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2018年5月 3日 (木)

【映画評 感想】アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー

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  映画「アベンジャーズ
/インフィニティ・ウォー」Avengers: Infinity Warを見ました。インフィニティは「無限」の意味。よって原題は「限りなき戦い」といった意味合いです。2008年製作の「アイアンマン」以来、10年にわたって展開されてきたマーベル・シネマティック・ユニバース・シリーズの19作目にあたります。すでに世界中で大ヒット中ということで、私はディズニーの御膝下である千葉県浦安市の映画館でパンフレットを買おうとしましたが、売り切れていました。現在、増刷中だそうです。人気シリーズで、しかもGW期間に公開の場合、初めから十分な数を印刷するはずですが、その予想を超えていたようです。

これまでのいろいろなシリーズで登場した人物が大集合しており、60人を超えるキャラが出演します。当然、演じているのは、それぞれの映画では主演級のスターばかり。本作は製作費が300億円前後のようですが、ギャラだけですごい金額なのかも(もっともこのシリーズでは、俳優と初めに複数の作品に出ることを前提にした契約を交わす「まとめ買い」方式だそうですが)。

これまでの10年におよぶシリーズ展開で、特にアスガルド人が地球に関わり始めて以来、何度となく「キューブ」とか「エーテル」「ロキの杖=セプター」などと、それぞれの外見上の形状で呼び名を変えつつ、騒動の原因となり続けてきた「空間(スペース)」「現実(リアリティ)」「時間(タイム)」「力(パワー)」「魂(ソウル)」そして「精神(マインド)」を司るエネルギーの結晶、「インフィニティ・ストーン」。個別の作品で常にキーとなってきたこれらの石が、ついに一つの意味に結実してきます。

六つの石を集めると無限のパワーが生まれる、という、この手のお話にはよくあるパターンなのですが、しかし、本作でそのお宝集めをしているサノスという人物の目的は、単に偉くなりたいとか、全宇宙を支配したいという権力欲で行動しているわけではありません。彼なりの哲学的な信念が熱く披露されます。ここが本作の大きなテーマです。真の主人公はむしろ、ヒーロー側ではなくてサノスというこの複雑な人物のようにも思われます。

彼の考えは、人口爆発を抑制するには、あえて人口を半減するしかない、というものです。たとえば地球人口70億人なら、35億人を滅ぼすしかない。しかしそれは無作為であるべきであって、貧富や身分、能力の差などは一切、考慮することなく、偶然に選ばれた半数の人が死ななければならない、という恐るべき思想です。

たくさんの作品の伏線を回収し、登場キャラをさばいて一本の映画にする力技には脱帽します。この脚本を練るのは大変だったでしょうが、それが非常によく出来ています。これまで主に「キャプテン・アメリカ」シリーズを担当してきたルッソ兄弟監督が、重任を見事に果たし、複雑な話のようで、ちゃんと展開が理解できます。もっとも、これまでのシリーズを全く見ていない、あるいは「アベンジャーズ」と題した作品以外は見ていない、という人はさすがに設定や人物関係が分かりにくいかもしれません。「マイティ・ソー」「キャプテン・アメリカ」両シリーズおよび、直近の作品で今作の展開にも大きなかかわりがある「ブラックパンサー」は事前にご覧になった方がよいように思われます。

サノスが求めている六つのストーンは、この作品の開始時点でどういう状況になっているか、というと、①スペース:ロキが所有②マインド:ヴィジョンが所有③リアリティ:コレクターが所有④タイム:ドクター・ストレンジが所有⑤パワー:ザンダー星の軍当局が保管⑥ソウル:行方不明…となっております。

つまり②と④が目下、地球にあるわけです。

①は元々、ソーの父オーディン王が地球に隠匿していたものを、ナチスの一派ヒドラのシュミットが悪用しますが、キャプテン・アメリカ(本名:スティーヴ・ロジャーズ)が奪取して冬眠状態に。戦後70年を経てSHIELDが武器に使用しようとした後、同組織の解体を経てアスガルドに戻りました。

②はサノスがロキを地球に送り込む際に供与した後、ヒドラの残党ストラッカー男爵の手に渡り、さらにこれを奪った人工知能ウルトロンが悪用しようとし、結局はアイアンマン(本名:トニー・スターク)の人工知能と結合してヴィジョンという新しい人格を生み出しました。

