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2017年8月 5日 (土)

【映画評 感想】ザ・マミー/呪われた砂漠の王女

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「ザ・マミー
/呪われた砂漠の王女」The Mummyという映画を見ました。主演はトム・クルーズ、共演にラッセル・クロウ、ソフィア・ブテラと豪華キャストで、古代エジプトのミイラが現代によみがえるストーリーを展開します。

 と聞けば、ああこれは何かミイラもの映画のリメイクなのだろう、とピンとくるわけですが、その通りでして、本作は1932年公開のミイラ映画の元祖「ミイラ再生」The Mummy(主演:ボリス・カーロフ)を下敷きにした作品。1920年代に大センセーションを巻き起こしたツタンカーメンの王墓発掘をイメージして製作されたものでした。そして、これのリメイクとして1999年以後、製作されたのがあのレイチェル・ワイズを有名にした大ヒット・シリーズ「ハムナプトラ」三部作だったわけです。それで今回は、モンスター映画の本家ユニバーサルの新企画「ダーク・ユニバース」シリーズの第一作としてのリメイク、となった次第。よって、同シリーズとして今後も、ハビエル・バルデム主演で「フランケンシュタイン」、さらにジョニー・デップ主演で「透明人間」などを予定している、とのことです。

 しかしそうなってみると、2014年に公開されたルーク・エヴァンス主演の「ドラキュラ ZERO.Dracula Untoldはどうなってしまったのか、というのが気になります。確かあれがユニバーサルの21世紀モンスター・シリーズ第一弾だったのでは? 結局あれは盛り上がらなかったので「なかったこと」にされてしまったのでしょうか。実際、たまたま一作目が当たったので続編に至った、というのと違い、初めからシリーズ物で行く場合の第一作というのは責任重大。マーベルの「アベンジャーズ」シリーズも、トップバッターの「アイアンマン」が成功したからこそ、今日まで続けることができたわけです。

 そういう意味で、絶対に失敗できない、という意気込みでトム・クルーズを出してきた、ということなのでしょうね。

 

 1127年、ロンドン近郊、オックスフォードの地下墓地にて。密かに埋葬される十字軍騎士の胸元には大きなオレンジ色の宝石「オシリスの石」が輝いています。それは彼らが中東への遠征で掠奪した古代エジプトの魔石なのでした。この秘石は永遠に騎士団の秘密とされるはずでしたが・・・。

 それから時は流れ、現代。地下鉄工事の掘削機が偶然、十字軍の秘密墓地を掘りあてます。ここに重大なものが隠されていると察知したヘンリー・ジキル博士(クロウ)率いる極秘のモンスター対策機関プロディジウムは、工事関係者を墓地から追い出し、接収してしまいます。

 同じころ、イラクの反政府ゲリラが抑えている土地を進むアメリカ軍の偵察兵の姿がありました。ニック・モートン軍曹(クルーズ)とクリス・ヴェイル伍長(ジェイク・ジョンソン)の2人ですが、彼らは軍人とは名ばかりで、行く先々の財宝や文化財を手に入れては売り払うという泥棒そのものの行為を繰り返しています。

 今も、ニックが一夜を共にした女性から盗み出した地図を基に、グリーンウェイ大佐(コートニー・B・ヴァンス)の命令を無視して、財宝があるらしい村に突入し、ゲリラに取り囲まれて絶体絶命のピンチに。無人攻撃機の爆撃でゲリラは逃げ出し、地面に大穴が開きました。穴の奥からは意外なことに、なぜかメソポタミアではなくエジプト文明の遺跡が発見されます。そこにニックから地図を盗まれた考古学者ジェニー(アナベル・ウォーリス)が現れ、遺跡の重要さを力説。グリーンウェイ大佐は緊急に遺跡を調査するように命じます。

 ジェニーとニック、クリスの3人が遺跡の中に入ると、そこは巨大な墓であることが分かります。そして棺の中に眠っているのは、死の神セトと契約を結んで魔道に身を落とし、王位を狙って父親と弟を殺害した罪で、エジプトから遠く離れたこの地に、生きながらミイラとして埋葬されたアマネット王女(ブテラ)であることが分かります。

