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2013年9月20日 (金)

キャプテンハーロック

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 日中こそまだ油照りですが、なんだかんだと朝晩はかなり涼しく秋めいてきましたね。今回は「キャプテンハーロック」SPACE PIRATE CAPTAIN HARLOCKというのを見ました。はっきりいってかつての人気アニメを下敷きにした実写化作品などはあまり成功例がありません。最近でも「ガッチャマン」が大苦戦、といううわさ。それで、この「ハーロック」は実写化ではなくてフルCGアニメ化なのですが、こちらも結構、苦戦中とは聞いています。
 とはいえ、一体なにゆえ、今になってあの松本零士作品が制作されるのか、モーションキャプチャーまで使用したフルCGはどの程度の出来栄えなのか、というのは大いに興味があり、見に行ってみたものです。
 率直な感想ですが、おそらく全く予備知識のない若い人などが見るなら、ちょっと内容に未消化なものがあるかもしれないが、筋立ての起伏はあって面白い作品だと思います。一方、1970年代、80年代あたりに夢中になった方々が「あのハーロック」を求めて見るなら、やっぱりちょっと違う、と感じるのではないでしょうか。
 もちろんハーロックは黒マントに重力サーベルを下げ、その肩に乗るトリさん、副長にヤッタラン、ブリッジにはケイ、おなじみ異星人のミーメ・・・と基本的には「あのハーロック」そのままでして、まるで実写のような再現でこういうキャラクターがどう動くのか、というのはひとつの見ものです。しかし、古いファンが期待するに違いない・・・たとえば999号とかメ―テルやクイーン・エメラルダスは登場しません。もちろんヤマトや古代守も出てきません。台場正を思わせるキャラクターは登場しますが、あくまでも別人です。あるいはまたアメリカ西部の早撃ちガンマン、フランクリン・ハーロックや、ハイリゲンシュタット出身の飛行家ハーロック一世、ドイツ空軍パイロットのファントム・F・ハーロック二世大尉などという御先祖の話も出てきません。大山トチローは回想シーンでちょっとだけ出てきますが、まあこれもほとんど、とってつけた感じの扱いなうえに設定も全く別人同然。実を言うと私なんかはそういう松本ワールドの周辺の話まで広げてくれるのかな、と思っていたのですが、今回の作品は松本ワールドの映画化というよりは、むしろ脚本担当の福井晴敏さんの世界のような気がします。要するに「亡国のイージス」とか「終戦のローレライ」の雰囲気の方が見終わった後の感じは近いような。まあ、かなり話が暗いんですね。そして良くも悪くも真面目。全く遊びがありません。松本零士的な作品というのはどんなに過酷でシリアスな内容でもどこかに余裕があって、三枚目なペーソスや詩情、ロマンを感じさせるのが特徴です。本作はそのへん、かなり堅い作風のような気がしました。
 特に設定は全く本作のオリジナルといってよい。中央政府にたてつく一匹狼の宇宙海賊ハーロックが戦艦アルカディア号と40人の仲間とともに宇宙を行く、というところ以外は全然、かつての漫画やアニメとはかかわりがないです。地球侵略を企むマゾーンなんてものも出てきません。ハーロック誕生や、アルカディア号の成り立ちの経緯も全く本作独自の解釈となっています。
