2017年2月18日 (土)

イ・プリミ銀座で「ハッピー・バースデイ」に感謝!

 このほど私、50歳となりました。半世紀です。一昔前の松本清張さんの小説で、登場人物の描写として「もう50歳の老人だが」と書いてあったように記憶しています。平成の初めごろでも、会社の定年はまだ55歳が普通でしたよね。サザエさんの父、波平さんが、現役会社員(ということはまだ50歳代。特に昔の設定なのだから50代も前半!)なのにあれほど老人のように描写されているのも、つまり、ほんの数十年前まで50歳は立派な老人であった、ということを意味しているようです。
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 それで、銀座・松屋百貨店のレストラン「イ・プリミ」で、サプライズとしてお祝いのデザートを出してくれました! 以前にちょっと「もうすぐ50歳なんだよね」と言ったのを、覚えていてくださったようです。イ・プリミの皆様、ありがとうございました!

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2017年2月16日 (木)

特別展 春日大社 千年の至宝(東京国立博物館)

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 日中は春めいた陽気になってきましたね、しかし朝晩はまだまだ寒いので、皆さまご自愛ください。さてそれで、私はこのほど東京・上野の東京国立博物館・平成館で開催されている「特別展
 春日大社 千年の至宝」というものを見てきました。

 春日大社(奈良市)と言えば、「平安の正倉院」という異名があるほど、平安~鎌倉、室町期の国宝・重文クラスの秘宝がひしめいていることで有名。特に歴代の公家や武将からの崇敬を集め、彼らが奉納した昇殿用の飾刀や、太刀、甲冑などは国内でも有数のコレクションを所持しています。今回はそれらを一堂に、おしげもなく展示してあるのですね。Photo_2


 特に、展示物の入れ替えの関係で、初めのころの展示品と、後半の展示品は変わってしまうのですが、2月14日~19日の間の6日間だけは、今回の目玉である国宝の4領の大鎧・胴丸が並ぶという、夢のような構成になっております。

 とにかく、その4領の甲冑はド迫力です。鎌倉期大鎧の作例として非常に有名で、かつての説では源義経が奉納したともいわれていた赤糸縅の大鎧・梅鶯飾および竹虎雀飾の2領は、このへんの時代が好きな方は何度も写真は見ていると思いますが、実物が目の前にあるとなんとも感無量です。また大袖付きの黒韋縅の2領の胴丸も、奇跡のコンディションです。まるで最近、製作されたような生々しさに目を見張ります。春日大社でも、この国宝の4領の鎧を並べて見せることはまずないそうで、きっと今回限りじゃないかと思われます。

 ほかにも、平安期の華麗な飾刀や、鎌倉期の毛抜型太刀、兵庫鎖太刀など、まだ後の時代の日本刀の形式になる前の古式な刀が多数、陳列されており、いやもう、平安~鎌倉時代の源平合戦ごろが好きな人にはたまらない展示ですね。Photo_3


 本展は当日券1600円で、3月12日(日)まで(月曜休)。午前9時半~午後5時(入館は午後4時半まで)となっております。

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2017年2月14日 (火)

個性的なロリポップ・チョコの数々。

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今日はバレンタインデーということで、KALDIコーヒーで見つけたのが個性的なロリポップ・チョコの数々。Photo



 スター・ウォーズの人気キャラBB8型のもの、あひるさん型、それにちょっと気が早いですがおひな様型、というものもありました。Photo_2

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2017年2月10日 (金)

【映画評 感想】ニュートン・ナイト/自由の旗をかかげた男Free State of Jones

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 「ハンガー・ゲーム」で知られるゲイリー・ロス監督が、マシュー・マコノヒー主演で製作した映画「ニュートン・ナイト/自由の旗をかかげた男」
FREE STATE OF JONESを見ました。大物俳優の新作なのに、都内でも2か所でしか公開されていないので、私個人としてはかなり遠出となる新宿・武蔵野館まで足を運びました。この映画館がまた、規模の小さいシアターでして、ちょっともったいないな、というのが正直な感想。

 とにかく、ほとんどの日本人が知らない人物の物語で、そしてご当地のアメリカでもあまり知られていない、というこのお話。映画としてどうこういう前に、まずはこの史実を知ってほしい、と強く思いました。南北戦争時代のアメリカ南部が舞台なのです。

 南北戦争という題材そのものが、日本ではいまいち、関心を引くとは言えません。その理由の一つとして、アメリカがこの内戦をしている時期、日本も幕末の動乱から戊辰戦争へと向かう時代であり、外国の戦争より国内の戦争に目が向いていた。それは当時もそうだったし、今でもそうだ、ということだと思われます。ただ、南北戦争のために、もともとアメリカ海軍のペリーが来航したことで始まった幕末の動乱に、結果としてアメリカが介入できなかったという意味合いがあり、さらに、南北戦争の後に余剰となった武器や軍装品が、戊辰戦争時の日本に大量に送られた、という点でも、大いに日本史にかかわりがある歴史イベントだと考えられます。明治初期、西郷隆盛が建軍した初期の日本陸軍の軍装に、アメリカの軍装、特に北軍の軍装の影響が大きいのも、間接的な影響と言えましょう。

 さて、この作品は、南北戦争のさなかに、戦争に嫌気がさして南軍から脱走したミシシッピ州ジョーンズ郡の貧しい白人農民ニュートン・ナイトNewton Knight1837年~1922年)が、同じく南軍の脱走兵士や、黒人の逃亡奴隷たちを率いて、南軍にも北軍にも属しない、人種差別や貧富の差を認めない独自の政体「ジョーンズ自由州」を樹立していた、という驚くべきテーマを扱っております。いわば正式な奴隷解放よりも前に、すでに実践していた人物が実在した、というわけです。

 しかし、こういう人物の存在は、敵対勢力だった南部側はもとより、奴隷解放の手柄のお株を取られてしまう北部側から見ても、邪魔なわけでして、そのためにこの自由州と、ニュートン・ナイトの名は正統アメリカ史から黙殺されてきたのだそうです。実際、ナイトの戦いは戦争の間だけで終わらず、奴隷解放と南北戦争の終結後も、実際には南部で続いていた「年季奉公」という名の事実上の奴隷制度や、法律的には認められた黒人選挙権の事実上の否定、さらにKKK(クー・クラックス・クラン)のような白人至上主義者による黒人の虐殺、私刑・・・こういったものとも戦わなければなりませんでした。そういう圧力の中、元奴隷の黒人女性を内妻とし、彼らの教育や、参政権の確立にも尽力して85歳で亡くなったナイトという人は、まことに強靭な人物だったのでしょう。

 そして、2017年の今、こういう作品を見ると、いわゆるトランプ大統領の支持層の中に今も見え隠れする白人至上主義者の存在があまりにも露わに見えます。ああ、もう150年も前から続いている「ニュートン・ナイトの戦い」は今でも終わっていないのだな、と感じるわけです。

 本作は、2016年に公開後、一部で大きな反響を得て、アカデミー賞も有力視されていたのですが、結局、2017年の賞レースにはノミネートされませんでした。思うに、あまりにも生々しい題材なので、今のアメリカ人には直視できなかった部分もあるのではないか、と思っております。また、史実としてはどこまでが本当にあった話なのか、ジョーンズ自由州なるものの実態という点で、学術上、いろいろ問題もあるともいいます。ただ、本作でも好演しているマハーシャラ・アリは、「ムーンライト」でアカデミー助演男優賞にノミネートされているそうですね。この人は「ハンガー・ゲーム」シリーズでも有名で、今後も活躍してくれそうです。

