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2014年3月 7日 (金)

ホビット 竜に奪われた王国

「ホビット 竜に奪われた王国The Hobbit: The Desolation of Smaug」を見てまいりました。いうまでもなく、「ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)」シリーズの前日譚「ホビット」シリーズの第2作目でございます。
 20140307004929 第1作目の「ホビット 思いがけない冒険」の時も感じましたが、「ロード・・・」三部作は重厚長大で暗いトーンの原作小説を、どれだけシーンをカットして映画の枠に押し込むか、が大事だったようでしたが、「ホビット」三部作は逆に、割と軽い児童文学である原作を、どれだけ映画として膨らませるか、そして「ロード・・・」の世界の前日譚として、どれだけつないでいけるか、がピーター・ジャクソン監督の思案のしどころだったんだろうな、と思わせるものがあります。原作者のトールキン教授は、初めにごく軽い児童文学として「ホビット」を書き、そこから中つ国の世界大戦を壮大なスケールで描く「指輪物語」を続編として書きました。当然、初めの構想からすると、とんでもなく話が大きくなってしまったわけなので、先に書いたホビットに相当、加筆を加えたほか、「指輪物語」の巻末にも、60年前の「ホビット」におけるビルボの冒険の時に、すでに指輪戦争につながるいろいろな前兆が起こっており、特に冥王サウロンの復活や、ガラドリエルやサルーマン、ラダガスト、ガンダルフたち「賢人会議」の人々が、このときどんな対処をしていたのか、といったことが記されておりまして、そういう部分を映画に盛り込んでいるわけです。そういうわけで、原作を知らない人には、初めから整合性がとれて見えるでしょうし、原作をよく知っている人からは、「ああ、ここでこのシーンを入れるのか」と納得するところが多々ある、そんな映画化になっております。
 本作の冒頭は、今回の冒険から遡ること1年ほど前、ホビット庄の隣村であるブリー(粥)村のご存じ「子馬亭」、「ロード・・・」ではフロド一行が初めてアラゴルンと出会うあの宿屋で始まります。離れ山のドワーフ王国の王位継承者、ドワーフのトーリン・オーケンシールド(リチャード・アーミティッジ)を付け狙うあやしい男たち。その一触即発の場に姿を現すのが灰色の魔術師ガンダルフ(イアン・マッケラン)です。トーリンに「黒の言葉」で記された兇状が回っていることを知らせたガンダルフは、かつての王国にすまう悪竜スマウグ(ベネディクト・カンバーバッチ)を打倒し、祖国を取り返すように諭します。このまま竜の支配に任せておけば、離れ山もいずれ悪の勢力の拠点になることを恐れてのことでした。そして、スマウグの元からドワーフ族の王位継承の証「アーケン石」を奪還するために、小回りの利く「忍の者」を雇い入れることを提案します。こうして、白羽の矢が立ったのが、ホビットのビルボ・バギンス(マーティ・フリーマン)なのでした・・・。
 そして1年後、オークの軍団の襲撃を受けたトーリン、ビルボらの一行は、熊男ビヨルン(ミカエル・パーシュブラント)の協力を得て危機を脱しますが、離れ山の秘密の入り口を見つけるには特定の日でなければならず、時間がありません。期日に間に合わせるには、闇の森を突っ切って行かなければなりませんが、森のエルフの王スランドゥイル(リー・ペイス)は排他的でよそ者を歓迎しません。それを承知で森を突破しようというそのとき、ガンダルフは、バラド・ドゥアの古い要塞で勢力を増しつつあるという謎の「死人使い(ネクロマンサー)」の噂を聞きつけ、早急に調査する必要を感じます。そこで、いったん一行から離れることとし、決して自分抜きで離れ山に踏み込まないようにトーリンに言い置きます。
 しかしガンダルフ抜きのドワーフ一行は、スランドゥイルの息子レゴラス(オーランド・ブルーム)と、警護隊長タウリエル(エバンジェリン・リリー)に捕まってしまいます。タウリエルは、エルフがドワーフと交わるなどあってはならないはずでしたが、トーリンの甥のキーリ(エイダン・ターナー)に心惹かれるものを感じます。過去の確執もあってスランドゥイルとトーリンの交渉は決裂しますが、ビルボは、ゴラムから奪ったあの「魔法の指輪」を使って脱走を成功させます。
