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2015年12月30日 (水)

スター・ウォーズ フォースの覚醒

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「スター・ウォーズ フォースの覚醒 
STAR WARS THE FORCE AWAKENS」を遅ればせですが見てきました。もはや瞬く間に封切から2週間ほどで興行収入10億ドル(1200億円)超え、ということで、今さら何をかいわんや、でございます。

 私は1977年の第1作「スター・ウォーズ」を小学5年生で体験した世代です。映画の常識を変えてしまったこの作品に圧倒された一人だったのは言うまでもありません。それで、この作品はもちろん、初めからジョージ・ルーカス監督の中では3部作、いや前史も含めた6部作や、後の時代を含めた9部作といった構想は、ある程度あったと思いますが、少なくとも第1作を見る限りでは、これだけで一応の完結、でもすむ感じになっておりました。デス・スターの破壊で強大な帝国を共和勢力が打倒して、主人公のルークとレイア姫が仲良くなっておしまい、という雰囲気でした。ダース・ベイダーとルークやレイアの関係も、後に明らかになる血縁の因縁など感じさせる要素はほとんどなかったように思います。

よって、私の中では、その後に製作されたこの3人の「スカイウォーカー家」の物語であるエピソード5やエピソード6は蛇足なものに感じられ、ましてアナキン・スカイウォーカーの堕落を描くエピソード1~3は無用なものとすら思えた時期がありました。要するに、すべてが第1作から派生した豪華な外伝のように思えたのであります。無論、このシリーズの原点にはSF大河小説「レンズマン」シリーズの映画化を当初は目指していた、ということからも分かるように、ある一族の進化と大きな歴史を描く構想はそもそもあったのだとは思います。というのも、原型となったレンズマン・シリーズも、宇宙の善悪の二大勢力が争う中で、善なる能力を発揮して世界の未来を担うことになる主人公の親子、一族の物語であるからです。

 そういうわけで、個人的には、今日「エピソード4 新たなる希望」と呼ばれている第1作への思い入れが強く、それ以外のシリーズは、もちろん観賞はしましたが、ある頃までは違和感を持っていた、という事情があります。いえ、もう慣れましたので、今ではダース・ベイダーがルークとレイアの父親、というのも当たり前と感じるようになりましたが。

 そういう目で見ますと、今作は、まさに正統な「スター・ウォーズ」の続編、という感じがしますね。砂漠の惑星からの逃走劇、そして潜在的なフォースの持ち主が覚醒していくさまを描くこの作品は、間違いなく第1作「エピソード4」の後継作品、と言いますか、本歌取りのような作品と思えた次第です。

 こういうレジェンド級の作品になると、何をどうしても毀誉褒貶が激しく、そのストレスでジョージ・ルーカス本人が降りてしまったほどの強烈なプレッシャーにさらされることになります。そんな中で、本作の監督を引き受けたJ・J・エイブラムス監督の手腕と勇気はやはり、素直に褒め称えられてしかるべきなのではないでしょうか。

 どこがどう、というのは詳しい方がいろいろと調べていると思いますので、私ごときが何か申す必要もありませんが、随所にエピソード4を思い出させるシーンがあり、エイブラムス監督本人がシリーズの、特にエピソード4のファンであることがよく分かる作品ですので、私のような世代で、エピソード4になじみの深いオールド・ファンは特に納得できる作品となったのではないでしょうか。

  ◆  ◆

 皇帝が倒れ、帝国が滅びて「新共和国」が成立してから30年後。最後のジェダイであるルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)が失踪し、フォースのバランスはまたも崩れかかっている時代となりました。フォースの暗黒面を信奉するシスが復活し、スノーク(アンディ・サーキス)率いる帝国の残党「ファースト・オーダー」が公然と共和政に反旗を翻しつつありました。これに対し、レイア・オーガナ姫(キャリー・フィッシャー)は、ファースト・オーダーと戦う私設軍「レジスタンス」を編成し、自らオーガナ将軍と名乗って陣頭指揮を執っています。両陣営とも、戦いの行方を左右する伝説の人、ルークの居所を突き止めることに躍起になっております。

 そんな中、砂漠の惑星ジャクーに潜む、ジェダイたちの活躍した時代を知る長老ロア・サン・テッカ(マックス・フォン・シドー)がルークの居所を示すデータを持っていることが分かります。レジスタンス軍のパイロット、ポー・ダメロン(オスカー・アイザック)がジャクーに向かい、テッカからデータを受け取ります。しかし、すぐにファースト・オーダーの指揮官にして、スノークの暗黒の弟子、さらにダース・ベイダーの後継者を自称するカイロ・レン(アダム・ドライバー)が村を襲撃し、村びと全てを虐殺します。テッカは命を落とし、ポーは敵につかまる直前、データを自分のドロイドBB8に託します。

 ジャクーの砂漠で廃品回収業を営み、その日暮らしをしている少女レイ(デイジー・リドリー)は、ふとしたきっかけで、逃げてきたBB8を助けることとなります。

 一方、ファースト・オーダーの高級指揮官ハックス将軍(ドーナル・グリーソン)の部下で、女性指揮官キャプテン・ファズマ(グウェンドリン・クリスティー)が率いるトルーパー部隊の隊員FN2187(ジョン・ボイエガ)は、残虐行為に加担することに耐えられなくなり、軍を脱走することを決意。捕虜となっているポーと共に戦闘機を奪い、ジャクーに降り立ちます。しかしこのときに墜落した戦闘機は砂の中に埋まり、ポーは行方不明に。

