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2013年1月20日 (日)

ジャベール警部の帽子でもう一つの話題。

 2月1日午後9時より、テレビ東京系「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!」に、わたくし、辻元よしふみが出演することになりました。内容は「英国近衛兵の帽子の謎」について。出演そのものは1分ほどですが、その後の内容も監修させて頂いております。ぜひ、お時間が有ればご覧いただければ、と存じます。ちなみに、皆様ご存じのように大橋未歩アナウンサーがご病気のため、この回から秋元玲奈アナウンサーが出演されるそうです。
 さて「英国近衛兵」と「レ・ミゼラブルのジャベール警部」で、古い時代の帽子の話題が続きましたhttp://tujimoto.cocolog-nifty.com/tiger/2013/01/post-1056.html。私も、一応「戦史・服飾史研究家」として、もうひとつ気になった話題を追加しておきます。
 というのも、映画レ・ミゼラブルのジャベールですが、注意深く見た人しか気づかなかったと思いますが、後半はあの大きなナポレオン型の「二角帽」で登場しますけれど、冒頭のジャン・バルジャンが船を曳いているシーン、刑務所の看守時代のジャベールは、頭に船のような形の帽子を被っていました。Sthxu3lzqjv2s00x_o_lesmisrablesclip
 ああいうのを、フォラージュ帽とかギャリソン帽、ドイツ語ではシュイフェン、などと呼びます。要するに「要塞帽」とか「舟形帽」というもので、第二次大戦では、アメリカ、ソ連、ドイツなどの軍隊がよく被っていました。日本軍などではあれは採用しませんでした。
 しかし、実はああいう帽子のルーツは古いのですね。おおむね18世紀の後半、フランスの警察の作業帽、略式の帽子として登場した「警察帽」bonnet de police というのが、あのジャベールの帽子です。
 この「警察帽」は、ナポレオン戦争途中の1812年までフランス軍で広く、作業用、日常用として使用しました。正式な帽子ではないので、あまり絵画などでは描かれていませんけれど。そして、12年以後はポーランドの防寒帽を手本にしたポカレムpokalemという帽子に切り替わります。フランス軍が徐々に東欧、北欧、ロシアなど寒冷地での戦争を志向し始めたからです。P1020335
 しかし、ナポレオンの失脚後、このポカレムは徐々に消滅。というのも、戦争の勝者であるプロイセン式の帽子、ミュッツェが流行し始めたからです。このプロイセンの帽子が、その後の世界の制帽のスタンダードとなって、今の警察官や鉄道員の帽子の先祖になります。一方、警察帽のほうはなぜか、100年以上もたって、1940年代の第二次大戦で復活を遂げたのですね(最初はオーストリア陸軍で山岳部隊用に用いられたようです)。なお、現代の軍隊ではこの船型帽は再びすたれて、ベレー帽が多くなっています。
 ・・・ということで、1815年のフランスの警察官に、ああいう略帽をかぶせたレ・ミゼラブルの衣装担当の人の時代考証は正しいのであります。
 

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