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2018年3月30日 (金)

浦安の桜も満開!(さくら通り)

 

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  千葉県浦安市には、その名も「さくら通り」というストリートがあります。この時期になると道沿いの桜並木が満開。見事なものです。Dzgye7zvqaat3we

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2018年3月13日 (火)

エトロETROの2018SS新作(エトロ銀座本店)

 

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 軍装史ばかりでなく、服飾一般を研究する私どもとしまして、今度はETROエトロ銀座本店で開催されたトランクショーに参加しました。辻元玲子が着ているのは2018SSの新作です。私が着ているボルドーのスーツは、LEONにも掲載された2017AWシーズンの一着です。Dyjahmtvqai3ztr


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2018年3月 9日 (金)

辻元夫婦は「陸上幕僚長感謝状」を授与されました!

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  本日、防衛省陸上幕僚監部にて、辻元よしふみ、辻元玲子を含む、陸自制服(常装)改正にかかわった有識者および企業代表に、山崎幸二・陸上幕僚長より「陸上幕僚長感謝状」が授与されました。4人が映っている写真は、右から山崎幸二・陸上幕僚長、辻元よしふみ、辻元玲子、髙田克樹・陸幕副長です。Dx2e7bevoae9lfa_2

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2018年3月 5日 (月)

【映画評 感想】空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎

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  映画「空海
-KU-KAI- 美しき王妃の謎」Legend of the Demon Cat(中国語原題:妖猫)を見ました。日中合作の歴史ファンタジーですが、まことに見事な映像美。ハリウッド映画にも負けないゴージャスな映画が出来ました。何しろ製作費は10億人民元、つまり160億~170億円に相当します! 予算としては並みのハリウッド作品を凌駕するレベルです。

 原作は夢枕獏先生の小説『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』。10年以上も前にこの小説を読んで惚れ込んだチェン・カイコー監督が映画化したものです。

 美術準備で2年、セット造りに4年間もかけた、という大作で、撮影現場を訪れた夢枕先生も長安の都を再現した町並みの素晴らしい出来栄えに、つい感涙を催したそうです。

 原作小説は、あの弘法大師・空海が、一緒に遣唐使として中国に渡った橘逸勢(たちばなのはやなり)と共に、唐王朝の皇室にかけられた呪いの謎を解いていくファンタジー・ミステリーです。いわばこの2人がホームズとワトスンなのですが、映画化に当たり、この作品の相棒コンビは、空海と、同時代に活躍した大詩人・白楽天(白居易)に変更されました。日中合作ですので、そこは素晴らしいアイデアだと思います。空海が長安にいた時期(804806年)に、白楽天は官途に就いていたそうですから、全くありえない顔合わせではないのですね。彼が地方官となって赴任先で806年に発表したのが、代表作の「長恨歌(ちょうごんか)」で、映画の中でもこれが重要なカギを握ります。

 まだ全く無名の留学僧と、こちらも全く世に出ていない詩人。やがて歴史に名を残す日中の若い2人が、当時世界最大の国際都市、長安でこんな日々を送っていたのかも、と思うと楽しくなります。

 史実からかけ離れている点も多々あります。特に目立って史実と相違しているのは、9代皇帝・玄宗以後の皇帝の年代が、史実の皇帝と合わない点で、実在の10代皇帝・粛宗は、玄宗とほとんど同時期に亡くなっています。史実において、空海が唐にいた時期、805年に亡くなった徳宗皇帝は第12代、その跡を継いだものの、在位わずか半年でその年のうちに亡くなった順宗皇帝は第13代にあたり、この皇帝の相次ぐ急死事件が、本作のモデルとなったと思われます。原作小説では史実通りの皇帝が登場するのですが、映画では、急死したのが玄宗のすぐ後の10代皇帝、そして後を受けた11代皇帝も病気になる、ということにしており、具体的な名前を出さないようにしています。

こういった部分は、あくまで娯楽作品ですので、おおらかに楽しむべきものでしょう。

 

唐の時代の長安。日本から遣唐使としてやってきた学僧・空海(染谷将太)は、皇帝の謎の死に立ち会います。それは明らかに呪殺とみられましたが、役人たちは皇帝の死因は風邪として片付けてしまいます。しかし、皇太子も病に伏し、役人たちは困り果ててしまいます。