FN2187ことフィンは一人で砂漠をさまよううち、レイとBB8に出会います。しかし廃品買取所の経営者アンカー・プルート(サイモン・ペグ)がファースト・オーダーに通報したことにより、またも敵の軍勢が襲来し、お尋ね者であるフィンとBB8と一緒に、もともと無関係なはずのレイもファースト・オーダーから追われる身となります。

 レイとフィンは、アンカー・プルートの廃品置き場に長い間、放置されている古い宇宙船を奪ってジャクーから飛び立ちます。敵のTIEファイター戦闘機が追ってきますが、レイは初めてなのに天才的な操縦がさえ、またフィンも初めて経験する銃座からの射撃で見事な腕前を見せ、なぜか敵を全滅させてしまいます。自分たちに意外な潜在的才能があることに気付き驚く2人。

 しかし宇宙空間に出たところ、宇宙船は正体不明の海賊に乗っ取られてしまいます。乗り込んできたのは、ハン・ソロ(ハリソン・フォード)とチューバッカ(ピーター・メイヒュー)の2人でした。ソロはつぶやきます。「チューイ。我が家だ」

 レイたちが盗み出した宇宙船とは、ソロが長年、行方を捜していた伝説のミレニアム・ファルコン号なのでした。ソロはルークの行方のデータを担っているBB8を、レイアのいるレジスタンスの拠点に運ぶことに決めますが、まずは長年の友人マズ・カナタ(ルピタ・ニョンゴ)に協力を求めることにします。

 しかしその頃、ニュー・オーダー陣営では、ハックス将軍がかつてのデス・スターを数倍上回る超巨大兵器「スター・キラー」を起動させていました。目標は新共和国の元老院がある首都の惑星。こうして新たな戦争が始まろうとしていました。また、カイロ・レンは、ジャクーから脱走兵フィンと共に逃げたという少女の報告を聞き、彼女が恐ろしいフォースの潜在能力を持っているのではないか、という疑念を抱きます。彼女のフォースの覚醒は、カイロ・レンとファースト・オーダーにとって恐ろしい敵が現れることを意味していました・・・。

  ◆  ◆

 それにしても、今作がどうしても旧作に比べて軽い感じがする、という声もあるようですが、だとしたら、やはり敵であるべき人物が、ダース・ベイダー=アナキン・スカイウォーカーのような熟練の完成された悪役ではなく、まだまだ本人も修行中という身分のカイロ・レンであることが大きいのではないでしょうか。カイロ・レン自身が、偉大なダース・ベイダーに及びもつかない自分、というものに悩んでいるように描かれているわけで、どうしても力不足、という印象は否めません。まあ、新3部作はヒロインのレイと共に、この人の成長も扱うわけでしょうが。

 いずれにしても、スカイウォーカー一族の3代記というシリーズになったわけですが、こうなってみると、やはり三船敏郎さんにダース・ベイダーを引き受けていただきたかった、と思われますね。日本語の「時代劇」から「ジェダイ」という名をつけたとか、登場人物が着物風の衣装を着ていること、C3POとR2D2のコンビが黒澤明監督の「隠し砦の三悪人」を参考にしている、といった話で明らかなように、このシリーズはSFで味付けしたルーカス流の時代劇、でもありました。だから、ルーカス監督が三船さんに真剣にベイダー役をオファーしたけれど、三船さんはSFなんて子供向けの映画だろう、と軽く考えて断った、というのは有名な話です。もしこれが実現していたら、アナキン役もルーク役も、そして今回から登場するアナキン・スカイウォーカーの血筋に連なると思われる人々の配役も、日系人、少なくともアジア系またはアジア系ハーフやクォーターの役者が抜擢されていたかもしれません。

 私は大満足致しました。まあ、やはりあのジョン・ウィリアムズさんの音楽が流れる中、STAR WARSのロゴが映し出された瞬間、熱いものがこみ上げますね。Xウィング戦闘機やTIEファイター戦闘機が乱れ飛び、ミレニアム・ファルコン号が息を吹き返すシーンを見れば、紛れもなくこれがスター・ウォーズの世界なのだと思い知らされます。

 改めてファルコン号を見直すと、銃座が付いていること、前方の風防が透明になっていることなど、大戦中の米軍のB17爆撃機にそっくりなことに気付かされます。実際、私が70年代に第1作を見たときに最もしびれたのが、ファルコン号の描写がまるで戦争映画「頭上の敵機」のようでカッコよかったから、という理由だったことを思い出します。その当時は、60年代まで盛んに製作された戦争映画が下火になり、それをルーカス監督がSFにアレンジして描きなおした要素もあった、というのもよく知られるところです。空戦シーンの描写は、本当に戦時中の空戦の実写を参考にして作ったという逸話もあります。Xウィングの飛行隊の描き方も、往年の戦争大作「空軍大戦略」などを思わせるものですし、そもそもルーク・スカイウォーカーも初めのころは剣士とか騎士とかいうより、エース・パイロットという扱いの描かれ方でしたしね。今回のポー・ダメロンはそこの要素を引き継いだ登場人物のように見えました。

 こういった原点の本質を、今作は正しく伝えた続編だったと私は思います。エイブラムス監督は8作目のメガホンはとらない、という話も伝わっておりますが、今作は完全に「続く」というエンディングになっております。気がかりな要素をちりばめたまま、終わってしまいましたので、一日も早くエピソード8を見てみたいと思いますね。次に引き受ける監督はさらに難しいし大変だとは思いますが・・・。

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