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2007年4月10日 (火)

映画「大帝の剣」アラララララ!

「アラララララララ・・・・」というあのインパクト大な予告編。テレビCMでもあの、化け物がアラララ言っているシーンを思いっきり使っておりましたが、確かにあれ、耳に付きます。見終わってみますと、とにかくあのアララララ、と、主人公の「おっもしれえ!」という台詞が癖になってしまって、しばらく口について離れませんでした。
 ということで、東映の痛快娯楽大作「大帝の剣」を見てきました。阿部寛主演、長谷川京子、宮藤勘九郎、津川雅彦、杉本彩、竹内力らが共演、という時代劇にして伝奇ファンタジーにして、いやもうこうなるとSF作品といってもいいか。さすがに夢枕貘原作。スケールが大きいというかなんというか。まあ「魔界転生」とか「帝都物語」をさらに百倍ぐらい大風呂敷にしたような話であります。
 一応、時代背景としては、島原の乱の直後というから1638年ごろ、徳川幕府が3代家光の時代に入ってようやく安定してきたころ、というわけです。が、この話はいきなり豊臣家の血を引く舞姫(はっきり映画では語られませんが、秀頼の娘なんだろうか)というのが生き残っており、これをひそかに養育してきたのが真田幸村・・・彼も大坂夏の陣で戦死していなくて、この時代まで20年以上もひっそり生きていたという設定なのでまあ70過ぎの老人です。で、舞姫のお供に忍びの佐助、これは有名な猿飛佐助本人じゃなくて、どうも子供ということらしい。霧隠れ才蔵は登場しますけどかなりの高齢という設定なのは、こちらは初代の本人なんでしょうね。で、豊臣家再考をねらい、前田、島津、毛利といった諸大名とひそかに通じて陰謀中。それから、島原の乱後ということで、やはりというか、天草四郎も死んでおらず、やはりお話に絡んでくる・・・ここまではまあ、ちょっと突飛な歴史物ならありがちな設定。それにしても、この話通りだと徳川幕府ってぜんぜん、敵勢力の親玉を倒せなかったことになりますね。
 それはさておき、もっと奇怪なのが主人公というのが破格な人物で、まず彼は宣教師のヴァリニャーニが織田信長に献上したとされるおそらく日本で最初の黒人ヤスケの孫、というのであります。ヤスケは実在の人物で、信長から高級武士待遇に取り立てられて、本能寺の変でも信長を守って奮闘したという記録があります。が、彼に孫がいたというのは初耳。で、彼が背中に携えているのが「大帝の剣」という巨大な両手剣。どう見ても日本の刀剣の流れからは出てこないものですが、なんとこれは太古の地球に飛来した神秘の金属「オリハルコン」(こいつもSFではよく出てきますよね、アトランティス帝国で使われていたというあの金属)で出来ており、刀の形にしたのはあのアレキサンダー大王、というのだからすでに話がでかい。
 そして、この剣と、世界中に散らばった三つのオリハルコンの秘宝を集めると、世界を征服できるパワーが授かる、という設定もこういう話じゃありがちですが・・・。
 しかしそれだけじゃなくて、このオリハルコンを巡って、地球人だけじゃなく、宇宙からもエイリアンがやってきて争奪戦を繰り広げる、ということに。
 もちろん、豊臣家の残党も、また徳川幕府も、このオリハルコンの秘密は知っていて、血眼になって手にいれようと躍起になっているわけであります。
 ということで、大風呂敷のお話ですがとにかく面白い、肩の力を抜いて楽しめること請け合い。近頃見た娯楽系の作品じゃ抜群の面白さじゃないでしょうか。脚本もよーく練れていまして、テンポもよく、お笑いたっぷりだが、かといって必要以上にふざけてもいず、実にいいバランス。
 阿部寛が実に楽しそうにやっておりますし、ほかの出演者も本当にこの映画は楽しく演じているのが伝わってきます。江守徹のナレーションも、前の大河ドラマでの語りを思い出させますが、非常にこのけれん味のある世界観にはまっております。面倒くさい設定など、もうぜんぶ江守さんの語りに語らせてしまうあたりがかえって好感を持てます。楽しむためにはまず分かりやすくないとね。
 でも、意外にもけっこうしっかりと作ってあるな、というのはたとえばヴァリニャーニが信長に謁見するシーンなんてほんの数秒なのに、しっかり出来ています。
 宇宙船の飛来シーンも、そのへんのSF映画よりもよっぽど長く、派手な宇宙戦争のシーンが描かれていて実にとんでもないところで凝っている映画です。
 で、あの「アララララ」という化け物ですが・・・ちょっとネタばれになりますかね、あれは実は決して主要な登場人物じゃない、というのが面白いですはい。竹内力が演じるボスキャラは別にいるんですよね。だから中ボスというか。ところがその、全体の中では決して主要な役回りじゃないキャラがいちばん目立っていたりして、そのへんがおかしいです。
 おかしいといえば、この映画のパンフレットもパロディーがきいていて、中学校の歴史の教科書風になっていまして、駄法螺満載で笑えます。たとえば宇宙船の写真のキャプションに「加賀藩に伝わる宇宙船の絵図」とか書いてあって(嘘付けというの)。
 ラストシーンではとことん、とんでもないことになりますが見てのお楽しみ。なんでも、監督がキューブリックの「2001年宇宙の旅」へのオマージュを込めた、とのことですが、私もそのシーンで2001年・・・を思い出しました。
 面白いです、最近は邦画にパワーがあるといいますが、本当にそうですねえ。
 

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