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2014年9月26日 (金)

猿の惑星 新世紀(ライジング)

 

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 「猿の惑星 新世紀(ライジング)」DAWN OF THE PLANET OF THE APESを見ました。前作の「猿の惑星 創世記」は2011年秋に公開されましたので、ちょうど3年たったわけですが、その間にまたVFX技術が進んだようです。今回も前回に続き、俳優の表情や動作などの演技をコンピューターに取り込むモーション・キャプチャーで猿のリーダー、シーザーを演じるのは「ロード・オブ・ザ・リング」「ホビット」シリーズのアンディ・サーキスですが、今やモーション・キャプチャーはブルー・スクリーンで一人で演じるのではなく、屋外ロケでもそのまま使用できるようになったそうです。すなわち、山や森のロケ地などで、人間役の俳優さんと、サル役の俳優さんが向き合って、自然なやりとりをし、お芝居ができる・・・これはすごいですね。今まではどうしても、実際には目の前にいないものを相手に、いるようなフリをして演技することに難点があったのですが、これからは事実上、どんな姿かたちのキャラクターでも、全く自然に演出できるわけで、またまた、ひとつの映像技術の最先端、という作品になったようです。
 ◆  ◆  ◆
 前作では、製薬会社の技術者ウィル(ジェームズ・フランコ)に育てられ、痴呆症の特効薬の試験薬を投与された母親から受け継いだ驚異的な知能を開花させたシーザー(サーキス)。しかしこの特効薬は、サルに対しては知能を高める作用をもたらす一方、人類にとっては致命的な殺人ウイルスとなってしまった、というのが前作の結末でした。
 こうして、シーザーと彼の率いる知能の高いサルたちが、サンフランシスコの金門橋で人類と戦い、森の中に逃れて10年。その間に人類はほとんどが、彼らの言う「猿インフルエンザ・ウイルス」で死に絶えてしまいました。シーザーは妻のコーネリア(ジュディ・グリア)と息子のブルーアイズ(ニック・サーストン)に囲まれ、前作からシーザーを支えている仲間のコバ(トビー・ケベル)やモーリス(カリン・コノヴァル)たちと平和な猿人(エイプ)の楽園を築いていました。その合言葉は「エイプはエイプを殺さない」でした。人間は互いに殺し合い、滅びてしまった。だから殺し合いをしないエイプは人類より賢く優れている・・・それがシーザーの確信だったのです。
 しかし突然、少なくともここ2年は姿を見かけなくなった人間たちの一団が、サルの国にやってきたのです。サルを嫌悪しているカーヴァー(カーク・アセヴェド)という男がおびえて発砲し、一触即発の危機に。しかしシーザーの「帰れ!」という一喝に、リーダーのマルコム(ジェイソン・クラーク)たちは驚愕し、立ち去ります。
 サンフランシスコの一角、ゾーン9と呼ばれる隔離地域に、人間たちは細々と生き残っていました。猿ウイルスに免疫のある人だけが、辛くも生存していたのです。人類のリーダー、ドレイファス(ゲイリー・オールドマン)は、戻ってきたマルコムの話を聞いて驚きます。彼らはせっかく再建しかけたコミュニティーを維持できず、あと数日で燃料が枯渇し、電気が使えなくなろうとしていました。最後の頼みの綱は、山中にあるダムの発電所を復旧することでしたが、その山は知能のあるサルたちに支配されて、立ち入ることができない、というわけだからです。
 一方、サルの間でも議論は紛糾しており、人類に憎悪を抱くコバは、シーザーに対して、先制攻撃を主張します。この際、人類が弱いうちに、彼等の街を滅ぼしてしまおう、というのです。しかしシーザーは強硬策を採用せず、威嚇だけすることにします。武装し乗馬したサルの軍団が金門橋を越えてゾーン9に入り、ドレイファスたちに示威行為をします。シーザーは「戦争は望まない。サルはサル、人は人。二度と来るな!」と警告して去ります。
 しかし、なんとしてもダムを復旧しなければならないマルコムは、もう一度、サルの国に立ち戻ることにします。シーザーに事情を説明し、作業させてもらおうというのですが、ドレイファスは懐疑的で、州軍の武器庫に残っている武器弾薬を持ち出し、戦争の準備を始めます。
 最初はかたくなだったシーザーも、徐々にマルコムの真摯な人柄に心を開き、サルたちも協力して電力を復旧しよう、という話になりますが、カーヴァーのようなサルを嫌悪する人間、そしてコバのように人間を憎悪するサルが次々にトラブルを起こします。人類との戦争を望むコバはついに「シーザーはサルよりも人間が好きなんだ!」と言い放ち、公然と反旗を翻します。シーザーはリーダーとして、力づくでコバを抑えつけましたが、コバの内側に芽生えた暗い怨念と野心には気付きませんでした。
 コバたちはシーザーに無断でゾーン9に入り、人間たちの銃を奪います。ついに人間たちの力の象徴である武器を手に入れたコバの暴走が始まります。平和的共存を望むシーザーやマルコムたちは、これとどう対処していくのでしょうか・・・。
 ◆  ◆  ◆
 ということで、今回のテーマはなんなのか、というと明らかに「戦争」です。戦争というものが一部の者の根強い憎悪と偏見から生まれ、どのように平和を望む勢力が努力しても、防ぐことができないのではないか、という暗い認識を感じるわけです。今やもっとも今日的なテーマなのではないかと思われます。そして、「2001年宇宙の旅」で、猿人が武器で仲間を殺すことを覚えた瞬間から人類に進化したのだ、というシーンがありましたが、まさにそのまま、今作でも銃を手にしてしまったサルたちが「サルはサルを殺さない」という掟を破るようになる、という描き方は、人類というものの本質をあぶりだしているようです。それは本当に「進化」なのだろうかと、見る人に疑問を投げかける一作です。
 存在感を見せつけるアンディ・サーキス、ゲイリー・オールドマンの2人のほかは、ビッグネームというような俳優は出ていませんが、今回、目立ったのはコバ役のトビー・ケベル。今までも「魔法使いの弟子」「タイタンの逆襲」「プリンス・オブ・ペルシャ」などで結構、癖のある脇役をこなしてきましたが、これが大きく彼のキャリアに弾みをつけそうな熱演ぶりです。もちろんサルのモーション・キャプチャーなのでどんな容姿なのか分からなくなっているのですが、逆に演技力が丸出しになるわけですので、彼のうまさに注目が集まるのではないでしょうか。コーネリア役のジュディ・グリアもいろいろな役を演じてきた女優さんですが、最近では「キャリー」で先生役をやっていました。その他、サル側が中心になるお話なので、総じて人間側は影が薄いのですがこれは致し方ありません。
 面白いのはカメオ出演者です。冒頭の人類が滅びていく記録映像でオバマ大統領が「出演」しており、「ウイルスの封じ込めに我々は失敗しました」と声明を出すシーンがありますが、あの音声は実際に大統領にやってもらったのでしょうか? それから、公式には出ていないはずのジェームズ・フランコも非常に大事なシーンで出てきます。前作のフランコや、その恋人のフリーダ・ピントーが演じたキャラクターは、恐らく猿ウイルスの蔓延の中でいち早く命を落としたのでしょうね・・・。実際にエボラ熱とかデング熱とか、恐ろしい感染症が流行する今、「ヒトの世紀が終わろうとしている」というキャッチコピーが絵空事ではなく、非常に重いものに感じられる一本でした。
 
 
 

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