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2013年8月29日 (木)

スター・トレック イントゥ・ダークネス

 

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 J・J・エイブラムス監督の新作「スター・トレック イントゥ・ダークネス」Star Trek Into Darknessを見てきました。冒頭で一言、申し上げるなら、本作はお薦め品です。とてもよく出来ています。
 言うまでもなく、スター・トレック・シリーズは1966年に始まったテレビシリーズ以来、劇場版映画も旧シリーズだけで10作も作られた大河SFシリーズです。扱う時代背景も22世紀から24世紀にまで及びます。しかしながら、さすがに近年はやや失速していたのも事実。そういえば(制作時点から見ての)近未来を扱ったシュワルツェネッガーの映画「バトルランナー」(1987年)で、登場人物の一人の老人が「後は頼むぞ、ミスター・スポック」と言っても、聞いた若者が理解できず「それ、誰?」と聞き返して、老人が淋しく苦笑する、というシーンがありました。まあ、アメリカでも懐かしドラマという枠に入りかけていた証だと思います。しかし、2009年になってエイブラムス監督の手により新シリーズがスタート。その1作目の「スター・トレック」では、スポックに憎悪を抱くロミュラン人犯罪者がタイムワープして23世紀初頭に舞い戻り、歴史を変えてしまった顛末が語られました。これにより、お話は振り出しにリセット。旧作の時間軸では今さら取り上げるのは難しかったオリジナルの主人公、キャプテン・カークや若き日のスポックを軸にした新しい作品を作ることができるようになった次第。これ、人気シリーズが長く続くといろいろ苦労する点でして、たとえば宇宙戦艦ヤマト・シリーズでも第1作で死んでしまったはずの沖田艦長を後の作品でどうしても再登場させたくなって、実はあれは本当は死んでいなかった、という禁じ手で復活させる、などということもありました。黄金時代の設定で作り直したいけれど、どうしようか・・・というのはいずこでも悩みどころなのです。ここで無理のある話に説得力を出すため、旧作のスポックであるレナード・ニモイが登場し、旧シリーズとの接点として出演したのでした。
 こういう荒業でのリセットに、当然ながら旧作のファンからは一部で反発もあった模様です。また新作らしく、旧シリーズの世界観や設定は大事にしながら、アップテンポな演出はいかにも現代的となり、旧作のわりとゆっくりした重厚な人間劇に親しんでいた人からは、これは俺の知っているスター・トレックじゃない、という声もあったようです。
 しかし、新装第2作となる本作の出来栄えを見ると、シリーズに新たな息吹を吹き込むことに見事に成功したように思うのです。今作ではおなじみのクリンゴン帝国も登場しますし、例のクリンゴン語も語られ、いよいよスター・トレックらしくなってきます。それに、本作のカギを握る重要人物は旧作にもかかわりがあったりします。まあそのへんは旧作ファンには見てのお楽しみですが、しかし新1作目や、旧シリーズを全く見ていなくても問題なく楽しめるようにもなっていると思います。
 2259年、火山が噴火し大災害が起ころうとしている惑星ニビルを訪れたエンタープライズ号。宇宙艦隊では「ワープ航法を自力で開発していない未熟な文明とは接触、干渉してはならない」という厳しいルールがあります。キャプテン・カーク(クリス・パイン)は独断で災害を阻止して原住民を助けることを決意。しかし、火山に取り残された副長スポック(ザッカリー・クイント)を救助するため、宇宙船を原住民に見られてしまいます。ニビルの人々はそれまでの信仰を捨てて、どうもそれ以後、エンタープライズ号を御神体とする新しい宗教を作り上げて行ったようです・・・。さて、この規則違反をスポックが上層部に報告。生命を救ってやったのに、報告をする石頭なスポックの恩知らずな行動にカークは激怒しますが、もはや後の祭り。カークはキャプテンを解任され、エンタープライズ号の指揮権は前任者のパイク提督(ブルース・グリーンウッド)に戻されます。しかし、もともとカークを艦隊にスカウトした恩人であるパイクは、今回もカークに救いの手を差し伸べ、スポックは他艦に転属、カークを副長に降格して再任用します。
