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2011年2月 8日 (火)

ダービー卿のネクタイ?

 MEN’S EX3月号を読んでいて・・・ネクタイの歴史、という項目がありました。それで一点、気になったのがですね・・・「19世紀 イギリスのダービー卿により、現在の形のタイが完成する」という記述です。
 これは確実な話なんでしょうか?
 試みに調べてみると、大辞泉の解説として下のようなものが出てきます。

ダービータイ【Derby tie】
先端が剣先のようにとがった結び下げのネクタイ。ダービー卿が使用したのでこうよぶ。
ダービーハット【Derby hat】
黒フェルトの丸形の山高帽。ダービー卿が競馬場でかぶっていたもの。日本では明治・大正時代に流行。

 この大辞泉の説明を見ると、ダービー卿が今のようなネクタイの原形を決めた、ということでいいような気がしてきます。そこで、Derby tieという英語でちょっとググってみましょう・・・出てこないんですよね、日本のサイトしか。このダービータイなる言葉、本当に英語として流通しているのかどうか。
 ちなみに、もう一つ挙げられているダービーハットの方を調べてみると・・・とんでもないことが分かってきます。普通の英語辞書にも書いてありますが、いわゆる山高帽のことをダービーと呼ぶのはアメリカだけ。英国ではボウラーハットです。じゃ、なんでアメリカではこの帽子をダービーというのかといえば、ケンタッキー・ダービーで女性たちが被る帽子なんだとか。つまりアメリカのケンタッキー・ダービーが語源で、上の大辞泉にあるような「ダービー卿が競馬場でかぶっていた」というのは本当じゃないらしい(注記・研究社の「語源辞典」には、ダービーハットの語源として、Earl of Derbyが着用していたためか、などと書いてありますが、これも「ためか」と推量形で断言していません。私は英語のサイトで出てきたケンタッキー・ダービー説のほうを採っておきます)。
 いやね、辞書だって間違いもあれば、いい加減な記述もあるものですよ。しょせん人間が書くものですから。
 そこでひるがえって、ダービータイです。これも、こういう用語ってのがあるのかないのか。何種類か分厚い英語辞書を見ましたが、Derbyという見出し語で、ネクタイを説明している大辞泉みたいな記述は一つもないんですね。地名としてのダービーに、ダービー伯爵家、アメリカでの山高帽の異称、ダービー地方で作られるチーズ、それからこれは競馬が語源と思われる靴の形式名、またアメリカの俗語で手錠の意味、という説明をしている辞書もある。しかし、ネクタイというのは、見あたりません。これでは、ダービー卿が使用したので、という説明だってこうなるとなんだか怪しいものじゃないでしょうか。
 いわゆる結び下げネクタイは、英語ではFour in handというのが普通だと思うし、ちょっと調べてもこれしか出てきません。
 ダービー卿、という言い方も正確とは言えず、ダービー伯爵ということになりますが、これもダービー競馬を始めた12代とか、首相になった14代とか、19世紀に限っても何人もおります。
 いや、私にも何の確証もないのです。しかし「ダービー卿により、現在の形のタイが完成する」と断言されると、その根拠は? と思ってしまうし、そのダービー伯爵は何代目の人かというのも知りたくなります。
 どなたか、詳しい方がいらっしゃったらご教示いただきたいところです。

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