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2016年7月29日 (金)

8月刊『軍装・服飾史カラー図鑑』前書きを一部紹介。

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辻元よしふみ、辻元玲子の共著『軍装・服飾史カラー図鑑』(イカロス出版より刊行、フルカラー230ページ、予価税込3500円)の印刷会社への入稿が無事に済みました。アマゾンなどではすでに予約を開始しております。8月第2週を目途に配本の予定です。
 本日は、「日本陸軍 昭五式軍衣」のページの一部画像と、この本の「前書き」から一部をご紹介します。なお、本書で取り上げたのは旧日本陸軍の歩兵少尉で、一般的には乗馬用のズボンやブーツは着用しないのが建前ですが、副官勤務や重火器を扱う部隊の隊長になると下級将校であっても乗馬本分の扱いになり、またそれを理由に、開戦前の比較的、おおらかな時代には日常的にも見栄えの良い乗馬装を着用する歩兵将校はしばしば見られたので、絵柄の派手さも考慮して乗馬装姿を描いております。
 ◆  ◆  ◆
 ようやく『軍装・服飾史カラー図鑑』を皆様にご覧いただくことが出来ます。企画から丸3年半かかりました。それでも前の著作『図説 軍服の歴史5000年』(2012年、彩流社)は完成まで4年半もかかったので、少しはスピードアップしたといえるのかもしれません。
 今回は、これまで予算の関係で実現できなかったフルカラー出版、ということにしたので、それだけで大変なことになりました。昔の服の色調や素材の質感を再現するのだから、ひとつひとつ、リサーチが必要になります。「青」とか「赤」とか単純に言っては駄目で、たとえばプロイセン陸軍の軍服の「青色」と、英国海軍の軍服の「青色」は異なりますので、そこを理解して描く必要があるわけです。81zih8ghbwl



 本書は料理でいえば「下ごしらえ」のようなもので、史実に基づいた漫画やイラスト、あるいはファッション・デザインをする方たちのために、時間と手間がかかる下調べをしてさしあげる、というコンセプトで製作しております。よって、今回は特に服や装備品のディテール、とりわけ「後ろ姿」を可能な限り紹介することにしました。これは口で言うほど簡単なことではありません。
 いま、昔の服の遺物がいい状態で現存しているのは、最も古くて18世紀後半のものです。日本で言えば江戸時代の後期あたりですね。それ以前のものは、たとえ存在していても、生地は色あせてボロボロ、刺繍も変色して、元が、金色なのか銀色なのかさえ分からなくなっている、というわけです。もちろんそれより以前の、16世紀だの13世紀だのとなると、昔の肖像画に頼るしかなく、ローマ時代ともなれば、レリーフしかないのです。
ところが、どこの世界に、高いお金を払って画家を雇い、わざわざ自分の背中やお尻を描かせる王様や貴族がいたでしょうか? だから歴史コスチュームの後ろ姿というのは、非常に再現が難しいのです。
 また、おおむね19世紀半ばより前の時代の人物は、腰に剣や刀を帯びています。これも時代により国により様々な様式があり、でたらめなものを描くわけに行かないのですが、おまけに、実は剣そのものより難しいのが、剣を下げるためのベルトや帯のたぐいです。こういうものも意外に記録が残っておらず、当時の絵でも、おそらく画家が面倒くさがったのでしょうね、わざと後ろに隠したり、手で見えなくしたりして、誤魔化していることが多いものです。今回はそのへんも、可能な限り「逃げることなく」徹底再現に挑戦しています。だからこんなに時間がかかるのです。
 そんなわけですから、図解を製作する画家・辻元玲子の負担は非常に大きいものです。絵に起こすための実物調査や細部のリサーチは、玲子自身が行っていることを特筆しておきたいと思います。今作はよしふみがプランを立て、基礎研究をして流れやシナリオを決めた後、ディテール調査と図解製作は玲子が中心に行い、その後、よしふみが解説文を付ける、という順序で作業を進めました。(以下略)

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