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2014年9月30日 (火)

「華麗なるナポレオン軍の軍服」辻元夫婦が翻訳、まもなく発売!

 本日も私ども(辻元よしふみ、辻元玲子)の新刊翻訳書を宣伝させていただきます! マール社http://www.maar.com/さんから「華麗なるナポレオン軍の軍服」(リュシアン・ルスロ著。辻元よしふみ、辻元玲子 監修翻訳)が10月上旬、まもなく出版されます。

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本書で苦労したのは、もともとのリュシアン・ルスロさんの原文はフランス語で、それをアンドレア・プレス社が英語に翻訳したものをもとに、日本語版を製作したのです・・・が、そのフランス語から英語にする段階でいろいろ、混乱や誤訳らしきものもあって、それを判断しながら作業していく、というのが非常に困難でした。
 単に英語やフランス語に堪能なだけではダメで、19世紀当時のフランス軍特有の階級や制度、部隊編成などに理解がないと翻訳できない、というかなり難事業でした。
 たとえばですが、Major generalという英語は、普通は「少将」の意味ですよね? でもフランス軍ではこれは「参謀長」の意味になります。こんなような、フランス軍独特の言い回しがたくさんあり、しかもなまじっか、英語とフランス語は似ているために、今のメジャー・ジェネラルの例のように、一見して似たような語彙が多いがゆえに、じつは意味が異なっている場合、どんどん混乱してしまう・・・まことにフランス軍は難物です。
 しかも、今のフランス軍とナポレオン時代、それにそれ以前の王政時代でも、階級や制度がかなり異なるのです・・・。このへんは本当にややこしくて、フランス人でも分からない人が多いのじゃないでしょうか。Napoleon_data04

 本書の詳細は以下の通りです。

タイトル:華麗なるナポレオン軍の軍服
     ~絵で見る上衣・軍帽・馬具・配色
原書タイトル:Napoleon's Army 1790-1815
著者:リュシアン・ルスロ(Lucien Rousselot)
監修翻訳:辻元よしふみ、辻元玲子
体裁:A5ヨコ判/並製/224頁オールカラー 定価:本体2450円(税別)
ISBNコード:ISBN978-4-8373-0743-3 C3071 2450E
分類:一般/ビジュアルで伝える知識の本。漫画家必携書/マンガやアニメを描く際に役立つこんな本もあります!

<内容>
1790年~1815年に、全欧州を席巻したナポレオン軍。
本書は、フランス陸軍公認画家であったルスロによる、ナポレオン軍の軍服研究の集大成とも言える図版集です。 軍服・軍帽・銃や小物入れ・装備・馬具などの、細密で色鮮やかなカラー図版が現代に蘇ります。 貴重な歴史資料としてはもちろん、ファッション・デザインの基礎知識として、また、マンガやイラストなどの創作時の参考にもぜひお役立て下さい。
凛々しい軍人たちの立ち姿、颯爽と軍馬にまたがる姿は、作画時の参考にもおすすめ。ナポレオン、軍服、フランス好きの方へのギフトにも最適な、眺めるだけでも価値のある一冊です。Napoleon_data05

<本書内「監訳者の辞」より引用>
2015年はワーテルローの決戦が行われた1815年から200年という節目の年です。まさにナポレオンの華麗なる大陸軍が改めて注目を集めることになります。
(中略)
ナポレオン軍は瞬く間に全欧州を席巻しました。その結果、ナポレオン無敵伝説は浸透し、19世紀の世界中の軍服がその影響を受けることになりました。欧州はもちろんのこと、南米諸国や、遠く離れた日本まで。明治期の日本陸軍が最も参考にしたのはフランス軍のファッションでした。時代はすでにナポレオンの甥、ナポレオン3世による第2帝政の時代でしたが(この甥の登場で、ナポレオン本人の時代は第1帝政と呼ばれるようになります)、ナポレオン伝説は日本にも鳴り響いていたのです。初期の日本陸軍の制服はフランス式で、その後、徐々にドイツ風に流行は変わりますが、肋骨式の軍服とか、正装の際に帯びる儀礼剣、肩章の付け方などにフランス軍の影響が長く残ります。日本軍のみならず、ナポレオン軍のハンガリー軽騎兵や猟騎兵が着用した肋骨軍服、ポーランド槍騎兵が着たクルトカ(ドイツでいうウーランカ)などの華やかな制服は、第1次大戦頃まで世界の軍服の標準に残りました。
そして今日でも、当時の軍服の襟にヒントを得たいわゆる「ナポレオン・ジャケット」はファッション・スタイルの一つとして各ブランドが取り入れ、繰り返し流行しています。各国軍隊の礼装や、各種のパレード服などに、肋骨服や正肩章、飾緒などの様式が色濃く残っております。有名なバッキンガム宮殿の英国近衛兵が被っている熊毛帽も、もともとナポレオンの皇帝親衛擲弾兵の帽子を模倣したものです。このように、最も華やかな制服文化が花開いたナポレオン軍の意匠が、しっかりと今に受け継がれているわけです。

