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2016年7月16日 (土)

ウォークラフト

Warcraft


「ウォークラフト」WARCRAFという映画を見ました。日本では公開館が少なく、私も豊洲のユナイテッドシネマまでわざわざ出向きましたが、世界16か国でランキングの首位を奪い、400億円を超える興行収入を得た、ということで海外では大ヒット作品となっています。

 それというのも、この映画の元ネタは、全世界で1億人以上がプレイした、とされるゲーム「ウォークラフト」で、初めから話題性満点なのですが、どうしたわけかこのゲームは日本では全く盛り上がらず、知名度も低いので、温度差も無理もないところです。まあ、日本は世界でも有数のコンテンツ大国で、国産メガヒット・ゲームもいくらでもあり、あえてこの、ロード・オブ・ザ・リングLOTR(指輪物語)に強い影響を受けた世界観の作品に飛びつくような需要もなかったのだと思われます。

 しかしこのウォークラフトの人気が高い理由は、基本的に正義と悪の戦いを描いたLOTRとは異なり(原作は第二次大戦中に書かれているので、やはりナチスとの戦いを主眼に置いていたのだといわれます)、登場するどの勢力も必ずしも善でも悪でもなく、その者たちなりの戦う理由も大義もあるように描かれており、プレイヤーは人間のほか、オークにもエルフにも、ドワーフにもなれる、つまりどの種族でもプレイできるそうで、そういう相対的な世界観が現代的なのだといわれているようです。

 特にこの映画化にあたっては、2006年に最初の構想が持ち上がって以来、何度も練り直され、最終的に、先ごろ亡くなったロックスター、デヴィッド・ボウイの子息であるダンカン・ジョーンズ監督がメガホンをとるまでに、紆余曲折があったこともあり、LOTRの焼き直し的な初期の構想から、むしろ移民問題で悩む現代のテーマに差し替わっているのが大きな特徴ではないでしょうか。

 というのも、本作は荒廃した世界を捨てて、オークたちが人間たちの住む世界に押し寄せてくる、ということから戦争に発展する、という設定になっており、異民族との遭遇と、あくまでも戦うのか、共生の道を探るのか、といった問題が根底にあって、娯楽作品ながら考えさせられる要素が多い作風となっているのです。

 

 平和の地アゼロスには、勇敢な人間や俗世に交わらないエルフ、技術力に優れたドワーフたちが平和に共存する世界が広がっています。ダラランの天空城塞にあるキリン・トアの高等な魔法使いたちが世界を見守り、地上はストームウィンドの王都にある思慮深きレイン王(ドミニク・クーパー)が、王妃タリア(ルース・ネッガ)と、王妃の兄で騎士団司令官のローサー(トラヴィス・フィメル)、王国を守護するカラザンの塔の魔法使いメディヴ(ベン・フォスター)らに支えられて、長く繁栄を誇ってきました。

 しかしここに、異世界ドラエナーから、アゼロスには本来、存在しないオークの軍団が突然、出現します。オークは本来、武術と名誉を重んじる種族ですが、敵の生命を奪い取って恐ろしい死の魔力を発動する魔法使いのオーク、グルダン(ダニエル・ウー)が権力を握るようになると、ドラエナーは崩壊し死に満ちた世界に堕落してしまいました。グルダンは新たな力を得るためにアゼロスに侵攻しますが、オークの族長の一人デュロタン(トビー・ケベル)はグルダンの方針に疑問を抱いています。

 キリン・トアの落第生という駆け出しの魔法使いカドガー(ベン・シュネッツァー)は、オークが死の魔法を扱うことを知り、ローサーとレイン王に急報。守護者メディヴが召集されます。ローサー率いる偵察隊はオークの先鋒部隊と遭遇。デュロタンらと相まみえ、苦戦しますが、メディヴの魔法によりなんとかオーク軍を撃退します。この戦いで捕虜となったオークの一人、ガローナ(ポーラ・パットン)はなぜかオークと人間のハーフで、通訳として人間に協力するようになります。徐々にガローナとローサーは惹かれあうようになります。

 一方、自らも死の魔法を操るようになったメディヴの言動に不信感を抱いたカドガーは、キリン・トアの城塞に赴き、ことの真相を探り出そうとします。また、グルダンの侵略的な方向性に決定的な違和感を覚えたデュロタンは、人間と同盟を結んでグルダンを倒すことに意を決し、ガローナを介してレイン王との会見に臨むことになりますが・・・。

 

 というわけで、近年、この種のファンタジーもので大活躍のドミニク・クーパーや、「ミッション・インポッシブル」などで人気上昇中のポーラ・パットンが魅力的です。「猿の惑星」でもモーション・キャプチャーで熱演していたトビー・ケベルが、今回はオークの族長役で奮闘しているのも注目。ローサー役のフィメル、メディヴ役のフォスターもカッコいいですね。その他、超有名人や大物が出ているわけではありませんが、・・・いえ、実はノンクレジットのカメオ出演でグレン・クローズが出演していますが、それ以外には、主に新進気鋭の実力者という俳優さんたちで布陣が固められております。こういうファンタジーの場合、極端に色のついた人は使わない、というのが鉄則なので、新鮮かつ納得のキャスティングです。

 ゲームの原作があるとはいえ、映画として独立した世界観があり、予備知識は一切必要ありません。しかし、だからこそエンディングは「続く」という感じになっておりますので、これで終わられると困るというか、要するに続編を作っていただいて、この映画の世界観としての大団円まで見せてくれないと、欲求不満になりそう。

 まあ、そのへんが狙いなんでしょうし、ヒットしたのできっと続編を作ってくれるでしょう。期待しています。本作も、撮影した後で20か月も映像作りに費やしたといいますので、次作があったとしてもちょっと先になりそうですが、必ず、この後のアゼロスの歴史を見せてほしいと思いました。

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