 さてそんな折、ロンドンの宇宙艦隊資料保管庫が、艦隊に属する一人の下士官の自爆テロ攻撃で破壊されます。この犯罪の手引きをしたのは、ジョン・ハリソン中佐(ベネディクト・カンバーバッチ)。ただちに艦隊司令長官であるマーカス提督(ジョン・ウェラー)は幹部を招集し善後策を練りますが、この会議の席をハリソンが襲撃。パイクは銃撃を受け死んでしまいます。怒りに燃えたカークは、ハリソンがワープして逃げ込んだ惑星クロノスに赴き、ハリソンを追うことを希望。しかしこのクロノスは、艦隊と一触即発の緊張状態にあるクリンゴン帝国の支配下にあり、迂闊に手を出すと大戦争になってしまいます。マーカス提督はカークに、新型の光子魚雷で中立地帯から攻撃し、ハリソンを殺害するように命じ、エンタープライズ号のキャプテンに復帰させ、出動を許可します。
 しかし、この得体のしれない新兵器をエンタープライズ号に搭載することを、技師長のスコット(サイモン・ペッグ)が拒否。やむなくカークはスコットを解任して出発します。またスポックが副長で復帰、さらに新たに技術士官のキャロル(アリス・イヴ)が乗艦してきますが、スポックは彼女の素性を調べて不審を抱きます・・・。
 小型艇でクロノスに潜入したカークたちですが、クリンゴン軍偵察隊に捕まってしまいます。通信士官のウフーラ(ゾーイ・サルダナ)がクリンゴン語で交渉しますが、話は決裂。戦闘が始まってしまいます。絶体絶命の一行を救ったのは、意外なことにハリソンでした。さらに、カークたちが新型魚雷を持っていることを知ると、なぜかハリソンはあっさりと武器を捨てて投降してしまいます。さて、このハリソンの正体とは何か、そして、エンタープライズ号の前に突如、現れる超巨大戦艦の姿は何を意味するのか・・・。お話はクライマックスに向かいます。
 というような展開ですが、とてもテンポがいい、メリハリが効いている、良く練れていていい映画だと思います。今回はカークの指揮官としての成長ぶり、スポックとウフーラとの恋、それにしばしば人間的な感情を表す意外なスポックの姿・・・見どころはたくさんあります。旧作からの引用らしきシーンも多々、用意されていて、旧作ファンには嬉しいサービスでしょう。
 現代版「シャーロック」で新感覚のホームズを演じて絶大な人気を誇るカンバーバッチの存在感はさすがの一言。それから、「アバター」のゾーイ・サルダナや、「MIB3」のアリス・イヴら伸び盛りの女優陣の魅力も見逃せません。「ロボコップ」のピーター・ウェラーが貫録十分で、最高幹部の提督らしい重厚な演技。
 ちなみに、旧テレビシリーズ以来、カークの肩書キャプテンCaptainは「船長」と翻訳されてきており、ずっと踏襲されていたのですが、本作の日本語字幕ではキャプテンと英語のままでやっているようですね。実際、英語ではCaptainは非戦闘艦の長である「船長」でも軍艦の「艦長」でも同じ表現ですし、この映画の設定を見ていると、明らかに階級としての「大佐」の意味でも使われています。要するに、宇宙艦隊では階級と役職がリンクしている19世紀までの各国海軍のようなシステムになっていて、大型艦の長はキャプテン(大佐)、副長(First Officer)はコマンダーCommander(中佐)、各科の先任士官はリューテナントLieutenant(大尉)と自動的になる模様。だからカークもキャプテンを解任されると無位無官になってしまい、副長として復帰すると中佐に、またキャプテンに戻れば大佐で船長に、となるようです。このへん、英語ではいずれの意味でもキャプテンの一語で済んでしまうので、日本語でもキャプテンとしているようです。
 そういえば、今作でも後半の重要な局面で、レナード・ニモイが出演します。旧作ファンはお見逃しなく。
 私は、この新感覚と旧作への敬意を併せ持つエイブラムス監督版スター・トレック、とてもいいと思っております。また同監督は今後、スター・ウォーズの新作も手掛けると聞いていますが、この力量ならきっとうまくやってのけるのではないか、と今から期待できそうですね。