<著者紹介>
リュシアン・ルスロ Lucien Rousselot (1900~92年)
フランス陸軍公認画家(1960年任命)。リュシアン・ルスロは世界で最も重要な軍事画家の一人であり、軍装史研究を真の学術レベルに高める重要な役割を果たした。彼が生まれた当時、1871年の普仏戦争で、プロイセン軍に敗れたことによる心理的な傷跡がフランス国民に深く残っていた。しかしその少し前には、ナポレオン1世のフランス軍が全欧州を席巻し、人々を熱狂させていたのだった。彼は有名なパリ装飾美術学校で画法を学び、同時に古典的な軍事イラストの世界を探求した。ルスロの偉大な才能は慎み深くも激しく仕事に献身する姿勢にあり、最も困難な時代に厳密で実証的な、驚くべき水彩画として結実した。その成果の一端が本書である。

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2014年9月26日 (金)

猿の惑星 新世紀(ライジング)

 

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 「猿の惑星 新世紀(ライジング)」DAWN OF THE PLANET OF THE APESを見ました。前作の「猿の惑星 創世記」は2011年秋に公開されましたので、ちょうど3年たったわけですが、その間にまたVFX技術が進んだようです。今回も前回に続き、俳優の表情や動作などの演技をコンピューターに取り込むモーション・キャプチャーで猿のリーダー、シーザーを演じるのは「ロード・オブ・ザ・リング」「ホビット」シリーズのアンディ・サーキスですが、今やモーション・キャプチャーはブルー・スクリーンで一人で演じるのではなく、屋外ロケでもそのまま使用できるようになったそうです。すなわち、山や森のロケ地などで、人間役の俳優さんと、サル役の俳優さんが向き合って、自然なやりとりをし、お芝居ができる・・・これはすごいですね。今まではどうしても、実際には目の前にいないものを相手に、いるようなフリをして演技することに難点があったのですが、これからは事実上、どんな姿かたちのキャラクターでも、全く自然に演出できるわけで、またまた、ひとつの映像技術の最先端、という作品になったようです。
 ◆  ◆  ◆
 前作では、製薬会社の技術者ウィル(ジェームズ・フランコ)に育てられ、痴呆症の特効薬の試験薬を投与された母親から受け継いだ驚異的な知能を開花させたシーザー(サーキス)。しかしこの特効薬は、サルに対しては知能を高める作用をもたらす一方、人類にとっては致命的な殺人ウイルスとなってしまった、というのが前作の結末でした。
 こうして、シーザーと彼の率いる知能の高いサルたちが、サンフランシスコの金門橋で人類と戦い、森の中に逃れて10年。その間に人類はほとんどが、彼らの言う「猿インフルエンザ・ウイルス」で死に絶えてしまいました。シーザーは妻のコーネリア(ジュディ・グリア)と息子のブルーアイズ(ニック・サーストン)に囲まれ、前作からシーザーを支えている仲間のコバ(トビー・ケベル)やモーリス(カリン・コノヴァル)たちと平和な猿人(エイプ)の楽園を築いていました。その合言葉は「エイプはエイプを殺さない」でした。人間は互いに殺し合い、滅びてしまった。だから殺し合いをしないエイプは人類より賢く優れている・・・それがシーザーの確信だったのです。
 しかし突然、少なくともここ2年は姿を見かけなくなった人間たちの一団が、サルの国にやってきたのです。サルを嫌悪しているカーヴァー(カーク・アセヴェド)という男がおびえて発砲し、一触即発の危機に。しかしシーザーの「帰れ!」という一喝に、リーダーのマルコム(ジェイソン・クラーク)たちは驚愕し、立ち去ります。
 サンフランシスコの一角、ゾーン9と呼ばれる隔離地域に、人間たちは細々と生き残っていました。猿ウイルスに免疫のある人だけが、辛くも生存していたのです。人類のリーダー、ドレイファス(ゲイリー・オールドマン)は、戻ってきたマルコムの話を聞いて驚きます。彼らはせっかく再建しかけたコミュニティーを維持できず、あと数日で燃料が枯渇し、電気が使えなくなろうとしていました。最後の頼みの綱は、山中にあるダムの発電所を復旧することでしたが、その山は知能のあるサルたちに支配されて、立ち入ることができない、というわけだからです。
 一方、サルの間でも議論は紛糾しており、人類に憎悪を抱くコバは、シーザーに対して、先制攻撃を主張します。この際、人類が弱いうちに、彼等の街を滅ぼしてしまおう、というのです。しかしシーザーは強硬策を採用せず、威嚇だけすることにします。武装し乗馬したサルの軍団が金門橋を越えてゾーン9に入り、ドレイファスたちに示威行為をします。シーザーは「戦争は望まない。サルはサル、人は人。二度と来るな!」と警告して去ります。
 しかし、なんとしてもダムを復旧しなければならないマルコムは、もう一度、サルの国に立ち戻ることにします。シーザーに事情を説明し、作業させてもらおうというのですが、ドレイファスは懐疑的で、州軍の武器庫に残っている武器弾薬を持ち出し、戦争の準備を始めます。
 最初はかたくなだったシーザーも、徐々にマルコムの真摯な人柄に心を開き、サルたちも協力して電力を復旧しよう、という話になりますが、カーヴァーのようなサルを嫌悪する人間、そしてコバのように人間を憎悪するサルが次々にトラブルを起こします。人類との戦争を望むコバはついに「シーザーはサルよりも人間が好きなんだ!」と言い放ち、公然と反旗を翻します。シーザーはリーダーとして、力づくでコバを抑えつけましたが、コバの内側に芽生えた暗い怨念と野心には気付きませんでした。
 コバたちはシーザーに無断でゾーン9に入り、人間たちの銃を奪います。ついに人間たちの力の象徴である武器を手に入れたコバの暴走が始まります。平和的共存を望むシーザーやマルコムたちは、これとどう対処していくのでしょうか・・・。
 ◆  ◆  ◆
 ということで、今回のテーマはなんなのか、というと明らかに「戦争」です。戦争というものが一部の者の根強い憎悪と偏見から生まれ、どのように平和を望む勢力が努力しても、防ぐことができないのではないか、という暗い認識を感じるわけです。今やもっとも今日的なテーマなのではないかと思われます。そして、「2001年宇宙の旅」で、猿人が武器で仲間を殺すことを覚えた瞬間から人類に進化したのだ、というシーンがありましたが、まさにそのまま、今作でも銃を手にしてしまったサルたちが「サルはサルを殺さない」という掟を破るようになる、という描き方は、人類というものの本質をあぶりだしているようです。それは本当に「進化」なのだろうかと、見る人に疑問を投げかける一作です。
 存在感を見せつけるアンディ・サーキス、ゲイリー・オールドマンの2人のほかは、ビッグネームというような俳優は出ていませんが、今回、目立ったのはコバ役のトビー・ケベル。今までも「魔法使いの弟子」「タイタンの逆襲」「プリンス・オブ・ペルシャ」などで結構、癖のある脇役をこなしてきましたが、これが大きく彼のキャリアに弾みをつけそうな熱演ぶりです。もちろんサルのモーション・キャプチャーなのでどんな容姿なのか分からなくなっているのですが、逆に演技力が丸出しになるわけですので、彼のうまさに注目が集まるのではないでしょうか。コーネリア役のジュディ・グリアもいろいろな役を演じてきた女優さんですが、最近では「キャリー」で先生役をやっていました。その他、サル側が中心になるお話なので、総じて人間側は影が薄いのですがこれは致し方ありません。
 面白いのはカメオ出演者です。冒頭の人類が滅びていく記録映像でオバマ大統領が「出演」しており、「ウイルスの封じ込めに我々は失敗しました」と声明を出すシーンがありますが、あの音声は実際に大統領にやってもらったのでしょうか? それから、公式には出ていないはずのジェームズ・フランコも非常に大事なシーンで出てきます。前作のフランコや、その恋人のフリーダ・ピントーが演じたキャラクターは、恐らく猿ウイルスの蔓延の中でいち早く命を落としたのでしょうね・・・。実際にエボラ熱とかデング熱とか、恐ろしい感染症が流行する今、「ヒトの世紀が終わろうとしている」というキャッチコピーが絵空事ではなく、非常に重いものに感じられる一本でした。
 
