« ボタンダウンシャツと胸ポケット | トップページ | 日刊ゲンダイ「辻元よしふみ 鉄板!おしゃれ道」第7回「浴衣」 »

2013年8月 8日 (木)

ローン・レンジャー

 

20130808063536


 ジョニー・デップ主演の新作「ローン・レンジャー」を見てきました。デップ主演でディズニー映画で製作がジェリー・ブラッカイマー、ゴア・ヴァービンスキー監督がメガホンをとり、テッド・エリオットとテリー・ロッシオが脚本を担当、音楽はハンス・ジマー、衣装がペニ・ローズ、メーキャップはジョエル・ハーロウ・・・と、調べてみると、関係者はまるっきり「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズそのままの布陣。ヴァ―ビンスキー監督によれば、「パイレーツ・シリーズの時も、なんで今さら海賊映画?といわれたものだ。今度も、なんでいまどき西部劇でローン・レンジャー?といわれるのは覚悟の上だった」とのこと。
 しかし確かになんで、という感じはあるんですね。年配の方ならご存知でしょうが、もともと「ローン・レンジャー」というのは1933年に放送されたアメリカのラジオ・ドラマでした。覆面を被った正義のガンマン、ローン・レンジャーと、インディアンのトントのコンビが人気を呼んで、戦後の1954年まで、なんと3000回近く続いた長寿番組に。49年からはテレビドラマ版が制作されて、57年まで221回も続く人気番組になりました。そして日本でも58年から59年まで放送されて、当時は「ローハイド」と並ぶ人気西部劇だったわけです。まあこのへんは私もリアルタイムでは知りません、おそらく現在、60歳代半ば以上の方でないと分からないことかと思います。しかし、「インディアン嘘つかない」とか「キモサベ(友よ)」といった言葉は意外にかなり若い世代でも知っていたりします。これらは元々、トントの決めゼリフです。また、白馬にまたがって「ハイヨー! シルバー」と叫ぶのはローン・レンジャーの得意の決めポーズです。別の人気シリーズ「特攻野郎Aチーム」でもしばしば登場人物が、この「ハイヨー! シルバー」を連発していましたが、後の時代の他の作品に引用されるぐらい人気があったわけです。
 物語の発端は1933年(ということは、ラジオ番組が始まった年です)、サンフランシスコの遊園地に、西部開拓時代を扱うワイルド・ウエストという展示があります。ここを訪れた一人の少年が展示品を見て行くうちに、妙に生々しいNOBLE SAVAGE(高貴な野蛮人)と書かれた、頭にカラスを載せたインディアンの人形を見つけます。じっと見つめていると、人形が動き出し、少年は仰天します。それは人形ではなくて、若かりし日に西部で大活躍したトント(デップ)本人の老いた姿でした。トントは少年に、相棒のローン・レンジャーが誕生した秘話を語り始めます・・・。
 1869年、テキサス州の田舎町コルビー。ここはコマンチ族の居留地と接しており、町の治安を守るテキサス・レンジャーのダン・リード(ジェームズ・バッジ・デール)は彼らと平和条約を結んでいます。しかし大陸横断鉄道の早期開通を目指す鉄道会社の幹部で、町の名士でもあるコール(トム・ウィルキンソン)は、内心、居留地を侵して鉄路を敷設したいと思っています。おまけにコールは、ダンの妻レベッカ(ルース・ウィルソン)にかなり興味がある様子。コールは、ダンが逮捕した無法者キャヴェンディッシュ(ウィリアム・フィクトナー)を町の広場で公開処刑して自分の人気を上げようとします。キャヴェンディッシュを護送する列車には、トントと、東部からテキサスに帰ってきた新任検事でダンの弟ジョン・リード(アーミー・ハマー)が乗っています。トントは長年追ってきた宿敵であるキャヴェンディッシュを殺そうとしますが、石頭のジョンに邪魔をされます。その隙に、キャヴェンディッシュは仲間の手引きで列車から逃走してしまいます。