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2013年8月24日 (土)

日刊ゲンダイ「辻元よしふみ 鉄板!おしゃれ道」第8回「ショートパンツ」

20130824175042  きょう8月24日発売の日刊ゲンダイに私、辻元よしふみの連載「鉄板! おしゃれ道」第8回が掲載されました。寄せられる質問に答える形式の本連載、今回は「大人の男が”ショーパン”ってアリ?」です。本連載は隔週土曜日掲載(次回は9月7日発売号の予定)です。

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2013年8月19日 (月)

ソニービルのサメ。

 20130819161138 通りすがりの銀座ソニービル前で、恒例のアクアリウムを見ました。小さなサメが泳いでいました。どうも今月いっぱい、こんな感じで全然、秋の気配にならない予感がしますが、実際にはまもなく9月に入ると、新年に向けた干支の置物づくりが始まるとか、クリスマスケーキの予約が始まるとか急に年末年始モードの業界が動き出します。来年向けの暦のたぐいも売り出され始めましたね。
 それにしても、秋という季節がなくなってきましたね、最近の日本は。10月になるまで30度超えのギラギラのまま、急転直下、ほんの1、2か月で氷点下近くまで、というものすごく厳しい変化が普通になってきました。で、冬は今度はけっこう長引き、5月に入る頃までコートが必要だったりする。ところがここからまた1、2か月で7月に入るや35度超え。世界的にもかなり変化の厳しい国なのじゃないでしょうか。
 そんなわけで、私も最近は四季ではなくて事実上、二季しかないという感じで、真冬ものと真夏もの以外の服は基本的にあまり買わなくなりました。中間物は着るとしてもまあ、5、6月の2か月しか使えない感じでしょうか。

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2013年8月17日 (土)

オリエンタル・マースカレー(昭和20年版)とオリエンタル坊や食器。

 

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 近頃、マースカレーのオリエンタル商品づいている我が家。ここのラインナップは昭和レトロな魅力にあふれているのですが、今度は同社の通販サイトでいろいろ買い込んでみました。驚いたことに、昭和37年バージョンのおなじみマースカレー以前、昭和20年バージョンのおそろしくレトロな「オリエンタル即席カレー」「即席ハヤシドビー」も、いまだに商品として売られており、パッケージも70年前のまま。
 また、同社がレトルトカレーを売り出した当時、まだ日本では家庭で洋食を食べる文化がなく、西洋食器すら一般家庭にはなかった時代。それでカレーと一緒にオリエンタル坊やのロゴが付いたフォークやスプーンも作って売っていたのですが、これがいまだに現役の人気商品なんですね。20130817155546



 それから、ハワイアングッズ店でよく見かけるので、てっきり輸入品だと思っていたグァバジュースも、オリエンタルの商品だったことを今回、知りました。20130817155400



 

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2013年8月16日 (金)