 
 

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2014年9月25日 (木)

CHERVOのヘッドカバーほか。

 

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 MENS CLUBの11月号を見ていて、あッ、と思いました。ゴルフファッションを紹介するページにて「ヘッドカバー14選」ということで、シカの頭の形をしたゴルフクラブのヘッドカバーを取り上げていたのです。なんと、これはつい最近、私も手に入れていたのですよね。もちろんこの雑誌を見る前に、です。私の近所では日本橋高島屋のゴルフ売場にあるCHERVOの店頭で、私と妻とで見ていて「う、かわいい・・・」ということで、その日は買わなかったのですが、翌日に考え直して購入しました。20140925065504



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 本当に、最近のゴルフ用品は面白いですね。ゴルフをあまり最近ではやらない私も、ゴルフ用品売り場には結構、行くのです。
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 そういえば。LEOMの11月号にあった「楽力向上委員会」というコラムの一節が気に入りましたです。
 「群れる、とは自身の自由行動を差し出すことだ。誰かが作ったルールに倣って、横並びの一体感と受動的快楽に満足することだ。だから、ルールを突き付けられた群衆は、黙ってそれに従うか、居場所を求めて彷徨うしか選択肢はない(中略)自分の意思で自由に生きるオヤジは、だから群れない。群衆の中に埋もれようと欲しない。自己実現のために群れから外れ、新しい場を作ることに努力する」
 おそらく、群れの中に生きたがるのが凡人、群れから外れ彷徨うのが変人、自分は群れの外にいて、群れたがる人々を統率するのが独裁者、なのでしょう。
 私は昔から、4人以上で歩くのが嫌いです。自分でもしないし、他人の群れも4人以上集まっているものは嫌悪します。なんとはなしの同調圧力が我慢できないのです。だからパーティーや会合も好きではありません。しかし一方、隊伍を組んだ軍隊のパレードは「群れ」ではありません。あれは100人いても1000人いても、事実上、一人なのです。指揮官を頭脳とした一人格なのですね。
 私は本当に「群れ」というのが嫌いです。病的に嫌いです。おそらく私は、危険人物なのでしょう。

