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2016年1月11日 (月)

「超クラシック」なのに「超モダン」な19世紀末のスーツ。

 

Pierremarie


  今日は「成人の日」でありますが、もはや30年近く前に成人しました私が何をかいわんや、ですのでそれとは何ら関係ないことを記します。というか、自分の覚え書き、メモとして書いておこうと思うのですが。
 昨日たまたま、仕事がらみで「シャルコー・マリー・トゥース病」という難病について調べる機会がありました。これは下半身が不自由になる萎縮性の難病でして、長い病名は、この病気の実態を解明した3人の神経科医、いずれも19世紀後半から20世紀初めに活躍したフランスのジャン・マルタン・シャルコー(1825~93)、ピエール・マリー(1853~1940)、英国のハワード・ヘンリー・トゥース(1856~1925)の名にちなんでいるそうです。
 その中で、真ん中のピエール・マリー先生なんですが・・・この方は、最初に名の出て来るシャルコー先生のお弟子さんだそうですけれど、このマリー先生の写真というのをウィキペディアに見つけました。1900年ごろ撮影というので、40歳代後半、今の私ぐらいの年齢でしょう。
 それがカッコいい、そして今ではお目にかかれない感じのスーツを着ているのです。ご覧の通り、詰め襟を開襟にしたような襟の形は非常に小さく、左襟にあるボタンホールは、おそらく実際に使えるような大きいものです。よって、たぶん反対側の襟裏には実用のボタンがあり、上襟を立てて上のボタンを閉じると、5つボタンの学生服や軍服のように着ることもできるのじゃないでしょうか。
 その下、やたら小さな・・・Vゾーンと呼んでいいのかも分からないほど小さなVゾーンにはものすごくでかいネクタイのノット(結び目)と、スタンドカラーのシャツの襟がまっすぐ突っ立っています。時代的には付け襟なんでしょう。
 近年のモーダ系のメゾン、というのが作るやたらオシャレ系のスーツよりずっとソリッドじゃないでしょうか。そして、もともと詰め襟のコートから派生したスーツ、という流れをまだ色濃く残しているのがいいですね。超クラシックでいて、何か超モダンなようなこのマリー先生の着こなしは目を引きました。同じ時代の英国では、上から2番目のボタンだけ閉じて、下はすべてボタンを外す着こなしが流行でした(エドワード7世の好みだったとか)が、フランスではこのようにいちばん下までボタンを閉じる人も多かったように見受けます。スーツのボタンの下の方は外す、という英国式ルールが世界中に広まるのは20世紀に入ってからですね。
 それにしても、このぐらいの時代の学者さんは、自然科学系の人でもみんなオシャレですよね本当に。こういうスーツを作ってください、とお願いしてもどこのテーラーさんも困るでしょうかね。私なら欲しいですが、普通の人は着なさそうですし。
 私は、こういう「超クラシック・スーツ」とか、もっと前の19世紀初めに流行った「M字ラペル」(ゴージラインを挟んでMの字に切れ込みがある)の服など、出来るものならいつの日か、作ってみたいと思いますね、古い衣装の研究家としては。

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