パシフィック・リム

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 ギレルモ・デル・トロ監督の話題作「パシフィック・リム」Pacific Rimというものを見ました。「パンズ・ラビリンス」や「ヘルボーイ」など、独特の詩的な美学あふれる丁寧な作りのファンタジーを得意とする同監督が、日本の映画界やアニメ界が得意とする「巨大怪獣VS巨大人型兵器」の死闘を最新技術でリアルに描いた異色作。アメリカでは事前の予想を超えて好調な初動といい、日本でも私が見た浦安・舞浜の映画館ではパンフレットが売り切れとなるなど、かなり好評のようです。実のところ、必ずしも人型兵器というものに思い入れがない私なのですが、これはさすがに、非常によく出来ています。この種の作品を相当にリサーチして作り込んでいるのではないでしょうか。ストーリー展開もこの手の、日本でよくみられるロボット系のアニメなどで王道のパターンの踏襲があちこちに見られます。その一方で、なぜ人類と怪獣たちとの戦いが起こっているのか、日本の怪獣ものではいまひとつ不明瞭なものが多いのですが、本作はそのへんもきっちり作られています。
 2013年、突如、太平洋の海溝深い裂け目から出現した巨大生物。これはサンフランシスコを襲い、街に壊滅的な被害を与えます。米軍は総力を挙げてこれを倒しますが、その後もこの巨大なモンスターは次々に現れ、環太平洋地域(パシフィック・リム)諸国の都市を襲います。この生物は、日本の特撮やアニメに登場する化け物にちなんでカイジュウ(怪獣)と呼ばれるようになります。そして、巨大な生物を倒すには、通常の軍備で対抗するより、人が操る巨人のようなパワースーツを用いた方が効果的だと悟った太平洋諸国は、共同でイェーガー計画を発動。人型の巨人ロボット「イェーガー」(ドイツ語で狩人)の開発に成功します。人の動きをダイレクトにイェーガーに伝えるため、脳の神経から意識を「ドリフト」して制御しますが、一人の人間の脳でこれを制御するのは負担が大きすぎるため、2人のパイロットが右脳、左脳で半身ずつ制御することになり、少なくとも2人以上で操るのがイェーガーの特徴。当然、ドリフト時に2人の意識が同調するほど制御もうまくいくため、パイロットは仲の良い兄弟や親子、夫婦といった組み合わせが多くなります。
 イェーガーの活躍によりカイジュウは次々と倒され、パイロットたちはヒーローに。人々の間に楽勝ムードが漂い始める中、戦争が始まって7年目の2020年、既に4体のカイジュウを倒して名を上げていたのがヤンシー(ディエゴ・クラテンホフ)とローリー(チャーリー・ハナム)のベケット兄弟。しかし、その日、出現したカイジュウは勝手が違いました。「カテゴリー3」レベルの格段に強くなった敵に撃破され、ヤンシーは戦死。生き残ったローリーは軍を去りました。強力になったカイジュウに次々とイェーガーは倒され、ついに見切りをつけた各国政府により、環太平洋防衛軍イェーガー・フォースも解散に。イェーガーに代わって、環太平洋の各都市に巨大な防壁を築くことが決まり、ローリーもその防壁を造る作業員となって過ごします。
 それから5年余が経った2025年。オーストラリアのシドニーの防壁を、さらに巨大化した「カテゴリー4」のカイジュウが突破。もはや防壁も役に立たないことが判明します。そんな中、元防衛軍の上官だったベントコスト司令官(イドリス・エルバ)が、ローリーを呼び戻します。最後に生き残っているイェーガーはたった4体。この少ない数で、カイジュウが出現する海溝に爆弾を仕掛けて塞ぐ最後の決戦を彼は目論んでおり、優秀なパイロットを探していたのでした。