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2014年9月24日 (水)

「飛行機展」(大西將美先生ほか)開催中(銀座)。

 

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 辻元玲子が加盟している日本理科美術協会http://www.rikabi.jp/に、このほどプラモデルのボックスアートで著名な大西將美画伯が入会されました。それで、その大西先生が中心となった、「各種飛行機による飛行機展」という展覧会が、銀座並木通り沿いのギャラリーミハラヤ(中央区銀座1-4-6、紅雀ビル1F)で開催中です。9月27日土曜日まで。正午~午後6時半まで(最終日は午後4時まで)。銀座にお寄りの折はぜひ、お立ち寄りください。

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2014年9月23日 (火)

辻元よしふみ、玲子の翻訳本『華麗なるナポレオン軍の軍服』10月刊行!

 今日も宣伝です。辻元よしふみ、辻元玲子の翻訳本、マール社http://www.maar.com/さんから「華麗なるナポレオン軍の軍服(リュシアン・ルスロ著。辻元よしふみ、辻元玲子 監修翻訳)が10月上旬に出版されます。Napoleon_data02_2

 この本は、昨年にアメリカのアンドレア・プレスAndrea Press社が出したものです。この版元は、模型好き、モデラーの方にはおなじみのアンドレア・フィギュア社の出版部門。だからそもそもは、歴史フィギュア(人物)模型製作のための参考書、というものです。
 とはいえ、内容はフランスの軍装学Uniformologyの第一人者で、著名な歴史復元画家だったリュシアン・ルスロ氏(1992年没)が人生をかけて描いたナポレオン軍のイラストと研究成果をまとめたものです。私ども夫婦から見ると、軍装学、服飾史および歴史復元画の分野での大先輩にあたる偉大な方です。
 ルスロ氏は、フランスがナチス・ドイツ軍に占領されていた第二次大戦中に、意気消沈している国民を勇気づけるためにも、大活躍した自国の英雄ナポレオンと、それに従ったフランス軍の精鋭の雄姿を再現し、世に問い始めたそうです。幸いというか、ドイツ側もヒトラー本人が大のナポレオン崇拝者だったこともあってか、お咎めもなく、戦後も研究を続けて、後にはフランス陸軍の公認画家にまでなりました。
 本書では、制服や帽子ばかりか、装備品や刀剣、小銃、さらに馬具や砲車、当時の消防車まで掲載されており、あまり実態を知られていない当時の国家憲兵や海兵、輜重兵(しちょうへい)とか、消火任務にあたった親衛工兵といった特殊な支援兵科まで取り扱っています。Napoleon_data01

 詳細は以下の通りです。

タイトル:華麗なるナポレオン軍の軍服
     ~絵で見る上衣・軍帽・馬具・配色
原書タイトル:Napoleon's Army 1790-1815
著者:リュシアン・ルスロ(Lucien Rousselot)
監修翻訳:辻元よしふみ、辻元玲子
体裁:A5ヨコ判/並製/224頁オールカラー
定価:本体2450円(税別)
ISBNコード:ISBN978-4-8373-0743-3 C3071 2450E
分類:一般/ビジュアルで伝える知識の本
   漫画家必携書/マンガやアニメを描く際に役立つこんな本もあります!

<内容>
1790年~1815年に、全欧州を席巻したナポレオン軍。
本書は、フランス陸軍公認画家であったルスロによる、ナポレオン軍の軍服研究の集大成とも言える図版集です。軍服・軍帽・銃や小物入れ・装備・馬具などの、細密で色鮮やかなカラー図版が現代に蘇ります。
貴重な歴史資料としてはもちろん、ファッション・デザインの基礎知識として、また、マンガやイラストなどの創作時の参考にもぜひお役立て下さい。
凛々しい軍人たちの立ち姿、颯爽と軍馬にまたがる姿は、作画時の参考にもおすすめ。
ナポレオン、軍服、フランス好きの方へのギフトにも最適な、眺めるだけでも価値のある一冊です。

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2014年9月21日 (日)