 森を抜けた一行は、どこか謎めいた人間の弓の名手バルド(ルーク・エバンス)の手引きを得て、かつて離れ山との交易で繁栄したものの、今は見る影もなく寂れている湖の街に潜入。バルドは一行が離れ山の竜を呼び起こすことで災いが起きることを恐れますが、彼と対立している領主(スティーブン・フライ)は一行を歓迎し、離れ山に送り出します。
 そのころ、ガンダルフは茶色の魔法使いラダガスト(シルベスター・マッコイ)の協力を得てバラド・ドゥアに乗り込みますが、そこで彼が目にしたのは、恐るべき冥王サウロンの復活と、強力な悪の軍勢が集結しているさまでした。彼は力及ばずサウロンに屈服し、オーク軍の大将アゾグ(マヌー・ベネット)に捕えられてしまいます。
 さて、離れ山に到達したトーリンとビルボは、スマウグとどう対峙するのか。一方、ガンダルフの運命は・・・。
 ということでして、お話はすべて第3作目につながっていくので、まあどうしても「続く」という終わり方になってしまうのは致し方ないところ。この後、スマウグとの対決や、オークの大軍との決戦が控えている、というわけですが・・・。早く先が見たいですね、これは。
 前のシリーズと合わせた六部作の一作としてみると、興味深い点も多々あります。たとえば原作では「ホビット」には登場しないレゴラスが登場すること。そして、一行の一人グローイン(ピーター・ハンブルトン)から、息子のギムリの肖像画を見せられて「醜い奴だな」と呟くのですが、このレゴラスとギムリが、60年後には種族を超えた無二の親友となるわけです。またタウリエルが、オークの矢を受けて苦しむキーリを、アセラス(王の葉)という薬草で癒すシーンがあります。これは、本来なら指輪戦争でアラゴルンがゴンドールの城内で行う施術なんですが、ここで再現して見せてくれている感じですね。そういえば、タウリエルというこの女性エルフは原作では出てこない人物です。この点で、人によっては原作至上主義から嫌がるのかもしれませんが、映画としてみると、この人は絶対に入れて正解。というか、原作より面白くなっていると私は思います。あと、特筆すべきはカンバーバッチが演じる悪竜スマウグ。これ、声をあてているだけでなく、表情や動きまでモーション・キャプチャーに挑戦しており、ちゃんと竜のようにのた打ち回って演技したようです。それは大変ですよね。美声で知られる彼のこと、まことに存在感あるスマウグになりました。これは一見の価値があります。そういえば、カンバーバッチは英国BBCの「シャーロック・ホームズ」のホームズ役。一方、マーティ・フリーマンはワトスン役なんですね。思いがけずホームズ・コンビの顔合わせとなったようです。
 それからこれはちなみに、ですが、原作小説では、後に「スマウグの荒らし場」となっていた谷間の国を復興し、その領主となるバインの孫ブラントが、60年後の指輪戦争でアラゴルンたちを応援するために参戦します。
 この後の展開もまあ、結局「ゆきて帰りし物語」なので、ビルボが指輪を持って帰還しなければ60年後の物語の伏線にならないわけです。「指輪物語」ではフロドがお供のサムに諭すわけです。「ビルボの冒険はゆきて帰りし物語だった。でも今回は違う。行ったら帰ってこれないかもしれない。それでもお前はついてくるのかね」と。だからまあ、結末は分かってはいるのですが、それでも楽しみですね。中つ国の冒険は、いったんはまると病み付きになりますね。

 

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「ホビット 竜に奪われた王国」★★★★ マーティン・フリーマン、イアン・マッケラン、 リチャード・アーミティッジ、ケン・スコット、 グラハム・マクタビッシュ、 ウィリアム・キルシャー出演 ピーター・ジャクソン監督、 161分 2014/2/28公開 2013,アメリカ,ワーナー (原題/原作:THE HOBBIT: THE DESOLATION OF SMAUG ) 人気ブログランキング... [続きを読む]

受信: 2014年3月16日 (日) 20時28分

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