同じ頃、皇帝を守る禁軍(近衛兵)の将校、陳雲樵(チン・ハオ)の妻、春琴(キティ・チャン)のもとに人語を操る黒い妖猫が出現します。

役人から皇帝の死の原因を突き止めるように求められた空海は、官を辞したばかりの詩人・白居易(ホアン・シュアン)と知り合い、2人で陳が豪遊している遊郭街に乗り込みます。そこで陳雲樵は恐ろしい化け猫に襲われ震え上がります。さらに彼の屋敷では、妻の春琴が完全に化け猫に取り憑かれてしまいました。妓楼で、新入りの妓生・玉蓮(チャン・ティエンアイ)にかけられた呪いを見事に解いた空海を見込み、陳雲樵は化け猫退治を空海に依頼します。

陳の屋敷で化け猫と対決した空海と白居易は、この化け猫が、陳の父で、やはり禁軍の幹部だった陳玄礼の手により、生きたまま埋められたことを恨み、この家にたたっている、と説明。しかし話はそれだけではなく、陳玄礼が関与した30年前の事件、先々帝の玄宗(チャン・ルーイー)の后、楊貴妃(チャン・ロンロン)の死に原因があることが分かってきます。黒猫はかつて玄宗皇帝の飼い猫であり、その後、化け物となったのだといいます。

白居易はこの時、後に彼の代表作となる「長恨歌」を書いていました。玄宗と貴妃の悲恋を描いた詩ですが、化け猫はどうも、その内容が事実と反する、と言いたいようです。

2人は、楊貴妃の侍女だった老婦人から、玄宗時代の宮廷に仕えた日本人、安倍仲麻呂(阿部寛)が楊貴妃の死の現場に立ち会っていた事実を知り、その側室であった白玲(松坂慶子)の元を訪ねます。彼女の元に残されていた仲麻呂の日記には、30年前の驚くべき真相が書かれていました。すべては玄宗が貴妃を大衆に披露した大宴会「極楽之宴」の夜に始まったというのです。

そこには皇帝と貴妃、仲麻呂のほかに、玄宗に仕えた妖術師の黄鶴(リウ・ペイチー)と、その弟子の白龍(リウ・ハオラン)、丹龍(オウ・ハオ)、後に貴妃の死にかかわる玄宗の最側近の宦官・高力士(ティアン・ユー)、大詩人の李白(シン・バイチン)、さらに、この宴会から10日後に反乱の挙兵をする将軍・安禄山(ワン・デイ)の姿もありました。全ての役者はそろっていたのです。そして、一体、誰が楊貴妃を殺害したか。

謎が謎を呼んで結末へと話は進みます…。

 

ということで、展開としてはまさに典型的なミステリーなのです。謎解きです。夢枕先生の代表作「陰陽師」を思わせるような、けれん味たっぷりの呪術合戦というのは意外に少なくて、むしろ若い2人が楊貴妃の死の真相にいかに迫っていくか、というところがスリリングに描かれています。これが非常に面白いです。

豪華極まりない映像と共に、音楽は「パイレーツ・オブ・カリビアン」など多くのハリウッド大作に名を連ねる名匠クラウス・バデルトが担当。さらに主題歌として、アニメ映画「君の名は。」の音楽でも知られる日本のバンドRADWIMPSが作った「Mountain Top」が使用されていますが、これがまた作品の世界によく合っています。

空海という人は、今では織田信長と並んで「どんなファンタジーやSFにしても許される怪人物」でしょう。そんなビッグネームを映像化するには、娯楽作品であればこそ、これだけの巨額の予算と大仕掛けが必要だった、という気がします。これぞ大スクリーンでみたい一作、というものでした。

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2018年3月 4日 (日)

【映画評 感想】ブラックパンサー

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  映画「ブラックパンサー」
Black Pantherを見ました。マーベル・シリーズの通算18作目にあたります。