 正規の軍ではなくなり、民間のレジスタンス組織となっていた防衛軍に復帰したローリーですが、招集されたメンバーはひと癖ある連中ばかり。パイロットの一人チャック(ロバート・カジンスキー)はシドニーを守り抜いたことで天狗になっており、5年も実戦経験のないローリーを見下した態度をとります。また、ベントコストの副官を務める日本人女性マコ(菊地凛子)もなかなかローリーに心を開きません。しかし、マコの類まれな資質を見抜いたローリーは、彼女とペアを組むことを希望。ところがなぜかベントコストはそれを許しません。だが、パイロット不足に苦しむ中で、結局、ローリーとマコはイェーガー「ジプシー」に搭乗することに。その試運転で、兄の死を思い出したローリーがまず混乱し、それに触発されてマコは子供時代、カイジュウに襲われた恐怖の体験を思い出してしまいます。子供時代に戻ってしまったマコ(芦田愛菜)を落ち着かせようとするローリーですが、実験は失敗、コンビは解散と決められてしまいます。
 ところがその直後、2体のカイジュウが香港を襲撃。3体のイェーガーが次々と撃破され、ついにローリーとマコの乗るジプシーも不安を抱えたまま実戦に参加することになります。また同じころ、防衛軍の研究班に属するガイズラー博士(チャーリー・デイ)は、カイジュウの脳細胞と自分の意識をドリフトさせることで、カイジュウたちの秘密を探るという危険な実験に成功。さらなる詳細を知るために、香港にいる謎のカイジュウ・ブローカー、ハンニバル(ロン・パールマン)と接触するのですが・・・。
 といった展開です。リストラで解体寸前の組織、どこか影のあるカッコいい司令官、心に傷を負った主人公、主人公を挑発する嫌味なライバル、やはり心にトラウマを抱える謎めいたヒロイン・・・と、まあ言ってみればこういうお話にありがちな要素が目いっぱい、盛り込まれている感じですが、それが本当によく出来ているのです。よくよく研究して練った構成なんですね。また、人型兵器を動かすには天性の素質が必要、誰でも乗れるわけではない、というのは「ガンダム」や「エヴァンゲリオン」、「サクラ大戦」などで、これもおなじみの設定なのですが、加えて2人組でないと操作できない、というのがミソでして、お話の展開に最後まで重要なファクターになってきます。
 なんといっても近年、大活躍のイドリス・エルバが生粋の軍人らしく見えてはまり役です。主演のハナムもこれまでそんなに大きな役はない人ですが、非常に丁寧に自分の役を演じていると思い好感が持てます。日本人としては気になるのが菊地凛子さんですが、これも非常に存在感があっていいと思います・・・が、英語のセリフの中で、ときどき日本語を混ぜるのはかえって難しいように見えました。それから子供時代のマコを演じた芦田愛菜さんの熱演ぶりはお見事。鮮烈な国際デビューといえるのじゃないでしょうか。
 脇を固めるロン・パールマンなどもいい仕事をしております。総じて、特撮てんこ盛りだからこそ、出演者の生身の演技が大事になりますが、丁寧に皆さん、熱演しており、監督も演出しているように見受けました。
 一方、肝心のイェーガーやカイジュウの描写はすさまじいものがありますね。今の技術ではここまで出来るのか、と思うこと請け合い。特に最初にベケット兄弟がイェーガーを起動させるシーンはわくわくさせるものがあります。
 本作はエンディングに、「レイ・ハリーハウゼンと本多猪四郎に捧ぐ」とありました。ハリーハウゼンは特撮モンスター映画の草分け、そして本多はあの巨大怪獣ものの開祖である「ゴジラ」の監督です。先行するこのジャンルの作品への敬意を大いに感じる、しかし新しい感覚もある作品で、デル・トロ作品らしく脚本もシーンも無駄のない、非常に完成度の高い映画だと感じました。

