしれませんが。

 「なんで今さらプレデター?」という当初の疑問は、見てみると忘れてしまいます。やはり、一作目から関わるブラック監督が、「1987年以来の疑問点を解決しよう」と意気込んだ成果が、脚本に現れていると思いますね。細かいところを真面目に考えると、突っ込みどころもあるでしょうが、やはり、30年を経て世界観が見えてきた、という印象が強い作品です。私は「そうか、そういうことだったのか」と、長年の疑問点が、色々と腑に落ちた作品でした。SF要素、アクション、ドラマ、適度なギャグ、と各要素のバランスもよく、期待以上の快作になっている、と思いました。

 

|

« 『海軍善玉論の嘘』(是本信義著、光人社NF文庫) | トップページ | 【映画評 感想】スカイスクレイパー »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/122224/67191541

この記事へのトラックバック一覧です: 【映画評 感想】ザ・プレデター:

« 『海軍善玉論の嘘』(是本信義著、光人社NF文庫) | トップページ | 【映画評 感想】スカイスクレイパー »