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2007年5月17日 (木)

俺は、君のためにこそ死ににいく

 とにかく、予告編で見てしまった三式戦「飛燕」の勇姿、そして米軍独特の「両用砲」のすぐ脇を、主翼を失い炎上しながら突っ込んでくる一式戦「隼」の痛ましくもリアルな姿。もうあれだけで「話がどうだろうが、映画としての出来がなんであろうが、万難を排して見たい」と思ったのが、映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」である。
 ゆうべ、見てきましたが・・・すごいです。まず空戦シーン。これはもうすごいです。ファン必見。残念といえば少し短いことかな、と。もうあと10分ぐらい見たかった。エセックス級とおぼしき米空母の甲板にひしめくF6Fとコルセアの列線。そして轟々と発進してくる護衛戦闘機の群れ。それが襲いかかる先には、爆装してほとんど回避行動も出来ない隼。直援するには数が少なすぎる飛燕。舞い飛ぶ曳光弾に高角砲射撃のどす黒い煙、VTヒューズのまばゆい炸裂、次々に流れていく日本の若者の血、こときれて墜落していく長い煙の尾・・・おそらく、米軍側撮影で公開されているカミカゼの映像を参考にしていると思いますし、見たことがあるようなシーンもあるので、そっくり再現しているところもあるのかも、と思いましたが、とにかく壮絶です。
 一言で特攻隊は悲惨、といいますが、かくも最新の技術で視覚化したのはそれだけですごいことです。今までも特攻隊ものの名作映画はありましたが、やはり最新のCGと模型撮影の技術は・・・すごいの一言。
 それから、出撃までの手順というか、出陣式の模様。これも、ここまでしっかりと再現している映画ってのは今までないと思います。別杯をくみ、皇居を遥拝し、それから隊ごとに最後の打ち合わせをし、主翼に足をかけてコクピットに乗り込み・・・。将校は飛行服のベルトに軍刀をたばさみ、女学校の生徒に見送られて離陸していく・・・いやもう。見てきたようなというか、現場を体験したようなというか。
 一つ一つのディテールが非常に執念を感じます。一昨年の「YAMATO」にもそういう感じを受けましたが、その結晶でしょうね。出演者も所作からなにから完璧というか、軍人、特攻兵に見えましたね。
 その点でちょっと弱いと感じたのが、昨年の「出口のない海」だったのですが。
 出演者は、もう熱演しております。つべこべ誰をどうこうと申しません。
 また、ストーリーについては、多くの若者を見送ることになった食堂のおかみさん、鳥浜トメさんの逸話は有名なものであり、ご承知の人も多いだろうし、もう見ていただくしかありません。まずもって、なにがどうであろうと、まともな日本人なら涙腺ゆるみ、号泣する人も不思議ではなし。まったく実話そのまま、ではなく限られた登場人物にエピソードを割り振っているとはいえ、基本的には実話ベースなので、いいとか悪いとか、泣けるとか泣けないとか、そういう感想は愚かといえましょうから、申しません。
 とにかく、見ていただくしかありません。ぜひ、ご覧ください。石原慎太郎さん脚本ということで、色眼鏡で見る人もいるかもしれませんが、実際、イデオロギー的な色彩もほとんど感じられず、またそういう趣旨もそんなに強いとも思えません。鳥浜さんから取材した内容をきっちり脚本としていると思います。
 あえていうなら、「イスラムの自爆テロと特攻は全く違う、こちらは命令による軍事作戦だったのであり、愚かな若者が洗脳されて行ったのではない」というメッセージは強く打ち出されております。
 その意味合いで、特攻の父と呼ばれる大西瀧治郎提督と、特攻第一号たる関行夫海軍大尉の逸話が冒頭に出てきますが、これも興味深いものでした。
 関大尉のシーンは本当に短いのですが、的場浩司が渾身の熱演をしております。ここもいいところです。決して出来上がった軍神などではなく、「私なら・・・(特攻などしなくともちゃんと、爆撃で戦果をあげられるのに)」という言葉を何度も口に出しそうになりながら、数秒、煩悶する、あのシーンはいいです。
 特攻は、主に政治的な理由から行われたもので、最終的には軍事的成果ではなく、日本の降伏条件を引き出すためのものだった、という描き方が非情ではありますが、随所に出てきます。
 その通りだったのでしょう。しかし、特攻隊が頑張りすぎ、また硫黄島の守備隊が頑張りすぎたので、恐怖にかられた米国に原爆を落とされたと言えば、そういうふうにも言えましょう。
 多くのことを考えさせられます。ぜひご覧を。

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コメント

わたしは予告編しか観ていませんが、いい映画らしいですね。日本映画は、ハリウッドと比べると資金力が弱くて、壮大な物語も、うまく表現できなかったのではないでしょうか。そういう意味では、CGなどの技術が向上すれば、元々物語的には面白い日本映画が世界を席巻する日も、、、来るのでしょうか。アニメなど、比較的資金力の差が出ない分野では、かなり善戦しているだけに、期待できます。通りすがり、長文失礼しました。

投稿: | 2007年5月19日 (土) 07時16分

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