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2013年8月10日 (土)

日刊ゲンダイ「辻元よしふみ 鉄板!おしゃれ道」第7回「浴衣」

20130810193210  きょう8月10日発売の日刊ゲンダイに私、辻元よしふみの連載「鉄板! おしゃれ道」第7回が掲載されました。寄せられる質問に答える形式の本連載、今回は「浴衣に帽子や腕時計ってアリ?」です。本連載は隔週土曜日掲載(次回は8月24日発売号の予定)です。

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2013年8月 8日 (木)

ローン・レンジャー

 

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 ジョニー・デップ主演の新作「ローン・レンジャー」を見てきました。デップ主演でディズニー映画で製作がジェリー・ブラッカイマー、ゴア・ヴァービンスキー監督がメガホンをとり、テッド・エリオットとテリー・ロッシオが脚本を担当、音楽はハンス・ジマー、衣装がペニ・ローズ、メーキャップはジョエル・ハーロウ・・・と、調べてみると、関係者はまるっきり「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズそのままの布陣。ヴァ―ビンスキー監督によれば、「パイレーツ・シリーズの時も、なんで今さら海賊映画?といわれたものだ。今度も、なんでいまどき西部劇でローン・レンジャー?といわれるのは覚悟の上だった」とのこと。
 しかし確かになんで、という感じはあるんですね。年配の方ならご存知でしょうが、もともと「ローン・レンジャー」というのは1933年に放送されたアメリカのラジオ・ドラマでした。覆面を被った正義のガンマン、ローン・レンジャーと、インディアンのトントのコンビが人気を呼んで、戦後の1954年まで、なんと3000回近く続いた長寿番組に。49年からはテレビドラマ版が制作されて、57年まで221回も続く人気番組になりました。そして日本でも58年から59年まで放送されて、当時は「ローハイド」と並ぶ人気西部劇だったわけです。まあこのへんは私もリアルタイムでは知りません、おそらく現在、60歳代半ば以上の方でないと分からないことかと思います。しかし、「インディアン嘘つかない」とか「キモサベ(友よ)」といった言葉は意外にかなり若い世代でも知っていたりします。これらは元々、トントの決めゼリフです。また、白馬にまたがって「ハイヨー! シルバー」と叫ぶのはローン・レンジャーの得意の決めポーズです。別の人気シリーズ「特攻野郎Aチーム」でもしばしば登場人物が、この「ハイヨー! シルバー」を連発していましたが、後の時代の他の作品に引用されるぐらい人気があったわけです。
 物語の発端は1933年(ということは、ラジオ番組が始まった年です)、サンフランシスコの遊園地に、西部開拓時代を扱うワイルド・ウエストという展示があります。ここを訪れた一人の少年が展示品を見て行くうちに、妙に生々しいNOBLE SAVAGE(高貴な野蛮人)と書かれた、頭にカラスを載せたインディアンの人形を見つけます。じっと見つめていると、人形が動き出し、少年は仰天します。それは人形ではなくて、若かりし日に西部で大活躍したトント(デップ)本人の老いた姿でした。トントは少年に、相棒のローン・レンジャーが誕生した秘話を語り始めます・・・。
 1869年、テキサス州の田舎町コルビー。ここはコマンチ族の居留地と接しており、町の治安を守るテキサス・レンジャーのダン・リード(ジェームズ・バッジ・デール)は彼らと平和条約を結んでいます。しかし大陸横断鉄道の早期開通を目指す鉄道会社の幹部で、町の名士でもあるコール(トム・ウィルキンソン)は、内心、居留地を侵して鉄路を敷設したいと思っています。おまけにコールは、ダンの妻レベッカ(ルース・ウィルソン)にかなり興味がある様子。コールは、ダンが逮捕した無法者キャヴェンディッシュ(ウィリアム・フィクトナー)を町の広場で公開処刑して自分の人気を上げようとします。キャヴェンディッシュを護送する列車には、トントと、東部からテキサスに帰ってきた新任検事でダンの弟ジョン・リード(アーミー・ハマー)が乗っています。トントは長年追ってきた宿敵であるキャヴェンディッシュを殺そうとしますが、石頭のジョンに邪魔をされます。その隙に、キャヴェンディッシュは仲間の手引きで列車から逃走してしまいます。
 久しぶりに帰ってきたジョンに複雑な感情を見せるレベッカ。実はかつてレベッカと交際していたのは弟のジョンで、長年、音信不通になったために、兄のダンと結婚していたのです。一方、コールはキャヴェンディッシュを捕えるようにダンたちレンジャーに依頼。ジョンも捜索隊に加わることとなり、キャヴェンディッシュを追うのですが、途中で待ち伏せされて一行は全滅。ダンは惨殺され、ジョンも瀕死の重傷を負います。トントはジョンを救いだし、「お前は死んだと思われているから、それを利用しろ」といって、黒い覆面を着けさせます。こうして謎の覆面レンジャー、「ローン・レンジャー」が誕生します。トントとジョンはキャヴェンディッシュ一味の後を追いますが、彼らは銀の鉱脈を掘り当てて、何やら企んでいる様子。またダンが死んだことで、コマンチ族との平和協定も破棄され、コールは軍に部隊の派遣を要請し、一触即発の状態に。きな臭いにおいが立ち込める中、トントとジョンはどう動くのでしょうか・・・。
 というような展開ですが、まあこうざっと冒頭部を見ただけでもかなり要素が多くて話がてんこ盛りです。この「てんこ盛り」な感じで話がシンプルでない、あえていえば整理が悪いというのが、実は「パイレーツ」シリーズの持ち味だったのですが、同じチームなので本作もその傾向があります。そういう意味でテンポも割と今時の映画としては遅いです。2時間半を超える長尺になったのもそのせいでしょうが、ここを持ち味と見るか、冗長と見るかで評価が分かれそう。またパイレーツ・シリーズではデップのジャック・スパローの存在感が際立ってましたが、今作ではもちろん、彼のトントは非常に魅力的なんですけれど、それを上回るものすごい存在感を示しているのがキャヴェンディッシュ役のフィクトナー。「ドライブ・アングリー3D」でも主演のニコラス・ケイジを食ってしまうほどの強烈さを見せつけていましたが、今回もデップ以上のものすごいオーラ。これはすごい役者さんですね。
 冷戦時代に有名なソ連邦専門家で、石油王でもあったドクター・ハマーのひ孫にあたるのがアーミー・ハマー。「ソーシャル・ネットワーク」や「J・エドガー」の助演で有名になりましたが、大きな役の主演はこれが初めて。身長197センチと際立って大きい彼ですが、これからどんなキャリアを築くか楽しみな俳優さんです。
 アクションも映像も申し分なく、見どころは満載ですが、パイレーツ・シリーズのメンバーがそろっているから楽しくストレスのない痛快娯楽大作なのか、というとちょっと違うかも。意外に、けっこう暗いのです。だからパイレーツ・シリーズ初期のネアカなノリを求めて見ると、ちょっと裏切られるかもしれません。インディアンと騎兵隊の対決など、問題となりそうなシーンも多く、人も多数、死にます。死人の多さは、ディズニー映画としては異例なぐらいかもしれません。というわけで、見ての後味はけっこう重いです。娯楽作品のはずが、意外に重厚な作品といえるのかもしれません。

