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2014年4月25日 (金)

キャプテン★アメリカ ウィンター・ソルジャー

 

20140425012856 アメリカ大統領が来日されている折も折、「キャプテン★アメリカ ウィンター・ソルジャー」THE CAPTAIN AMERICA,THE WINTER SOLDIERを見てきました。マーベル・コミック・シリーズの最新作で、「キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー」(2011年)の直接の続編であるとともに、「アベンジャーズ」(2013年)の続編の一つとなる作品。そして、今後のアベンジャーズ・シリーズに内容がつながっていくことになっています。
 膨大な過去作品があり、ファンもたくさんついているマーベル・コミックの中から、どの流れを選択して、この大河シリーズを組み上げていくか、というのは至難の業なのだろうと思われます。作品により、いろいろなテイストも変えていく必要があり、たとえば「マイティ・ソー」関連はシェークスピア史劇のような持ち味が強く感じられます。「キャプテン・アメリカ」はもともとが戦時中に米国の士気高揚、国威発揚をテーマに生まれたキャラで、戦時下が舞台の第1作はその流れを裏切らないものでしたが、しかし第2次大戦から70年を経た今、世界も米国も新たな混沌の状況にあり、キャプテンも無垢な正義漢として星条旗を背負っていればいい、というわけではありません。本作で色濃く描かれるのは、ブッシュ政権下であらわになった「先制攻撃ドクトリン」というものです。要するに世界平和と米国の安全の敵となるものは、国家であれ組織であれ、さらに危険人物個人であれ、敵が動き出す前に先制攻撃する権利がある、という考え方。敵が手を出す前は何もしない、という日本のような専守防衛とは全く逆、少し考え方を間違えれば、気に入らないものは何でもテロリストの汚名を着せて、抹殺できる、という主張であり、恐怖による世界支配を意味します。
 そこに、あのナチス・ドイツが持ち込んだ優生思想・・・そもそも劣った人間を選別して抹殺し、優れた人間だけが生き延びる権利がある、といった考え方が加わればどうなるか。大戦後のアメリカに、多くのナチス高官や高級軍人、科学者が招かれて、戦犯指定から外すことを条件に米国の軍や政府に協力した、というペーパークリップ作戦というものがありました。そのもっともよく目に見える成果は、フォン・ブラウン博士によるアポロ計画の成功です。
 本作は、このような世界観を背景に、公式パンフレットの製作者ケヴィン・ファイギ氏の言葉によれば、70年代の政治ものスリラー映画、たとえば「大統領の陰謀」のようなテイスト+最新のアクション映画というものにしたそうです。よって、非常にシリアスで、いわゆるヒーロー・コミックものという色よりも、確かにアクション・スリラー+近未来SFという作りになっておりまして、きわめて異色の作品に仕上がっております。
 キャプテン・アメリカという名前やイメージで敬遠するのはもったいないです。これは映画としてみると、シリーズ中でも最高によくできている一本といっていいのではないでしょうか。
 ◆  ◆  ◆ お話は・・・。あのアベンジャーズで、マイティ・ソーたちと共にロキと戦い、世界を守ってから2年。キャプテン・アメリカことスティーヴ・ロジャース(クリス・エヴァンス)は、ニック・フューリー長官(サミュエル・L・ジャクソン)率いる平和維持組織シールドの一員となりブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフ(スカーレット・ヨハンソン)らと行動を共にしています。
