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2015年10月23日 (金)

マジック・マイクXXL

 

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 3年前、異例の大ヒットとなった男性ストリップ・ダンサーの世界を描く映画「マジック・マイク」。チャニング・テイタムの新たな代表作となったうえに、マシュー・マコノヒーが演技派として注目される契機となり、彼がアカデミー賞を獲得する流れを引き寄せた作品にもなりました。
 そして今回は、その続編「マジック・マイクXXL」MAGIC MIKE XXLが日本に上陸しました。そこで私も劇場で見て参りました・・・。
 前作は、ダラス(マコノヒー)が経営するフロリダ州タンパのストリップ劇場「エクスクイジット」が舞台。看板スターのマジック・マイク(テイタム)が、自らが育てた若手ストリッパーのアダム(アレックス・ペティファー)に追い上げられ、一方でアダムの姉のブルック(コディ・ホーン)と出会ったことで人生を見つめ直していく、というストーリーでした。結局、タンパを捨ててマイアミ進出を企てたダラスとマイクの意見が衝突し、マイクは一人、引退しブルックとの生活を選択。ダラスは派手なタンパでの最後の興行を打った後、新たな看板となったアダムほか一座を引き連れてマイアミに去っていく・・・そんな幕切れでした。
 ◆  ◆  ◆
 あれから3年。念願の家具製造会社を起業し、夢をかなえたマイクですが、実際のところ経営は苦しく、従業員を一人、抱えましたがその雇用保険も払うことができない始末で、実のところは火の車でした。さらに、3年間、同棲したブルックにプロポーズしたところ、なぜかフラれてしまい、失意のどん底に。
 そんなマイクのスマホに懐かしい声のメッセージが入ります。「エクスクイジット」で同僚だったターザン(ケビン・ナッシュ)からのもので、「ダラスが亡くなった」というのです。
 慌ててマイクが駆けつけると、ターザンのほかにも元の仲間のケン(マット・ボマー)、リッチー(ジョー・マンガニエロ)、ティト(アダム・ロドリゲス)がそろっており、ダラスが死んだというのは嘘で、ダラスはお気に入りのアダムだけを連れて、マカオに旅立った、という話だと分かります。その結果、マイアミでの興行は自然消滅し、アダム以外は全員解雇。それで4人はタンパに舞い戻ってきたといいます。
 ダラスがいなければこれ以上、興行はできないと考えた4人は引退を決意。しかし、最後の記念として、マートル・ビーチで行われる「全米ストリップ・コンクール」に出場し、華々しい最後を飾ろうとしている、といいます。マイクもこの最後のショーに参加しないか、と誘われますが、自分には仕事があるから、といったんは断ります。しかし、体に染みついているショーの興奮を思い出したマイクは、もう一度あの経験をしてみたいと一行に合流。こうしてマイクも加わった5人は、ダラスの下でDJをしていたトバイアス(ガブリエル・イグレシアス)をMC(司会者)に昇格させて、6人でマートル・ビーチを目指します。
 道すがら、ダラスの決めた演出や衣装をやめて、新しいものを作り出そうとするマイクと、今までのやり方にこだわるリッチーが対立したり、突然、仲間を見捨てて出て行ったかつてのマイクへのわだかまりをケンがぶつけてきたり、とあれこれある中、珍道中が繰り広げられます。マイクたちは、ジャクソンビルのクラブで「ドラァグ・クイーン・ナイト(オカマの夜)」に出演した後、ビーチ・パーティーに参加。マイクはそこで出会った写真家のゾーイ(アンバー・ハード)に興味を抱きます。
 その後、車を運転していたトバイアスが事故を起こしてしまい、入院することに。MCがいなければコンテストに参加できません。そこで、マイクはサバンナにある会員制クラブ「ドミナ」を訪れ、女性オーナーであり、有名なMCでもあるローマ(ジェイダ・ピンケット・スミス)と会います。マイクとローマとの間には過去にいろいろあったようで・・・。
