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2012年6月22日 (金)

ハングリー・ラビット/スノー・ホワイト

 このほど豊洲のユナイテッドシネマで映画を二本立てで見てきました。なんでわざわざ豊洲でまで、といいますと、またまたニコラス・ケイジ出演の映画がこのへんじゃ豊洲でしかやっていなかったからなんですが・・・。というわけで、ニコラス・ケイジの「ハングリー・ラビット」と、シャーリーズ・セロンの「スノー・ホワイト」を見た次第。
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 さて、昨年も「デビルクエスト」「ドライブアングリー3D」と、主演映画が全国公開されたとはいえ、いずれも本当に全国で20~30館ぐらいでしか上映していない、という感じで、すっかり日本市場では淋しい扱いのアカデミー俳優ニコラス・ケイジ。今回の「ハングリー・ラビット」もざっと数えて全国で44、45館での公開で、私の住んでいる周辺でいえば豊洲と蘇我でしか見られない状態。ああ、本当にいつもかわいそう、ニコラス。でもですね、実際に見てきての感想ですが、これはなかなかの快作です。よく出来たサスペンスですよ。
 今回、ニコラスが演じるのはニューオリンズの平凡な高校教師ウィル・ジェラード。なんの特殊能力もない平和主義者です。しかし彼の自慢といえば美人の奥さん。妻のローラ(ジャニュアリー・ジョーンズ)はオーケストラのチェロ奏者で、二人で幸せな生活をしています。
 が、それは突然、破られるのです。公演の練習で帰りが遅くなったローラは、ある男に襲われて性的暴行を受けてしまいます。傷つき病院のベッドに横たわるローラを見て茫然自失となるウィル。するとそこに目つきの鋭いスーツ姿の謎の男サイモン(ガイ・ピアース)が現れ、言うのです。「奥さんはお気の毒に。ところで我々は犯人の男の居所を知っている。強姦の常習者なのだ。たとえ警察に逮捕されても長い裁判になり、奥さんは苦しむことになる。検察の主張が通っても強姦罪の刑期は11か月にすぎない。だからただちに正義の鉄槌を下してはどうか。もしあなたが望むなら、我々の組織は犯人に正義を下すことができる。しかしその見返りとして、あなたにはちょっとした手伝いをしてもらうことになる」即答を求められたウィルはこの申し出を受け入れます。そして翌日、ローラを襲った男が射殺されました。
 それから半年、ローラも徐々に立ち直り、そんなことを忘れかけていたある日、ウィルにサイモンから電話が入ります。例の「ちょっとした手伝い」をしてもらいたい、というのです。サイモンの指示通りに行動するウィルですが、最後にサイモンから来た指示は、幼児性欲犯の常習者である男を高速道路上の歩道橋から突き落として殺害しろ、というもの。要するに、この組織にかかわると、自分の恨みのある人間を誰かが始末してくれる見返りに、自分も見ず知らずの人間を殺害するという「交換殺人」を前提にしているわけです。
 ウィルは虫も殺せぬ平和主義者。当然、要求を拒否します。そしてその男に話しかけると、突然彼はウィルに襲いかかり、自分で勢い余って歩道橋から転落、死亡してしまいます。ウィルはこの件で殺人容疑者として警察に逮捕されますが、尋問する刑事は奇妙なことを質問します。「では、空腹のウサギ(ハングリー・ラビット)は?」「空腹のウサギ?」そこでウィルは思い出します。サイモンとのやり取りの中で聞いた合言葉、それは・・・。「跳ぶ。空腹のウサギは跳ぶ、だ」すると刑事はなぜかウィルを釈放し、逃がします。「自殺と見せかけて消されるから気をつけろ」と忠告して。さて、ウィルは謎の「組織」の正体を突き止め自分とローラの身を守れるのでしょうか・・・。
 そんなわけで、非常にスリリングなサスペンスで、非力な高校教師という設定の割にウィルはなかなかすごい行動力を発揮してサイモンを追い詰めていきます。信じていた人間に裏切られるどんでん返しとか、それがまた三転する展開とか・・・主要な登場人物もそんなに多くないのですが、最後まで大いに引っ張ってくれます。ニコラスの哀愁漂う演技、それにローラ役のジョーンズもいい感じですし、ガイ・ピアースが得体のしれない謎の男をよく演じております。ということで、やたらメジャーじゃない拾い物の映画が見たい、というあなたにはぜひお薦めです。