③はオーディンの父ボー王が地球に隠匿して長年、行方不明でしたが、ソーの恋人ジェーンを介して世に現れ、これをダーク・エルフが宇宙征服に利用しようと目論んだもののソーが阻止。アスガルドの女戦士シフがノーウエア星の財宝コレクターに託しました。

④はどういう経緯か不明ですが、長らく地球の平和を守る魔術結社カマー・タージが保有しており、ドクター・ストレンジが、師匠エンシェント・ワンから継承しました。

⑤はかつて、タイタン人サノスが養女ガモーラを使って手に入れようとしましたが、ガモーラの裏切りによりガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの面々がこれを阻止しています。

⑥についても、サノスの命令でストーン探索していたガモーラがその秘密を知っている模様です。

さらに大きな動きとしては、ヒドラの残党による浸食でSHIELDが解体。東欧の国ソコヴィアを滅ぼしてしまったウルトロンとの戦いを機に、アベンジャーズが国連の支配下に入るソコヴィア協定を支持するトニー派と、協定を否定するスティーヴ派に分かれ、内部抗争が勃発。一方、アスガルドではオーディンの死を契機に、ソーの姉、最強の女神ヘラが復活し、その圧倒的なパワーによってアスガルドは滅びてしまいました。辛くもヘラを倒したソーとロキ、そしてたまたま居合わせたハルクは、アスガルドの住民と共に、新たな移住地を目指して旅立ったのですが…。

 

アスガルドの移民船が宇宙に出て間もなく、正体不明の巨大な戦艦が出現します。それはサノス(ジョシュ・ブローリン)に仕えるタイタンの戦闘部隊ブラック・オーダー(黒の騎士団)の船で、サノスと、その側近のマウ(トム・ヴォーン・ローラー)によりアスガルドの人々は虐殺されてしまいました。ヘラとの戦いで疲弊しきったアスガルドを見て、好機と考えたサノスの奇襲です。無敵を誇ったソー(クリス・ヘムズワース)やハルク(マーク・ラファロ)もサノスには歯が立たず、瀕死のヘイムダル(イドリス・エルバ)は最期の力を振り絞ってハルクを地球に転送します。ロキ(トム・ヒドルストン)はサノスを得意の姦計にはめようとしますが、手もなく倒され、スペース・ストーンがロキからサノスの手に渡りました。彼が左腕に装着しているガントレット(籠手)には、すでにザンダー星を滅ぼして入手したパワー・ストーンが輝いており、ハルクの怪力すら通用しなかったのです。

六つのストーンを手に入れれば、サノスの思うことはすべて実現できます。この無限の力を用い、宇宙の増えすぎた人口問題を解決すべく、すべての生命を一瞬で半減させる。それがサノスの抱いている恐るべき計画でした。こうして二つ目の石を獲得したサノスは、地球にマウの部隊を派遣します。

地球では、突然、地上に落ちてきて、ハルクから変身が解けたブルースを見て、カマー・タージのドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)とウォン(ベネディクト・ウォン)は異変を察知します。「最強の敵サノスが地球を襲う」と力説するブルースの訴えを重視した2人は、ちょうどその頃、長年の恋人ペッパー(グウィネス・パルトロー)と正式に婚約したばかりのトニー(ロバート・ダウニーJr.)を探し出します。今こそ最大の危機、というのにアベンジャーズは分裂したままです。しかしこの際、スティーヴ(クリス・エヴァンス)と協力するべきだと判断したトニーが連絡を取ろうとした矢先、早くもマウの宇宙船がニューヨークを襲撃します。

マウの狙いは、まずはストレンジの持つタイム・ストーンです。ストレンジ、ウォン、トニー、たまたま近くに居て加わったスパイダーマンことピーター(トム・ホランド)による激しい戦いが繰り広げられますが、ストレンジはマウに拉致されてしまいます。後を追ったトニーとピーターは宇宙船に潜入し、そのままサノスの本拠地に乗り込むことにします。

同じころ、破壊されつくしたアスガルドの移民船を、クイル(クリス・プラット)率いるガーディアンズ・オブ・ギャラクシーが訪れ、ソーを救出します。ソーから宿敵サノスが動き出したことを聞いた一行は、二手に分かれて事態に対処しようとします。まずソーとロケット(ブラッドリー・クーパー)、グルート(ヴィン・ディーゼル)はアスガルドの神器を作り出してきたドワーフ族の拠点に向かいました。ヘラとの戦いで主力武器のハンマーを喪失したソーは、手ぶらでは今のサノスに対抗できないことを痛感し、新たな武器を必要としていたのです。