NY心霊捜査官

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 20日に封切りしたばかりの「NY心霊捜査官」DELIVER US FROM EVILなる映画を見てきました。原題は「我らを悪から遠ざけたまえ」というところでしょうか。製作はあの「パイレーツ・オブ・カリビアン」などで知られる超大物ジェリー・ブラッカイマー。公開時にはアメリカでかなり話題になったそうです。というわけで、さぞかし鳴り物入りで大興行を打つのか、と思ったら、このあたりではららぽーと豊洲か市川コルトンプラザまで行かないと見られない。それで、わざわざ豊洲まで見に行ったわけですが、一応この作品は18禁扱い。エロい作品でないのに18禁というのは、高校生でも見られないわけですよね。そりゃまたどんなに怖いホラーなんだろう、と思ったわけです。
 これは、実在する元ニューヨーク市警捜査官ラルフ・サーキ氏の実録に基づく映画、なのですが脚本的にはオリジナルで、登場人物も実在しません。ただ、サーキ氏が捜査中に体験した摩訶不思議な出来事を盛り込んでおり、ひとつひとつのディテールは実体験、なのだそうです。
 ◆  ◆  ◆
 お話は2010年、イラク戦線で戦う米海兵隊員から始まります。戦闘中に3人の兵士が、古い洞窟の中に迷い込みます。そこにはおどろおどろしい人骨と謎めいたラテン語の呪文らしきものが書かれた壁があり、3人は正気を失っていきます・・・。
 そして2013年、サーキ巡査部長(エリック・バナ)は相棒のバトラー捜査官(ジョエル・マクヘイル)とパトロール中、動物園でジェーンという女性が錯乱し、自分の子どもをライオンの檻に放り投げて殺そうとした殺人未遂現場に遭遇。70年代のロックバンド「ドアーズ」の歌詞を口走り、常軌を逸している様のジェーンに驚くサーキですが、その場に見るからに怪しい塗装工(ショーン・ハリス)の姿を見かけ、不審に思います。なぜか隔離されているはずのライオンも現れ、サーキは食い殺される寸前、すんでのところで助かります。次いで、妻に対する暴行の現行犯で逮捕した男トラトナー(クリス・コイ)の狂態に直面し、さらに通報を受けて駆けつけた民家の地下室では腐敗した塗装工グリッグスの遺体を発見します。グリッグスとトラトナーは、イラク帰りの元海兵隊員で、驚いたことにジェーンはグリッグスの妻だと分かります。姿をくらましているもう一人の塗装工サンティーノ(ショーン・ハリス)も、やはり元海兵隊員でした。サーキは一連の不審な事件の黒幕がサンティーノだと断定し捜査を続けますが、徐々にこれが通常の事件ではなく、超常的な要素の問題であることに気づいていきます。捜査の過程で知り合ったメンドーサ神父(エドガー・ラミレス)にその事実を諭されますが、サーキはなかなかそれを受け入れることが出来ません。
 一方、サンティーノの黒い影はサーキの愛妻ジェン(オリヴィア・マン)や一人娘にまで及んできます。また、サーキ自身にも人には言えない暗い秘密が過去にあり、誰にも打ち明けられずに悩んできましたが、悪霊はどうもこのサーキの弱みにつけ込もうとしてくるようです。そしてついに、メンドーサとサーキは悪霊との対決に挑むことになりますが・・・。
 ◆  ◆  ◆
 というような流れで、さすがに実録に基づいている描写はリアルで、大変に迫力がありますが・・・しかしなんですね、激辛ですよ、といわれて食べてみたら、案外に普通だったという感じも否めません。ディスカバリー・チャンネルでやっている実録もの人気番組「怪奇現象の研究」の拡大スペシャル、という感じで、ああいうものを見慣れている人には、おなじみの感じかもしれません。そもそも欧米の悪霊は、キリスト教文化に基づく「悪魔」というスタイルで登場するパターンが多いので、日本の叙情的で湿っぽいホラーが好きな人は違和感を覚えるかも、とも感じますね。全体としては、おどろおどろしいホラー、というよりも犯罪捜査もの、刑事もの作品という側面が強いです、特に前半は。
 ところで、実在のラルフ・サーキ氏は、その「怪奇現象の研究」でもおなじみの著名な心霊研究家ウォーレン夫妻の指導を受けて、今では警察を辞めて、心霊現象に悩んでいる人たちのための活動をしているそうです。そういう意味で、やはりあの番組の豪華予算をかけた長尺特番、という印象です。
 出演者は、何しろ悪霊に憑依されている役をやる人たちが多いわけで、それはもう大変だったと思います。主演は「トロイ」で人気者になり「ミュンヘン」で有名になった後、「ブーリン家の姉妹」とか「スター・トレック」以来、ちょっとここ数年、ご無沙汰気味だったエリック・バナ。奥さん役のオリヴィア・マンはどこかで見た顔、と思うと「マジック・マイク」で主人公の長年腐れ縁の恋人である医学生の役をやっていた人ですね。その他、ブラッカイマー作品だけに、超有名人はいないながら、地味でも実力のある役者さんが脇を固めており、神父役のラミレスは「タイタンの逆襲」の軍神アレス役などが記憶にあります。悪霊に取り憑かれる元兵士の塗装工サンティーノ役のハリスは「プロメテウス」でも個性的な、ちょっといかれた技術者ファイフィールドを熱演していた人(あの作品ではエイリアンに寄生されてしまう役柄でした)ですが、今回もこの人の演技力が光っています。主人公の相棒バトラーを演じたマクヘイルは、ヒット作「テッド」に出ていましたね。それと、この映画でいちばんすさまじい演技をしていたMVPは悪魔に憑りつかれた母親ジェーン役の女優さん。ショッキングなシーンはほとんど、この人で持っている部分がありますね。ところが、公式パンフレットでも公式サイトのキャスト紹介でも、名前すら紹介されていません。この女優さんはオリヴィア・ホートンOlivia Hortonという人で、少なくとも1989年には映画出演しているようなので、かなりのベテラン。それに、今作では憑依されて化け物みたいなシーンばかりですが本当はとても綺麗な人のようです。これまでそんなに目立った活躍はない人ですが、これを機に注目されるかも知れません。
 とにかく、割とひっそり公開中ですので、ご興味のある方はお早めに・・・。
 
 

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2014年9月16日 (火)

辻元よしふみ、玲子の翻訳本『華麗なるナポレオン軍の軍服』出ます!

