« ダチョウのドゥンガ君(ぬいぐるみ)。 | トップページ | 日刊ゲンダイ「鉄板!おしゃれ道」第9回「夏の帽子」 »

2013年9月 6日 (金)

マン・オブ・スティール

20130905212635


 「マン・オブ・スティール」MAN OF STEELなる映画を見てきました。全く予備知識のない方なら「鋼鉄の男? スターリンの伝記映画か?」と思われるかもしれませんが、これは新しいスーパーマンの映画化です。しかし正式名称にはスーパーマンのスの字もないのが興味深いところ。すでに何度も映画化されており、なんで今さら、と言われかねない題材です。しかし、近年の映像技術の進化からして、やはりこのまま埋もれさせてしまうには勿体ない。何しろ1933年に同人誌に登場したスーパーマンは、すべてのアメコミ・ヒーロー、そしてすべての超人ものの元祖。すでにこびりついてしまった手垢を落とし、全く新しい映像としてスーパーマンを再生させたい、というこの難しい仕事を、「バットマン」シリーズを再生させたクリストファー・ノーランが原案・製作、「300(スリーハンドレッド)」で驚くべき映像美を見せつけてくれたザック・スナイダー監督がメガホンをとって見事に成し遂げた一本となっております。
 物語の大枠としては、むしろ旧来のスーパーマンをかなりきちんと踏襲しています。滅亡したクリプトン星から赤ん坊の状態で逃れて地球に飛来し、カンザス州で農業を営むケント夫妻に育てられ、デイリー・プラネット新聞の女性記者ロイス・レインと出会って恋に落ち、やがて自らも同社の記者という身分になって世界の危機を救う・・・という展開は全く元のままで、リメイクものにありがちな、奇をてらった余計な手を入れていないところが好感を持てます。実は私は個人的には、スーパーマンの職業が変わるのではないか、と予想していました。新聞というメディアがアメリカでは衰退著しく、実際にコミック版のスーパーマンの新作では、IT系の企業に在籍する設定に変わってしまったように聞いており、今回の新シリーズもそういうアップデイトの変化はあるのかな、と思ったのです。しかし今作では「世界中の情報が集まりやすく、危険なところに乗り込んで行っても詮索されない仕事」としてやはりデイリー・プラネット社が健在です。なるほど、情報の部分だけなら、今ではネットでいろいろ手に入るのでしょうが、「危険なところに乗り込んでいく」という要素、事件や事故の現場に、軍人や警察官のような組織に属さずに乗り込んで違和感がない民間の職業と言えば、今でも旧来のメディア関係、新聞とテレビの記者しかない、といえそうです。
 10万年にわたり高度な文明を築いてきたクリプトン星。かつては宇宙のあちこちに偵察隊を派遣し、植民と資源確保を図って宇宙規模の大帝国を展開していました。しかし文明は衰退期に入り、厳格な遺伝子管理で、初めから指導者、科学者、軍人、労働者・・・などと赤ん坊は素質ごとに分類されて「生産」され、退嬰的で変化を嫌う元老院が支配するようになると、各地の植民星は放棄され、資源を掘り尽くし、ついにクリプトン星の最後の時が迫ってきました。無能な元老院に反旗を翻した軍部の高官ゾッド将軍(マイケル・シャノン)と女性副官ファオラ(アンチュ・トラウェ)らはクーデターを起こし元老院を掌握。しかしこれに反発した科学者ジョー・エル(ラッセル・クロウ)は、妻のララ(アイェレット・ゾラー)との間に自然分娩で生まれた赤ん坊カル・エルに、クリプトン星人の全遺伝子データの雛型であるコデックスの情報をすべて注ぎ込んで、脱出ポッドで逃します。怒ったゾッドはジョー・エルを殺害しますが、やがて巻き返しを図った元老院側に逮捕され、反乱は鎮圧されます。しかしもはや時間は残されておらず、クリプトン星は大爆発を起こして消滅しました。
