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2008年4月17日 (木)

映画「王妃の紋章」

 チャン・イーモウ監督の新作映画「王妃の紋章」を見てまいりました。監督が見出した大女優コン・リーとの10年ぶりの仕事でもあります。おまけに主演はチョウ・ヨンファ、共演に台湾のスタージェイ・チョウと大変、豪華な顔合わせ。
 時代設定は五代十国時代の中国。というと日本人にはいまひとつ分かりにくいのですが、907年にあの唐王朝が滅びてから、970年に宋が全国再統一するまでの戦乱時代のことでして、要は第二戦国時代というようなものです。日本においては894年に唐を見限って遣唐使廃止、その後、平安文化が栄える一方、平将門が登場して次の武家時代を予感させた時代であり、まあ日本から見て中国の影響力が最も薄れた時期、だからなんとなくわが国からすると印象が薄いのかもしれません。
 唐というのは、黄巣という人物の反乱で滅びてしまったのですが、この人は科挙に落第した後、「満城尽帯黄金甲」という詩を作ったそうであります。ちょうど重陽の菊の節句のころ、己の名前である黄を菊の花に見立て、春の花々が枯れ果てた秋、最後に咲く菊がすべてを覆い尽くすのだ、見よ、街をすべて黄金の甲冑をまとった俺の軍勢が埋め尽くしているではないか、と。これ、今に天下を取ってやる、という意味ですが、本当にやってのけたのは凄い執念ですね。ただし、長安を占領して皇帝を名乗った黄巣の天下は3年しかもたなかったそうですが。
 で、映画の原題はまさにこの、「満城尽帯黄金甲」なんです。金色の軍隊とはだから、反乱軍、革命軍のことなんです。これでお分かりのように、宮廷を舞台にした軍事クーデターを描くお話なんですね。
 原作は「雷雨」という中国では有名な戯曲ですが、そっちは1910年代の資本化一族の物語。それを、戦乱時代のある王国の宮廷に舞台を移して、壮大なクーデターのお話に仕立てた次第。実にそれはそれはお金がかかっていそうというか、豪華絢爛というか、私はここまで派手やかに宮中を再現した映画を見たことがありません。いろいろな時代の王様や皇帝の豪華な生活ぶりを描く映画がありますが、これはすごいですよ。本当に純金で作った衣装もあって、40キロにもなるので、さすがのコン・リーやチョウ・ヨンファがへとへとになったそうですから。
 お話としましては、チョウ演じる王様が、コン・リー演じる王妃を少しずつ毒を盛って暗殺しようと企むところから始まります。一方、王妃は王妃で血の繋がらない皇太子と男女関係にあって夫を裏切っています。そこに、王妃の実の息子である第二王子が戦地から帰還してきて、いろいろ宮廷内の人間関係がおどろおどろしくうごめきます。陰謀渦巻く中、ついに運命の重陽の節句の儀式が始まりますが、それは軍事クーデターの引き金となるものでありました・・・。
 そんな感じですが、とにかく豪華絢爛だし人数は多いし、そして何万人が死んだんだろうかと言うほど戦闘で人が死にます。あきれるほどです。
 それがまた、終わると何事もなかったかのようにきれいに片付けられる。国王の何よりも対面を重んじる綺麗事の論理で・・・。
 なんか中国的だな、と。なんとなく北京五輪も連想させます。いろいろ問題があっても強引に表面だけはきれいに進行しそうな予感。
 そういえばチャン監督は北京五輪の開会式のディレクター。はて、なにか意味深なメッセージもあるのかないのか。
 とにかくものすごい大作です。大画面で見ないともったいないです。

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コメント

「満城尽帯黄金甲」の由来は知りませんでしたので、勉強になりました。

投稿: KGR | 2008年4月17日 (木) 12時38分

KGR様 ご訪問ありがとうございます。
とにかく大迫力の映画でしたね。日本ではあまり大評判、というわけではないようなのが残念なのですが。ぜひあれはたくさんの方々に見ていただきたいですね。

投稿: 辻元よしふみ | 2008年4月17日 (木) 14時01分

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