« 旧日産本社ビル(東銀座)解体に着手しました。 | トップページ | 日刊ゲンダイ「辻元よしふみ鉄板!おしゃれ道」第27回「サマージャケット」 »

2014年6月20日 (金)

ポンペイ

 

20140619211228


 ポンペイPOMPEIIという映画を見ました。これは西暦79年、ローマ皇帝ティトゥスの時代にヴェスヴィオ火山の大噴火で壊滅した古代ローマ帝国の都市ポンペイの悲劇を扱う作品です。といえば、ブルワー・リットンの小説「ポンペイ最期の日」だとか、これを原作にしたかつての映画化作品がいくつか思い浮かびますけれど、本作のストーリーはオリジナルで、主人公が剣闘士であるという以外、ブルワー・リットンの作品と重なる点はありません。
 メガホンをとったのは「バイオハザード」シリーズや「三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」のポール・W・S・アンダーソン監督です。  
◆  ◆  ◆
 西暦62年、北ブリタニア(現在の英国北部)に侵攻したローマ軍団は、あるケルト人の集落を焼き払い、村人を皆殺しにします。目の前で両親を殺され、ただ一人生き残った少年マイロは、軍団の司令官であるローマ元老院議員コルヴス(キーファー・サザーランド)の顔を目に焼き付けます。
 それから17年の月日がたち、西暦79年。ロンディウム(現代のロンドン)の闘技場で、マイロ(キット・ハリントン)は最強の剣闘士(グラディエーター)として頭角を現しています。その試合ぶりを見た興行主は、マイロをもっと繁華なポンペイの闘技場に移籍させることにします。
 ポンペイに向かう移動のさなか、奴隷戦士の一行は、帝都ローマからポンペイに向かう貴婦人の馬車と出会います。馬車を引く一頭の馬が、けがをして苦しんでいるさまをマイロは目撃。脚を折った馬に助かる道はなく、馬車の主であるカッシア(エミリー・ブラウニング)の頼みで、マイロは苦しむ馬を安楽死させてやります。そのわずかの交わりで、惹かれあうマイロとカッシアですが、高貴な女性と奴隷の身ではどうにもなるものではありません。  カッシアはローマの陰惨な政界や社交界にうんざりしてポンペイの実家に帰り、ポンペイ市の有力者である父セヴェルス(ジャレッド・ハリス)、母アウレリア(キャリー・アン=モス)の元に戻ります。しかしセヴェルスはローマの有力者をポンペイに迎え、数年前の地震で荒廃した市の再建計画に投資させようと画策しており、カッシアは父の方針に疑念を抱きます。
 一方、マイロはポンペイの闘技場で、チャンピオンのアティカス(アドゥエール・アキノエ=アグバ)と知り合います。彼は明日の試合で勝てば、晴れて奴隷の身から自由民となることになっており、最後の一騎打ちの相手をマイロと指定されます。
 そこに到着したローマの有力者。それはあのコルヴス議員でした。コルヴスはローマでカッシアに強引に言い寄っており、セヴェルスの邸に赴くと、ここでも父のポンペイ復興計画に協力する見返りに、自分と結婚するようカッシアに迫ります。カッシアは憤然とコルヴスの求愛を断ります。ちょうどそのとき、カッシアの愛馬が世話をしていた馬丁を振り切り、一頭だけで邸に帰ってきて暴れだします。すでに小さな地震が頻発しており、動物の勘で火山噴火が近いことを知っているのです。たまたま貴婦人たちの夜の慰み者となるべく連れてこられた剣闘士たちの中に、マイロがいました。カッシアは愛馬を落ち着かせるようマイロに頼みます。馬を乗りこなしたマイロは、カッシアに手を差し伸べます。2人で逃げ出そうと・・・。迷うカッシアですが、馬に乗り、しっかりとマイロの背中に抱き着きます。2人は馬で郊外に逃げ出しますが、コルヴスの追手に追いつかれてしまいます。
 マイロはコルヴスの前に引き出され、目の前にいる男が両親の敵であることを悟ります。コルヴスはマイロを処刑しようとしますが、カッシアがそれを押しとどめ、その代わりにコルヴスの求愛を受け入れることを示唆します。
