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2013年10月10日 (木)

フローズン・グラウンド(ニコラス・ケイジ)

 またまた懲りないことにニコラス・ケイジの新作映画である「フローズン・グラウンド」The Frozen Ground http://www.frozenground.jp/というものを見ました。近隣では新宿と千葉市蘇我、そして有楽町スバル座でしか見られないので、有楽町に行ってまいりました。
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 それにしても、言わずと知れたオスカー俳優のニコラス。名門コッポラ家のサラブレッドでまさにハリウッドを代表するスター・・・であることは今でも間違いないのですが、大作の「ナショナル・トレジャー」や「ノウイング」、「魔法使いの弟子」なんかに出ていた2009年ぐらいまではともかく、です。それでも2010年あたりは、新進監督の低予算作品とはいえ「キック・アス」は大ヒットとなったので、むしろ彼の株を上げたのですが、その後がどうも良くありません。
 以下は、それから以後の出演作(日本公開年)と、日本国内の公開映画館数ですが・・・。

 デビル・クエスト    (2011年) 5館
 ドライブ・アングリー3D(11年)  30館
 ハングリー・ラビット  (12年)  45館
 ブレイクアウト     (12年)  22館
 ゲットバック      (12年)  35館

 まあこんな感じで、新人や若手監督のオファー、低予算企画や自主企画作品の依頼も進んで引き受けている、という姿勢は大物として立派ですが、それにしてもいかにも粒が小さい映画ばかりであることは否めません。個別にみると決して面白くない映画ではなく、むしろ個人的には楽しめる作品、印象深い作品も多いのですが、しかし仮にもアカデミー俳優。B級作品ばかりに出ることを揶揄されるのは当然で、率直に言って、「デビル・クエスト」以後はラジー賞最低男優賞ノミネートの常連となっています。そのため、見るのに非常に苦労します。しかしまた、この危うい感じのニコラスを「かわいそう、ニコラス」と言ってわざわざ見に行き続けている我が家も、まあなんによらず人気のあるもの、売れっ子、評判のいいものには背を向けて、判官びいきに旗色の悪いものほど応援したくなる、ひねくれた天の邪鬼気質というもんでして。
 今年は、それでもまあまあの大作「ゴーストライダー2」でやや盛り返し、そして今回の「フローズン・グラウンド」です。これも大作とはいえません。今回の全国公開館数は19館で、「デビル・クエスト」よりはましですが、ここ数年の中でも最少の数。監督はこれが長編デビューのほぼ新人スコット・ウォーカー。ではありますが、共演するのはジョン・キューザックにラダ・ミッチェルと実力派ぞろいの顔ぶれ。作品の出来栄えも、しっかりしていると思います。というのも、本作は1980年代に全米を震撼させた連続殺人事件を扱う実録もの。さすがに実話ならではの緊迫感があり、そして、こういう映画での地味な刑事役などやらせると、破天荒なファンタジー・ヒーローよりもニコラスの演技力が引き出される感があります。
 1983年10月、アラスカ州アンカレッジ市で、まだ17歳の売春婦シンディ(ヴァネッサ・ハジェンズ)がモーテルで警察に保護されます。彼女は客のロバート・ハンセン(キューザック)に殺されかけた、と訴えますが、ハンセンは町では評判の良い模範市民で、売春婦の証言など信用できない、と市警察は却下。しかし、これに納得できないある警官が、密かに州警察に書類を回します。
 同じころ、近隣で女性の射殺死体が発見され、同様の遺体が狭い範囲で発見されていることから、州警察の巡査部長ジャック・ハルコム刑事(ケイジ)は連続猟奇殺人の可能性を疑い始めます。そこにアンカレッジ市警からの書類が届き、ハンセンを本格的に捜査することに。実はジャックは警察を退職し、引っ越しして石油会社に転職するつもりで、妻のアリー(ミッチェル)も新生活を楽しみにしています。しかし思わぬ難事件を引き受けてしまい、捜査は難航。ジャックは町で売春を続けているシンディに接触しますが、彼女はなかなか心を開いてくれません。一方で知能犯のハンセンは、警察の捜査が及んでいることを察知して証拠隠滅を図り始めます。状況証拠からハンセンが犯人であることは間違いないのですが、確たる物証はなく、担当検事からゴーサインが出ない。焦るジャック。さらに生き証人のシンディを殺そうと動き出すハンセン。捜査が長引くことでアリーも不機嫌になって、家庭内にも不和が。さあ、この厳しい状況でジャックはどうやってハンセンを追い詰めるのでしょうか・・・。
 というような展開でして、犯人が初めから分かっていて、刑事が追い詰める心理戦となる、というのは「刑事コロンボ」のような倒叙式の犯罪ドラマです。もっとも、作り話ではないのでそんなに奇想天外などんでん返しの連発、みたいな派手な話にはなりえません。それで、重要証人であるシンディにかなりスポットが当たった展開なんですが、その分、ニコラスの活躍ぶりが目立たないかも。キューザックは実在の殺人鬼を熱演しています。終盤の警察でのやり取りは、実際の取り調べ時のハンセンの証言を再現しているそうです。また、シンディ役を演じているハジェンズは若手の有望株で、既にテレビ「ハイスクール・ミュージカル」シリーズのヒロインや、一般のミュージカルの舞台でも大活躍している人だとか。これまでアイドル的な活動が多かったようですが、本作では娼婦役で本格女優に挑戦。数年後にはもっとメジャーな有名人になっているかもしれませんね。
 ロバート・ハンセンはおそらく20人以上の女性を殺害しており、少なくとも17人の殺害を自供していて、84年には保釈なしの懲役461年を言い渡されています。逮捕から30年がたって、現在は74歳で、もちろん今でも服役しているそうです。アラスカ州には死刑制度がないので、まずもってこれが最高刑だそうですが、やはり実録ですので本作はかなり重苦しいです。でも映画としてはしっかり出来ていますし、脚本もよく練られていると思います。見て損はない一本だと思いました。面白おかしいひねりは特にないのに、やはり実話の力なのでしょうか、心に残りますね。

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