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2013年8月 6日 (火)

ボタンダウンシャツと胸ポケット

20130806172102  今日は都内も急なゲリラ的豪雨がしばしば襲い、傘が手放せない一日でした。銀座界隈も蒸し暑いこと、蒸し暑いこと。どのぐらいの湿度なんでしょうか。気持ち悪くなるような熱帯の気候です。

 昼食をとろうと某お店に入りますと、大声でまくし立てている男性がいる。この暑いのに上着を着込んでいます。向かい合っているのは2人の女性で、話を聞きながら質問したり、メモをとったりしている。「ははあ」と思いましたね。男性は近所の百貨店のバイヤーで、女性たちはおそらく、ファッション系ではない普通のメディア、つまり普通の新聞か普通の雑誌の記者さんだろうと思われました。

 というのも、これがファッション系の取材なら、バイヤー氏のいうことに間髪入れず、「あ、そうですね、そうですね」と膝を打つような返事が来るはず。ところが相手は、本来はそんなにファッションに興味のなさそうな、しかも女性です。だから、そのやりとりが実はとても聞いていて面白かった。

 どうも、ボタンダウンシャツをテーマにした取材らしいのです。で、バイヤー氏は自分のところの商品を示しながら、いろいろ蘊蓄を語ります。

◆    ◆    ◆

「ボタンダウンは基本的にスポーツシャツなんです。アメリカのブルックス・ブラザーズが流行らせて、アイビー大学の学生達に好まれまして」といったありがちな話を披露しているのですが、話が脱線して「華麗なるギャツビーでは、衣装提供はブルックスなのに、英国製のターンブル&アッサーのシャツを投げ捨てるシーンがあるんですが・・・、だから金持ちの本来的なドレスシャツは、ブルックスの既製のボタンダウンじゃなくて、ああいう英国製の何万円もするものでして・・・」

「はあ、はあ(???)」

「まあつまり、本来のドレスシャツは、ボタンダウンじゃないんです。これはあくまでアメリカ流の外しのシャツで。イタリアのオシャレな人はあまり着ません」

「ああ、そうなんですか(???)」

「しかしその、たとえばフェラーリのオーナーのモンテゼーモロ氏なんかは、あえてボタンダウンを着るんです。イタリアの人でBDを愛用するのは、アメリカのアイビー大学を出ている、ということを示すためのあえての着崩しでして」

「じゃあ、アイビー大学を出ていない人は、本来、着てはいけないのでしょうか」

「いやまあ・・・まあ、日本人は、そんなに気にしなくてもいいのでは」

「では、スーツにボタンダウンというのは、外しであって、本当は合わないわけですね」

「ええまあ・・・しかし、私などはあえて着る方ですが。スリーピースでも着ますけれど」

「はあ(????)」

「それから、僕は啓蒙の意味で、うちのボタンダウンシャツの半数には胸ポケットを付けないんですよ。まあ、欧米のスタンダードではドレスシャツに胸ポケは付けませんから。日本では当たり前でも、世界標準じゃないんですよ」

「では、日本の男性はどうしたらいいんですか。胸ポケに携帯とかタバコとか入れている方が多いですよね」

「だから・・・基本的には上着を脱がないで欲しいんです。日本人はジャケットを簡単に脱ぎすぎですよ。上着の内ポケットに入れて欲しいんですよ」

「でも、クールビズとかありますよね、今は」

「あれが、日本人のドレスコードを崩しているんですよ。まあ会社の方針的にはクールビズ商戦もやっているんで、本当は逆らっているわけですが、私は夏でもオフィスでは上着を着ていて欲しいです」

「しかしですね、でも、暑いですよね、日本は。ヨーロッパとは気候が違いますよね。それに環境省から通達が出て、国を挙げてやっていることで、それに震災の後は世の中の雰囲気も変わりましたよね」

「ええまあ・・・そうですが、しかし私は、安易に便利だから、楽だからと流れて欲しくないんです。たとえ震災があっても、クールビズだとか言っても、欧米人ときちんと商談するなら、夏でもスーツじゃないと。GDP上位何位という先進国ではそれは常識ですから。半袖なんて言うのもやめて欲しいですね。どうしてもアームホールが大きくなって、隣の半袖のオヤジの袖が、電車なんかに乗っていると当たって来るじゃないですか、あれ、いやですよね」