 

 1862年、南北戦争のさなか。南軍衛生兵として従軍するニュートン・ナイト(マコノヒー)は、「黒人奴隷を20人以上所有している者は兵役を免除する」という南部の新法に激しく憤ります。彼のような、奴隷など持っていない零細農家には、もともと何の関係もない戦争です。金持ちのために貧乏人が戦う、というこの戦争に疑いを持ったナイトは、わずか14歳で徴兵された甥っ子のダニエル(ジェイコブ・ロフランド)が目の前で戦死するのを見て、ついに脱走を決意。縛り首になるのを覚悟で、ダニエルの遺体をジョーンズ郡に運びます。

 しかし、久々に戻った故郷では、情け容赦なく物資や食料を徴発していく南軍補給官バーバー中尉(ビル・タンクレディ)の暴虐により、疲れ切った女性や子供の姿がありました。やがてバーバーに銃を向けたナイトはお尋ね者となり、妻セリーナ(ケリー・ラッセル)からも見放されて身を潜めることになります。一人息子が病気のときに介護して救ってくれた黒人奴隷の女性レイチェル(ググ・バサ=ロー)の手引きで、沼地の奥にたどりついたナイトは、逃亡奴隷のモーゼス(アリ)たちと出会います。運命を諦めきっているモーゼスたちに武器を調達したナイトは、彼らを追ってきた奴隷捜索隊の連中を血祭りに上げます。

 彼らの蜂起を知って、各地から集まってきた逃亡奴隷や脱走兵たちが集結し、軍隊規模にまで大きくなっていきます。激戦の末、バーバーの上官である南軍の残酷な指揮官、フッド大佐(トーマス・フランシス・マーフィ)を処刑したナイトたちは、さらに南軍の拠点を占領して1864年、ジョーンズ自由州の独立を宣言しますが、それは終わりなき戦いの序章にすぎませんでした。1865年、戦争が終わって、憲法の改正により南部の黒人奴隷はすべて解放されたはずでしたが・・・。

 さらに85年後の1950年代にもなって、また新たな問題が起きたことを映画は紹介します。ナイトの子孫であるデイビス・ナイト(ブライアン・リー・フランクリン)が、白人女性と婚姻したことが違法として、デイビスは逮捕されてしまいます。彼はナイトとレイチェルの間に生まれた二男の子孫であり、8分の1が黒人の血統である、よって白人との婚姻は違法であるというのです。この時代になっても、南部の州法では、白人と異人種との結婚は許されない犯罪行為だったのです・・・。

 

 凄惨な戦闘シーン、残虐行為や私刑、といったシーンが全編に出てくる重い作品なのですが、不思議とマコノヒーが演じていると、このどこか毅然としつつも飄々たる人物が映画の中心にいることで、単なる残酷映画じゃない説得力が生まれる感じがしますね。おそらくこの人が主演でなければ、うまく映像化できなかった作品じゃないでしょうか。モーゼス役のアリもいい味を出しており、レイチェル役のググ・バサ=ローもいいですね。普通にやってしまうと見るに堪えない陰気な話になりかねない本作を、俳優陣の持ち味で見事に作品として成り立たせている感じです。

 この作品で見る限りですが、ナイトという人は、間違っているものを見ると黙っておられず、困った人を見ると助けたくなってしまう、それで次々に面倒に巻き込まれてしまう性分の人に見えます。しかし、いつしか不満分子が彼の下に自然に集まってきて、反乱軍の大将に祭り上げられてしまう、というタイプのリーダーのようです。あえて言って、欧州ならロビン・フッド、日本史上でいえば平将門とか、西郷隆盛のような人物ですね。何か自覚的に戦略を描いたり、仕掛けたりしたわけではなく、時代が彼を求めていて、そのように自然に動いたらこうなった、ということ。その、いつの間にか、こうなっちゃったんだよ、というのを表現するには、器量の大きさ、人の好さ、自然さがないといけません。マコノヒー以外に、これほど的確にこれを演じられる人もいないでしょう。なお、本作でのナイトの主張は、人種問題よりもむしろ、貧富の格差の問題の方が前面に出ており、見ようによっては共産主義的な考え方に近いもののように描かれていますが、実在のナイトがそうであったのか、は私には分かりません。

 南軍の軍装が丁寧に再現されています。通常、南北戦争というと勝者である北軍側の描写が多く、その意味で、南軍側から描いた非常に貴重な映画です。私も、当時の南軍の灰色の軍装が、オーストリア帝国軍のものの影響を強く受けていたことは知っておりましたが、星章を着けている佐官以上の服装は調査したことがありますが、尉官以下についてはよく承知しておりません。この映画では、将校の下襟は黄色であったり、下級将校は襟にドイツ風のリッツェンを付けていたりするなど、軍服のディテールに目を奪われました。

 ところで、ナイトたちにしても、敵対する連中にしても、この映画の世界で物を言うのは、最後は銃なのです。要するに力こそ正義。たとえ黒人奴隷であっても、銃を持って武装していたら相手も言うことを聞くしかない。結局、西部劇の世界です。選挙の投票という最も民主的であるべき場でさえ、妨害する勢力も、投票しようとする側もどちらも銃を構えて恫喝しあうシーンがあります。南北戦争で銃器の扱いに手慣れた連中が、そのまま戦後も銃を構えた正義を主張し続けたのが西部劇的な世界で、いわば戦国時代の後に刀狩をしなかったらどうなったか、という歴史なのだと思います。アメリカ人が、今に至るまで銃による正義を主張し続けるのはなぜか、というのも、このへんに原点があるのだろうという感想も抱きました。

 アメリカ人が長らく自慢してきた自由とか平等とか、民主主義とかいう観念が一体、なんであるのか。外国人である我々から2017年の現代の目で見たときに、それが非常に綺麗ごとと矛盾に満ちたおかしなものに映るわけですが、歴史的に紐解くことで、もうこのへんからさほど進歩していないのだよ、という描き方をしたのが本作だろうと思います。このような時代に一石を投じた監督と出演者に、敬意を表したいと思いました。おそらく、アメリカの一部の人たちは、この作品の内容に反発したのではないかとも想像されます。

 せっかくこういう作品を日本でも公開しているのですから、少しでも多くの方に見てほしいと思いました。どう感じるのであれ、問題作であることは間違いないです。また、私個人としては、劇映画としても非常に見応えある一作だったと思います。

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2017年2月 5日 (日)

【映画評 感想】マグニフィセント・セブン The Magnificent seven

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 黒澤明監督の代表作を一つ挙げろ、といわれれば、人それぞれでしょうが、
1954年の「七人の侍」を推す人は多いでしょう。私は個人的に、黒澤監督は特に戦国時代ものを撮るときが最も面白い、というのが持論でして、「七人の侍」か「隠し砦の三悪人」か「影武者」か、と感じております。おそらく、西部劇のような作品を日本で撮るなら、背景としては戦国時代じゃないのか、というのがあると思います。アウトローが跋扈していておかしくない時代、です。同時に、黒澤作品と言えばこの人、三船敏郎さんが一番、輝くのも戦国ものと思われるのですね。「七人の侍」はまた、Seven Samuraiの名で国際的にも有名であり、多くのハリウッド監督にも影響を与えたと言われます。先日のスター・ウォーズ新作「ローグ・ワン」の監督も、徐々にすご腕の仲間が集まってチームを組み、絶体絶命の困難な任務に立ち向かう、という要素で「七人の侍」を意識した、と発言していたようですね。

