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2013年8月 6日 (火)

ボタンダウンシャツと胸ポケット

20130806172102  今日は都内も急なゲリラ的豪雨がしばしば襲い、傘が手放せない一日でした。銀座界隈も蒸し暑いこと、蒸し暑いこと。どのぐらいの湿度なんでしょうか。気持ち悪くなるような熱帯の気候です。

 昼食をとろうと某お店に入りますと、大声でまくし立てている男性がいる。この暑いのに上着を着込んでいます。向かい合っているのは2人の女性で、話を聞きながら質問したり、メモをとったりしている。「ははあ」と思いましたね。男性は近所の百貨店のバイヤーで、女性たちはおそらく、ファッション系ではない普通のメディア、つまり普通の新聞か普通の雑誌の記者さんだろうと思われました。

 というのも、これがファッション系の取材なら、バイヤー氏のいうことに間髪入れず、「あ、そうですね、そうですね」と膝を打つような返事が来るはず。ところが相手は、本来はそんなにファッションに興味のなさそうな、しかも女性です。だから、そのやりとりが実はとても聞いていて面白かった。

 どうも、ボタンダウンシャツをテーマにした取材らしいのです。で、バイヤー氏は自分のところの商品を示しながら、いろいろ蘊蓄を語ります。

◆    ◆    ◆

「ボタンダウンは基本的にスポーツシャツなんです。アメリカのブルックス・ブラザーズが流行らせて、アイビー大学の学生達に好まれまして」といったありがちな話を披露しているのですが、話が脱線して「華麗なるギャツビーでは、衣装提供はブルックスなのに、英国製のターンブル&アッサーのシャツを投げ捨てるシーンがあるんですが・・・、だから金持ちの本来的なドレスシャツは、ブルックスの既製のボタンダウンじゃなくて、ああいう英国製の何万円もするものでして・・・」

「はあ、はあ(???)」

「まあつまり、本来のドレスシャツは、ボタンダウンじゃないんです。これはあくまでアメリカ流の外しのシャツで。イタリアのオシャレな人はあまり着ません」

「ああ、そうなんですか(???)」

「しかしその、たとえばフェラーリのオーナーのモンテゼーモロ氏なんかは、あえてボタンダウンを着るんです。イタリアの人でBDを愛用するのは、アメリカのアイビー大学を出ている、ということを示すためのあえての着崩しでして」

「じゃあ、アイビー大学を出ていない人は、本来、着てはいけないのでしょうか」

「いやまあ・・・まあ、日本人は、そんなに気にしなくてもいいのでは」

「では、スーツにボタンダウンというのは、外しであって、本当は合わないわけですね」

「ええまあ・・・しかし、私などはあえて着る方ですが。スリーピースでも着ますけれど」

「はあ(????)」

「それから、僕は啓蒙の意味で、うちのボタンダウンシャツの半数には胸ポケットを付けないんですよ。まあ、欧米のスタンダードではドレスシャツに胸ポケは付けませんから。日本では当たり前でも、世界標準じゃないんですよ」

「では、日本の男性はどうしたらいいんですか。胸ポケに携帯とかタバコとか入れている方が多いですよね」

「だから・・・基本的には上着を脱がないで欲しいんです。日本人はジャケットを簡単に脱ぎすぎですよ。上着の内ポケットに入れて欲しいんですよ」

「でも、クールビズとかありますよね、今は」

「あれが、日本人のドレスコードを崩しているんですよ。まあ会社の方針的にはクールビズ商戦もやっているんで、本当は逆らっているわけですが、私は夏でもオフィスでは上着を着ていて欲しいです」

「しかしですね、でも、暑いですよね、日本は。ヨーロッパとは気候が違いますよね。それに環境省から通達が出て、国を挙げてやっていることで、それに震災の後は世の中の雰囲気も変わりましたよね」

「ええまあ・・・そうですが、しかし私は、安易に便利だから、楽だからと流れて欲しくないんです。たとえ震災があっても、クールビズだとか言っても、欧米人ときちんと商談するなら、夏でもスーツじゃないと。GDP上位何位という先進国ではそれは常識ですから。半袖なんて言うのもやめて欲しいですね。どうしてもアームホールが大きくなって、隣の半袖のオヤジの袖が、電車なんかに乗っていると当たって来るじゃないですか、あれ、いやですよね」

「・・・まあ、今回は話をボタンダウン・シャツに戻したいんですが。すると、ボタンダウンは本来のドレスシャツではないわけですね? あえて外しで着るようなもので、アメリカのアイビー大学の象徴だ、と。じゃあスポーツ用のカジュアルなシャツですよね。ということは、胸ポケがあってもいいのじゃないでしょうか」

「ああ、まあそういうことになりますね・・・いや、まあしかし、イタリアではボタンダウンでも胸ポケットは付けない人が多いですけどね」

「ああ、はあ(??????)」

◆    ◆    ◆

 明らかにバイヤー氏はいろいろ話しているうちに、なんだか矛盾してきており、女性記者さんの方はあまり納得していない感じなのですよ。

 私ははっきり言って、だから「服オタ」は駄目だなあ、と思いましたね。あくまで日本で着るのだから、何でもいいじゃないかと思いますが。海外に行くときは行くときの話であって。アイビー、アイビーなんていうのも、本当にハーバード大でも出ている人じゃなきゃ、むやみに強調する話じゃないですよ。シャツの胸ポケだってね、そもそもそんなことを言ってしまえば、16世紀頃まで西洋の衣服にはポケットなんてないのですよ。その意味ではずべてのポケットはすべてが、それ以前の時代から見て邪道。スーツの胸ポケだって、当時のズボンがとても窮屈でポケットなどなかったので、ハンカチを収める場所がないので仕方なく左胸に付けた。これがだんだん、オシャレなポケットチーフを入れるようになるわけで、もともとは実用そのものです。まあ時代の変遷でいろいろ出てくるのはどうしようもないわけですよ。

 何よりも、7、8月の日本は亜熱帯です。欧米人だって日本に来るときは、みんな半袖のシャツに半ズボンで来ますが、特に欧州あたりの人にとって日本というのは「南国の島国」であって、グアムやハワイなんかとあまり変わらない。だからリゾート用の服装でくるのが当然。もちろん公用で来る人はもう少し違うでしょうが、欧米的に言えば、そもそもバカンスするべき7、8月に重要なビジネスなどするべきではない、だからクールビズなんて言い方もないのですね。なぜなら真夏用のビジネス衣装、なんて初めから考えなくていいのだから。

 私も、もう7、8月はロンドンみたいな服装はしなくていいのじゃないか、と思いますけどねえ。まして出てもいない「アイビー大学」を意識する必要なんかないような。クールビズというより、もうリゾート、でいいと思う。

 そしてそんなことより、できればこの時期は、日本人もできるだけビジネスしないようにする方がいいのではないか、と思いますが、はい。

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