 それから33年後。あちこちで超人的な能力を発揮して、人命救助をしては去っていく謎の青年クラーク・ケント(ヘンリー・カビル)の姿が遠く離れた地球にありました。彼は子供のころから自分の能力を持て余し、地球での父ジョナサン・ケント(ケビン・コスナー)から、自分の正体が異星人であることを教えられると、自分探しの旅に出ていたのでした。そのころ軍部はカナダ北部で、約2万年も昔に謎の異星人が残したらしき宇宙船を発掘。取材に訪れた女性記者ロイス・レイン(エイミー・アダムス)はそこで、宇宙船に乗り込むクラークの姿に気づき、後を追います。宇宙船の防衛機能に攻撃され負傷したロイスを、クラークは助け、宇宙船を操って姿を消します。ロイスはクラークが異星人であることを確信し、取材を重ねて、カンザスに住むクラークの母マーサ・ケント(ダイアン・レイン)の元まで訪れ、ついにクラークと再会します。ロイスはクラークに、正体を明かすべきだと言いますが、クラークは、地球の父ジョナサンから秘密を明かすのは早すぎる、地球人は彼を歓迎せず、恐れるから、と教えられており、その言葉にしたがって今は身を潜めていたい、と告げます。ロイスもその考えに納得し、秘密を守ります。しかしクラーク・ケントがそのままひっそりと生きることはできなくなります。クリプトン星消滅を逃れたゾッド将軍が、ジョー・エルの息子カル・エルが地球にいることを知り、部下を率いて地球にやってきます。そして地球人類に「地球人になり済まして潜伏している同胞を引き渡せ」と脅迫します。クラークがゾッドに投降しなければ、ゾッドは圧倒的な科学力と軍事力で、簡単に地球人類を滅ぼすことでしょう。クラークは行きずりの教会で牧師に尋ねます。「僕はあの話題になっている異星人です。僕が投降してもゾッドは侵略をやめるという保証がない。彼は信用できません。でももっと問題なのは・・・地球人も信頼できない、という点なのです」。牧師は答えます。「まずはあなたが信じてみることです」
 クラークはまず公然と姿を現し、ハーディー大佐(クリストファー・メローニ)に逮捕されます。尋問室に呼び出されたロイスはクラークの胸の「S」の字に似た模様は何かと質問します。これはクリプトン星では希望の意味だ、というクラークにロイスは「それは地球では、スーパー・・・」と言いかけますが、これ以後、誰が言うともなく、クラークはスーパーマンと呼ばれるようになります。クラークはゾッド将軍に投降しますが、実父の仇敵であるゾッドとクラークの間が丸く収まるはずもなく、ゾッドは地球を惑星改造してクリプトン化を図り、地球人類を滅ぼすことを決意。地球の命運をかけた両者の死闘が始まります・・・。
 というような展開で、従来のシリーズと比べてクリプトン星の描写が多くて詳細なのが注目されます。そして、スーパーマンの4人の親が今までになく出番が多く、親子の絆の物語という要素も強くなっています。実父にラッセル・クロウ、養父にケビン・コスナーと大物が配されているのは伊達ではなく、出番も多いし見せ場もたっぷりあるのが興味深い点です。
 自分探し中の放浪するクラークの描き方や、子供時代に周囲から疎外されて苦悩する描写も非常に自然で、今までにないもの。このへんが新感覚ですね。今までの優等生的で大らかな描き方ではないのですね。
 新スーパーマン役者のヘンリー・カビルは非常に魅力的です。今まで「インモータルズ」ぐらいしか大きな役はなかった人ですが、伝統的スーパーマンらしさと新しい若い感覚を併せ持ち、歴代のスーパーマンと比べても遜色はないのではないでしょうか。
 それから個人的に気になったのがゾッド将軍の副官ファオラ役のアンチュ・トラウェという人です。ドイツの女優さんですが、いかにも強い女性という感じで、非常に目立ちました。これでぐっと注目されてくるかもしれません。
 非常に詩的でひとつひとつの映像が美しく、感動的な作品に仕上がっていると思います。なんだスーパーマンものか、今さらだよね、と言って頭から切り捨てる方もいるかもしれませんが、そういう先入観でカットしてしまうのは非常にもったいないと思いました。お薦めです。

|

« ダチョウのドゥンガ君(ぬいぐるみ)。 | トップページ | 日刊ゲンダイ「鉄板!おしゃれ道」第9回「夏の帽子」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/122224/58136198

この記事へのトラックバック一覧です: マン・オブ・スティール:

« ダチョウのドゥンガ君(ぬいぐるみ)。 | トップページ | 日刊ゲンダイ「鉄板!おしゃれ道」第9回「夏の帽子」 »