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2012年8月30日 (木)

プロメテウス

 20120830033931 映画「プロメテウス」を見ました。一言でいえば、「2001年宇宙の旅」+「エイリアン」という感じの一作ですね。だから重厚で、残虐です。当節の映画としてはそんなに長尺ではないですが、見終わると結構、疲労している・・・そんな作品かと。映像的には本当に素晴らしい。ここ何年かの映画でも最高じゃないでしょうか。
 監督は「ブレードランナー」や「エイリアン」などSFの名作と、「グラディエーター」「キングダム・オブ・ヘヴン」など史劇で知られるリドリー・スコット。ところで最近、弟のトニー・スコット監督(「トップガン」など)が自殺しましたが、何があったのでしょうか。それはともかく、久々のSF作品ということでして、パンフレットにあるご本人の弁によれば、なかなか作品にするにふさわしいテーマが見つからなかった、のだとか。
 それだけ本作は、久々に手ごたえを感じたテーマだった、というわけですね。その柱となるのは「人類発祥の起源はなにか」というもの。
 映画の冒頭はいきなり謎めいています。原始の地球らしい惑星。大河のほとりに一人の異星人らしき人物が立ちます。彼はおもむろに謎の壺のようなものを取り出し、黒くうごめく物質を飲み込みます。すると彼の肉体は崩壊し始める。彼は身もだえしながら河に身を投じます。彼の身体は分解し、遺伝子情報が残る・・・それはおそらく人類の遺伝子となるのでしょう。
 それから数万年の後。舞台は今日から80年ほど後の2089年。スコットランドのスカイ島の古代遺跡で、考古学者のエリザベス・ショウ博士は新たに壁画を発見します。3万5000年も前の壁画にははっきりと、巨人の姿と、それが指し示す星の図が見られました。同じ図柄は世界中の古代遺跡から見つかっており、彼女と、恋人で相棒のチャーリ・ホロウェイ博士は、これらの図は、人類を創造した異星人がやってきた星を示していると考えます。
 そして3年後の2093年。大富豪ピーター・ウェイランドの建造した宇宙船プロメテウス号は、地球から35光年の彼方、遺跡に描かれていた未知の惑星に到達します。ショウ、ホロウェイを中心にした探査隊は、「人類の創造主」に出会うためにやってきたのです。
 しかし一行の中には不穏な雰囲気もあります。一行の監督官でありウェイランド社の幹部であるメレディス・ヴィッカーズは威圧的で、なにか裏がありそうな感じ。また、一行の世話役として参加しているロボットのデビッドも、何者かからの密命を受けているようで、どこかおかしな挙動を見せます。
 そんな中、一行は異星人が築いたらしいピラミッドを発見。さらに異星人の遺体と、巨大な人間そっくりの頭部の石像、そして、謎の黒い壺のような物体がおびただしく並んでいる様を見ます。異星人の遺体から取り出したDNAは人類のものと一致し、彼らが人類の先祖に当たることが判明。そのころ、突然襲来した嵐のため、プロメテウス号に戻れず遺跡に取り残された二人は、謎の生命体と遭遇します。このモンスターに襲われ、連絡を絶つ二人。一方このとき、密かに黒い壺を船に持ち帰ったデビッドは、不可解な行動を取り始めます。さて、異星人と人類とのかかわりの謎は解けるのか、そして黒い壺の正体は、現れたモンスターは一体、なんなのか?
 ・・・というようなことで、前半は2001年宇宙の旅のような未知の世界への探索、後半は二転三転して凄惨なアクションシーンの連なるエイリアン風になります。
 ウェイランド社というのは、エイリアン・シリーズに出てくるウェイランド・ユタニ・コーポレーションの前身だそうです。よって、この作品世界は結局、エイリアンの世界につながっていく設定ということになります。
 謎めいた人造人間、デビッドがなんといっても興味深い。2001年宇宙の旅で人間に反乱をおこすコンピューターHALを想起させる部分、またブレードランナーに出てくるレプリカントや、エイリアンに出てくるアンドロイドも思い出させます。演じるのは近年、注目株のマイケル・ファスベンダーですが、役作りには苦労したようです。このデビッドが、往年の名作映画「アラビアのロレンス」が好きという設定で、ロレンス役のピーター・オトゥールの髪形を真似しているのですが、それがすごく似ています、オトゥールに。面白い設定です。
 それから、こちらも何を考えているのか分からない正体不明の謎めいた美女、メレディス・ヴィッカーズを演じたシャーリーズ・セロン。素晴らしい存在感で映画を引き締めています。
 ヒロインのショウ博士を演じるのは、これから伸びてきそうなノオミ・ラパスが熱演。後半の体当たり演技はエイリアンのリプリー役、シガニー・ウィーバーを思い出させるもので、見事です。演じるのは大変だったのではないでしょうか。
 最後まで行って、謎が残ったまま続きがありそうな展開で本作は終わります。実際、今後のシリーズ展開もあるのでしょうか?
 娯楽作品の多いこのごろ、久々に本格派の重厚な作品です。というわけで気楽に楽しめるとは言い難い一本。それに何もかもを明快に語る作風でなく、謎を謎のまま残す感じですから、そのへんは最近の、明快で親切な娯楽作品に慣れた人には向かないかもしれません。
 けっこう、夢に出てきそうな刺激の強いシーンも多い。これはリドリー・スコット作品ならではのものですが、ご覧になる方はある程度の御覚悟を。

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