クイルとドラックス(デイヴ・バウティスタ)、それにサノスに育てられたガモーラ(ゾーイ・サルダナ)たちは、アスガルド人がリアリティ・ストーンを託したコレクター(ベニチオ・デル・トロ)の元に向かいます。しかしコレクターの拠点にはすでにサノスがやって来ており、三つ目のストーンを奪われたうえに、ガモーラが連れ去られてしまいます。

ガモーラから、所在不明となっているソウル・ストーンが惑星ヴォーシアにあることを聞き出したサノスは、彼女を連れてその星にやって来ます。ヴォーシアでサノスたちを待っていたのは、意外にもかつて地球でヒドラ党の首領だったレッドスカルことヨハン・シュミット(ロス・マーカンド)でした。

地球では、2年前のソコヴィアの戦いと内部抗争の後、スコットランドに身を潜め、密かに愛を育んでいたヴィジョン(ポール・ベタニー)とワンダ(エリザベス・オルセン)を、サノスの部下が襲います。狙いはヴィジョンの頭部にあるマインド・ストーン。この石は以前、ストラッカー男爵がワンダの超能力を引き出すために使用したものでもあり、ワンダはその制御の意味もあってヴィジョンと行動を共にしていたのです。

激しい攻撃に苦戦する2人を、突如、助けに現れた面々。それはスティーヴ、ナターシャ(スカーレット・ヨハンソン)、サム(アンソニー・マッキー)でした。危機を脱したスティーヴたちは、ソコヴィア協定の取り決めでアベンジャーズを統括することになっていたロス国務長官(ウィリアム・ハート)に事情を説明し、協力を得ようとしますが、全く話になりません。ロスを見限ったローズ(ドン・チードル)も合流し、久々に戦力を整えたアベンジャーズ・チーム。スティーヴたちは、サノスにストーンを渡さないためには、まずヴィジョンからストーンを分離し、ワンダの力で破壊しようと考えます。そのための高い技術と、敵の邪魔立てを阻止できる高い武力を持っているのは、ブラックパンサーことテイ・チャラ(チャドウィック・ボーズマン)と、その妹の天才科学者シュリ王女(レティーシャ・ライト)、側近のオコエ(ダナイ・グリラ)がいるアフリカの王国ワカンダしかありえませんでした。こうして、サノスとの決戦の地は必然的にワカンダということに…。

 

ということで、話の大筋を把握するだけでも大変なことになってしまいます。おまけに本作は、久しぶりにSHIELDの元長官フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)や副官のマリア・ヒル(コビー・スマルダーズ)までエンディングで登場します。これだけ大物俳優を集めて、しかも、ワンシーンしかないような登場人物にも相応の見せ場を作っていく。しかし娯楽作品なので、2時間半できっちりと納める、というのが本当に見事です。

サノスという今回の中心人物の背負った業(ごう)や苦悩、また登場人物たちの愛憎、葛藤といった部分も、この制約の中で可能な限り描き出している。まことにようやるわ、という感じです。

見終わると、特にサノスとガモーラという親子の物語、それからワンダとヴィジョンの愛の物語が大きな印象を残しています。さらに、あっと驚く結末に漂う、日本人でいえば「無常観」とでも呼ぶべき感覚。娯楽作品だとかヒーローものだとかいう感想を持つ人は、まずいないのではないでしょうか。

これは掟破りだな、と思うのですが、すごいことをやるな、とも感じます。本作は、今後、2作品を挟んで、来年に公開予定のアベンジャーズとしての続編に向かって話が収束していくことになっていますが、一体、どんな結末になるのか予想もつきません。

これほど注目され、期待される中で巨大なシリーズを継続することは、製作側の人たちにとって尋常でないプレッシャーだと思いますが、確かに一作、一作が渾身の作品で、期待を裏切らないのは見事です。

そうそう。すべての世界観を生み出したマーベル社総帥のスタン・リーさんは、今回も元気にカメオ出演しています。今や95歳! 誰が超人といって、ソーでもハルクでもなく、まさにこの人こそが真の超人ですよね。

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