 久しぶりに帰ってきたジョンに複雑な感情を見せるレベッカ。実はかつてレベッカと交際していたのは弟のジョンで、長年、音信不通になったために、兄のダンと結婚していたのです。一方、コールはキャヴェンディッシュを捕えるようにダンたちレンジャーに依頼。ジョンも捜索隊に加わることとなり、キャヴェンディッシュを追うのですが、途中で待ち伏せされて一行は全滅。ダンは惨殺され、ジョンも瀕死の重傷を負います。トントはジョンを救いだし、「お前は死んだと思われているから、それを利用しろ」といって、黒い覆面を着けさせます。こうして謎の覆面レンジャー、「ローン・レンジャー」が誕生します。トントとジョンはキャヴェンディッシュ一味の後を追いますが、彼らは銀の鉱脈を掘り当てて、何やら企んでいる様子。またダンが死んだことで、コマンチ族との平和協定も破棄され、コールは軍に部隊の派遣を要請し、一触即発の状態に。きな臭いにおいが立ち込める中、トントとジョンはどう動くのでしょうか・・・。
 というような展開ですが、まあこうざっと冒頭部を見ただけでもかなり要素が多くて話がてんこ盛りです。この「てんこ盛り」な感じで話がシンプルでない、あえていえば整理が悪いというのが、実は「パイレーツ」シリーズの持ち味だったのですが、同じチームなので本作もその傾向があります。そういう意味でテンポも割と今時の映画としては遅いです。2時間半を超える長尺になったのもそのせいでしょうが、ここを持ち味と見るか、冗長と見るかで評価が分かれそう。またパイレーツ・シリーズではデップのジャック・スパローの存在感が際立ってましたが、今作ではもちろん、彼のトントは非常に魅力的なんですけれど、それを上回るものすごい存在感を示しているのがキャヴェンディッシュ役のフィクトナー。「ドライブ・アングリー3D」でも主演のニコラス・ケイジを食ってしまうほどの強烈さを見せつけていましたが、今回もデップ以上のものすごいオーラ。これはすごい役者さんですね。
 冷戦時代に有名なソ連邦専門家で、石油王でもあったドクター・ハマーのひ孫にあたるのがアーミー・ハマー。「ソーシャル・ネットワーク」や「J・エドガー」の助演で有名になりましたが、大きな役の主演はこれが初めて。身長197センチと際立って大きい彼ですが、これからどんなキャリアを築くか楽しみな俳優さんです。
 アクションも映像も申し分なく、見どころは満載ですが、パイレーツ・シリーズのメンバーがそろっているから楽しくストレスのない痛快娯楽大作なのか、というとちょっと違うかも。意外に、けっこう暗いのです。だからパイレーツ・シリーズ初期のネアカなノリを求めて見ると、ちょっと裏切られるかもしれません。インディアンと騎兵隊の対決など、問題となりそうなシーンも多く、人も多数、死にます。死人の多さは、ディズニー映画としては異例なぐらいかもしれません。というわけで、見ての後味はけっこう重いです。娯楽作品のはずが、意外に重厚な作品といえるのかもしれません。

|

« ボタンダウンシャツと胸ポケット | トップページ | 日刊ゲンダイ「辻元よしふみ 鉄板!おしゃれ道」第7回「浴衣」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/122224/57949311

この記事へのトラックバック一覧です: ローン・レンジャー:

» 映画「ローン・レンジャー」それほど期待してなかったが、結構面白かった [soramove]
映画「ローン・レンジャー」★★★★ ジョニー・デップ、アーミー・ハマー ヘレナ・ボナム=カーター、トム・ウィルキンソン ウィリアム・フィクトナー、バリー・ペッパー ジェームズ・バッジ・デール、ルース・ウィルソン出演 ゴア・ヴァービンスキー監督、 150分、2013年8月2日より全国公開 2012,アメリカ,ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン (原題/原作:THE LONE RANGER) <リンク: [続きを読む]

受信: 2013年8月11日 (日) 20時01分

« ボタンダウンシャツと胸ポケット | トップページ | 日刊ゲンダイ「辻元よしふみ 鉄板!おしゃれ道」第7回「浴衣」 »