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2014年5月 2日 (金)

テルマエ・ロマエⅡ

20140502044505  2012年4月公開の大ヒット映画「テルマエ・ロマエ」から2年、その続編である「テルマエ・ロマエⅡ」THERMAE ROMAE Ⅱを見ました。武内英樹監督、阿部寛、上戸彩、北村一輝、市村正親、宍戸開、竹内力といった製作・出演陣は再結集、さらに元横綱の曙、元大関の琴欧洲、それに松島トモ子、白木みのるといった大御所まで出演して花を添えています。
 いうまでもなく、ヤマザキマリの原作コミックを下敷きにしているのですが、前作以上にオリジナル度の高いストーリーになっているようです。要するに本作は、阿部の演じる古代ローマ時代のテルマエ(浴場)設計技師ルシウスが思い悩む→現代日本の浴場にタイムスリップする→勝手な思い込みや誤解をしながら、珍騒動を繰り広げる→ローマ時代に戻って、日本で見た銭湯や温泉の技術、デザインなどをなんとか再現する→いい加減な記憶と技術的制約で、奇妙にローマ化した日本風のテルマエが出来る、という流れの繰り返しになっています。それは一作目から同じ黄金パターンなのですが、水戸黄門のシリーズと同様、この繰り返しそのものが分かっていても、とにかく珍妙でおかしい。単純に笑えるシーンが多いという意味では、前作よりそういう要素も回数も多い、と思います。よく続編を作るにあたって、変に新味を出そうとひねり過ぎたり、凝り過ぎたり、という作品もあるものですが、本作は素直に前作で観客に受けたパターンをしっかり踏襲していると思います。つまり、「テルマエ・ロマエはこうでなくちゃ」というところを続編化してくれた作品です。
 ◆ ◆ ◆お話は・・・。古代ローマ帝国は第14代ハドリアヌス帝(市村)の時代。先代トラヤヌス帝の際限ない領土拡大政策を改め、国境線を後退させたハドリアヌスは、ルキウス(阿部)を重用してテルマエを各地に造り、平和な国づくりを推進しようとしていました。しかし、それを快く思わない元老院議員の一部が反発、コロッセウム(闘技場)でアケボニウス(曙)らグラディエーター(剣闘士)たちに血なまぐさい戦いを繰り広げさせ、市民を好戦的な方向に扇動しようとしました。ある日、ルキウスは闘技場に招かれ、元老院議員から剣闘士たちを癒すテルマエを建造するよう依頼されます。その場で、次期皇帝候補ケイオニウス(北村)と出会いますが、ケイオニウスは北方のパンノニア属州にいるはずで、しかもなぜか旧知のルキウスのことを覚えておらず、その態度にルキウスは不信感を覚えます。新たなテルマエ造りに思い悩む彼は、例によって現代日本にタイムスリップ。その風呂場には、現代日本の剣闘士である相撲部屋の力士たちがひしめいており、ルキウスはマッサージ器やバスクリン、また非常に平和的なルールに終始する相撲に心動かされます。相撲巡業の桟敷にはお風呂専門誌のライターになっている山越真実(上戸)がいて、ルキウスが再び日本を訪れたことを知り驚きます。ルキウスはローマに戻って新しいテルマエを造り大成功。続いて皇帝補佐官アントニヌス(宍戸)の依頼で子供向けのテルマエ、ハドリアヌスの命令でバイアエに新たな大温泉郷を相次いで建造することになり、さらに寒冷なパンノニアのケイオニウスの陣中に簡易風呂を送ることまで依頼されます。その都度、悩んでは日本にやってきて、真実と再会し・・・を繰り返しますが、ルキウスの予想以上の手腕に驚いた元老院議員たちは、ルキウスの暗殺を画策。さらに、彼らはとんでもない陰謀を巡らせてローマ帝国を支配しようとしていました・・・。
 ◆ ◆ ◆ということで、基本的にやたら難しく考えたり、時代考証面をうんぬんするべき作品ではないわけですが、そうでありながら冒頭の大コロッセウムを再現した映像の見事さには目を見張ります。剣闘のシーンでは、勝利したアケボニウスが場内を見まわして観衆の意向をうかがいますが、あれは史実通りで、観衆が親指を下に向けて「殺せ」と叫ぶ声が多ければ、剣闘士は敗者を殺すことになっていました。ローマのセットはブルガリアに半年もかけて作られ、ことにコロッセウムは高さ50メートルの巨大な建物を再現したそうで、このへんの本気度は前作を上回るものがあります。
 また、エンディングにかけてのルシウスと真実の恋の行方・・・というのも美しく描いています。ここもなかなかの仕上がりで、印象深いですよ。そういえば、前作同様、タイムスリップのたびにオペラの歌曲が流れ、謎の歌手が歌うシーンが今回もありますが、これだけでちょっと独立した寸劇になっているのが、またかなりおかしいです。
 まさに安心して見ていられる娯楽路線の王道作品で、決して期待を裏切りません。本作に何か新たな要素を求める人はあまりいないと思いますので、前作が面白かった人は迷わずご覧になっていい快作ではないかと思います。私が見た場内も大受けでした。コメディー作品でも、これだけ実際に場内で反応がある作品は珍しいのではないでしょうか。

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