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2013年8月29日 (木)

スター・トレック イントゥ・ダークネス

 

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 J・J・エイブラムス監督の新作「スター・トレック イントゥ・ダークネス」Star Trek Into Darknessを見てきました。冒頭で一言、申し上げるなら、本作はお薦め品です。とてもよく出来ています。
 言うまでもなく、スター・トレック・シリーズは1966年に始まったテレビシリーズ以来、劇場版映画も旧シリーズだけで10作も作られた大河SFシリーズです。扱う時代背景も22世紀から24世紀にまで及びます。しかしながら、さすがに近年はやや失速していたのも事実。そういえば(制作時点から見ての)近未来を扱ったシュワルツェネッガーの映画「バトルランナー」(1987年)で、登場人物の一人の老人が「後は頼むぞ、ミスター・スポック」と言っても、聞いた若者が理解できず「それ、誰?」と聞き返して、老人が淋しく苦笑する、というシーンがありました。まあ、アメリカでも懐かしドラマという枠に入りかけていた証だと思います。しかし、2009年になってエイブラムス監督の手により新シリーズがスタート。その1作目の「スター・トレック」では、スポックに憎悪を抱くロミュラン人犯罪者がタイムワープして23世紀初頭に舞い戻り、歴史を変えてしまった顛末が語られました。これにより、お話は振り出しにリセット。旧作の時間軸では今さら取り上げるのは難しかったオリジナルの主人公、キャプテン・カークや若き日のスポックを軸にした新しい作品を作ることができるようになった次第。これ、人気シリーズが長く続くといろいろ苦労する点でして、たとえば宇宙戦艦ヤマト・シリーズでも第1作で死んでしまったはずの沖田艦長を後の作品でどうしても再登場させたくなって、実はあれは本当は死んでいなかった、という禁じ手で復活させる、などということもありました。黄金時代の設定で作り直したいけれど、どうしようか・・・というのはいずこでも悩みどころなのです。ここで無理のある話に説得力を出すため、旧作のスポックであるレナード・ニモイが登場し、旧シリーズとの接点として出演したのでした。
 こういう荒業でのリセットに、当然ながら旧作のファンからは一部で反発もあった模様です。また新作らしく、旧シリーズの世界観や設定は大事にしながら、アップテンポな演出はいかにも現代的となり、旧作のわりとゆっくりした重厚な人間劇に親しんでいた人からは、これは俺の知っているスター・トレックじゃない、という声もあったようです。
 しかし、新装第2作となる本作の出来栄えを見ると、シリーズに新たな息吹を吹き込むことに見事に成功したように思うのです。今作ではおなじみのクリンゴン帝国も登場しますし、例のクリンゴン語も語られ、いよいよスター・トレックらしくなってきます。それに、本作のカギを握る重要人物は旧作にもかかわりがあったりします。まあそのへんは旧作ファンには見てのお楽しみですが、しかし新1作目や、旧シリーズを全く見ていなくても問題なく楽しめるようにもなっていると思います。
 2259年、火山が噴火し大災害が起ころうとしている惑星ニビルを訪れたエンタープライズ号。宇宙艦隊では「ワープ航法を自力で開発していない未熟な文明とは接触、干渉してはならない」という厳しいルールがあります。キャプテン・カーク(クリス・パイン)は独断で災害を阻止して原住民を助けることを決意。しかし、火山に取り残された副長スポック(ザッカリー・クイント)を救助するため、宇宙船を原住民に見られてしまいます。ニビルの人々はそれまでの信仰を捨てて、どうもそれ以後、エンタープライズ号を御神体とする新しい宗教を作り上げて行ったようです・・・。さて、この規則違反をスポックが上層部に報告。生命を救ってやったのに、報告をする石頭なスポックの恩知らずな行動にカークは激怒しますが、もはや後の祭り。カークはキャプテンを解任され、エンタープライズ号の指揮権は前任者のパイク提督(ブルース・グリーンウッド)に戻されます。しかし、もともとカークを艦隊にスカウトした恩人であるパイクは、今回もカークに救いの手を差し伸べ、スポックは他艦に転属、カークを副長に降格して再任用します。
