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2012年10月 5日 (金)

アイアン・スカイ

20121005004128  「アイアン・スカイ」IRON SKYなる映画を見てきました。フィンランド、ドイツ、オーストラリア合作というもので、今時なかなか日本では上映されないのですが、フィンランド始め欧州各国で大ヒットして、日本にも上陸した、ということです。私の近所では豊洲ららぽーとで上映しているので見てきました。
 これ、簡単にいえば、1945年にナチス・ドイツは滅びておらず、一部は空飛ぶ円盤ハウニブに乗って地球を脱出、月面の裏側に基地を作り、ドイツ第四帝国を樹立していた、という話。そしてアメリカをはじめ地球人たちに対する復讐の日を虎視眈々と狙ってきた、というわけです。
 時は2018年、アメリカ初の女性大統領(名前は出てこないですが、どう見ても元アラスカ州知事のサラ・ペイリン氏にそっくりです)は支持率低下に悩み、ヴィヴィアン報道官の提言を受けて実に50年ぶりの月面着陸を計画。特に目玉は黒人宇宙飛行士ワシントンの存在でした。ところが月面に到着した途端、船長は何者かに射殺され、ワシントンも捕まってしまいます。一体、誰に? それは月面ナチ第四帝国の親衛隊准将アドラー率いる警備隊でした。
 ワシントンは捕虜として、月面帝国総統コーツフィライシェの元に連行されます。取り上げられたスマートフォンは科学者リヒターを驚愕させます。エレクトロニクス分野では地球は月面よりはるか先に進んでおり、小型コンピューターはいまだ月面では実現していないのでした。これを用いてコーツフライシェが40年もかけて建造してきた秘密兵器・巨大宇宙戦艦「神々の黄昏」号の心臓部が起動します。しかし、動き出したとたんに電池切れでダウン。アドラーは地球に潜入して携帯電話を奪取する計画を立て、総統に承認されます。かくて、アドラーは、リヒター博士の手により白人化されたワシントンを連れてアメリカに乗り込みますが、そこには予定外なことに、アドラーの婚約者でリヒターの娘であるレナーテが密かに同行していました。
 そのころ、月面着陸が失敗して大統領は激昂し、ヴィヴィアンに八つ当たりしています。ヴィヴィアンも部下に当たり散らし、起死回生の策を練らなければ、と焦ります。そこに現れたのがアドラーとレナーテの二人。携帯電話奪取などは方便で、じつはアメリカ合衆国と提携してコーツフライシェ総統を倒し、自分が権力を握ろうと野心を抱くアドラーは、大統領との面会を望んでいました。一方でレナーテも、彼女が純真に信じる国家社会主義の教義を地球に布教してナチス化することを画策していました。この二人の奇妙な魅力に惹かれたヴィヴィアンは、大統領に引き合わせ、大統領の選挙参謀に抜擢します。ナチス式の選挙戦術で大統領の支持率はみるみる回復。
 だが、アドラーの動きに不審を抱いたコーツフライシェは、地球攻略計画を発動。ナチスの宇宙艦隊が大挙、ニューヨークを襲います。さて、地球の運命はいかに? 神々の黄昏号は動き出すのか?
 ・・・といった展開です。歴史上の第三帝国でなく、今も生き延びている第四帝国、という設定ですのでなんでもあり、です。制服の類も70年前とあまり変わっていないようですが、厳密に言うと変なところもいろいろなくはない。それにしても、オカルトのネタとしては「ナチスは生き延びていた」というのは珍しくはないのですが、それで本当に映画を一本作ってしまうのはすごいです。
 かなりきわどいブラックジョークが満載です。「ヒトラー最期の十二日間」や「博士の異常な愛情」などのパロディー・シーンも満載。特に「博士の・・・」のテイストに似ている映画だと思いました。とにかく全体にどぎつく描かれるのは、ナチスというよりはアメリカです。ある種、アメリカこそがナチス・ドイツの後継者なのではないか、という感が強くします。本物のナチスが登場することで、アメリカの本質があぶりだされてくるわけです。「やったわ、これで私も戦時大統領よ。1期目で戦争を始めた大統領が落選したことはないわ」とうそぶく大統領は、敵がナチス残党と知って大喜びし、「今までアメリカがまともに倒したのってナチスだけなんだもの、ルーズベルトになった気分だわ」と絶好調です。エンディングまで、とにかくアメリカの世界支配のあくどさが、これでもかという感じで描かれて、痛快です・・・アメリカ人が見るとどうなのか分かりませんが。
 宇宙艦隊の戦闘シーンもなかなかの出来栄えで、非ハリウッドの低予算の映画でこれだけやれば見事なもの。どこかレトロな第四帝国の兵器の造形も魅力的です。
 レアものの一本ですので、あまり人が見ていなさそうな映画をお求めの方は、ぜひご覧ください。
 

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コメント

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

投稿: 株の勉強 | 2012年10月20日 (土) 02時38分

株の勉強様

 コメントいただき恐縮です。ぜひまたご覧くださいませ。ありがとうございました。

投稿: 辻元よしふみ「 | 2012年10月20日 (土) 02時53分

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