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2015年10月29日 (木)

ダイバージェントNEO

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 「ダイバージェントNEO」THE DIVERGENT SERIES:INSURGENTを見ました。原題のインサージェントというのは叛乱者、暴徒といったところです。本作は「ダイバージェント」の続編として製作され、3月に全米公開されて世界で3億ドル近い興行収入を得たそうで、十分にヒットした方だと言えるでしょうが、ちょっとこのシリーズ自体が、影が薄い感じがします。いわゆるアメリカのライトノベル(ラノベ)といえる「ヤングアダルト」小説の実写化作品としては、「ハンガー・ゲームス」「トワイライト」「メイズ・ランナー」といったシリーズがあるのですが、その中で「ダイバージェント」はちょっと出遅れた感じがあります。独特の設定が分かりづらいというのが一つの難点のような気がします。
 今から200年の未来、戦争で荒廃した世界の中で、シカゴに生き残った人々は分厚い防壁で外界から遮断され、「勇敢」「無欲」「高潔」「平和」「博学」の五つの派閥に分かれて暮らす社会を形成している、そして人は16歳になると自分の適性検査を受けて、多くは生まれ育った派閥の社会で、しかしごく少数は親とは異なる派閥を自ら選んで生きる「転向者」となり、またごく一部の人は派閥の生活から落ちこぼれて「無派閥」と呼ばれる社会の落伍者扱いになる──そして、ごくまれにどの適性とも分類できない人間が生まれる。これが異端者(ダイバージェント)で、危険分子とみなされ、政府からは抹殺の対象とされているため、異端の烙印を押された者は通常、その事実を隠して生きる・・・、という前提が、とっつきづらい感じは正直、あります。1作目は、この設定を説明するのに相当に時間を取られていた感じがあって、もどかしいという印象は確かにありました。
 しかし2作目である本作になりますと、今のような話は省いていけるので、映画としては非常にテンポがよくなった印象がありました。
 ◆  ◆  ◆
 1作目で、「博学」の指導者ジェニーン(ケイト・ウィンスレット)は「勇敢」のエリック(ジェイ・コートニー)たちを利用して、政治を司っている「無欲」の社会を襲撃。「博学」グループによる社会の制圧を目論みました。「無欲」出身で「勇敢」に転向した「異端者」トリス(シャイリーン・ウッドリー)は、かつて「無欲」から転向し、「勇敢」社会での戦闘訓練の教官で、今では恋人であるフォー(テオ・ジェームズ)、「高潔」出身で「勇敢」に転じたピーター(マイルズ・テラー)、そしてトリスの兄で「無欲」から「博学」に転じたケイレブ(アンセル・エルゴート)と共にジェニーンの陰謀を阻止しようとしましたが果たせず、トリスとケイレブの両親をはじめ多くの犠牲を出してしまいます。彼らは混乱から脱出し、ジョアンナ(オクタビア・スペンサー)が指導する「平和」グループの農場に身を潜めています。
 しかしここにも、ジェニーンに操られたエリックの軍隊が攻めてきます。ピーターが裏切ったことで危機に陥りますが、トリス、フォー、ケイレブは辛くも脱出し、「無派閥」グループの元に身を寄せることに。しかし、かつては無害な落伍者の群れのようだった「無派閥」は、今では堅固な要塞を築き、組織化されて急激に武装集団となりつつあることに、トリスは驚きを隠せません。その理由は、フォーの死んだはずの母親イヴリン(ナオミ・ワッツ)の存在にありました。イヴリンはジェニーンに深い恨みを抱き、「無派閥」による強力な叛乱軍を率いて打倒することを画策していたのです。
 ですが、母親に心を許せないフォーは「無派閥」の元を離れることを決意。トリスもこれに従いますが、ケイレブはジェニーンを打倒するという考えに同調できず、2人と袂を分かちます。2人は「高潔」の保護下にあって、ジェニーンやエリックたちの陰謀に加担しなかった「勇敢」の生き残りたちと合流します。しかしここにもエリックの軍勢が奇襲をかけて来ます。というのも、ジェニーンはトリスの両親が密かに所持していた「200年前の先祖からのメッセージ」の入った箱を手に入れており、その謎を解くには、非常に高い素質を持つ「異端者」が必要だったからで、徹底的な「異端者」狩りを進めていたのです。
 なんとかエリックを倒したトリスとフォーは、「無派閥」の元に戻り、イヴリンの叛乱軍と組んでジェニーンを打倒することにします。一方、最も優秀な「異端者」がトリスであると気付いたジェニーンは、なんとしてもトリスを生きたまま捕えようと画策。そこで、裏切者のピーターがジェニーンにある卑劣な策略を献策。この結果、トリスは自ら危険を承知でジェニーンの元に出向き、あえて命の保証もない、箱を開錠する実験に参加することになりますが、ジェニーンの傍らには、ピーターだけでなく、意外にも兄ケイレブの姿もありました・・・。
 ◆  ◆  ◆
 ということで、物語の中盤から、ヒロインのトリスが恐ろしいテストに挑むわけですが、このあたりからのスケールの大きい映像は誠に見事です。一昔前なら考えられなかったようなスペクタクルになっております。見渡す限りの都市も建物も、夢幻のように粉々に砕け散っていく描写はすさまじい限りです。
 また今作は、人間ドラマとしてもかなり手ごたえがあって、概略を見ただけでもお分かりのように、裏切り、背信行為の連続。まさに誰のことも信用できない、といった展開が続きます。そういう中で成長していくトリスとフォーの絆の描き方は美しいです。
 なんといっても大ヒットした青春映画「きっと、星のせいじゃない」で、難病に侵された恋人同士という役で共演したウッドリーとエルゴートが、本作では1作目に続いて兄(ケイレブ)と妹(トリス)という役柄で再共演しているのが興味深いところ。また「アンダーワールド」シリーズでも今後の続投が決まっているテオ・ジェームズが、本作でも頼れる男フォーを好演していますね。
 それに、1作目の時点では無名だった若手の共演者たちがその後、次々に活躍しています。ピーター役のマイルズ・テラーは「セッション」や「ファンタスティック・フォー」で主役、準主役をこなして今や若手俳優の出世頭に。エリック役のジェイ・コートニーも「ターミネーター」新シリーズで準主役のカイル役に抜擢されました。そんなわけで、今になってみると、テラーやコートニーが悪役で脇役、という扱いで出演しているのが、1作目からの続きだから当然なのですが、不思議な感じがしてきます。それだけ急速に、彼らは抜擢されていったのですね。その他、「マッドマックス」新作でも活躍していたゾーイ・クラヴィッツなど注目株の若手が多数、顔を出しています。今後も「あの役の人がこんなに有名になるとは」という、これから出てきそうな人が出現しそうです。
 物語もようやく、2作目まで来て少し謎が解けてきた、というところまで、です。謎めいた性格診断テストによる奇妙な社会も、その背後に大掛かりな企みがありそう、というところで以下は3作目をご覧あれ、という感じです。どうも本作は結局、4作目で完結することになりそうです。正直のところ、2作目の公開状況を見るに日本国内ではあまり盛り上がっていない本シリーズのようですが、ぜひ最後までこの世界の秘密を見届けたいと思いますね。

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