 さてそんな折、ロンドンの宇宙艦隊資料保管庫が、艦隊に属する一人の下士官の自爆テロ攻撃で破壊されます。この犯罪の手引きをしたのは、ジョン・ハリソン中佐(ベネディクト・カンバーバッチ)。ただちに艦隊司令長官であるマーカス提督(ジョン・ウェラー)は幹部を招集し善後策を練りますが、この会議の席をハリソンが襲撃。パイクは銃撃を受け死んでしまいます。怒りに燃えたカークは、ハリソンがワープして逃げ込んだ惑星クロノスに赴き、ハリソンを追うことを希望。しかしこのクロノスは、艦隊と一触即発の緊張状態にあるクリンゴン帝国の支配下にあり、迂闊に手を出すと大戦争になってしまいます。マーカス提督はカークに、新型の光子魚雷で中立地帯から攻撃し、ハリソンを殺害するように命じ、エンタープライズ号のキャプテンに復帰させ、出動を許可します。
 しかし、この得体のしれない新兵器をエンタープライズ号に搭載することを、技師長のスコット(サイモン・ペッグ)が拒否。やむなくカークはスコットを解任して出発します。またスポックが副長で復帰、さらに新たに技術士官のキャロル(アリス・イヴ)が乗艦してきますが、スポックは彼女の素性を調べて不審を抱きます・・・。
 小型艇でクロノスに潜入したカークたちですが、クリンゴン軍偵察隊に捕まってしまいます。通信士官のウフーラ(ゾーイ・サルダナ)がクリンゴン語で交渉しますが、話は決裂。戦闘が始まってしまいます。絶体絶命の一行を救ったのは、意外なことにハリソンでした。さらに、カークたちが新型魚雷を持っていることを知ると、なぜかハリソンはあっさりと武器を捨てて投降してしまいます。さて、このハリソンの正体とは何か、そして、エンタープライズ号の前に突如、現れる超巨大戦艦の姿は何を意味するのか・・・。お話はクライマックスに向かいます。
 というような展開ですが、とてもテンポがいい、メリハリが効いている、良く練れていていい映画だと思います。今回はカークの指揮官としての成長ぶり、スポックとウフーラとの恋、それにしばしば人間的な感情を表す意外なスポックの姿・・・見どころはたくさんあります。旧作からの引用らしきシーンも多々、用意されていて、旧作ファンには嬉しいサービスでしょう。
 現代版「シャーロック」で新感覚のホームズを演じて絶大な人気を誇るカンバーバッチの存在感はさすがの一言。それから、「アバター」のゾーイ・サルダナや、「MIB3」のアリス・イヴら伸び盛りの女優陣の魅力も見逃せません。「ロボコップ」のピーター・ウェラーが貫録十分で、最高幹部の提督らしい重厚な演技。
 ちなみに、旧テレビシリーズ以来、カークの肩書キャプテンCaptainは「船長」と翻訳されてきており、ずっと踏襲されていたのですが、本作の日本語字幕ではキャプテンと英語のままでやっているようですね。実際、英語ではCaptainは非戦闘艦の長である「船長」でも軍艦の「艦長」でも同じ表現ですし、この映画の設定を見ていると、明らかに階級としての「大佐」の意味でも使われています。要するに、宇宙艦隊では階級と役職がリンクしている19世紀までの各国海軍のようなシステムになっていて、大型艦の長はキャプテン(大佐)、副長(First Officer)はコマンダーCommander(中佐)、各科の先任士官はリューテナントLieutenant(大尉)と自動的になる模様。だからカークもキャプテンを解任されると無位無官になってしまい、副長として復帰すると中佐に、またキャプテンに戻れば大佐で船長に、となるようです。このへん、英語ではいずれの意味でもキャプテンの一語で済んでしまうので、日本語でもキャプテンとしているようです。
 そういえば、今作でも後半の重要な局面で、レナード・ニモイが出演します。旧作ファンはお見逃しなく。
 私は、この新感覚と旧作への敬意を併せ持つエイブラムス監督版スター・トレック、とてもいいと思っております。また同監督は今後、スター・ウォーズの新作も手掛けると聞いていますが、この力量ならきっとうまくやってのけるのではないか、と今から期待できそうですね。

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