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2007年10月24日 (水)

映画「ヘアスプレー」

 映画「ヘアスプレー」を見てきました。元々はカルト的人気を誇った映画があり、それを元にしたミュージカルを作ったところ大ヒットしてエミー賞受賞、そこでその劇場版を再び映画にした「凱旋映画」ということで、「プロデューサーズ」とよく似た経過を辿った作品です。
 あらすじを簡単に述べれば、ときは1962年、黒人公民権運動が盛り上がりつつある米メリーランド州ボルチモアが舞台。古き良きアメリカの最後の黄金の日々、という時期です。この後、ベトナム戦争の泥沼に入っていくわけですが・・・。
 で、ボルチモアの一人の少女トレーシーは、大人気のダンスとヒット曲を紹介するテレビ番組に夢中なわけです。やがてはこの番組に出演して、やがては映画スターに、と夢を膨らませるわけです。歌もダンスも自信ありで、実力は申し分なし。でも一つだけ難点あり。彼女は背が低くておデブ。彼女は白人ではあるけど、デブと言うことでやっぱりマイノリティー扱いなわけ。すくなくとも、芸能界デビューには難あり、なんですね。
 が、持ち前の楽天的性格と、何者も差別しない公平さからぐんぐんと人生を切り開いていくわけ。そして、司会者のコニーの目に留まり、めでたくテレビ・デビュー。当然ながら絵に描いたような古くさい差別主義者(なんとミシェル・ファイファーが熱演)のイジメなんかがある中もどんどん人気上昇。折りから、テレビ番組では当時月1回だけの「ブラック・デー」(黒人の日)が打ちきりとなる。さて、人種差別に怒ったトレーシーたちは立ち上がるわけですが・・・。ということで、ネアカで面白く楽しく、なんですがアメリカの社会が抱える非常に重いテーマもしっかり描いている作品であります。
 いやもう、難しい話は抜きにして面白いですわ。話題となったジョン・トラボルタの女装は掛け値なしにすばらしいです。ものすごい存在感ですね。それと旦那さんの愛のあるシーンは感動的です。
 音楽も見事。上手に50~60年代ロックンロールのエッセンスを取り込んでおります。
 トレーシー役の人は新人ですが、なにしろ歌えて踊れてかわいくて、しかしデブじゃないといけない、という要素にここまではまっているのはすごい。そして歌唱力たるや半端じゃなく見事であります。冒頭からなんとも見事な響きの声だな、と久しぶりに思いましたです。
 ロックンロールというのはなんであったのか、そしてレイ・チャールズとかエルビス・プレスリーとか草創期の人たちがなんで苦労したのか、わずか40年ほど前の状況なのにこんなんだったのか、と若い世代など衝撃を受けること請け合いであります。
 今時のヒップホップなんてのもこういうものの延長であると分かるわけであります。そして、味噌も糞も一緒になってしまった世界一生ぬるい国ニホンの人間にはなんでロックにしろヒップホップにしろ、表面的な理解しかできないのか、というのも分かる映画でありますね。
 いやあ2時間10分一瞬も抜かりなし。すかっとする映画です。爽快です。

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2007年10月17日 (水)

よしなしごと

ちょいとインターバル空きすぎ、と自分でも思うのだが、すみません、なかなかいろいろありまして・・・。
 とはいえ、一応、私の「戦史・服飾史研究家」としての新作書籍は、来年早々には出るものと思います。すでに書店さんに版元さんが営業をかけており、まあ、なかなか反応もよいようなお話をいただいております。もう少しはっきりしたらネット上でもせんでんさせていただきます、はい。
 なんかボクシングネタで一般メディアまでいろいろ書いており、とうとう一般新聞の社説にまで登場するような案配。
 まあなんてんですか、小泉・竹中時代に吹き荒れた「手段を選ばず結果さえ良ければなんでもいい」というか「人生いろいろ」主義と言うんですか、堀江さんも村上さんもそうであったし、この亀田父子というのもそういう時代の産物ともいえるでしょうが、まあこういうのもそろそろ時代遅れって言うんですか。
 どんな手を使っても結果を出すのが合理主義、みたいなのは世界的には終わってきてるわけですよね。中国ですらそろそろ見直さなきゃ、なんて言い始めている。総本山のブッシュ政権が終わりなんだし当然ですわね。
 ◆  ◆  ◆
 関係ないが、先日、ふと東京タワーに行ってしまった。実はこの年までいったことがなかった。なんだ・・・なかなか面白いじゃないか。特に水族館ね。あのナマズの質と量は半端じゃないですね。亀も多いし。
 しかし噂では、第2東京タワーの計画に焦っているそうで。そりテレビの本業はもちろん観光客も逃げちゃうから。頑張ってほしいんですが。
 もう一つ、逃げちゃうと言えば。まあ逃げちゃうのじゃないが、あの、あきるの市にある「ムツゴロウ動物王国」今度は北海道に戻る、という話。11月で閉園して北海道に帰るという。今度は本当ですかしら。首都圏で見たい人は今のうちですな。
 ◆  ◆  ◆
 今度、日本ペンクラブというのにも加盟することになりました。作家の早乙女貢先生のご推薦をいただきました。

