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2017年12月29日 (金)

【映画評 感想】カンフー・ヨガ

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 いよいよ
2017年も押し迫りました。このほど、ジャッキー・チェン主演の中国・インド合作映画「カンフー・ヨガ」(功夫瑜珈、Kung Fu Yoga)というものを見ました。要するにカンフー映画とインド映画を足して、そこにインディ・ジョーンズの宝探しを混ぜてコメディーにしたようなけったいな一作ですが、これがなんとも奇妙な魅力にあふれています。今年の1月に中国、2月にインドで公開されて250億円以上を稼ぎ出し、興行収入的にはこれまでのジャッキーの主演映画の中で過去最高、となったそうです。

とはいえ、中国+インドで「カンフー・ヨガ」などというイージーかつ不真面目なタイトルから想像されるほど不真面目な内容でもなく、話の大筋は荒唐無稽ですが、意外に史実をからめた歴史ファンタジーでもあります。

映画館が飛躍的に増大し、アメリカを抜いて世界最大の映画市場となりつつある中国。そして独特の映画文化で世界に冠たるボリウッドを持つインド。両者が組んでの娯楽映画製作は、間違いなく成功しそうな要素満載です。しかし、実際にはこの二つの大国は決して仲良くありません。今月も、習近平主席の唱える現代版シルクロード「一帯一路」構想について、「インド政府は、14日に北京で開幕した国際協力サミットフォーラムへの参加を拒否した(産経ニュース)」という感じで、習氏の顔に思い切り泥を塗った感じです。そんな中、この映画では懸命に「両国が手を汲めば、一帯一路にも貢献できますよ」といったセリフがちりばめられ、政治的な配慮も垣間見えます。しかし、そういった点も、奇想天外な、あまりにもインド映画的な豪華絢爛なクライマックスに向かううちに、だんだんどうでもよくなる。それこそがこの作品の最大の特徴と言えましょう。

 

647年のインド。玄奘三蔵がインドから中国に仏典を持ち帰って以来、中国・唐王朝と友好関係にあったマガダ王国でクーデターが勃発。王位を奪った反乱者アルジュナは、マガダ王家が唐に献上しようとした財宝を奪おうとしますが、唐から受け取りに来た使節・王玄策の活躍で阻止されます。マガダ王女は援軍を要請するために、配下のビーマ将軍を王玄策に同行させ、唐に向かわせます。しかし、王玄策とはぐれた将軍の一行は、チベットの雪山で行方不明となってしまいます。

 それから1400年後の中国・西安。消えたマガダ王国の財宝を探すことをライフワークとしている兵馬俑博物館の考古学者ジャック(ジャッキー・チェン)の元を、インドの考古学者アスミタ博士(ディシャ・パタニ)が訪れます。彼女は、消えたマガダ軍の財宝のありかを示す地図を示し、協力を求めます。ジャックはアスミタと助手のカイラ(アミラ・ダスツール)、それに亡き友人の息子でトレジャーハンターのジョーンズ(リー・アーリフ・リー)、自分の助手シャオグゥアン(レイ)たちを連れて、地図が示す山中の地下深くに向かい、ついにマガダ軍の兵士たちの遺体を発見。しかしそこに突然、インドの富豪ランドル(ソーヌー・スード)率いる武装集団が現れ、ジャックたちと乱闘となります。このどさくさにまぎれ、ジョーンズは真の財宝の所在を示す秘宝「シヴァの目」を盗み、一人で逃げ出しました。

 数日後、アスミタから、ジョーンズがシヴァの目をドバイで開催されるオークションに出品したという知らせが届き、ジャックたちは急きょドバイへ。現地に住む大金持ちの友人ジョナサン(チャン・グオリー)の助けを得て16000万ドルの大金でシヴァの目を落札しますが、そこにまたもランドルの一味が現れて、これを奪い逃亡します。ジャックはジョーンズたちと協力してランドルを追跡するのですが、結局、シヴァの目は最後に現れたアスミタが奪い去ってしまいます。

ジャックたちは事の真相を知るべく、インドの研究機関に向かいアスミタの元を訪れます。実は彼女の正体とは…。

 

というような展開ですが、ジェットコースター的な急展開で突っ込みどころ満載の脚本はむしろ、それがそもそもの狙いとしか思えない感じです。頭が硬い人の批判は初めから受け付けません、だってこれは娯楽の王道作品ですから、というところでしょう。

ジャッキー・チェンのアクションは冴えわたり、これでもかと繰り出される、きらびやかなドバイの街や黄金キラキラのインドの財宝は、おめでたい正月映画にピッタリ。ドバイ王室提供で、何台も本物のフェラーリやランボルギーニの高級車が使用され、惜しげもなくカーチェイスでクラッシュされる様は、それだけで唖然とさせられます。ドバイ警察が保有する超高級パトカー「プガッティ・ヴェイロン」(定価2億円ほど。最高時速400キロ以上)もしっかり登場しており、車好きな人は必見でしょう。

なんといっても登場するのが八頭身の美男美女ばかり(ジャッキー本人は体形的にはちょっと違いますが)。特にアスミタ役のインド美女ディシャ・パタニは、現実離れした美貌とスタイルの持ち主で、こんな人が本当にいるのか、まさかCGキャラクター?と思われるほど。カイラ役のアミラ・ダスツールも、本作ではコメディー担当のちょっと三枚目な役回りですが、こちらも輝くばかりの美女です。いずれもインドでもまだ主演級とはいえ新人クラスの女優さんですが、インド芸能界にはこんな才色兼備の美女がいくらでもゴロゴロしていそう。恐るべき潜在的底力。やはり次の時代はインドですかね…。

一方、ランドル役のソーヌー・スードは、インドでは有名な悪役スターだそうです。

最後の最後、ゴージャスかつ怒涛の(?)エンディングで、途中の経過は何もかもどうでもよくなるような至福体験を味わえます。娯楽映画はこうでなければ。インドの映画では、いろいろ困難があっても、最後は笑って楽しく、という鉄則があるそうです。現実のこの世は苦しいことばかり、せめて映画の世界では幸福を味わいたい、というのがインドの考え方。

今年一年、大変だったな、という方には特にお薦めの「締めの一作」かもしれません。

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