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2013年11月 1日 (金)

グランドイリュージョン

 11月になりましたね。ということで、「グランドイリュージョン」NOW YOU SEE MEという映画を見ました。邦題は分かりやすく、これがマジックをテーマにしていることが一目瞭然でなかなかいいと思いますが、原題の「ナウ・ユー・シー・ミー」というのは、マジシャンがステージ上で観客にいう「さあ、ご覧ください!」という決まり文句なわけです。20131101052452



 これは、4人の凄腕マジシャンが「フォー・ホースメンFour Horsemen」なるユニットを組んで、犯罪もしくは犯罪すれすれのあっと驚くようなショーを繰り広げる、というお話。このフォー・ホースメンというのは、聖書のヨハネの黙示録に出てくる、世界の終末に馬に乗って出現するとされる4人の乗り手のことです。フォー・ホースメンの出現はこの世の終わりを示す不吉なものですが、一方で新たな世界の到来を告げる世直しの象徴でもあります。そんな名前を名乗る彼らの意図とはなんなのでしょうか。
 そこそこに売れてはいるが、もう一歩の奇術師アトラス(ジェシー・アイゼンバーグ)、かつてはテレビ出演までしていたものの、今は落ちぶれて詐欺師まがいの生活に落ちている読心術と催眠術の名人メリット(ウディ・ハレルソン)、実力はあるがまだ駆け出しの新人で、鍵開けの名手ジャック(デイブ・フランコ)、それにかつてはアトラスの助手を務め、今は危険な脱出ショーを得意としているヘンリー(アイラ・フィッシャー)。いずれも能力は高いのに、世間で認められているとは言い難い4人のマジシャンに、タロットカードの招待状が届きます。彼らは謎の人物からの指令にしたがい、新たなユニットを組むことになります。
 それから1年後。保険会社など多くの会社を経営する資産家トレスラー(マイケル・ケイン)の後援を受けて、ラスベガスの大ステージに立った4人はフォー・ホースメンと名乗り、一世一代の大マジックをやってのけます。衆人環視のなか、ラスベガスからパリにある銀行の金庫に観客の一人を瞬間移動させ、その目の前で320万ユーロもの大金を強奪。その紙幣をラスベガスの会場にいる観客の頭上から降り注いで見せたのです。強盗事件として捜査に乗り出したFBI捜査官のディラン(マーク・ラファロ)は4人を逮捕。フランスからやって来たインターポール(国際警察)捜査官アルマ(メラニー・ロラン)と共に取り調べますが、奇術や読心術を駆使する4人に散々に翻弄されたあげく、確たる証拠も得られず釈放することになります。ディランは会場にいたトリックを見破る専門家サディアス(モーガン・フリーマン)に協力を仰ぎますが、サディアスははっきりした態度を示しません。しかしフォー・ホースメンの次の公演はニューオリンズで、と予告されており、ディランとアルマは万全の態勢を調えてショーに向かいます。
 ところが、ニューオリンズのステージでは、フォー・ホースメンはパトロンのはずだったトレスラーの資産1億4000万ドルのすべてを奪い、ハリケーン被害でトレスラーの経営する保険会社から補償金を受け取れなかった人々の口座に全額を移す、という離れわざを決行し、トレスラーを破滅させます。ディランはなすすべもなく失態を犯し、恥をかかされてしまいます。しかしフォー・ホースメンは義賊としてもてはやされることになりました。
 ディランの捜査は行き詰りますが、アルマは4人の背後に、古代エジプト時代から存在する魔術師の秘密結社アイがかかわっているのではないか、と考え始めます。そこに、フォー・ホースメンの次なる標的はニューヨークにある警備会社の金庫、という情報が入ります。かくて捜査官たちと4人のマジシャン、さらにトレスラーから「4人を破滅させてくれ」と依頼されたサディアスがニューヨークに集まり、最後のショーの幕が切って落とされます・・・。
 というような展開で、とにかくマジックの演出が面白い。それはもちろん大がかりなマジックはもともとショーとして確立しているわけなので、それ自体で十分に面白いのですが、何しろそれが犯罪がらみで謎解きが絡んできます。4人のマジシャンはいわゆる義賊で、大金持ちから奪って困っている人たちにばらまくという連中。実際、一連の犯行で彼ら自身は一銭も儲けていません。一体、彼らの意図は何のか、というのは最後まで見ないと分かりませんけれど、ひとつのミステリーものとして見た場合、そこらへんがなかなかに秀逸です。最後の最後までどんでん返しが用意されています。確かにラストあたりまで来て「あ、まさか」と思うこと請け合いです。「この作品の謎は、観客に先が読めたぞ、と思わせてしまうところ。これから先どうなるかわかったぞ、とね。私も脚本を読んだ時、途中で、なんだ、先は読めたぞ、と思ったのだが、全く違っていた。大どんでん返しがあるんだ。でもそれは言いたくないよ、映画を見てほしいからね」というのはパンフレットにあるマイケル・ケインの言葉。全く、彼が言う通りの作品です。
 超大物のマイケル・ケインとモーガン・フリーマンの出演が大いに作品を引き締めています。4人の個性的な魔術師も、一人ひとりの個性がしっかり描けていて面白いです。「ソーシャル・ネットワーク」で名を上げたジャシー・アイゼンバーグと、「ウォーム・ボディーズ」ではチョイ役だったジェームス・フランコの弟デイブ・フランコが大活躍、「華麗なるギャツビー」でなんとも地味な役を演じていたアイラ・フィッシャーもとても魅力的です。それから一見、冴えなくて4人に翻弄され続けている駄目捜査官という役どころのマーク・ラファロが好演。「アベンジャーズ」で演技派ぶりが高く評価されて注目された彼ですが、今回も実はなかなかに難しい役。うまくこなしています。そして、大注目なのが「イングロリアス・バスターズ」で有名になったフランスの女優メラニー・ロラン。彼女が登場するだけで映画が本当にセンスが良くなるというか、おしゃれになるというか、パリの風が吹くと言うか。この人は本当に美しいです。やはりフランス出身のルイ・レテリエ監督の狙い通り、というところでしょう。
 最後まで見ると、かなりファンタジックといってよいような思いもかけない展開になっていきますが、それはもう見てのお楽しみ。くれぐれも途中で「なんだ、先は読めたぞ」と思ってしまわないように。何しろマジック映画なんですから。そして、どこかフランス人監督らしいしゃれた作品だと思います。
 
 

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映画「グランド・イリュージョン.」★★★★ ジェシー・アイゼンバーグ、マーク・ラファロ、 ウディ・ハレルソン、メラニー・ロラン、 アイラ・フィッシャー、デイヴ・フランコ、 マイケル・ケイン、モーガン・フリーマン 出演 ルイ・レテリエ 監督 116分、2013年10月25日より東京のみ公開 2013,アメリカ,KADOKAWA (原題/原作:NOW YOU SEE ME) 人気ブログランキ... [続きを読む]

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