ブラックパンサーといえば、数あるマーベル・コミックのヒーローものの中でも、かなり異色の作風で知られています。黒人のヒーローという点だけでなく、ヒーロー本人が単なる武闘派の戦士であることが許されず、一国の元首であり、民族の代表者であり、国際的な有名人である、つまり無責任な生き方が許されない制約がある、という要素です。

「マイティ・ソー」の主人公ソーもアスガルドの王位継承者なのですが、こちらはあまり責任感がなく、むしろモラトリアム期間を好んで続ける内に、弟のロキに王位を脅かされるような描き方でした。しかし、ブラックパンサーというのは、単なる強いヒーローの名ではなくて、そもそもが「ワカンダ王国の元首」であり「ワカンダ国軍の最高司令官」の別名であって、代々の王位継承者に世襲される称号です。肩に担う重責、がこのヒーローの大きな特色で、本作でもその点が非常に魅力的に描かれています。

本作は、「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」および「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」からつながるお話になっています。

悪徳商人クロウ(アンディ・サーキス)が横流しした希少な万能金属ヴィブラニウム。これまで、ごく少量のこの金属がキャプテン・アメリカの楯に使用されただけでしたが、クロウの暗躍により、アイアンマンの起動した人工知能ウルトロンが悪に目覚めてヴィブラニウムを手にし、世界を破滅の淵に追い込みました。アベンジャーズ・チームの活躍で危機は去ったものの、戦闘により東欧の小国ソコヴィアが滅亡。この悲劇を繰り返さないため、国連はソコヴィア協定を結び、ヒーローたちを国連の管理下に置こうとします。

しかし、この協定が締結される会議場で演説中だったアフリカの小国ワカンダの国王ティ・チャカ(ジョン・カニ)が爆殺され、王太子ティ・チャラ(チャドウィック・ボーズマン)は涙に暮れました。その後、アベンジャーズは協定拒否を唱えるキャプテン・アメリカ派と協定受け入れを主張するアイアンマン派の内部抗争に発展。また、ソコヴィア軍諜報部出身のジモ大佐による復讐劇として、キャプテンの旧友バーンズ軍曹が洗脳を受け、国王暗殺を実行させられたことで、ティ・チャラことブラックパンサーも、このヒーローたちの戦いに介入することになった…というのがこれまでのお話でした。

 

そして本作です。実はこの幻の金属ヴィブラニウムは、アフリカの発展途上国として知られるワカンダに多量にあったのです。はるかな古代、ワカンダに飛来した隕石にはこの夢の金属が大量に含有しており、ワカンダの主要部族は、山の上に引きこもったジャバリ族を除き、一人のリーダーを国王=ブラックパンサーとして擁立し、国家を樹立しました。

以来、この金属の能力を引き出したワカンダ人は、世界のレベルを数世紀も上回るような超ハイテク技術を生み出しましたが、対外的にはその技術を隠し、鎖国を保って秘密を保持。その後の世界の混乱や荒廃に背を向け、一国だけの繁栄を楽しんできたのです。

やはり鎖国政策をとってきたティ・チャカ国王も、治世の後半になってから積極外交を開始し、ソコヴィア協定をまとめるために中心的な働きをしたのですが、そのために暗殺されたのでした。

父の死を受け、王位に就くべくワカンダに帰国した王太子ティ・チャラは、母親の王妃ラモンダ(アンジェラ・バセット)、妹で天才的科学者でもある王女シュリ(レティーシャ・ライト)、忠実な国王親衛隊の司令官オコエ将軍(ダナイ・グリラ)、そして長い間、会えなかった幼馴染みのナキア(ルピタ・ニョンゴ)と再会します。

伝統的に、この国の国王が即位するためには、王国を構成する各部族から承認をとる必要があります。他の諸部族が形式的に「王位への挑戦権を放棄する」と宣言する中、長きにわたり交流断絶の状態にあったジャバリ族の長エムバク(ウィンストン・デューク)が突然、姿を現し、ティ・チャラに王位をかけた挑戦を求めます。長老ズリ(フォレスト・ウィテカー)が見守る中、両者は激闘を繰り広げ、ティ・チャラが辛くも勝利しました。

