« 日刊ゲンダイ「辻元よしふみウンチク堂」第48回・男性下着の歴史 | トップページ | クラウド アトラス »

2013年3月14日 (木)

オズ はじまりの戦い

20130314011531  「オズ はじまりの戦い」OZ THE GREAT AND POWERFULを見ました。ディズニー作品で、1939年のジュディ・ガーランド主演で有名な名作「オズの魔法使」の前日譚に当たる作品。メガホンを取るのはサム・ライミ監督です。
 オズの魔法使といえば、アメリカの児童作家ライマン・フランク・ボームが1900年に発表した小説で、これが大ヒットしてから、全部で14冊もシリーズが書き継がれました。そして、39年といえば第二次大戦が始まった年ですが、この年に制作された映画が決定版となり、ガーランドが歌った「オーバー・ザ・レインボウ」はスタンダードナンバーとなりました。アメリカのカンザス州の田舎娘ドロシーが、愛犬トトと共に竜巻に飛ばされて、オズの国に飛ばされてしまいます。北の魔女に教えられて、黄色いレンガの道をたどり、途中で出会った勇気のないライオン、脳のないカカシ、心のないブリキ人形といった珍妙な連中と、エメラルドシティを目指します。そこの宮殿にいる大魔法使オズならば、カンザスへの帰り方を教えてくれるだろう、というのです。そしてたどり着いた都で、ドロシーたちは魔法使オズなる人物が、実際はなんの力もないただの老人にすぎないことを知り落胆するのですが、良き魔女グリンダの助言を得て、それぞれの望みをかなえることになる・・・そんなストーリーでした。
 さてそれで。物語の題名であり、不思議の国の国名でもあるオズOZというのは何者なのか? ボームの残した14冊の原作にはある程度、記されているわけですが、今回はそれを基に大胆に想像を加えて、パンフレットの中の監督の言葉によれば、「原作から40%、脚本家ミッチェル・カプナーのイマジネーションが60%」で、そのオズが不思議の国を治める大魔法使と呼ばれるようになるまでの物語を作り上げた、というのが本作であるわけです。
 時は1905年、サーカス団の三流奇術師であるオスカー・ゾロアスター・ディグス、通称オズ(ジェームズ・フランコ)は、人をだますことをなんとも思わない悪党でペテン師、女たらしの小悪党として登場します。今日も行きがかりでたくさんの女性に声をかけ、挙句に本命の幼馴染であるアニー(ミシェル・ウィリアムズ)からは別れ話を切り出されます。サーカス団の怪力男の彼女をたぶらかしたことで、怪力男を激怒させ、大乱闘に。命からがらサーカス団を逃げ出し、気球に乗って逃げだします。ところが突然、竜巻が襲ってきて、オズは気球ごとどこかに飛ばされてしまいます。気がつくと気球は見たこともない美しい国に到着していました。
 森で出会った美しい魔女セオドラ(ミラ・クニス)から、この地が自分の通称と同じ名のオズの国であり、そして、空からやってきた魔法使がこの国の新たな王となり、平和と秩序をもたらす、という伝説があることを知ります。セオドラはオズのちょっとした奇術を見て、彼を本物の魔法使と誤解します。オズはいつもの悪い癖でセオドラを誘惑、彼女もその気になってしまい、オズが国王、自分が妃となってオズの国を支配しよう、と言いだします。
 途中、ライオンに襲われていた翼のある猿フィンリー(声ザック・ブラフ)を助け、エメラルドシティに乗り込んだオズは、セオドラの姉で現在、都を事実上、管理している美貌の魔女エヴァノラ(レイチェル・ワイズ)から、莫大な財宝を見せられます。そして、実の父親である前国王を暗殺して悪の限りを尽くす悪い魔女を倒してくれれば、正式に新国王に迎え、財宝はすべてあなたのものになる、と焚きつけられます。オズはフィンリーを連れて、悪の魔女退治に出かけるのですが、途中、陶器の町で、魔女の手下に襲われた陶器の少女(声ジョーイ・キング)を救出し、いよいよ悪の魔女の本拠地に乗り込みます。ところが、その悪の魔女は、あのアニーそっくりの魔女グリンダ(ウィリアムズの二役)であることを知りオズは驚愕します。
 一方、城ではセオドラが、オズが自分のほかに姉のエヴァノラも誘惑したことを知り、嫉妬に怒り狂います。さて、三人の美しい魔女に囲まれて、オズはいったいこれからどうするのでしょうか。そして、前国王の死の真相とは・・・。
 ということですが、女たらしのペテン師、オズが徐々に使命感に目覚めて成長していく様が一つの柱となっています。一見、甘い風貌で、しかし実はいい加減な男である、しかしながら芯の部分では正義感があるという複雑な人間像を、ジェームズ・フランコが好演。そして、三人の魔女の魅力、というのが重要なポイントですが、「ブラック・スワン」で有名になったミラ・ニクス、「ハムナプトラ」「ナイロビの蜂」のオスカー女優レイチェル・ワイズに、「マリリン 7日間の恋」のミシェル・ウィリアムズと、ルックスも演技力も一流の3人がいい仕事をしています。
 現実のカンザスのシーンは白黒で、オズの国に来るとフルカラーになる、という演出は1939年の映画を踏襲しています。オズの国の描写はことのほか美しく、さすがに70年前の作品とは比較にならない最新技術の成果、といえます。
 とはいえ、ちょっとかわいそうな描き方なのが、妹の魔女セオドラです。すっかり姉の言いなりになって生きてきて、女たらしのオズに出会って一目ぼれ、そして騙されたと知って傷つき、そのまま最後まであまりいいことがないのですけれど、これでいいんでしょうか? まあ、この人が39年の映画で登場する北の魔女になるのでしょうけれど。
 そういえば、猿のフィンリーを助けるときに、オズに撃退されるライオンが登場しますが、特に説明はないですが、ここでおびえてしまって以来、この国のライオンは勇気がなくなったのでしょうか。おそらくそういう設定なのでしょうが・・・。
 全体に、美しくて楽しいディズニー映画という線を外れていませんが、やはり癖のある作風のサム・ライミ監督ですので、オズの人間像と言い、魔女たちの描き方と言い、けっこうダークなものがありまして、意外に子供向けとは言い難い、かなり大人向けファンタジーじゃないでしょうか? なかなかビターな一本だと感じましたけれど、どうでしょうか。

|

« 日刊ゲンダイ「辻元よしふみウンチク堂」第48回・男性下着の歴史 | トップページ | クラウド アトラス »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/122224/56950636

この記事へのトラックバック一覧です: オズ はじまりの戦い:

« 日刊ゲンダイ「辻元よしふみウンチク堂」第48回・男性下着の歴史 | トップページ | クラウド アトラス »