 翌日、闘技場ではコルヴス、カッシアと両親が見守る中、血なまぐさい殺戮ショーが開催されることとなります。予定されていたマイロとアティカスの一騎打ちは中止となり、代わって、コルヴスのブリタニア侵攻を再現する恐ろしい処刑ショーを行うことに。ローマ軍団兵士に扮した剣闘士の群れが、マイロとアティカスに襲い掛かります。絶体絶命のピンチの中、次々と敵を倒す2人。だがそこで、ヴェスヴィオ火山が大きく揺れ、煙を噴き上げます。今まさに、悲劇の幕は切って落とされようとしていました。巨大な災害が襲おうとする中、敵に囲まれてしまったマイロは、そしてカッシアとの愛の行方はどうなるのでしょうか・・・。
 ◆  ◆  ◆
 というわけで、ストーリーを見るとかなり盛りだくさんのようですが、メインのお話はマイロとカッシア、そしてコルヴスがほとんど同時にポンペイにやってきて、翌日には闘技場で試合、そして大噴火ということになりますので、実はほんの丸一日の物語に過ぎません。
 最新のVFXを使った映像は凄いの一言です。本作は史劇+災害映画ですので、その両面で最新の技術がいかんなく活用されています。ポンペイの市街地は発掘調査でかなり明らかになっているのですが、それがこのように映像化されると、そのあまりの素晴らしさに息をのみます。ほんの10年前なら考えられなかったような、まさに悲劇の都ポンペイが蘇ったかのような臨場感はそれだけで一見の価値があります。そして、噴火が始まると、まずは火山礫が降り注ぎ、次に火山弾、それから港では海が後退していき、と思ったら大きな津波が押し寄せてきて、船が町の中まで流されてきます・・・このへんは明らかに日本の大震災をリサーチしたのでしょう。そして止めとして、恐ろしいスピードの火砕流が流れてきて、すべてを呑みこんでしまいます。このへんは科学的知識を盛り込み、また当時の目撃記録である小プリニウスの記録にも基づいて、完全な再現を試みているようです。
 この噴火当時、海軍の司令官だった大プリニウスはポンペイ市民の救出に向かって死亡しており、その甥であり養子でもあった小プリニウスが唯一のポンペイ被災記録を後世に残しています。適当なロマンス史劇という枠ではない出来栄えですので、古代ローマに関心のある人は必見でしょうね。
 剣闘士の描き方も、ポンペイの闘技場では上述のとおり、ちょっとイレギュラーな催しとなってしまうのですが、ロンディニウムでのシーンでは、あの当時の何種類かあった剣闘士のコスチュームを史実通り正確に再現していたようです。なんだか剣闘士というと、ファンタジーになってしまう映画も多いので好感を持ちました。
 余談ですが、主人公マイロ役のキット・ハリントンは、役者としてはまだキャリアは浅いですが、英国では有名な貴族の家柄ハリントン準男爵家の御曹司なんだとか。ヒロインのエミリー・ブラウニングもまだ25歳の新鋭。2人ともこれからの成長が楽しみな人です。キーファー・サザーランドとか、「マトリックス」シリーズのキャリー・アン=モスとかが脇を固めていますが、できればキャスト的にはもう少し重鎮的な人も欲しかったかもしれません。もっとはっきり言えば、アンダーソン監督としては奥様のミラ・ジョボヴィッチを出してほしかったですね。まあ、あんまりいつも出しているとそれはそれで公私混同、といわれるのかもしれませんが、ミラは史劇に似合うと思うのですが。  

|

« 旧日産本社ビル(東銀座)解体に着手しました。 | トップページ | 日刊ゲンダイ「辻元よしふみ鉄板!おしゃれ道」第27回「サマージャケット」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/122224/59844440

この記事へのトラックバック一覧です: ポンペイ:

« 旧日産本社ビル(東銀座)解体に着手しました。 | トップページ | 日刊ゲンダイ「辻元よしふみ鉄板!おしゃれ道」第27回「サマージャケット」 »