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2013年9月22日 (日)

ウルヴァリン;SAMURAI

 

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  芸術の秋というものか、話題の映画の公開が結構、続きます。ということで今度は「ウルヴァリン:SAMURAI」The Wolverineを見てきました。昨年、レ・ミゼラブルで本格派としての演技力、歌唱力、存在感を見せつけたヒュー・ジャックマン。そちらの撮影を優先して、本作の方は予定より進行が少し遅れたそうですが、しかしなんといっても彼の出世作はこのX-MENシリーズのウルヴァリンことローガン役。それで、本作の位置づけはウルヴァリン単独シリーズの第2作なのですが、「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」(2009年)の続編と言うよりは、むしろ「X-MEN ファイナル・ディシジョン」(2006年)の後を受けた作品といえそうです。舞台となるのは日本。80年代に発表された、ウルヴァリンが日本で活躍する原作コミックを下敷きにした映画化です。
 2006年の「ファイナル・ディシジョン」で、人類とミュータントとの戦争の終盤、心ならずも愛する女性ジーン(ファムケ・ヤンセン)を自らの手にかけて殺してしまったローガン。不老不死の身もあって生きる目標を見失い、仲間たちとも分かれ、カナダの山中で世捨て人として孤独に暮らしていますが、夜な夜なジーンの登場する悪夢にうなされています。ある日、山で友だちになったクマが心ないハンターの毒矢を受けて殺されます。久々に怒りに燃えたローガンはハンターを殺してしまおうとしますが、謎の日本人女性ユキオ(福島リラ)に止められます。そして、太平洋戦争の末期に、長崎の捕虜収容所でローガンが原爆の直撃から命を助けてやった日本軍将校・ヤシダ中尉(若年期は山村憲之介、晩年はハル・ヤマノウチ)が、戦後に大財閥の総帥として成功し、東京でローガンを待っていると告げます。
 ユキオに伴われて東京を訪れ、ヤシダの本拠地に赴いたローガン。がんに侵されて余命幾ばくもないヤシダから「来てもらったのはお礼を言いたかっただけではない。死ねないということは不幸なことだ。ローガンさん、私が君に死を与えてやろう」と言われます。その夜、あやしげなヤシダの主治医グリーン(スヴェトラナ・コドチェンコワ)から口づけされたローガンは、自分の身体に異変が起きていることに気付きます。
 直後、ヤシダが急死。ヤシダ財閥の後継者に指名されたのは孫娘のマリコ(TAO)で、その父親でありヤシダの息子であるシンゲン(真田広之)は怒りを爆発させ、マリコの婚約者で現役閣僚のモリ(ブライアン・ティー)も怪しげな動きを見せます。不穏な雰囲気の中、盛大なヤシダの葬儀が催されますが、ここでマリコはヤクザたちに襲撃され拉致されそうになります。長年、ヤシダ家に仕える忍者集団の一員ハラダ(ウィル・ユン・リー)が支援する中、ローガンはマリコを助け出します。しかし自分が不死身でなくなりつつあることを知って彼は愕然とします。2人ははるか西方の地、長崎にあるヤシダの別邸に逃れますが、ここにも追っ手が迫り・・・。
 ということで、不死身のはずのウルヴァリンが傷つき、死の危機を迎えるというストーリー。そして、全く文化の違う異国の日本で、一層の孤独にさいなまれながら、自らを見つめ直す、というのが話の肝。かなり誇張された日本の描写は、我々から見ると変なところも多々ありますが、かつての日本を舞台にしたボンド映画「007は二度死ぬ」(1967年)あたりから比べると、随分、外国の人の日本理解も進んだのかな、とも思えます。見ていまして全体の雰囲気や展開が、あのボンド映画にちょっと似ている気がします。
 よくこの手の映画では日本人の命名が、日本人から見て不自然なことも多いですが、ユキオ(雪緒)がちょっと男性みたいですが漢字にすればありえなくもない、マリコ(真理子)はもちろん合格、ヤシダ(矢志田)という姓は聞き慣れませんが、あっておかしくもないでしょうね。しかし息子の名前がシンゲン(信玄)というのは、あり得るとは思いますけれど、ちょっとなあ・・・。もっとも、こういうキャラクターの名前はすでにウルヴァリンを主人公にした原作コミックで既に何十年も前に確定しているものなので、今回、新たにつけたものではないからどうにもなりませんね。
 また、日本人の出演者はもちろん、他国籍の出演者の日本語もまずまず違和感がありません。沖縄出身のブライアン・ティーが上手なのは当然かもしれませんが、韓国系アメリカ人であるウィル・ユン・リーは終盤、かなり長い日本語台詞がありますが、立派にしゃべっています。ところで007といえば、ローガンがある人物を高い窓から突き落とすと、下にプールがあって助かる、それでユキオが「プールがあるって知ってたの?」と聞くと「いいや、知らなかった」と答える・・・このやりとり、「007 ダイヤモンドは永遠に」(1971年)のパロディーじゃないでしょうか。
 TAOさんと福島リラさんという2人の日本人女優が熱演しております。いずれも元々、ランウェイで国際的に活躍するモデルさんですが、新鮮な演技で、日本的な魅力をうまく引き出しています。日本刀を使った派手な立ち回りなど大変だったと思いますが、よくやっています。真田広之さんは・・・二刀流を鮮やかに操るアクションはさすがに見事です。しかし筋立て上は、不死身のウルヴァリン相手ではどうしても引き立て役になって、いかにも不肖の息子という役回り。印象的にはちょっと気の毒かも。いいところありません。ですがパンフレットによれば、やはり殺陣のシーンは真田さんが完全に仕切って、共演者にも指導していたとのこと。刀をすべて寸止めで上半身裸のジャックマン相手に決めるのは、大変な技術が必要だったそうです。ジャックマン本人も鍛え抜かれた肉体を見せつけていますが、18か月もトレーニングしたとか。役者さんは大変です。
 それから前作で死んだはずのジーンを演じるファムケ・ヤンセンの出番がかなり多いですので、もうこのシリーズでは彼女に会えないかも、と思っていたファンは必見。そして・・・この作品はエンドクレジットがしばらく続いた後で追加のシーンがあるタイプの作品なので、慌てて席を立たないことをお薦めします。
 それに関連して申しますが・・・今作には意外にも、前作で退場したかに見えたマグニートー役のイアン・マッケラン、エグゼビア役のパトリック・スチュワートが出演しているのです。これが何を意味するのか? このへんは見てのお楽しみであります・・・。

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受信: 2013年10月10日 (木) 08時02分

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