 それで、公開当時、その「七人の侍」に惚れ込んだ名優ユル・ブリンナーがリメイクに乗り出し、自ら主演してこれも西部劇史上に残る名作となりましたのが、1960年の「荒野の七人」The Magnificent Sevenだった次第です。こちらは、その時点でほぼ無名の新人だったスティーヴ・マックイーン、チャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーン、ロバート・ヴォーンらの出演者が本作を契機に人気を得て、その後、そろって大スターになりました。

 そしていま、21世紀になってこの原案をそのままに、アントワン・フークワ監督の手で新作西部劇「マグニフィセント・セブン」The Magnificent Sevenが制作される、という一報を聞いて驚いたものです。ということで、見に行って参りました。

 

 南北戦争の余韻が残る1879年、アメリカ西部の小さな町ローズ・クリーク。この町にサクラメントの悪徳資本家ボーグ(ピーター・サースガード)が目を付けました。近くにある金鉱山の経営のため、この町を乗っ取って独り占めにし、拠点とする計画です。開拓した住民たちは3週間以内に立ち退くように強要されました。勇気ある青年マシュー(マット・ボマー)は抗議の声を上げますが、ボーグに射殺されてしまいます。

 マシューの妻、エマ(ヘイリー・ベネット)は、友人のテディ(ルーク・グライムス)と共に、ボーグの横暴から町を救ってくれそうな腕利きのガンマンを探すことに。そしてある町で、見事にお尋ね者を始末したチザム(デンゼル・ワシントン)を見て、懇願します。初めは取り合わなかったチザムですが、ボーグの名を聞くと心が動き、エマたちの力になることを約束します。

 さらに、チザムが追っていたお尋ね者のバスケス(マヌエル・ガルシア=ルルフォ)、早撃ちの名手でカードと女が好きなファラデー(クリス・ブラット)、南北戦争時代からのチザムの知人で、かつて南軍きっての狙撃兵だったグッドナイト(イーサン・ホーク)、その相棒でナイフの使い手である東洋人ビリー(イ・ビョンホン)、往年はインディアン狩りで名を上げたものの、今では時代が変わり失業している怪力男のジャック(ヴィンセント・ドノフリオ)、さらにひょんなことから仲間に加わる一匹オオカミのコマンチ族戦士レッド・ハーベスト(マーチン・センズメア)が集結し、まずはローズ・クリークを占拠しているボーグの手下、22人を血祭りに上げます。

 町の人々は怯えつつも、頼もしい7人のガンマンの登場に勇気を振り絞り、ボーグと闘うことを決意。

 しかし、怒りに燃えたボーグは百人を超える大軍を編成し、ローズ・クリークを襲撃することにします。決戦まで残された時間は1週間。7人のガンマンと、町の人々の運命やいかに・・・。

 

 というようなわけで、大筋の所では「七人の侍」「荒野の七人」と変わらないわけですが、細かいところはけっこう相違します。中心人物チザムが黒人である、というだけでなく、メキシコ人のバスケス、東洋人のビリー、インディアンのレッド・ハーベストまで参加してまさに多人種軍団になっています。あえて分類すれば、7人のうち4人が有色人種、というわけで、現代的な西部劇解釈、といえるかと思います。時代考証的には、南北戦争が終わり、奴隷解放令が出た後の1870年代末なので、黒人のガンマンがいてもありえない話ではないし、日本もすでに明治時代となっている時期、ビリーがどこの出身か明言されませんが、このぐらいの時代になると中国、韓国、日本などから来た東洋系のガンマンがいても決しておかしくはない、ということです。が、実際にそういうことがどの程度あり得たか、というとそれはまた別問題で、やはりこのあたりは、リアリティーと言うより、自身も黒人であるフークワ監督の意識、というのも反映しているのかもしれませんけれど、しかしパンフレットによれば、監督も出演者も、そんな人種的なことはあまり意識しておらず、ひたすら娯楽作品として面白い7人の組み合わせを考えたところ、いろいろな人種になった、と言っているようです。実際、フークワ監督の「トレーニング・デイ」でオスカー受賞したデンゼル・ワシントンがここで中心人物として起用された、というのは、あくまでも監督の人脈の中で最高の俳優を求めたらこうなった、ということなのかもしれません。

 今作が、二つの原典と違う点で言えば、経験の浅い若造、というのが7人の中にいません。「侍」における勝四郎、「荒野」におけるチコにあたる人物です。彼らは町の農民の娘と恋に落ちる、という話があったんですが、今回はそのへんバッサリとありませんし、必然的に未熟な若者の成長物語という部分もありません。それから、やはり「荒野」ではチコが担っていた部分と思いますが、「侍」で三船が演じた菊千代のような型破りな人物、というのもいません。まあ今作ではジャックがいくぶん、そうなのかもしれませんが、菊千代の人物像が「侍」で体現しているものが、いかに作品を深くしていたか、というところを思うに、ちょっと今作は物足りない感じもあります。ただ、そういう町の人との関わり的な部分をカットし、戦闘シーンを増量したことで現代的なテンポの映画になっている、のも事実なので、このへんは配分が難しいところです。

 一方で、旧作へのリスペクトという面も大いにあり、特にチザムが全身黒ずくめの衣装であることは、明らかに「荒野」でユル・ブリンナーが演じた7人のリーダー、クリスの影響でしょう。コマンチ族戦士の名前「レッド・ハーベスト」は、ダシール・ハメットのハードボイルド小説『血の収穫』Red Harvestに由来しますが、実はこの小説は、黒澤明監督の別の名作「用心棒」(1961年)の原案の一つとされています。

それより何より、本作では最後の最後になって、「荒野の七人」のあの1960年のテーマ曲(エルマー・バーンスタイン作曲)が思い切り、流れます。ずっと、この有名なテーマ曲をマイナー調にしたような曲が作中で流れていたのですが、やはり本歌取りだったのですね。ちなみに本作の音楽を担当したのはジェームズ・ホーナー。これまでどんな作品の曲を手がけたかといえば、「タイタニック」「アバター」「コマンドー」「コクーン」「マスク・オブ・ゾロ」「トロイ」「アポカリプト」「薔薇の名前」「フィールド・オブ・ドリームス」「グローリー」「ブレイブハート」・・・とまさに巨匠中の巨匠ですが、2015年6月に飛行機事故で亡くなり、本作が彼の遺作となってしまいました。

 「七人の侍」が西部劇と決定的に異なるのは、封建時代の日本の侍と農民は身分違いであり、農民が金で武士を雇用する、などというのが本来は非常識。そもそも、そこを乗り越えて共闘することが難しい、という要素です。ここがストーリー的にも面白いわけですが、やはり西部劇だとそのへん、あまり深くならないのは致し方ないですね。別にガンマンと町の農民で、どちらが偉い、というわけでもありませんので。

 ともかく、フークワ監督もデンゼル・ワシントンも、「この時代に、今後、西部劇が作れるかどうか分からないから、とにかくやった」と発言しているようです。本当にそれはその通りで、特撮が通用せず、ひたすらきついスタントやトレーニングで昔ながらの撮影をするしかない西部劇は、なかなか新しい作品が作られないジャンルとなってしまいました。これは日本の時代劇もそうでしょうが、やはり志のある人たちが作り続けていかないと、ノウハウが廃れてしまう分野じゃないでしょうか。そういう意味でもまことに貴重な一作だと思います。

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2017年2月 4日 (土)