 本日は私ども(辻元よしふみ、辻元玲子)の新刊本をご紹介! 今回は翻訳本です。マール社http://www.maar.com/さんから「華麗なるナポレオン軍の軍服」(リュシアン・ルスロ著。辻元よしふみ、辻元玲子 監修翻訳)が出版されます。
 詳細は以下の通りです。Isbn9784837307433__cover

タイトル:華麗なるナポレオン軍の軍服
     ~絵で見る上衣・軍帽・馬具・配色

原書タイトル:Napoleon's Army 1790-1815
著者:リュシアン・ルスロ(Lucien Rousselot)
監修翻訳:辻元よしふみ、辻元玲子

体裁:A5ヨコ判/並製/224頁オールカラー
定価:本体2450円(税別)
ISBNコード:ISBN978-4-8373-0743-3 C3071 2450E
分類:一般/ビジュアルで伝える知識の本
   漫画家必携書/マンガやアニメを描く際に役立つこんな本もあります!

<内容>
1790年~1815年に、全欧州を席巻したナポレオン軍。
本書は、フランス陸軍公認画家であったルスロによる、ナポレオン軍の軍服研究の集大成とも言える図版集です。
軍服・軍帽・銃や小物入れ・装備・馬具などの、細密で色鮮やかなカラー図版が現代に蘇ります。
貴重な歴史資料としてはもちろん、ファッション・デザインの基礎知識として、また、マンガやイラストなどの創作時の参考にもぜひお役立て下さい。
凛々しい軍人たちの立ち姿、颯爽と軍馬にまたがる姿は、作画時の参考にもおすすめ。
ナポレオン、軍服、フランス好きの方へのギフトにも最適な、眺めるだけでも価値のある一冊です。

<本書内「監訳者の辞」より引用>
2015年はワーテルローの決戦が行われた1815年から200年という節目の年です。まさにナポレオンの華麗なる大陸軍が改めて注目を集めることになります。
(中略)
ナポレオン軍は瞬く間に全欧州を席巻しました。その結果、ナポレオン無敵伝説は浸透し、19世紀の世界中の軍服がその影響を受けることになりました。欧州はもちろんのこと、南米諸国や、遠く離れた日本まで。明治期の日本陸軍が最も参考にしたのはフランス軍のファッションでした。時代はすでにナポレオンの甥、ナポレオン3世による第2帝政の時代でしたが(この甥の登場で、ナポレオン本人の時代は第1帝政と呼ばれるようになります)、ナポレオン伝説は日本にも鳴り響いていたのです。初期の日本陸軍の制服はフランス式で、その後、徐々にドイツ風に流行は変わりますが、肋骨式の軍服とか、正装の際に帯びる儀礼剣、肩章の付け方などにフランス軍の影響が長く残ります。日本軍のみならず、ナポレオン軍のハンガリー軽騎兵や猟騎兵が着用した肋骨軍服、ポーランド槍騎兵が着たクルトカ(ドイツでいうウーランカ)などの華やかな制服は、第1次大戦頃まで世界の軍服の標準に残りました。
そして今日でも、当時の軍服の襟にヒントを得たいわゆる「ナポレオン・ジャケット」はファッション・スタイルの一つとして各ブランドが取り入れ、繰り返し流行しています。各国軍隊の礼装や、各種のパレード服などに、肋骨服や正肩章、飾緒などの様式が色濃く残っております。有名なバッキンガム宮殿の英国近衛兵が被っている熊毛帽も、もともとナポレオンの皇帝親衛擲弾兵の帽子を模倣したものです。このように、最も華やかな制服文化が花開いたナポレオン軍の意匠が、しっかりと今に受け継がれているわけです。

<収録内容>
◆正規軍
歩兵…軽歩兵(猟兵、カラビニエール、選抜兵)/戦列歩兵(フュージリア、擲弾兵、選抜兵)
騎兵…ハンガリー軽騎兵/軽槍騎兵/竜騎兵/戦列猟騎兵/胸甲騎兵/カラビニエール
砲兵…徒歩砲兵/騎馬砲兵/牽引砲兵
支援部隊…国家憲兵/輜重牽引兵

◆皇帝親衛隊
親衛歩兵…親衛擲弾歩兵/親衛猟歩兵/親衛フュージリア(猟兵、擲弾兵)
親衛騎兵…親衛ポーランド槍騎兵/親衛猟騎兵/親衛竜騎兵/親衛擲弾騎兵
親衛砲兵…親衛徒歩砲兵/親衛騎馬砲兵/親衛牽引砲兵
     親衛海兵/親衛工兵/親衛精鋭憲兵

