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2013年11月21日 (木)

キャリー

 クロエ・グレース・モリッツ主演の「キャリー」Carrieを見てきました。いうまでもなく作家スティーブン・キングの出世作を基にした1976年の同名大ヒット映画のリメイクです。76年版は原作者キングを有名にしただけでなく、ブライアン・デ・パルマ監督と、キャリー役のシシー・スペイセクにもスポットライトを浴びせました。ついでに、不良少年ビリー役で出たジョン・トラボルタも、これを足掛かりにその後、ブレイクしましたね。20131121072651



 76年版でアカデミー賞候補にまでなったシシーは、数年後に実際に他の作品で受賞していますが、彼女の演じたキャリーはいかにもいじめられっ子で、痩せっぽちで、お世辞にも美人ではなくて、18歳になって初潮がきて慌てふためく、という設定にも違和感がない点が見事だったわけでした。しかも当時、彼女はたしか既に20代も半ば過ぎていたとか。そのへんの演技力も高く評価されたわけです。
 が、2013年版では、なんといっても今やトップアイドルのモレッツがやっているわけです。はっきりいって「なんであんな美人がいじめられっ子なの? ほっといてもモテモテでしょう」と思ってしまいます。おまけに「キックアス」のイメージもあるので、「なんであんな程度のいじめにめげているのかな。超能力なんて発動する前に、得意の武闘でみんな叩きのめしてやればいいのに」とついつい思ってしまう。
 まあ、そのへんのギャップが現代的で面白いのですが。それに、やはり76年版のままの設定では2013年には合わない点も確かにあるんですね。たとえば、いかに母親から抑圧的な育てられ方をしていても、今時の現代っ子ならネットでいろいろ情報を得られる。今作でもキャリーが学校のパソコンで情報収集しているシーンがあり、まあ76年のキャリーのように完全に無知蒙昧な子供というのは、今ではあり得ない。いじめる側の手法もネットに画像を投稿する、などという要素が入ってきます。また学校にねじ込んでくる厄介な親とか、やたら権利を振りかざして教師の言うことを聞かない生徒とか。こういう部分が入ってきて、アップデイトされている。76年版との相違点が興味深いですね。
 いちばんの相違は、キャリーがそれなりに自立した少女で、母親との関係も76年版ほど一方的ではないし、また最後の有名な舞踏会での殺戮シーンでも、前のものは完全に錯乱して手当たり次第に皆殺しにしていたような気がしますが、今作では微妙に違います、ちゃんと相手を見て冷静に攻撃しているようです。こういうところ、21世紀版ともなるとそれなりに変化しているなと感じ、大筋では同じですが、けっこう細かい描写で違いがあります。
 キリスト教原理主義者で狂信的な母親マーガレット(ジュリアン・ムーア)に育てられたキャリー(モレッツ)は孤独な少女で、高校でも浮き上がっていじめの対象になっています。更衣室のシャワーで遅い初潮を経験したキャリーは混乱し、同級生たちにはやしたてられ笑い物に。動画まで撮影されてしまいます。しかしこのことで、いじめの首謀者クリス(ボーシャ・ダブルデイ)はデジャルダン先生(ジュディ・グリア)から処分を受け、学校主催の舞踏会プロムに参加できなくなります。一方、いじめの件で罪悪感を抱いた級友のスー(ガブリエラ・ワイルド)は恋人のトミー(アンセル・エルゴート)に、キャリーを誘ってプロムに出るように頼みます。トミーも元々、キャリーにいくらか興味を持っていて、プロムのパートナーになってくれるようにキャリーに申し出ます。驚いて拒絶したキャリーですが、たまたま自分に超能力の素質があることに気づいていた彼女は、最後には前向きになって参加することに。しかし、キャリーを逆恨みしたクリスは、恋人の不良ビリー(アレックス・ラッセル)をそそのかして陰湿な計画を立てます。そしてプロムの夜、悲劇は起こります・・・。
 ジュリアン・ムーアの鬼気迫る演技も堂に入っています。ガブリエラ・ワイルドは「三銃士」でコンスタンスを演じて注目された人で、さすがにモデル出身、存在感がありますね。クロエ・モレッツの魅力はよく出ています。やっぱりキャリーというか・・・クロエの映画ですね。彼女のファンなら必見です。しかし、救いのない話ですが、76年版と違う現代的な持ち味というものか、どこかあれほどの陰惨さはありません。
 なお、アメリカの映画には良く出てくるのが、卒業の年に行われる舞踏会プロム。必ずパートナーで参加、そして、いろいろの事情で本命の彼女ではなく、違う友達と出ることも珍しくないそうで、そういう意味では、本作のようにトミーがステディのスーではなく、日ごろ付き合いのなかったキャリーを誘って参加する、というのはそんなにおかしな話ではないようです。
 男性はタキシード、女性はドレスを着て、この舞踏会で初めての大人のフォーマルを経験するわけですね。また、高校時代の間に彼氏彼女を作ろうと躍起になるわけです、草食系、とはいっていられないわけです。日本にはなかなかない文化ですが、一つの大事な通過儀礼なんですね。
 

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