【映画評 感想】ドクター・ストレンジ

 引く手あまた、今を時めく俳優の一人であるベネディクト・カンバーバッチですが、ついにマーベル・シネマティック・ユニバースの世界に登場! 同シリーズの通算14作目「ドクター・ストレンジ」Doctor Strangeで主演、ということで、カンバーバッチに以前から注目している我が家としましては、当然、見に行った次第です。Photo


 考えると、テレビシリーズSHERLOCK(シャーロック)のシャーロック・ホームズとか、カーン(スター・トレック)、アラン・チューリング(エニグマ・ゲーム)など、天才的知性を持ち、高慢ちきで鼻持ちならないけれど、孤高の人で、不器用で、カリスマ性の高い魅力的な男、というのをやることが多かったカンバーバッチ。「ホビット」シリーズでの悪龍スマウグ役もまた、そういうキャラの一典型だったといえましょう。してみれば、天才的外科医から稀代の魔術師に転向したドクター・ストレンジというのは、まさにこの人のための役柄、という感じがあります。実際、もしカンバーバッチ以外の人がやったら、本当に単なるイヤなヤツ、身の程知らず、井の中の蛙・・・というキャラになりかねなかったと思われます。多忙を極めるカンバーバッチに三顧の礼を尽くし、テレビシリーズ続行中のSHERLOCKの制作サイドにも協力してもらい、なんとかスケジュールを調整して出てもらった、という関係者の努力が実った作品といえるのでしょうね。

 

 天才神経外科医の名をほしいままにしているスティーヴン・ストレンジ(カンバーバッチ)。今日もER(救急救命室)で、元恋人で同僚のクリスティーン・パーマー医師(レイチェル・マクアダムス)の懇願を受け入れ、主治医のウェスト医師(マイケル・スタールバーグ)の意向を無視して難しい手術を強行、見事に成功させます。

 地位、名誉、金銭をすべて手に入れ、成功街道をひた走り、いささか天狗になっているストレンジですが、あるパーティーに向かう途中、自慢のスポーツカーの運転を誤り崖から転落、九死に一生を得る重傷を負い、人生は暗転します。

 病院でウェストが救急処置をしましたが、彼の手に負えるものではなく、ストレンジは外科医として致命的な、両手の自由を失います。ストレンジは、あらゆる方法を駆使して手を治そうと試みますが、ついに望みを絶たれ、すべての財産も使い果たしてしまいます。ずっと見守ってくれたクリスティーンに八つ当たりして彼女も離れていってしまう始末。そんな中、ストレンジは担当の療法士から、脊髄を損傷しながら奇跡的に全快した人物がいると聞かされショックを受けます。その男、バングボーン(ベンジャミン・ブラット)はストレンジに、ネパールの「カマー・タージ」という秘密の僧院に行けば、回復の見込みがあると告げます。

 オカルト的な話には本来、懐疑的な唯物論者のストレンジですが、今はそんなことをいっている余裕はなく、ワラにもすがる気持ちでネパールに。そこで悪者に襲われて危ないところ、謎めいた男モルド(キウェテル・イジョフォー)が助けてくれ、カマー・タージに案内してくれます。そこで出会ったのは、何千年の時を生きていると思われるケルト人女性の大魔術師、エンシェント・ワン(ティルダ・スウィントン)でした。彼女は、傲慢で物質に偏重した考え方に満ち満ちているストレンジに、宇宙と生命の壮大な秘密を見せつけ、並列する多元宇宙の中に存在するこの物質世界はほんの一部でしかない、という真理を告げます。初めは受け入れられなかったストレンジですが、幽体(アストラル体)となって身体から離脱する経験を経て、いったん、その正しさを理解すると、エンシェント・ワンを師として仰ぎ、元より優秀な人物であるがゆえに、次々に奥義を学んでいきます。あまりに先走ったことを学ぼうとするあまり、書庫番のウォン(ベネディクト・ウォン)にたしなめられたりもしますが、短い期間にストレンジは多くのことを身に着け、エンシェント・ワンも彼の才能を認めるようになります。

 ところで、エンシェント・ワンには、かつて愛弟子であるカエシリウス(マッツ・ミケルセン)という男がいました。カエシリウスはその後、カマー・タージを離れ、暗黒の宇宙の意志であるドゥマムゥを信奉するように。彼はウォンの前任の書庫番を殺害してエンシェント・ワンの蔵書を盗み出し、禁断の儀式を行ってドゥマムゥをこの世界に導き入れようと画策していました。

 ロンドンのエンシェント・ワンの拠点を襲ったカエシリウスの一味を、たまたまそこに居合わせたストレンジがたった一人で迎え撃つ羽目になりますが、戦闘の経験のない彼はいきなり大ピンチ。カエシリウスの部下ルシアン(スコット・アトキンス)の攻撃で瀕死の重傷を負ったストレンジは、魔術を使ってアメリカの病院に飛び、クリスティーンに助けを求めます。しかしそこにアストラル体(幽体)となったルシアンが現れ、今度こそ絶体絶命に。ドクター・ストレンジは危機を脱し、世界がドゥマムゥの手に落ちるのを阻止出来るのでしょうか・・・。

 

 というような展開で、もう現在の映像技術の限界、というような、ほかで見たこともないような映像が次々に飛び出します。スピリチュアル世界そのものを扱った内容であり、また宇宙と生命の神秘そのものを扱っているテーマでもあり、ちゃちな視覚効果では子供だまし、という感じになりかねません。マーベルがこの題材を14作目まで温めていたのも、技術的な進歩がやっと、やりたいことに追いついた、ということだと思います。

 これを見せられると、ああ、よくいう「幽体離脱」という経験は、本当にきっとこうなのだろうな、というものすごい迫真性があります。ずいぶんそのへんのスピリチュアル的知見も研究して作られた映像なのだろうと感心します。

 原作コミックでは老人の男性であるエンシェント・ワンを大胆に女性にするとか、本来、悪役であるモルドを、少なくとも最初はストレンジの最も頼れる兄貴分として設定するとか、この映画ならではの変更点がいろいろありますが、これも計算しつくされてのことと思われ、非常によく出来ているな、と思いました。

 監督はスコット・デリクソン。キアヌ・リーヴス主演のSF「地球が静止する日」がいちばんよく知られている作品でしょうが、その他の作品ではホラーやオカルト系のものが多く、ジェリー・ブラッカイマー製作の実録ホラー「NY心霊捜査官」を監督して話題を呼ぶなど、実は心霊系が得意な監督です。そんなデリクソン監督が本作に大抜擢されたのも理解できます。実際、単なるヒーロー・アクションもの、という枠では捉えられないのがこのドクター・ストレンジという作品だと思われます。

 音楽も凝っていて、全体の担当はマイケル・ジアッチーノ。スター・ウォーズの新作「ローグ・ワン」もこの人のスコアでした。ちなみにこの人、テレビゲーム「メダル・オブ・オナー」で有名になってから映画音楽の世界に参入し、「カールじいさんの空飛ぶ家」でアカデミー賞を受賞、その後も「ミッション・インポッシブル」シリーズを手掛けるなど、今、最も注目される作曲家です。また挿入曲も興味深く、手術のシーンでかかる曲はアース・ウィンド&ファイアーの「シャイニング・スター」、車の運転中に流れるのがピンク・フロイドの「星空のドライヴ」・・・ストレンジは70年代ぐらいの楽曲が好きなわけでしょうね。

 カンバーバッチの説得力ある演技はもちろん、アカデミー女優のティルダ・スゥイントンや、「ローグ・ワン」でも演技が絶賛されたマッツ・ミケルセンといった実力派が固めて、決して子供向けの浅いコミック作品という感じにしていません。非常に深遠な哲学的な作品に仕上がっております。といって、娯楽作品としても極上で、アベンジャーズ・シリーズとの絡みもしっかり配置されており(ワンシーンですが、「マイティ・ソー」のクリス・ヘムズワースも登場します)まことに良くできた作品でした。