国王となったティ・チャラは、ロンドンの大英帝国博物館から、長年、死蔵されていたヴィブラニウムの金属器が盗難されたことを知ります。犯人は、ワカンダにとってヴィブラニウムの闇取引をする仇敵であり、前国王の死の原因を作った悪徳商人クロウでした。

クロウは韓国・釜山の闇市場で、ヴィブラニウムを売ろうとします。ティ・チャラはナキアとオコエを伴い、闇市場に乗り込みますが、そこにはクロウを追ってきたCIA捜査官で、ティ・チャラとは以前から顔なじみのエヴェレット・ロス(マーティン・フリーマン)の姿がありました。期せずして乱闘が始まり、壮絶なカーチェイスを釜山の街中で繰り広げた後、ロスはクロウを逮捕します。しかし、すぐにクロウの手下エリック(マイケル・B・ジョーダン)が現れて、クロウを救出してしまいます。

この時の戦闘でナキアをかばって瀕死の重傷を負ったロスを、ティ・チャラはワカンダに運ぶことにします。しかし、クロウを取り逃がした上、アメリカの捜査官を連れ帰ってワカンダの秘密を危険にさらすティ・チャラのやり方に、これまで王家を支えてきたボーダー族の族長ウカビ(ダニエル・カルーヤ)は激しく失望します。

そんな中、思わぬ男がワカンダ国境に一人、やって来ました。ウカビの前に現れたのは、クロウと共に姿を消した、あのエリックでしたが、それから事態は思いもよらぬ展開に…。

 

といったことで、かなり複雑なお話なのですが、よくよく構成された脚本で、非常に分かりやすく出来ております。しかも、こういう映画にありがちな、先を急いで急テンポで話をすっ飛ばす感じもなく、たとえば息子と亡き父親の情愛あふれる描写とか、その他の人物たちの愛憎や歴史的背景、肉親同士の屈折した想い…といったところが、しっかりと描かれて、人間ドラマとしても非常に秀逸なのが素晴らしい。ヒーロー・アクションものとして片づけるのはもったいない重厚なドラマ性があります。

アンディ・サーキスとマーティ・フリーマンという「ホビット」コンビの2人以外はほとんどの配役がアフリカ系の役者、という特異な作品ですが、日本人の目から見ても、そこが全く自然な展開として受け取れるのは見事です。とりわけ、久しぶりにモーション・キャプチャーでなく、顔出しで怪演するサーキスが本当に楽しそうです。「スター・ウォーズ」でこちらもモーションでしか登場しないルピタ・ニョンゴもたっぷり、生の姿で見られます。映像の素晴らしさは言うまでもありません。

そうそう、マーベル総帥スタン・リー(なんと95歳!)は本作でも元気に出演。セリフも長く、カメオという感じではなくて堂々の演技を見せています。半世紀以上も前の1966年(つまり昭和41年)に、ブラックパンサーの原作を創造した御大が、ついに映画化がかなったうえに自ら出演する、というのは考えてみると凄いことですね。

監督はライアン・クーグラー。あの「ロッキー」シリーズの最新作「クリード チャンプを継ぐ男」を監督した人です。そして、本作でエリック役のマイケル・B・ジョーダンはロッキーの親友アポロの息子クリード役として主演した人ですね。親子の情愛と継承、友情と裏切り、そして王位をかけた挑戦と、敗者の復活…実は本作では、このロッキー・シリーズの持ち味が効果的に生きているような気もしてきます。いつものマーベルものと異なるスポ根的な雰囲気は、そのへんかもしれません。

実に「充実の一本」ですね。見応え十分です。

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2018年3月 3日 (土)

【映画評 感想】シェイプ・オブ・ウォーター

ギレルモ・デル・トロ監督の話題の映画「シェイプ・オブ・ウォーター」The Shape of Waterを見ました。アカデミー賞の多くの部門にノミネートされ、「パンズ・ラビリンス」以来の傑作という呼び声も高い一作です。

「パシフィック・リム」のような娯楽大作から「クリムゾン・ピーク」のようなホラーまで手がける同監督ですが、なんといっても得意技と言えばクリーチャーもの、でしょう。モンスター、怪物が出てくるファンタジーはこの監督ならではの持ち味です。Photo