 大佐は輸送機でアマネットの棺を運び出すことにしますが、クリスは機内で異常な行動をとり始め、大佐を刺殺してしまいます。やむなくニックはクリスを射殺しますが、さらにカラスの群れが輸送機を襲い、ロンドン近郊で墜落することに。ニックはジェニーをパラシュートで脱出させますが、自分は飛行機もろとも地面に激突します。

 しかしどうしたものか、ニックは怪我一つ負わないで助かってしまいます。そこに出現したクリスの亡霊はニックに「お前はアマネットの呪いを受けた。だから死ななかったのだが、お前には死よりも恐ろしい運命が待っている」と告げます。

 同じころ、地上に落ちた棺から蘇ったアマネットは、人から生気を吸い取って力を取り戻していきます。憎悪に満ちた彼女の目標は、生贄としてニックを手に入れ、セト神にささげること。そして、その儀式のために「オシリスの石」を手に入れることでした。アマネットに襲撃されたニックとジェニーは危機一髪のところで、モンスター対策機関プロディジウムに救出されますが、責任者のジキル博士は、実は自分自身も極悪人の二重人格「ハイド氏」を抱えたモンスターなのでした・・・。

 

 というようなことで、なぜかここで「ジキル博士とハイド氏」の設定まで出てきて、ちょっと違和感はあるのですが、さすがにラッセル・クロウの演技力で見せてくれます。彼の着ているスーツが見るからに立派な仕立てなのですが、やはりサヴィル・ローのフルオーダー・スーツだそうですね。

 トム・クルーズはもうお見事。アクションシーンも難なくこなしていますが、本当は55歳ですからね。それで、劇中で「お前は自分が若いと思ってオレをなめているんだろう?」などとハイド役のラッセル・クロウから呼び掛けられるのですが、実はトム・クルーズの方が53歳のクロウより2歳も年上(!)。上官役のコートニー・B・ヴァンスは57歳で、ほとんど同年代。普通、ベテランの鬼軍曹役というならともかく、アウトローで女好き、命知らずな偵察部隊の若手下士官なんてチャラい役柄は、体力以前に雰囲気的に、50代の人は出来ません。もう日頃の鍛錬のなせる技ですね。

 「キングスマン」で一躍、売れっ子になったソフィア・ブテラはさすがにはまっていて、そもそもこの人ありきで制作が決まった映画だそうですから、素晴らしい存在感ですが、なにかここまでやるならもっと派手なアクションをしてほしかったですね。もうちょっとこの人を見たかった。最初のうち、完全復活するまでは干からびたミイラ状態なので、意外に彼女本来の姿が見られるシーンは少ないのですよ。

 もう一人のヒロイン、アナベル・ウォーリスも魅力的です。この人も近年、大注目されて売れっ子になりつつある人ですが、知性と気品がある人ですよね。こういう現代物でも、時代劇でもこれから引っ張りだこになりそうな予感がします。

 本作については、海外の批評で「いかにもシリーズ作品に続く、という感じの制約がスケールを損なっている」という辛口のものが見受けられますが、確かにそういう感じはあります。何か連続テレビドラマの第一話のような、話の決着の付け方が寸止め、という感想を持つ人はいるのかもしれません。比較するなら、「ハムナプトラ」の方が話としては大風呂敷で面白かったような気がするわけです。今作のアマネットは、要するに現代の世界で何をしたかったのかがイマイチ、薄弱な感じは否めないわけです。

 しかし、やはり出演陣の頑張りというもので、一本の活劇としてのレベルは非常に高い。やはりこれはトム・クルーズでなければ成り立たなかっただろう、という気がします。衣装担当は「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのペニー・ローズが担当しています。古代エジプトのシーンの豪華な衣装や、騎士団の衣装などが素晴らしく、ミイラや現代の登場人物の服装もよく考えられています。たとえばラッセル・クロウにはサヴィル・ローの最高級ビスポーク、トム・クルーズには正規のアメリカ兵の戦闘服ではなく、現地で調達したらしい適当なジャケット、という具合です。

 いずれにしても、今後の大河シリーズの発端として、見ておきたい一作です。

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