 そのヘムズワースの登場シーンでは、ソーの弟、ロキ(トム・ヒドルストン)の名前にわざわざ言及。次作ではこのへんと絡むのでしょうか、楽しみですね。

 そうそう。マーベルの総帥で、全ての映画にワンシーンは出ているスタン・リー氏(なんと94歳)が本作にも登場! ロンドンのバスの座席で、オルダス・ハクスリーの『知覚の扉』The doors of perceptionという本を読んでいる老人、という役柄でカメオ出演していますよ。この本というのは、『すばらしい新世界』などで知られる作家ハクスリーが、自身のメスカリン(幻覚剤)体験を描いたもので、人間の知覚がごく制限されたものしか認識していない、ということをテーマにした内容です。同書の題名が、ロックバンド「ドアーズ」の名前の由来であるのも有名な逸話です。

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2017年1月27日 (金)

【映画評 感想】沈黙(マーティン・スコセッシ監督、遠藤周作原作)

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 マーティン・スコセッシ監督の新作「沈黙」
Silenceを見ました。「タクシードライバー」「ギャング・オブ・ニューヨーク」「アビエイター」などで知られる巨匠が、原作小説を読んで感動し、実に構想開始から28年もかけて映画化した、という作品。原作は言わずと知れた日本の文豪、遠藤周作先生です。原作小説は1966年に発表、ということで半世紀前のこと。そして、遠藤氏は1996年に亡くなっていますが、スコセッシ監督は91年、遠藤氏に直に会って、映画化の許可を貰ったそうです。遠藤氏の原作は、17世紀初めの実在の宣教師をモデルとして、小説的な脚色を加えたものですが、大筋の話は史実が下敷きになっています。

 スコセッシ監督の長年の執念の実現、というもので、これは1630年代末の日本を舞台にした時代劇でもあるわけですが、日本の観客から見ても全く違和感がない、といってよいのではないでしょうか。登場する江戸時代の農民や漁民、武士たち。その身に付けている衣装や刀、昔の日本で見られた小さな馬に、馬具。完璧な時代考証に驚かされます。

 私は、中学生時代に原作小説を読んで、非常に感銘を覚えました。確か、学校に提出する読書感想文のテーマにしたのじゃなかったかと思います。キリスト教という宗教の問題だけでなく、日本という国の特殊性、異文化の理解と衝突とか、人の生き方といったところまで、その年齢なりに考えさせられた作品でした。それで、私個人の当時の印象として、途中で主人公の書簡の形から、通常の小説体、さらにオランダ商人の書簡による伝聞・・・などと視点が変わるところがあり、けっこう読んでみると分かりにくいんですよね(それは、この映画化でもそのまま踏襲されています)。また、主人公が日本に来てから各地を転々とした後、捕えられた後もあちこちに連れ出されたりして、中編なのに登場する人もどんどん入れ替わるし、シーンもかなり展開する。よって、決して難解ではないのですが、意外に文章では理解しにくい印象もあったのです。しかし、今回の映画化によって、非常に分かりやすくなったと感じました。昔、読んだシーンが頭の中でつながった気がしました。これは、そういう意味で映画化に向いた素材だったのですね。

 特に私の中では、この作品のキーマンともいえる実在の人物、井上筑後守政重(15851661)というのがなかなか視覚イメージしにくかったのですが、イッセー尾形さんが起用される、と聞いた時に「なるほど」と膝を打ちました。何を考えているのか分からない、底知れぬ狡猾さと、一見した人当たりの良さと、そして驚くほど深いキリスト教と異文化への理解・・・この謎めいた人物を視覚化するなら、確かにイッセーさんしかない、と思います。それが見事にはまっています。その他のキャストも素晴らしいです。名優リーアム・ニーソン、「スパイダーマン」で名を上げたアンドリュー・ガーフィールド(写真右)、「スターウォーズ」新作で世界的な知名度を得たアダム・ドライヴァーといった若手、それに浅野忠信、窪塚洋介(写真左)ら日本人俳優陣の頑張りも素晴らしいです。20170126235834


 

 江戸時代初め、キリシタン弾圧が強化された徳川時代の日本。

15年にわたって、日本での布教活動の指導者だったフェレイラ神父(ニーソン)が捕えられ、キリスト教を棄てた、というニュースがイエズス会に衝撃をもたらします。1640年、マカオのイエズス会指導者、ヴァリニャーノ神父(キアラン・ハインズ)は、日本に潜入してフェレイラを救出したい、と訴えるフェレイラの弟子、ロドリゴ神父(ガーフィールド)とガルペ神父(ドライヴァー)の申し出を、あまりにも危険だとして止めますが、2人の熱意を受けて許可します。

マカオにいた日本人、キチジロー(窪塚)を案内人として中国船で長崎に潜入した2人は、隠れキリシタンの住むトモギ村の村長イチゾウ(笈田ヨシ)、モキチ(塚本晋也)らにかくまわれ、密かに布教活動を再開。しかし、身を潜めることしかできず、フェレイラの行方も皆目、わからない状況に2人の神父は焦り始めます。

彼らの動きはついに幕府の知るところとなり、キリシタン弾圧の責任者である長崎奉行・井上筑後守(尾形)が乗り込んできます。彼はイチゾウ、モキチ、キチジローらを捕えますが、キチジローはあっさりと棄教を認めて逃亡。イチゾウとモキチはロドリゴやガルペの見守る中、殉教してしまいます。

危険が迫る中、ガルペとも分かれて五島の山中を逃げ惑うロドリゴを、またキチジローが助けます。しかし、キチジローは、イエスを裏切ったユダのように「銀300枚」でロドリゴを裏切り、ロドリゴは役人の手に捕らわれてしまいます。

奉行所に連行されたロドリゴは、日本人信徒モニカ(小松菜奈)、ジュアン(加瀬亮)らと触れ合う中で、日本にもキリスト教がしっかりと根付いていると確信するのですが、それをあざ笑うかのように、「日本にはキリスト教は根付かない」とロドリゴに棄教を迫る通辞(浅野)、井上筑後守があの手、この手でロドリゴを揺さぶります。それは非常に狡猾で、通常の暴力的な拷問以上にロドリゴを心理的に追い詰めていきます。また、どこまでもつきまとってきて、信用すると裏切る、を繰り返すキチジローの姿も、ロドリゴに信教に対する疑問を抱かせます。そんな中、ロドリゴはガルペと、そして懐かしい師匠のフェレイラと悲しい再会をすることになります。

「神はなぜ沈黙しておられるのか? こんなにも私たちが苦しんでいるのに」根源的な疑問を抱き始めたロドリゴの運命やいかに・・・。

 

ということで、原作小説の流れを損なうことなく映画化されており、とにかく日本人としても安心して見ていられるのがすごい。ハリウッド映画にありがちな、日本語のセリフが変、などということは一切ありません。まあ、日本語のセリフ以外は、本来はポルトガル語であるべきところをすべて英語に置き換えているので、そこが興ざめではあります。いくらなんでもハリウッドの枠では、仕方ないんでしょうけどね。