そして当然、デル・トロ監督ですから、容赦のない残酷な暴力シーンや性的なシーンも出てきます。それから1962年という冷戦期の時代背景から、繁栄しつつも狂気にとりつかれつつあるアメリカの暗部も暴き出されます。人種差別に女性差別、障害者差別、同性愛者差別、疑心暗鬼、表面的な虚飾の裏にある惨めな現実。かなりえげつない描写がある、という意味で大人の映画です。しかし、お話としてはおとぎ話のようであり、SFファンタジーでもあり、モンスター映画であるとともに、なんといっても恋愛映画でもあります。

 

1962年、アメリカ・ボルチモアの宇宙研究センターで働く清掃員のイライザ(サリー・ホーキンス)。声を出せない彼女の数少ない理解者は、アパートの隣人ジャイルズ(リチャード・ジェンキンズ)と、同僚のゼルダ(オクタヴィア・スペンサー)だけでした。ジャイルズは定職を失った売れないイラストレーターで、さらに当時、差別の対象だった同性愛者。ゼルダは貧しい黒人女性で、いつも夫に対する不満を愚痴っています。

そんなイライザの地味で変化のない日常は、突然、破られます。ホフステトラー博士(マイケル・スタールバーグ)が研究所に秘密裏に持ち込んだのは、アマゾンで捕獲された水生生物、半魚人(ダグ・ジョーンズ)でした。この生物を管理しているのは軍部出身の高圧的な男、ストリックランド(マイケル・シャノン)で、さらにその上にあって全権限を持つのは、軍部の最高位にある大物、ホイト空軍元帥(ニック・サーシー)でした。

やがてイライザは、その生物が高い知性を持ち、意思の疎通が出来ることに気付きます。水中にいる彼は、声を発しないイライザを障害者であるとは認識していない。そのことがイライザに安らぎを与えるのです。

しかし、初めから面倒な案件を早く片づけて、ワシントンに栄転したい、と願うだけのストリックランドは、生物を激しく虐待した上に、指を食いちぎられてしまいます。彼はホイト元帥に、生物を手っ取り早く殺して解剖し、宇宙での活動に必要な臓器の秘密を手に入れて、ソ連に先んじて宇宙計画を成功させよう、と進言します。

それを知ったイライザは、それまでの人生で発揮したことのない勇気を振り絞り、生物を助け出すことを決意します。手伝うように求められたジャイルズは、初めは怖気づくのですが、「彼を助けないなら、私たちも人間ではない!」というイライザの悲痛な訴えを聞き入れ、救助に加担。たまたま巻き込まれたゼルダも、見るに見かねて参加します。

そればかりか、意外なことにホフステトラー博士も、別の事情もあってイライザを助け、生物の救出作戦は成功します。生物はしばらくイライザのアパートに匿うことになりますが、まんまと生物を奪われたストリックランドは面目を失い、ホイトから「36時間以内に解決しなければ、お前は用済みだ」と冷たく言い放たれ、何が何でも犯人を突き止め、生物を始末しなければならなくなります…。

 

というような展開ですが、大筋のストーリーだけ見ると案外、あっさりしていますけれど、実際の描写は(ゴージャスな映像と相まって)非常に濃厚です。

特に「60年代の強いアメリカ」を体現するような白人男性ストリックランドは、虚栄心と性欲と暴力と差別の塊のような男として描かれています。そこに心優しく傷つきやすい同性愛者ジャイルズ、さらに繊細なイライザといった人物が対置され、おおらかだが芯の強いゼルダがお話を陰惨なものにしないように中心にいる、といった構図が見事ですね。

この映画は一種のおとぎ話であり、1962年の昔話であると同時に、明らかに「今の時代」を比喩的に風刺しているのですが、そういう背景を抜きにしても、イライザと生物との特殊な、しかも普遍的な「愛の形」は美しい。

どの出演者にとっても、非常に難しい役作りが求められた作品だと思います。これをまとめ上げて、ああいう演技を引き出したデル・トロ監督はやはり奇才です。計算され尽くした映像美と、残酷な描写と、美しいおとぎ話。読んではいけない怖い昔話、のような味を映画というフォーマットで作り込んでくる。やはり唯一無二の才能でしょうね。

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