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2011年10月14日 (金)

猿の惑星:創世記(ジェネシス)

 「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」という映画を見てきました。アメリカでも上々の評判だったと聞きますが、確かになかなかの出来ではないでしょうか。数年前にティム・バートンが「猿の惑星」をリメークしていますが、あれよりずっと面白いような気がします。
 アルツハイマー病に悩む父親を助けようと、チンパンジーを実験台にした新薬研究に励む若き科学者。中でも目覚ましい知能向上が見られたメスの一匹は、突然、暴れだして射殺されてしまいますが、一匹の子ザルを産み落としていました。科学者はこの子供をシーザーと名付けて育てますが、これは母親から優秀な遺伝子を受け継ぎ、人間の子供以上の急激な知性の発達を示します。ある日、隣人とのトラブルに巻き込まれる科学者の父を助けようと、家を飛び出し隣人に襲いかかったシーザー。彼は科学者から引き離され、施設に連れ去られてしまいます。ここで人間の愚かしさを悟ったシーザーは、ある企てを決意します。それはきたるべき「猿の惑星」への第一歩となるものでした・・・。
 ということで、1970年代の大ヒットシリーズ、「猿の惑星」を下敷きにして、この話の発端、猿がいかにして地球を支配するようになり、人類が駆逐されていくか、その端緒の部分を描く物語なわけです。70年代のシリーズでは、未来の猿の惑星から現代の地球にタイムスリップしてやってきたチンパンジーの子がシーザーとなって、人類を支配下に置き猿の王国を築いていったわけですけれど、本作は上記のように、人類が自ら作り上げた結果としてシーザーが生まれた、という話に置き換わっているわけです。が、それだけに話としてはリアリティーが増して、説得力のあるものになったのではないでしょうか。
 ロード・オブ・ザ・リング・シリーズでのゴラム役以来、モーション・キャプチャーの第一人者と目されるアンディ・サーキスが全編にわたってシーザー役を熱演しています。ただのCG画像ではなく、知性と哀愁をたたえたシーザーの目は、明らかに役者の演技そのものです。シーザーをいじめる飼育員に、ハリー・ポッター・シリーズのドラコ役で知られるトム・フェルトンが出ているのも注目。しかしこの人、悪役づいていますね。シーザーを手当てし、科学者と恋仲になる女性獣医の役にインド出身のフリーダ・ピント。この人は美人ですね。本作でも本当に魅力的です。そして、科学者に扮するのは、近年、活躍中のジェームズ・フランコ。アルツハイマー病と闘う父親役で、非常に重要な役どころを押さえたのはジョン・リスゴー。いい味を出しています。
 さて、「猿の惑星」といえば、第二次大戦中に日本軍の捕虜となった作家ピエール・ブールの原作で、有色人種を見下していた白人が、逆に有色の日本人の支配下に置かれる、という経験を基にしているのは有名な話。つまり猿というのは日本人がモデルなわけです。そして同じピエール・ブール原作で、リアルなバージョンの話として作られたのが、日本軍による連合軍捕虜使役を描くあの「戦場にかける橋」なんですね。いってみれば、「猿の惑星」と「戦場にかける橋」はまるで雰囲気は違いますが、兄弟のようなものです。
 「戦場・・・」は名画として名を残しましたが、一方で、「猿の惑星」もこれだけ長い生命を持ち続けているのは驚異的で、これから本作を手始めに新シリーズを展開する予定だともいいます。第二次大戦下の日本軍から生まれた映画が、これほど強い生命力を持っているのは不思議な感じもしますね。おそらく、猿が支配する世界、というものには、原作者の意図を超えた普遍的な寓話性があるからでしょうか。

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