本作を見ていて、おそらく本人たちもかつてはキリシタンであったと思われる通辞と、井上の言うところが妙に納得できるのが面白い。日本人としてみて、残酷な弾圧者ではありながら、その論理が非常に納得できるものに思われるのが興味深いです。要するに、お前たちの持ち込んだ宗教は、そもそも侵略の手先としての布教じゃないのか、そして、お前たちが押し付けてきたものは、あくまでもお前たちの宗教であり文化であって、現にお前らは日本と日本人のことを何にも理解していないではないか。お前らは日本を見下していて、日本語すら全く覚えようとしないじゃないか。それは傲慢じゃないか・・・という彼らの問いかけが、非常に日本人として納得できるんですね。近年でこそ、日本語堪能な外国の方も珍しくないですが、ほんの20年ほど前までは、自分は日本語が全くできないのに、日本にやって来て英語を教えてやる、という上から目線の勘違いな外国人がごく普通にはびこっていましたね。本作を見て、このへんは、外国人の観客、特にキリスト教徒の人はどう思うのでしょうか。

今も世界中で、宗教の名の下に殺し合いが続き、テロが頻発しています。人種問題やグローバリズムの限界というのも、アメリカでトランプ政権が誕生してから、ますます深刻化してきています。こういう時代にこそ、この映画は必要なのだ、というスコセッシ監督の思いが伝わってきます。30年近く、この映画化のために悩みぬき、考え抜いてきたものが、ここにきて一度に結実してきたのだろうと思われます。

日本の誇る文豪の作品が、深い理解を得てハリウッド映画化された、というのはそれだけで記念碑的な快挙ですが、とにかく遠藤周作とマーティン・スコセッシという2人の巨匠が投げかけている普遍的なテーマが圧倒的な迫力です。特に日本人こそ深く味わえる作品ですので、多くの方に見てもらいたいと思いました。

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2017年1月26日 (木)

コシノジュンコ先生のご主人原作「続・蝶々夫人」製作が始動!

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 おや、いきなり「内閣総理大臣 安倍晋三、昭恵」夫妻とか、「甘利明」前大臣の花が飾られている・・・。何事かと思われるでしょうが、これは昨日、六本木のホテルで開催されたオペラ「続・蝶々夫人 桟橋の悲劇」の制作発表会の入り口風景です(写真左はコシノジュンコ先生)。16195294_1200545373374332_138665124



 有名なプッチーニのオペラ「蝶々夫人」の続編を、鈴木弘之氏(写真家で、デザイナーのコシノジュンコ先生の御夫君かつ、株式会社JUNKO KOSHINO代表)が書き下ろし、それを作家・夢枕獏先生が脚本化、そして作曲家の松下功先生(東京芸大副学長=写真左)が作曲、という豪華なコラボが進行中で、この日はさわりの楽曲を披露し、台本を公開した次第です。16174460_1200546213374248_3919238_2



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集まった来客も豪華で、宮田文化庁長官(東京芸大学長)、田村観光庁長官をはじめ、神田うのさん、ドン小西さん、オスマン・サンコンさんといった方々のお姿を見かけました。

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2017年1月20日 (金)

ホテル・グランドヒル市ヶ谷にて。

 いよいよトランプ大統領が就任するわけですね。そもそも就任式で何事もなければよいのですが。まあ、こういう人が本当に表舞台に登場するのはサプライズでしたよね。
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 ところで、先日、東京・市ヶ谷にあります防衛省御用達のホテル「グランドヒル市ヶ谷」にて、食事を致しましたところ、玲子が誕生日だったもので、デザートにハッピー・バースデイのチョコプレートを添えてくださいました。嬉しいサプライズで、ありがとうございました!20170118204034


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2017年1月16日 (月)

我が家の洋ランが今年も花盛りです。

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 我が家の玄関先の洋ランが花盛りとなっております。いつも寒い時期になると、奇麗に咲いてくれます。道行く人が「見事ですね」と声を掛けてくれることもあります。
 とりあえず、世間も我が家も、1月の半ばまできて、まずまず平穏、といえるでしょうか。しかしこの20日にはアメリカですごい大統領も登場します。どうなりますかね。考えても予測がつかないですね。Photo_3



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 まあ、私はとりあえず奇麗な花でも愛でております・・・。

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2017年1月 6日 (金)

ダイエーの「ピーターラビット」をコンプリートしました!

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 多くの職場で仕事が始まったと思います。いかがお過ごしでしょうか。
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 ところで、ダイエーでは、現在「ぬいぐるみを手に入れよう!」キャンペーンを実施していますが、いよいよ今月15日まで。最後のチャンスと成ってきました。今回は人気の高い「ピーターラビットのぬいぐるみ」がテーマです。
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 ダイエーで買い物をして、1000円ごとにレジでシールを一枚もらえ、そのシールを集めて台紙に貼り、15枚集まるとメーカー希望小売価格3240円する、座高28センチのぬいぐるみが激安880円で買えます! 20枚集めると40センチ、5184円の物が1528円に、30枚集めますと、本来なら8100円もする55センチの巨大なぬいぐるみが、2639円でゲットできる、という仕組みです。28センチの物にはピーターラビットのほか、ピーターの従兄ベンジャミン・バニー、ピーターの妹フロプシーのものがあります。40センチの物はピーターとピーターの母親ミセスラビットの2種類、55センチの物はピーターのみです。つまり全部で3サイズ、6種類があるということです。
 私はこれまで、ベンジャミン、フロプシーと、ミセスラビット、ピーターラビットの55センチ、40センチを手に入れました。そしてとうとう、28センチのピーターも入手し、コンプリートしました。
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 今回は特別出演として、やはり最近、手に入れたKALDIコーヒーのキャラクター「ヤギべえ」も写真撮影に参加しております。
 今回のキャンペーンは2017年1月8日までシール配布、同15日まで商品販売します。いよいよ本当に終盤ですので、興味がある方はお早めに。Photo_5


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2017年1月 4日 (水)

【映画評 感想】ヒトラーの忘れもの

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 この1月3日、
2017年の「初映画」として「ヒトラーの忘れものLAND OF MINE」という作品を観賞いたしました。新年早々に見る映画としては甚だ陰惨な内容でしたが、しかし素晴らしい作品です。ぜひ多くの方に見ていただきたい一作です。銀座・和光のすぐそばの映画館「シネスイッチ」で公開しています。

 本作はデンマーク・ドイツ合作映画でして、デンマーク語の原題はUnder Sandet(砂の下)。ドイツ語の原題は Unter dem Sand – Das Versprechen der Freiheit(砂の下―自由への約束)というもの。そして、英語のタイトルLAND OF MINEは「地雷の地」というような意味合いです。このMINE(マイン、ドイツ語読みではミーネ)は地雷を意味する単語で、本作の隠れた主役です。第2次大戦中のドイツ軍の42年型対戦車地雷Tellermine 42 (T.Mi.42)や、対人地雷SミーネS-Mineが多数、登場します。

 邦題の「ヒトラーの忘れもの」というのは、なかなか秀逸だと思います。日本の場合も、捕虜となった日本兵が旧ソ連に強制労働させられたシベリア抑留がありましたが、本作で取り上げるのは、戦後になってデンマークの地雷除去を強制されたドイツの少年兵たちの物語です。よって、ヒトラーの忘れもの、とは、ドイツ敗北後もデンマークの海岸線に残されたドイツの地雷を表すと共に、祖国ドイツから見捨てられた少年兵たちを示すともいえます。

 大戦中、北欧進出を狙ったナチス・ドイツ軍は、足場として1940年にデンマークに進駐します。この際、デンマーク王国は何もできないまま、無抵抗でドイツ軍の軍門に下ってドイツの保護国となったため、王室が海外亡命することも、国軍が徹底抗戦することもありませんでした。つまり、デンマークから見るとナチス・ドイツは普通の意味で交戦国ともいえず、非常に微妙な立場となってしまいました。