 さらに5人は、チャールストンに向かい、ビーチ・パーティーで知り合った女の子メーガンの家を訪れ、一夜の宿を借りようとします。ところがメーガンの母親で離婚したばかりのナンシー(アンディ・マクダウェル)はセクシーな男たち、特にリッチーに心奪われてしまい大騒動に。さらに、その家には偶然、ゾーイも居合わせており、マイクと再会します。
 ドタバタの珍道中を経て、5人と関係者一同はマートル・ビーチに到着。いよいよコンテストに出場、と意気込みますが、主催者のパリス(エリザベス・バンクス)は、事前申し込みを受けていないので出場できない、と言い渡します。ここまで絶体絶命のマイクたちですが・・・。
 ◆  ◆  ◆
 というように、ストーリーを追えばなんだかいろいろ複雑そうに見えますが、要するに5人のストリッパーが一台の車に乗って目的地を目指す珍道中を描くロード・ムービーなのが本作の特徴。行く先々で起こる騒動とエロいショーの描写、そしてドキュメンタリーであるかのような、とりとめない会話のやり取りが続いていきます。だから、流れ的にはあってないようなもの。
 そもそも、前作でもこのようなロード・ムービー的展開をやりたかったそうですが、まずはストリップの世界をちゃんと描く社会派ドラマとして1作目は作り、続編がもし出来ることがあれば、珍道中ものをやろう、という話が前からあったようです。1作目がヒットしたことで、その企画が実現したわけですね。
 よって、1作目はかなり脚本がかっちりと出来ていましたが、今回はお気楽と言ってよい行き当たりばったり感が魅力です。前作で世界観はできているので、説明的な話は極力、省いていけるのが2作目のいいところ。1作目で中心的な人物だったダラスとアダムを思い切って、冒頭からマカオに追放してしまい(笑)、ヒロインだったブルックもあっさりと退場させて、都合の悪い人物はさっさと消してしまうドライさが、また笑える展開でもあります。そのために、1作目では今一つ、何人も登場しているわりに、どういうキャラクター設定なのかはっきりしなかったケンやリッチー、ターザンたちの性格や背景がしっかりと描かれて、さらに新たに魅力的なキャラも加わり、とにかく今作は、案外にシリアスでダークな部分があった1作目と異なり、ネアカなコミカルさ、能天気さが増大しています。
 何も難しく考えるような映画ではないのですが、ショーとしての華やかさ、ダンスの完成度や見せ場、エロさ、おバカさ・・・は前作よりずっと増量しています。もっとも、ロード・ムービーとして描いているので、ショーのシーンそのものは、ちょっと少ないかもしれません。
 このあっけらかんとした世界観は、とにかく魅力的に見えます。実際には事業が軌道に乗っていないマイクをはじめ、引退後の身の振り方が決まらない面々は、本当は人生崖っぷち、のはず。なのに無駄に明るい。弾けている。そこが、せせこましく余裕のない日本人一般の生活から見て、何か羨ましいもののようにも見える一本でございました。

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» 「マジック・マイク XXL」 [ここなつ映画レビュー]
もし仮に、いや〜んと身悶えしながら観るのがこういう作品を観る時の正しいお作法であるとしたならば、…それについては何も言うまい。身悶えはもちろんしちゃうよねぇー。それよりむしろ、楽しくて楽しくて!ショーのシーンでは途中から声を出して笑ってしまった。それ程楽しい!美肉祭り。小難しい事はひとつも考えず(考える要素なんてありゃしないし)、頭空っぽにしてただただ楽しむのが勝ち。何と勝負してるのかなんて皆目わからないんだけど。ダンス、ミュージック、肉体美。それ以外の何を望むというのか。周知の通り、あの名作「マジ... [続きを読む]

受信: 2015年11月13日 (金) 13時19分

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