<著者紹介>
リュシアン・ルスロ Lucien Rousselot (1900~92年)
フランス陸軍公認画家(1960年任命)。リュシアン・ルスロは世界で最も重要な軍事画家の一人であり、軍装史研究を真の学術レベルに高める重要な役割を果たした。彼が生まれた当時、1871年の普仏戦争で、プロイセン軍に敗れたことによる心理的な傷跡がフランス国民に深く残っていた。しかしその少し前には、ナポレオン1世のフランス軍が全欧州を席巻し、人々を熱狂させていたのだった。彼は有名なパリ装飾美術学校で画法を学び、同時に古典的な軍事イラストの世界を探求した。ルスロの偉大な才能は慎み深くも激しく仕事に献身する姿勢にあり、最も困難な時代に厳密で実証的な、驚くべき水彩画として結実した。その成果の一端が本書である。

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2014年9月15日 (月)

「ビームス+ドラえもん」Tシャツ

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 今日は、先日訪れた舞浜イクスピアリの新店舗「ビーイング」で手に入れた面白いTシャツをご紹介。この独特の青色と、胸のロゴ文字はだれがどう見ても「ドラえもん」のはずですが・・・あれれ、よく見てください。実は「ビームス」と書いてあるのです。よく考えますね。これは今、公開中の3Dドラえもん映画とのコラボ企画。もうすぐジャイアンの黄色いシャツをモチーフにしたものも発売するそうです。
 ビーイングは、ビームスの新しいレーベルで、親から子。さらに孫まで3世代が楽しめるセレクトショップ、がコンセプトなのだとか。若いころにビームスに通ったけど、その後、あんまりおしゃれじゃなくなってしまったお父さんお母さん、さらにそのうえの、若い時分にはみゆき族でした、というようなお祖父ちゃん世代まで、セレクトショップに戻ってきてほしい、という狙いがあるそうですが、それは面白い発想。このTシャツもその一環で、確かに3世代で笑えそうなアイテムです。

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2014年9月11日 (木)

カフェカイラ(舞浜イクスピアリ)

 

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 今日は当ブログでは珍しくグルメ情報をば・・・。2012年に日本上陸して、「ハワイで一番おいしい朝食を出すお店」として有名な「カフェカイラ」http://www.cafe-kaila.tokyo/。ホノルルの本店は2時間待ち、3時間待ち当たり前(それだけ待ったら朝食のはずが昼食になってしまうのでは?)の超人気店となっており、表参道ヒルズ近くにできた日本1号店も行列の絶えないお店、だとか。20140910204403



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そんな人気店が、浦安市の舞浜イクスピアリに日本2号店をオープンさせたのが、ちょうど1か月前の8月10日。何しろ最初から行列が出来ちゃってとても入れない感じでした。それで先日ですが、物は試しで行ってみたのですが、案の定、誘導係の方が言うには「今日もお昼は3時間待ちでして・・・。でも、今は3組ほどの待ちですので、ご案内できると思います、保証はできないのですが」とのこと。それで、ここはダメもとで行ってみよう、とお店に入りますと、なんと幸運なことに、ものの5分もしないうちに入店できてしまいました。本当にラッキーでした。
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 入ってみて、実にいい感じのお店ですね。料理も噂にたがわないボリュームと美味しさです。私たちは評判のオムレツと、フルーツどっさりのパンケーキを頼んでみましたが、まあちゃんと完食しましたけれど、かなりの分量です。しかし、しつこいものではないので、全然、胃にもたれたりしません。なるほど、これは人気店になるわけです。
 なにがなし、スタッフの皆さんはかなりお疲れのようにも・・・。人気のあるお店、というのも嬉しいけれど厳しいものなんでしょうね。20140910195906



 カフェカイラができた場所は、イクスピアリの入り口近く、かつて子どものための託児施設やカレーショップがあったところの2階です。また1階には、あのセレクトショップBEAMSの系列店ビーミングがやってきました(9月6日オープン)。こちらもなかなか雰囲気が良いようでした。
 いつもこんなにうまく入店できるとは限りませんが、またぜひ行ってみたいですね。

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2014年9月10日 (水)

日刊ゲンダイ9月8日号に辻元よしふみのコメント掲載。

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 9月8日付「日刊ゲンダイ」のp13(カラー)下に私、辻元よしふみのコメントが掲載されました。安倍首相と石破大臣のファッション・チェックの内容です。「ストライプのこだわりを捨てた安倍/バブル期引きずる石破」という見出しで、ちょっと石破大臣には辛い内容になってしまったかもしれません。

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2014年9月 4日 (木)