 そのため、1945年にドイツが敗北し解放されたデンマークでは、この地域を管轄したイギリス軍の意向が大きくものを言いました。戦時中、連合軍の反攻を恐れたドイツ軍は、デンマークの海岸線に、実に200万個以上の地雷を敷設しました。これを除去するのには膨大な労働力と費用、時間を要しますが、英軍はデンマークに対し、地雷の除去を国内に残って武装解除されたドイツ兵たちにやらせることを提案します。戦争の捕虜を強制労働させることは国際協定違反ですが、この場合、デンマークから見てドイツ兵は戦時捕虜といえない、というのがその根拠でした。本来、後々になって面倒な国際問題になりかねない話ですが、デンマークとしては英国の「命令」を拒否する立場にはありませんでした。

 こうして、2000人を超えるドイツ兵が戦後も(建前としては自発的に)デンマークにとどまり、危険な地雷除去作業を強制されることとなりました。ドイツ軍のデンマーク占領部隊は後方任務だったために、二線級の兵力ばかりでした。ゆえに強制労働させられた兵士たちはプロとは言えず、ほとんどがヒトラー・ユーゲント(ヒトラー少年団)から徴兵され、急ごしらえで編成された国民擲弾兵Volksgrenadierに属する1318歳の少年兵たちだったと言います。

 デンマークとしては、自分たちの国の戦時中の不甲斐なさや、ドイツ軍への憎しみ、そして英国への卑屈な感情・・・さまざまなものが交じり合ったため、少年兵たちは歪んだ憎悪のはけ口の対象となり、1000人を超える者がここで悲惨な最期を遂げたそうです。

 

 1945年5月、ナチス・ドイツが降伏し、デンマークのドイツ兵たちも武装解除されて祖国に戻っていきます。その中に、ドイツ兵への憎しみを露わにするデンマーク軍のカール・ラスムスン軍曹(ローラン・ムラ)の姿がありました。

 デンマーク陸軍の工兵指揮官エペ大尉(ミケル・ボー・フルスゴー)は、ドイツの少年兵を集めて、地雷除去作業の訓練をさせます。慣れない仕事であり、すでに訓練中に地雷で爆死する者も出る中、エペは非情に少年たちをしごきます。

 そして、ある海岸に配属された11人の少年たちを監督することになったのが、エペの部下であるラスムスン軍曹でした。ラスムスンは、海岸に埋められた地雷をすべて除去したら、祖国に帰してやる、と少年たちに約束します。少年兵の中でも、将校だったヘルムート(ジョエル・バズマン)と人望のあるセバスチャン(ルイス・ホフマン)の間で対立が深まり、まともに食料も配給されない中、病気や飢え、疲労が重なり、やがて地雷で爆死する者もあらわれます。この過酷な状況を見て、初めはナチスに対する憎しみにかられ、彼らに辛く当たっていたラスムスンも、一人の人間として疑問を抱き始めます。祖国の戦争犯罪の償いをこの少年たちだけに一身に負わせる一方、自分たちはなんの責任も負わないデンマーク軍部の方針に、です。

 多くの犠牲を払いながら、ついにその海岸の地雷除去を完了した少年たちに、悲劇が待ち受けていました。さらに、少年たちへの「自由の約束」を踏みにじるような事態に・・・。少年たちは本当に祖国に帰ることができるのでしょうか。そして、最後にラスムスン軍曹がとった意外な行動は・・・。

 

 ということで、ひたすら陰惨なお話なのですが、デンマークの海岸線は抜けるように青い空と海、白い砂浜が広がっており、対照的なトーンです。本作は各映画賞で絶賛され、東京国際映画祭でも「地雷と少年兵」という仮タイトルで上映されました。アカデミー賞海外作品賞の候補作品にもなっています。

 衣装デザインも各賞を受賞するなど評価されていまして、少年兵たちの服装や、デンマーク軍兵士の軍装なども非常によくできています。

 まず、ラスムスン軍曹はデンマーク軍の兵士でありながら、英国軍空挺部隊の赤いベレー帽に、空挺部隊の徽章を付けた英国のバトルドレス(戦闘服)を着て、連合国を意味する星のマーク(本来、米軍のマークですが、この時期には西側連合軍一般を示す標章として使用されました)を付けたジープを乗り回しています。彼の立場は独特で、おそらく戦時中は英国に亡命して英軍兵士として戦い、エリート部隊である空挺部隊で活躍、祖国に英雄として帰ってきた、という設定です。だから、戦争中も何にもできずに傍観していたと思われる上官のエペ大尉やほかの軍人が、デンマーク軍の通常軍服を身に付けているのと際立った対照を見せています。ラスムスンと、他のデンマーク軍の将校たちとは微妙な力関係にあります。ラスムスンは軍人としては下士官に過ぎない一軍曹ですが、ドイツ軍との実戦を経験し、戦勝国の兵士として凱旋した人間であり、戦時中に何もしなかった軍部の上官たちに対しても物怖じしません。一方、エペ大尉たちの方も、英国帰りの軍曹に屈折した感情を抱いており、煙たく思っています。そのへんの人間関係も、この作品を深いものにしています。

 少年兵たちは当然、いろいろな部隊から集められた、という設定であり、同じ少年兵と言っても、国民擲弾兵の腕章を付け、立派な正規軍将校用の軍服に少尉の階級章を着けているヘルムートと、まだヒトラー・ユーゲントの黒いスカーフを首に巻いているセバスチャンの服装の対照性など、その人の立場を示す細かい設定がなされています。

 出演者たちは、長編映画初主演のムラをはじめ、ほとんどが無名の新人です。特に少年兵役にはドイツでキャスティングされ、全く演劇経験のない子供たちも含まれますが、そこに非常にリアリティーがあります。慣れない任務に駆り出される経験不足の少年兵、という役柄そのままだからです。

 ドイツの少年兵の悲惨を扱う映画では、過去にも名作「橋(ブリュッケ)」がありましたが、本作で扱うのは、戦後になってドイツとデンマークの友好関係の中で、両国のどちらの国民からもタブー視され、やがて完全に忘れ去られてしまった「不都合な真実」です。これを世に暴き出した問題作として、大きな反響を呼んだものです。

 なお、本作で名を上げたマーチン・サントフリート監督、次回作はなんと日本を舞台にするそうです。アカデミー俳優ジャレッド・レトや、浅野忠信を主演に据えて製作中で、今度は日本の戦後を背景にしたものになるとか。それはぜひ見てみたい作品ですね。

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2017年1月 1日 (日)

2017年、初詣に初日の出。

 

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  改めまして、あけましておめでとうございます。Happy new year!
  今日は早朝のうちに近所の神社を巡りまして、初詣をしましたが、今年の元日は天気がいいですね。初日の出は午前7時20分ごろに見えました。20170101043826



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 今年がいい年でありますように。本年も宜しくお願い申し上げます。

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2017年 あけましておめでとうございます!

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あけましておめでとうございます! 

Happy new year 2017  

イラスト・辻元玲子 Illustration : Reiko Tsujimoto

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2016年12月31日 (土)

2016年も大晦日。皆様よいお年をお迎えください!