「・・・まあ、今回は話をボタンダウン・シャツに戻したいんですが。すると、ボタンダウンは本来のドレスシャツではないわけですね? あえて外しで着るようなもので、アメリカのアイビー大学の象徴だ、と。じゃあスポーツ用のカジュアルなシャツですよね。ということは、胸ポケがあってもいいのじゃないでしょうか」

「ああ、まあそういうことになりますね・・・いや、まあしかし、イタリアではボタンダウンでも胸ポケットは付けない人が多いですけどね」

「ああ、はあ(??????)」

◆    ◆    ◆

 明らかにバイヤー氏はいろいろ話しているうちに、なんだか矛盾してきており、女性記者さんの方はあまり納得していない感じなのですよ。

 私ははっきり言って、だから「服オタ」は駄目だなあ、と思いましたね。あくまで日本で着るのだから、何でもいいじゃないかと思いますが。海外に行くときは行くときの話であって。アイビー、アイビーなんていうのも、本当にハーバード大でも出ている人じゃなきゃ、むやみに強調する話じゃないですよ。シャツの胸ポケだってね、そもそもそんなことを言ってしまえば、16世紀頃まで西洋の衣服にはポケットなんてないのですよ。その意味ではずべてのポケットはすべてが、それ以前の時代から見て邪道。スーツの胸ポケだって、当時のズボンがとても窮屈でポケットなどなかったので、ハンカチを収める場所がないので仕方なく左胸に付けた。これがだんだん、オシャレなポケットチーフを入れるようになるわけで、もともとは実用そのものです。まあ時代の変遷でいろいろ出てくるのはどうしようもないわけですよ。

 何よりも、7、8月の日本は亜熱帯です。欧米人だって日本に来るときは、みんな半袖のシャツに半ズボンで来ますが、特に欧州あたりの人にとって日本というのは「南国の島国」であって、グアムやハワイなんかとあまり変わらない。だからリゾート用の服装でくるのが当然。もちろん公用で来る人はもう少し違うでしょうが、欧米的に言えば、そもそもバカンスするべき7、8月に重要なビジネスなどするべきではない、だからクールビズなんて言い方もないのですね。なぜなら真夏用のビジネス衣装、なんて初めから考えなくていいのだから。

 私も、もう7、8月はロンドンみたいな服装はしなくていいのじゃないか、と思いますけどねえ。まして出てもいない「アイビー大学」を意識する必要なんかないような。クールビズというより、もうリゾート、でいいと思う。

 そしてそんなことより、できればこの時期は、日本人もできるだけビジネスしないようにする方がいいのではないか、と思いますが、はい。

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2013年8月 1日 (木)

浦安市に「下妻ファーム」ができたのを知って驚く。

 8月となりました。ところで昨日、所用があってJR新浦安駅前のショッピングモール「ショッパーズプラザ」に行きましたところ、はて、不思議な名前が・・・。「下妻ファーム」という看板を掲げたお店ができていたのです。「しもつま・ふぁーむ?」見ると、下妻産の野菜などを販売しており、横のラックには確かに茨城県下妻市の観光案内があります。「しもつま、というのは茨城県の下妻ですか?」と質問しているお客さんもいました。
 なんでも7月29日に、このアンテナショップは開業しているようです。何を隠そう、私は茨城県立下妻第一高校、という学校を卒業しております。しかし、ここ浦安で下妻のお店に出会うことなど予想もしておりませんでした。
 聞けば、昨年の春に浦安市と下妻市は災害時相互支援協定を結んでいたそうです。じつは私、知りませんでした。多くの市民も知らないのではないでしょうか。一般的には、今から10年ほど前に嶽本野ばらさんの小説「下妻物語」と、同名映画(土屋アンナさん、深田恭子さんら出演)がヒットしたこと、それから茨城県代表で下妻第二高校が甲子園に出場したこと、で少しは知られるようになった市名かと思いますが、とはいえ茨城県外の人にとっては、あまり用事のある町とも思えず、私自身も、教育実習で行ってから後、一度だけ通りがかっただけで、それからでもかれこれ20年は訪れていないと思います。
 これも御縁というものですかね。いつか、もう一度、行ってみるかな、などと思いました。20130731203708

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