 シールドの船がアルジェリア系フランス人の海賊にジャックされ、キャプテンたちはこれを奇襲、人質解放に成功しますが、ナターシャはニックからキャプテンの知らない別任務を受けていて、ブリッジのコンピューターから情報を盗み出します。それに気付いたキャプテンは不信感を抱き、ニックに真意を問い詰めます。ニックはシールドの上部機関である世界安全保障委員会のピアース委員長(ロバート・レッドフォード)の支持のもとで、世界から脅威を取り除く新しい先制攻撃主義の極秘計画が進行していることをキャプテンに知らせます。 恐怖による世界支配を目指すシールドという組織に、このまま所属することに疑問を抱いたキャプテンは、ジョギング中に知り合った退役軍人ファルコン(アンソニー・マッキー)から「辞めたら、好きなように生きればいいじゃないか」と諭されます。スミソニアン博物館にある「キャプテン・アメリカ」の展示コーナーに赴いて過去を振り返るキャプテンは、年老いて病に伏すかつての恋人ペギー(ヘイリー・アトウェル)と悲しい再会をします。
 一方、やはり秘密計画に内心、疑問を抱いていたニックは、ピアースに計画の延期を進言。その帰り道で正体不明の謎の刺客に襲撃され、キャプテンの住むアパートに逃げ込みます。「だれも信用してはいけない」と言い残して、キャプテンの目の前で撃たれるニック。キャプテンの隣室の住人と思われた女性看護師(エミリー・ヴァンキャンプ)は実はシールドの派遣した「エージェント13」で、すぐにニックを救出しますが、キャプテンやナターシャ、ニックの秘書マリア・ヒル(コビー・スマルダーズ)の見守る中、あえなく死亡してしまいます。ナターシャは、ニックの銃撃に特殊な銃弾が使われたことから、ニック暗殺を担ったのは、かつて彼女も襲われたことがある正体不明の謎の殺し屋「ウィンター・ソルジャー」(セバスチャン・スタン)である、と判断します。安全保障委のピアースは、ニックが海賊を雇ってシールドの船を襲撃させ、長官であるニック本人も知らないシールドの最高機密情報を盗み出そうとしていたことをキャプテンに暴露。その情報を託されているなら出せ、とキャプテンに迫ります。その後、今まで共に行動していたシールドのメンバーたちに拘束されそうになり、キャプテンはますます誰を信じていいかわからず、疑心暗鬼に陥りますが、ナターシャを信じ、彼女が船から盗み出してニックに渡し、ニックが殺される寸前にキャプテンに託した極秘情報を頼りに、ニュー・ジャージーにあるかつての軍の訓練場に潜入します。そこは大戦中、キャプテンが訓練を受けた場所でしたが、かつてはなかった見慣れない建物があることに彼は気づきます。その地下に入ると、旧式のコンピューターが彼らを待っており、起動したところ、聞こえてきたのはあの戦時中にキャプテンたちと戦い死んだはずのナチス科学組織ヒドラの開発責任者・ゾラ博士(トビー・ジョーンズ)の声でした。ゾラたちヒドラの残党は戦後にアメリカに渡り、シールドの中に食い込み、ヒドラの世界支配計画を着々と推進していたのでした。キャプテンはナターシャ、ファルコン、マリアらと共にヒドラの計画を阻止しようとしますが、またも立ちはだかるウィンター・ソルジャー。キャプテンはその敵が、自分の幼馴染で戦友でもあり、戦時中の1944年にヒドラとの戦いで戦死したはずのバッキー・バーンズ軍曹であることに気付き衝撃を受けます・・・。
 ◆  ◆  ◆  ということで、ものすごくシリアスで、まさに誰も信用できない二転三転の展開。シリーズ中でも白眉の快作といっていいでしょう。ペギーとの再会のシーンは泣けますね。それから、大物レッドフォードが出てくると確かに政治陰謀もの映画のテイストが強まります。あと、最後の方で意外なことにトーマス・クレッチマンとアーロン・テイラー・ジョンソンが出てきますが、どんな役でどう出てくるかは見てのお楽しみ。またカメオ出演といえば、マーベル・グループの名誉会長でハルクやソー、Xメン、スパイダーマン、そしてアベンジャーズの原作を手掛けてきたスタン・リー氏(今年91歳!)が出演しています、意外なシーンで。ちゃんとセリフもある場面ですのでご注目を。
 そして、本作は最後のエンドクレジットの後に、追加シーンがあるタイプの映画なので、慌てて退席しないように。しかも、追加シーンが2回もあります! 最後の最後まで、見逃さないことをお薦めしますよ。

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