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2007年10月 9日 (火)

パンズ・ラビリンス

 わざわざ有楽町シネカノン(ビックカメラの上階の映画館)まで行って、ギレルモ・デル・トロ監督のアカデミー賞3部門受賞作品「パンズ・ラビリンス」を見てきました。それにしても全編スペイン語だから、なのか有名人が出ていない、からなのかこれだけアカデミー受賞した作品がほとんど近所では上映されないのだから困ってしまう。現に昨日も、あまり広くない劇場はすべての回が満員御礼であった。監督はハリウッド作品でも有名な人だし、評価は高いのだし、商業上の安全主義は理解できるとしても、もうちょっと考えてもらいたいものである。
 なにしろ1944年フランコ独裁が完成しつつあるけれども、ナチスドイツなんかは敗北しつつある時期、という微妙な時代設定である。で、ゲリラ狩りに勤しむフランコ軍の大尉のもとに、身重の奥さんと、その連れ子の女の子がやって来るところから始まるのですが、この女の子、というのが普通の人間じゃなく、実は地下の魔法の王国の王女なのだが地上で記憶を失っている、という設定でありまして。
 で、ふとしたことから地下の国の使者の妖精や牧神(パン)が現れ、彼女に試練を課して、これをクリアしたら王女としてお迎えします、という話になる。
 なにしろ現実世界の方は、残虐冷酷で人殺しと拷問が趣味というファシスト軍人の義父と、それにへつらうばかりで連れ子の自分も疎むようになる母親・・・しかも母親は徐々に病状悪化し、危険な状態に。さあ、ヒロインはどうなる? そんなわけです。
 で、ファンタジーとしての見せ場も多々あるし、そのすばらしさでアカデミー賞をとったのは事実ですが、しかし現実世界の義父と、ゲリラとの戦いというのが非常に壮絶なんですよ。なんか半分以上、パルチザンものの戦争映画みたいになっている。後で思い返してもファンタジーの部分より現実の部分の方が重くて暗くて、すごいのであります。
 まあエンディングなど語りませんが、しかし・・・まあ見ようによってハッピーエンドなのかアンハッピーエンドなのか分からないようなエンディング、とだけは言ってもいいでしょう。なんかもう救いのなさにどっと疲労します。
 でまあ、上述の戦闘シーンとか拷問シーンとかが非常に残酷なもので、ファンタジーなのに12歳以下はダメの指定となっております。まあ、徹頭徹尾大人向けのファンタジーなんですね。
 それにしてもフランコ時代のスペイン軍なんて真っ向から描く映画自体珍しく、そしてどの評者も「誰が化け物といって義父の大尉がいちばんの化け物」という、この人物描写がものすごく、靴を磨き、髭をきれいにそり、身だしなみも行儀作法もきちんとしたこの軍人がまさに悪魔の化身に見えてくる・・・まあ大抵のナチスもの映画で出てくるナチ軍人よりも悪いです。が、彼にしてもなかなか見ようによっては、業を負っている描き方なんですね、いろいろと。彼の父親は著名な将軍で、そのコンプレックスがこの男を歪めているらしいのですが。実際、いい年して大尉止まりというのはぜんぜん出世遅いです。
 いやあ、ダークなお話ですが、一見の価値大ありです。なかなかどこでもここでも上映していませんが、お近くでしたらぜひ。

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