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2013年10月24日 (木)

ゴースト・エージェントR.I.P.D.

 「ゴースト・エージェント/R.I.P.D.」Rest In Peace Departmentという映画を見ました。R.I.P.というのが「安らかに眠れ」という決まり文句なのはよく知られていますが、そのあとのD.はDepartmentつまり部署の意味。つまるところ「安らかに眠れ署」という架空の警察組織のお話。もちろんこれは普通の警察組織ではありません。勤務する警察官はすべて故人。そして、死んでも地上にとどまって悪霊化しているゴーストたちを退治し、成仏させるのが任務・・・いってみれば、異星人を取り締まる組織を扱ったメン・イン・ブラックMIBのスピリチュアル版が、本作と言えます。20131024063310



 ボストン市警の敏腕捜査官ニック(ライアン・レイノルズ)は、5年来の相棒ボビー(ケビン・ベーコン)にそそのかされて、証拠品として押収した金の固まりを庭のオレンジの木の下に埋めます。しかしこのことで新妻ジュリア(ステファニー・ショスタク)との幸せな生活が破綻することを恐れたニックは、正直に証拠品として申告する決意をし、ボビーに告げます。ボビーもそれを受け入れたかに見えましたが、凶悪犯の逮捕に向かった現場で、ニックはボビーに射殺されてしまいました。
 思いがけず相棒の裏切りで死んでしまったニック。自分は死んだ、と自覚した瞬間、その魂は地上を離れ、天空に開いた入口に吸い上げられて行き・・・ところが、突然、彼は警察の取り調べ室のような小部屋に強制的に連れ去られてしまいます。そしてそこに向かい合って座っているのは、警察の制服らしきものを着た女性(メアリー・ルイーズ・パーカー)でした。彼女は自らをプロクター(監察官)と名乗り、死んでも地上にとどまっている地縛霊のたぐいを強制的に取り締まる天界の警察組織R.I.P.D.ボストン支署の責任者だと言います。R.I.P.D.に参加できるのは地上で警察組織に所属していた故人。任期は100年で、ここでの活動経歴は「最後の裁きを受ける際に有利な追加ポイントになる」と聞かされます。ジュリアのことが気になっていたニックは参加することを即決。そこで、プロクターから相棒として紹介されたのは、今R.I.P.D.に所属する中でも最古参、19世紀の西部劇時代に保安官だったというロイ(ジェフ・ブリッジス)でした。何かと反りの合わないニックとロイですが、ある線から進んだ捜査の中で、ニックが命を落とす原因となったあの金の固まりが、3000年も前に神の怒りを買って破壊されたジェリコの塔の部品であることを知ります。この部品をすべて集めて組み立てれば、死者はすべて地上に戻ることができるようになります。そして、元相棒のボビーがこの部品集めに一役買っているらしいことや、ゴーストたちと取引しているらしいこと。さらにジュリアに接近して何かを企んでいるらしいことも。徐々に信頼関係を結んでいった2人は、ジェリコの塔の復活を阻止し、ジュリアを守ることができるのでしょうか・・・。
 というようなお話で、娯楽映画の王道ですが、なかなかスピリチュアル的な知識もリサーチしているような描写が興味深いです。何より死者はまだ生きているふりをして地上の社会に溶け込んでいますが、正体を表すとおぞましい姿に変容してしまいます。たとえば情報屋で口数が多かった者は口が大きく、食欲に執着があったものはおそろしい肥満体に、ほかにも腕の数が多い者や指の数が多い者・・・。これは生前の願望や執着で姿がゆがんでしまうわけですね。いわゆる「見える」人たちによれば、こういうことは本当に地縛霊にはある、といいます。たとえば地上に落したものを探し続けて執着している霊は腕が恐ろしく長くなってしまう、という具合です。
 R.I.P.D.の捜査官が、自分自身が地上に執着することを妨げるために、地上の人たちには捜査官は違った姿かたち(アバター)で見える、という設定も秀逸です。ニックは中国系の老人(ジェームズ・ホン)、ロイはスーパーモデルの美女(マリサ・ミラー)というアバターを持ち、地上の人たちにはとてつもなくおかしな二人組に見える、というのが面白いです。
 なんといってもオスカー俳優ジェフ・ブリッジスが作り上げたぶっ飛んだ19世紀のガンマン、ロイの存在感ある人物像が魅力的です。それから、ロイとはどうもいい仲らしい上司のプロクターが、実はチャーミングな女性なのがいいですね。メアリー・ルイーズ・パーカーがいい味を出しています。ライアン・レイノルズも好演していますし、ジュリア役のステファニー・ショスタクがかわいい。フランスの女優さんは本当に独特のキュートさがあります。そして堂々の悪役ぶりなのがケビン・ベーコン。得体のしれない感じがよく出ていますね。
 アバター役の二人も出番は多くないのですが、もう50年代から500本以上の映画に出ている名優ジェームズ・ホンと、ヴィクトリア・シークレットのエンジェルで知られ、本作が女優としての長編映画デビューとなるスーパーモデル、マリサ・ミラーの取り合わせがいいです。
 天界からの指令が金のバケツに入れられて、はるか「上の方から」投下され、それをプロクターが読み上げる、というコミカルなシーンが印象深いのですが、こういった部分、おそらくキリスト教的な教義からいってギリギリのところで折り合いをつけたような設定なんだと思います。欧米の場合、娯楽作品であってもその辺の配慮が必要で、大変です。しかし、このR.I.P.D.のような地縛霊を解き放って、成仏させるような軍事組織というか、警察組織みたいなものは本当に霊界に実在するのではないか、という報告もしばしばあるようで、そういう視点から真面目に見ても非常に興味深い内容でした。死後の世界が実在するのかしないのか、については、それが絶対に実在しない、というような科学的な根拠や証明もいまだなされていません。つまり、あると言い張るのも、ないと言い張るのも、どちらも科学的な態度ではないのです。「もし死後の世界がないならないで困らない。しかしもし万一あった場合はどうなるか。そう思って、死後の世界があることを前提として生きるのが合理的である」というような言葉を、あの偉大なパスカル(台風の時に出てくる気圧の単位ヘクトパスカルに名を残す偉人です)が言っていました。私も自分自身がそもそも子供のころからそう考えていたので、パスカルのような天才が自分と同じ発想をもっていたことを知って嬉しくなったことがあります。
 まあ哲学的にそんなことを難しく考える必要はない映画です。テンポは軽快で文句なく楽しめます。しかし、そのうえでちょっと哲学的な感慨にも浸れる一本かもしれません。

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