 おそらく遥かな未来。星間航行技術を確立した人類は銀河の遠くまで散らばり植民し、ついには5000億人もの人口を抱えるように。しかし異星文明と出会うことはなく、唯一、滅亡寸前だったニーベルング族と接触できただけでした。宇宙の悠久の時間の中では文明の繁栄など一瞬にすぎず、他の星間文明と同時代にピークを迎えて接触することなど出来なかったのです。このため、人類は宇宙開発に失望し、故郷の地球に戻ることを考えるようになります。しかし5000億人がみな帰還すれば地球はもちろんパンクしてしまう。そこで地球の居住権をかけてはてしない大戦争「カム・ホーム」戦争が繰り広げられます。この戦争を調停するべく人類は最高統治機関ガイア・サンクションを設立。地球は神聖不可侵の星として、何人も近寄らないことと決定しました。そして、地球に近づく者たちを倒す切り札として、ニーベルング族が開発した謎のダーク・マター機関を搭載したデス・シャドウ級戦艦4隻を投入。その4番艦アルカディア号を指揮していたのが若きハーロック大佐(小栗旬)でした。
 しかしこの戦争の終盤、突然、ハーロックはガイア・サンクションに反旗を翻し、アルカディア号を奪って宇宙海賊となります。ダーク・マターの力のためか不老不死となったハーロックはそれから実に100年にわたり、地球政府に歯向かい続けることになります。
 そして1世紀の後。乗組員を補充するアルカディア号に、一人の新人が加わりました。彼の名はヤマ(三浦春馬)。実は彼はガイア・サンクション直轄の宇宙艦隊ガイア・フリート司令官イソラ(森川智之)の実弟で、ハーロックを暗殺するために潜入したのです。ヤマはかつて自らの過失で、大事故を引き起こし、兄のイソラを足の不自由な身体にしてしまった過去を引きずっています。また、密かに愛情を向けていた幼馴染のナミ(坂本真綾)も、この事故をきっかけにイソラの妻になってしまいました。
 ハーロックは宇宙の各地の惑星に、中央政府から奪った強力な破壊兵器、次元振動弾を設置し続けていることが判明。ですが、ニーベルング族の生き残りでハーロックの腹心であるミーメ(蒼井優)を除いては、ヤマにはもちろん、ベテランのヤッタラン(古田新太)をはじめクルーたちにも、その本当の目的は分かっていません。ハーロックは99番目の目標として惑星トカーガに次元振動弾を設置することを決め、任務に志願したヤマとケイ(沢城みゆき)を派遣。しかしそこでアクシデントが起こり、ヤマはケイを助けつつ自分は絶体絶命の危機に陥ります。すると、ハーロック自らが単身でその危険な場所に赴きヤマを救出します。「初めから気付いていたはずだ、俺の任務はあんたを暗殺することだ」というヤマに、ハーロックは「自由を求めてアルカディア号に乗った、と言ったな。ならば自分を縛るものと戦え。それで出た答えなら、いつでも俺を撃て」と言い放ちます。
 そしてハーロックは100番目の設置目標として、地球を選びます。これを待ち受けるのはイソラが率いるガイア・フリートの大宇宙艦隊。集中攻撃を受けながら、イソラの作戦を次々に突破してアルカディア号は地球に接近していきます。イソラはヤマが自分を裏切ったことを知り、さらに妻のナミが作戦情報をヤマを通じてハーロックに漏らしていることを悟ります・・・。
 というような展開でして、スケールが大きいし、映像は申し分なし。いまの最先端技術のほどが良く分かります。戦艦や艦載機の戦いは、実は昔のアニメよりもこういうフルCGの方が再現しやすいのではないでしょうか。「ああ、リアルに描くと宇宙戦ってこんな感じなのか」という納得感がありますね。
 原作のイメージに一番、近いのはミーメじゃないでしょうか。これも、リアル化するとこんな感じと言うのが興味深いです。そして、実を言うといちばん驚いたのがトリさんです。これも原作のイメージどおりなのですが、声は合成ではなくて、福田彩乃さんが演技しています。一生懸命、キジやペリカンの鳴き声を研究してトリさんになりきってアフレコに挑んだそうです。
 ということで、見どころはあるしお話も、かなり暗めな展開ですが面白い作品だと思うのですが・・・後は、観賞する方が「あのハーロック」だとは思わずに見られるかどうか、という感じを持ちました。まあ、思い入れが強い人は「違う」というだろうな、とは感じた次第です。

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