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2007年3月20日 (火)

映画「ナイト・ミュージアム」

 ふと、日勤の後が夜勤、という絶好の「穴」が私のスケジュールに空いたので、映画「ナイトミュージアム」を見てきました。実はひそかに楽しみにしていたのである。
 というのも、クリス・コロンバス製作でベン・スティーラー主演というこの映画、基本的にファミリー向けの肩がこらないコメディーであるのは明白、そして、そういう問題作でも社会派でも異色作でもなんでもない、ひたすら娯楽として良くできている映画、というのを見たくてしょうがなかった。このところ見た映画は「硫黄島」二部作に「どろろ」に「蒼き狼」「ラストキング・オブ・スコットランド」であった。そのちょっと前も「トゥモローワールド」に「デスノート」であった。いずれもいい映画だったのは間違いないのだが、しかしまあ、濃淡はあるが能天気に笑える娯楽作品というものではない。後味が真っ暗、というもののほうが多い。それはやはり世相の反映とかいろいろあるのか。ハリウッドが不振といわれるのも、単純なお話を作りづらい重い雰囲気があるためなのは間違いない。そりゃやはり、アメリカ人にとっても今は「負け戦」という気分が濃厚なのだろうと思う。
 が、ハリウッドにはハリウッドでしか作れない映画というのも確かにあって、ことさらなんのメッセージということもなくて、しかし莫大な金がかかっており、脚本はよく練れていて、どこかハートウオーミングであり、お笑いの合間に、家族の絆の大切さ、なんてものをじんわりと感じさせてくれる・・・そういうことに成功しているのなら、それはもう見事なエンターテイメントである。
 そして、本作は期待通りに、そのような映画であった。言うことはない。
 話の筋書きは、冴えないバツイチ父親の主人公が、なんとかして父親としての立場を守ろうとなり手のない職場に就職する。それは近ごろ人気低迷中で赤字続きの自然史博物館の夜警、というもの。新人1人を採用してベテラン3人を解雇する、というリストラ方針の一環というものだった。それにしても、なんでその夜警の仕事がそんなにもなり手がいないのだろうか・・・それは、この博物館の展示物は、ティラノザウルス・レックスの骨格標本から26代ルーズベルト大統領の蝋人形やフン族の大王アッチラ、古代ローマ帝国の軍団からモアイ像まで・・・そのすべてが夜になると「よみがえる」からである!
 しかし、なにしろ恐竜は暴れまくるのだし、フン族は歴史で語られるとおりに残忍だし、ローマ軍は領土拡張に燃えているのであるし・・・大混乱になるのである。さて、主人公はこれをどう治めていくのであろうか、そして、尊敬が薄れかけている息子の信頼を取り戻すことは出来るのであろうか、という筋書きである。おおづかみなテーマは、やはりコロンバスのチームが製作したシュワルツェネッガーの「ジングル・オール・ザ・ウェイ」のようなものと思って良い。
 誰しも、夜になると博物館とか学校とかでは何が起こっているのか、などと考えることがあり、それで「学校の怪談」の数々も成り立っているのだが、今回の映画の基本は90年代初めにクロアチア人イラストレーターが出版した一冊の童話が元だという。
 芸達者がずらり勢ぞろいしているが、中でもベテラン3人組のリーダー、セシル役が「どこかで見たような顔」と思ったら、なんとあのデイック・ヴァン・ダイク本人。もう80代も後半だと思うが元気いっぱい、珍しく今回はちょっと裏がある、悪役といっていい人物なのだが楽しそうに演じている。また、途中と最後で、いかにも彼らしい体をくねくねさせた見事なダンスを披露している。あの「メリー・ポピンズ」や「チキチキ・バンバン」で見せたのと同じような踊りっぷりである。
 また、主人公の設定がおそらく40前後と思われるので、選曲も70、80年代の懐メロというか、本人が夜更けの館内でアカペラで歌うのは「アイ・オブ・ザ・タイガー」だし(ちょうどロッキーの最終作が公開されるのでそのこともあるんだろうか)、ラストで登場人物がせいぞろいして踊り狂うときの曲はアース・ウインド&ファイアーの「セプテンバー」だったりするが、妙にはまっている。ここは最近のブラック系の曲ではしっくりこないだろう。
 考えてみると、ヴァン・ダイクの全盛期の「メリー・ポピンズ」などはファミリー向けの娯楽作品であると同時に、映画史に残る名作でもあった。少し後の「ET」なども一級のエンターテイメントで商業作品である上に、名作であった。こういう映画ってのを作るのは難しい時代なのかもしれず、これは音楽でも文学でも、閉塞、ネタ切れ、行き詰まりになってくると妙に「娯楽もの」「シリアス」「社会派」などと細かく分裂して、それぞれ先細りして自滅していくものである。
 が、ひとつこういう作品を契機に、楽しくてハートウオーミングな映画をまた作って欲しいものである。制作陣がわざわざ、一度は引退したヴァン・ダイクを起用したのもそういう意味合いじゃないか、と私は見ている。
 

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