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 さてもう一本の「スノー・ホワイト」は、いうまでもなくグリム童話「白雪姫」そのものであります。基本的な流れも原話通りで、悪い継母が魔法の鏡に「世界で最も美しいのは誰」と聞くと、「今まではあなただったが、白雪姫があなたを上回るようになる」という返事。そこで白雪姫を殺そうとするが、猟師がそれを助けてやり、森で小人にかくまわれる。継母は毒リンゴを白雪姫に食べさせて殺害しようとするが、結局、よみがえった白雪姫は・・・。
 というような、基本的な流れはそのまんま。なのにこの変貌ぶりは何だろうか。まるっきりロード・オブ・ザ・リングのようなスケールの大きなファンタジーになっています。悪い継母なんてレベルのものじゃなく、王国を簒奪した悪の魔女。この悪の女王を打ち倒すため、反乱軍を率いた白雪姫ことスノー・ホワイトは白銀色の甲冑に身を固め、ジャンヌ・ダルクのように雄々しく闘います・・・。
 昔むかし、マグナス王が治める平和な王国に不幸が襲います。王妃が突然、愛娘のスノーホワイトを残して亡くなってしまったのです。さらに謎の黒い軍隊が現れ王国を侵略します。王は軍を率いてこれを打ち破り、囚われていた美女ラヴェンナ(シャーリーズ・セロン)を助け出しますが、その美貌に一目ぼれ。王妃に迎えます。しかし婚礼の夜、ラヴェンナは魔女としての正体を表し、国王を殺害。城に自分の軍勢を迎え入れて王国を乗っ取ってしまいます。スノー・ホワイトは高い塔に幽閉されてしまい、王国はこの悪の女王の統治で光を失い疲弊してしまいました。
 それから7年、女王ラヴェンナに魔法の鏡が告げます。「スノー・ホワイトがあなたを上回ってこの世で一番美しくなります。そうなったらあなたの魔力は衰えてしまう。しかし、彼女の心臓をあなたが食べれば、あなたの美貌は永遠となり、力も衰えることはなくなります」そこで女王はスノー・ホワイト(クリステン・スチュワート)を殺そうとしますが、彼女は隙をついて城を脱出、黒い魔の森に逃げ込みました。女王は森に詳しい猟師エリック(クリス・ヘムズワース)に「一人の娘を探し出す」よう命じます・・・。
 というようなわけで、おとぎ話ではなんだかはっきりしない部分が非常によく描かれていまして、女王ラヴェンナがなぜそんなに美貌に執着するのか、なぜスノー・ホワイトを殺さなければならないのか、といった理由付けが明確です。女王も単純な悪役ではなく、不幸な生い立ちもあって哀れな存在でもあるのです。そのへんをさすがのオスカー女優セロンが、妖艶かつ凄みたっぷり、貫禄充分に演じていますが、本当に楽しそうでもあります。
 一方、クリステン・スチュワートがいかなる逆境にもめげず気高く立ちあがる王女としてのスノー・ホワイトを熱演していますが、こちらも魅力的。従来の白雪姫像を覆す戦うヒロインの登場です。
 おとぎ話での王子様に当たるハモンド公爵の息子ウィリアム(サム・クラフリン)というのも出てきますが、この作品では影が薄いです。男性陣では、おとぎ話ではチョイ役にすぎない猟師役のヘムズワースが中心人物で、原題もだからSNOWWHITE&HUNTSMAN(白雪姫と猟師)だったりします。
 とにかくスケール感が大きくてどえらいシビアな話になっている、という白雪姫です。本当によくもまあ、ここまで話を大きくしたな、と感心します。後半、スノー・ホワイトが反乱軍を立ち上げていくまでのエピソードは大いに盛り上がります。しかし、ラブロマンスみたいな要素は希薄です。二人の強力なヒロイン中心に語られる新感覚の白雪姫、ですね。非常に堪能しました。20120622043856

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