ルーシー LUCY

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 リュック・ベッソン監督、スカーレット・ヨハンソン主演の新作「ルーシー」LUCYを見てきました。ルーシーというのはヒロインの名前ですが、また人類の祖先である一人の女性(の原人)の名前でもあります。ちなみに、その人類の祖とされる女性原人の名がルーシーであるのは、ビートルズの曲名「ルーシー・インザ・スカイ・ウィズ・ダイヤモンド」からとられた、というのは割とよく知られた話ですよね。
 リュック・ベッソン監督は、ナタリー・ポートマンとかミラ・ジョヴォビッチを発掘したことで知られる名匠です。女優さんを見る目があって、魅力的に撮るんですね。また、戦うヒロインを描くのがうまい。「ニキータ」とか「フィフス・エレメント」、「ジャンヌ・ダルク」などですね。今回もそういう流れの作品ではあります。今作の起用はすでに有名女優であるスカーレット・ヨハンソンで、それにヨハンソンは戦う強いヒロインという役柄も「アベンジャーズ」シリーズなどで経験済みですが、それとは違う、新たな魅力を引き出しています。今作は、初めは全く平凡で取り柄のない女の子、というような設定なんですが、本当にそう見えるのです。それが、あることをきっかけに普通の女の子ではなくなってしまうのですが・・・そのへんの描き方が見事です。
 何に似ているかといえば、前半はアクション、ヴァイオレンス路線で、やはり「フィフス・エレメント」とか、ミラ・ジョヴォビッチが以前に主演したスーパーヒロインの活躍を描く「ウルトラ・ヴァイオレット」なんかに似ているんです。しかし、後半になるとですね・・・あの「2001年宇宙の旅」に雰囲気が似てきます。それから少し前にジョニー・デップ主演で公開された「トランセンデンス」にも似てきますね。つまり、すごく哲学的な深淵で崇高といってもいい話になってきます。このへんは、さすがにフランス人監督、娯楽的な作品であっても、やはりハリウッド王道の路線と少し異なりますね。
 ◆  ◆  ◆
 台湾の台北に住んでいる平凡な女性ルーシー(ヨハンソン)。彼女は1週間前に知り合ったばかりの軽薄な男リチャード(ピルウ・アスベック)に、高級ホテルの前に呼び出されます。そして何かが入ったジュラルミンのカバンを持ってホテルのフロントに行き、チャン氏に渡してくれ、と頼まれます。胡散臭いものを感じたルーシーは断ろうとしますが、強引に頼まれてしまいます。言われたようにすると、黒ずくめのアジア系のマフィアたちが現れて、リチャードは射殺され、ルーシーは韓国人マフィアのボス、チャン(チェ・ミンシク)の前に引き立てられます。カバンの中身は得体のしれない青い薬品で、ルーシーは無理やり、ビニールに入ったその薬を下腹部に埋め込まれてしまい、海外への運び屋になるよう強要されます。ほかにも数人の男が運び屋にされるようでした。
 しかし、ルーシーは移送の途中で、組織の下っ端の中国人チンピラに強姦されそうになり抵抗、下腹部を激しく蹴られてしまいます。袋が破れて青い薬はルーシーの体内で急速に変化を始めます。この薬とは、人類の脳を覚醒させ、通常なら10%しか使われていない脳細胞を、最終的には100%にまで高めて超人化させてしまう代物なのでした。目覚めたルーシーは平凡な女の子から、すべてを支配できる神のごとき恐るべき能力を開花させていきます。彼女は組織の監視から脱出すると、自分以外の運び屋とされた3人の男を止めるべく、フランスの警察官ピエール(アムール・ワケド)に連絡を取り協力させます。また自分自身もパリに行き、脳科学の権威ノーマン博士(モーガン・フリーマン)に会おうとします。チャンの組織は執拗に彼女の後を追いますが、ルーシーは自分自身があと24時間もすれば「死ぬ」・・・いや、いわゆる死ぬのではなく、今の自分としては存在できなくなってしまうことを悟っていました。すでに彼女の能力は暴走を始めており、ルーシーは超人に近づいていくほどに、徐々に本来の人間性や感情が希薄になっていくことを止められなくなっていました・・・。
 ◆  ◆  ◆
 ということで、能力に開花したスーパーヒロインのルーシーが、マフィアたちを相手に恐るべき戦闘能力を発揮する、みたいなありがちな、分かりやすい展開は中盤まで、なんです。あっという間に彼女は人知を超えた高みに上って行ってしまうのですが、そのへんから後はもう、本当に人類とは何者か、生命とは・・・そんな超越的な、哲学的な、あるいはスピリチュアル的と言ってもよいお話に変貌していくあたりが本作の特徴。そこをどう見るかで評価も変わりそうですが、私はこの後半のどこか物悲しさ、考えさせられるテーマ性に引きつけられました。1時間半ほどの短編といってよいコンパクトな作品で、扱うのもほんの2日間ほどの出来事。出てくる主要キャストもそんなに多くありません。なのに、壮大といってもいいスケールの話になってくるのは、リュック・ベッソンらしいところでしょう。そんなお話の魅力をモーガン・フリーマンの知的な存在感が大いに引き立てています。
 チェ・ミンシクの演じるマフィアもとことん悪でいいですね。その初めは圧倒的で恐ろしい悪も、ルーシーが背負ってしまった運命の前には、だんだん詰まらない、どうでもいい存在に見えてくるのです。
 短いのに、まことに印象的な一本でした。さすがにベッソン監督はうまいですね。
 

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