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 さて、
2016年も最後の1日、大晦日を迎えました。

 

 今年も熊本の大地震や秋の台風、先頃の糸魚川大火など、いろいろなことがありました。米大統領選や英国のEU離脱、相次ぐテロなど、国際的にも大揺れの一年。また、デビッド・ボウイさん、プリンスさんから、つい先日のジョージ・マイケルさん、キャリー・フィッシャーさん、そして彼女のお母様のデビー・レイノルズさん・・・多くのビッグネームが世を去りました。

 

 ひるがえって私たち夫婦はどうだったかと申しますと、まず8月に『軍装・服飾史カラー図鑑』(イカロス出版)を刊行出来ました。何しろ3年半越しの非常に苦労した出版計画だったので、本当に出せて嬉しかったです。10月には、推薦文をいただいたコシノジュンコ先生が発起人となって、この本の出版記念会をJunko Koshinoブティックで開催していただきました。この際には多数の皆さまにご来場賜り、まことにありがとうございました。さらにこの本は、世界的な高級ブランド、エトロETROのデザイナー、キーン・エトロKean Etroさんのお手元に渡りまして、同氏からは貴重なサインブックを頂戴いたしました。

それから、『図説 軍服の歴史5000年』(彩流社)も7月に3刷を出すことが出来ました。読者の皆さま、関係の皆さまに厚く御礼申し上げます。

また、今年は7月に、NHK BSプレミアムの番組「美の壺」の「華やぎのボタン」の回に出演し、英国海軍から徳川幕府海軍、そして日本海軍に至った錨の紋様がある金ボタンの歴史を解説いたしました。同じ月に、名古屋テレビの朝の情報番組「ドデスカ!」にも電話出演。「全力リサーチ」コーナーで、男性の夏の半ズボン姿について、18世紀末のフランス革命までは、男性の正装はむしろ半ズボンだった、といったコメントをしました。

そして今月には、朝日新聞122日付けの第3社会面「ニュース Q3」コーナーで、「ナチス風-批判浴びた欅坂46衣装」(秋山惣一郎記者)という記事にコメントを寄せ、さらに玲子のイラストも『軍装・服飾史カラー図鑑』からの引用という形で掲載されました。同様のテーマでは11月にも日刊ゲンダイ紙上でコメントしております。

小学館の「メンズプレシャスMen’s Precious春号」に、私が書いた「男心をくすぐる! ミリタリー・ウエア進化論」を掲載していただいたのも、今年の4月でした。

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と、こうしてみると、なかなか盛りだくさんな一年だったような気がします。刺激もありましたが、かなりハードな一年でもあったように感じております。なんとか乗り切れましたのは、ひとえに皆さまの御指導・御鞭撻によるところと存じております。ありがとうございました。Photo_3


 

さて、昨年の大晦日は、「リーガル」の年末キャンペーンで贈られるテディベアを紹介しましたので、今年も。2016年のクマさんはポンチョをまとったフォークロア・スタイルという異色のもので、この企画の20周年を記念した特別バージョンでした。今年もよく出来ていますね!Photo_4


 

ということで、2016年もいよいよおしまい。来年はどんな年になりますか。皆さま、よい年をお迎えください。本年はまことにありがとうございました。

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2016年12月29日 (木)

【映画評 感想】ローグ・ワン(追悼:キャリー・フィッシャーさん)

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 キャリー・フィッシャーさんがこの27日、急逝されましたね。享年
60歳。昨年、スター・ウォーズのエピソード7でレイア・オーガナ姫として奇跡のカムバックを果たし、今後もエピソード8、9と活躍されるはずでしたが、まだ若いのに・・・。ご冥福をお祈りします。(追記:キャリー・フィッシャーさんの母親で「雨に唄えば」などで知られる往年の大女優、デビー・レイノルズさんが28日に84歳で急逝されました。27日に亡くなった娘キャリーさんの葬儀について親族と協議中に倒れ、亡くなったそうです。お嬢さんの突然の死に大きなストレスを受け、後を追うように逝かれたようですね。2016年12月29日)

 そんな訃報が届いた28日、スター・ウォーズのシリーズ最新作「ローグ・ワンROGUE ONE」を見ました。もちろん、初めからこの日に鑑賞するつもりだったので、フィッシャーさんの訃報と重なったのは偶然でしたが、この作品のエンディングには、若き日のレイア姫が登場します。CG処理で若い日の容貌を再現しているようですが、まさに最盛期のレイア姫と再会できて、胸が詰まりました。

 なんで、若き日のレイア姫が登場するのか、といえば、この「ローグ・ワン」という作品は、これまでの正統な「エピソード1」に始まるシリーズの歴史の中で、まだ描かれていない隙間の時代の真相を描き出す新しい試み「スター・ウォーズ・ストーリーA STAR WARS STORY」の一作目だからでして、本作はエピソード4(つまりシリーズの第一作)の直前の時代、帝国と反乱軍の全面戦争が始まる時期を取り上げております。

 第一作の冒頭、レイア姫はダース・ベイダーに追われて逃げており、R2D2に帝国の究極の最終兵器「デス・スター」の設計図を託して、オビワン・ケノービの助力を得ようとします。そこにルーク・スカイウォーカーやハン・ソロが絡んできて、おなじみのシリーズが始まっていきます。第一作というのは、いかに反乱軍が難攻不落の要塞デス・スターを破壊するか、ということで終始した作品でした(もしシリーズ化されずに、あの一本で終わっても違和感がないような起承転結になっていましたね)。

 しかしでは、その設計図というのは、どうして反乱軍側の手に入っていたのでしょうか? ダース・ベイダーが死に物狂いで追いかけるほどの機密情報が、なぜ? その「なぜ」という部分を解き明かすのが、本作なわけです。そうそう。デス・スターの司令官といえば、おなじみターキン総督ですが、こちらも1994年に亡くなっているピーター・カッシングの顔をCGで再現して登場しています。今の技術だと、故人でも映像で「復活」させることが可能なのですね。

メガホンを執ったのはハリウッド版「ゴジラ」(2014)で知られるギャレス・エドワーズ監督。原案ジョージ・ルーカス、脚本は「シンデレラ」のクリス・ワイツ。

 

 帝国では最終兵器デス・スターの製造が遅々として進みませんでした。建造の責任者である帝国軍先進兵器開発局のクレニック長官(ベン・メンデルスゾーン)は、開発途中で任務を放棄して隠遁してしまった旧友の科学者ゲイレン・アーソ(マッツ・ミケルセン)に、開発計画に復帰することを強要。この際、抵抗した妻のライラは死に、一人娘のジン・アーソは逃げ延びて、父ゲイレンの友人で、反帝国ゲリラの首領であるソウ・ゲレラ(フォレスト・ウィテカー)に救い出されます。

 それから15年後。帝国軍の労働収容所に捕らわれの身となっていたジン(フェリシティ・ジョーンズ)は、反乱軍の部隊に救出されます。というのも、帝国の技術者として兵器開発に当たっている父ゲイレンからメッセージを託された帝国軍の脱走パイロット、ボーディー(リズ・アーメット)が、惑星ジェダのソウ・ゲレラの下に身を寄せたとの情報があったからです。しかし、同じ反帝国の立場でありながら、反乱軍は過激な闘争路線を貫くゲレラとは疎遠でした。そこで、ゲレラが娘同然に育てたジンを彼に接触させ、ゲイレンの情報を聞き出そうと考えた反乱同盟は、情報将校キャシアン(ディエゴ・ルナ)と、ドロイドK-2SO(モーション・キャプチャー:アラン・デュディック)を同行させたうえで、ジンをジェダに送り込みます。

 ジェダで、盲目の戦士チアルート(ドニー・イェン)、その友人のベイズ(チアン・ウェン)を仲間に加え、帝国軍の追及を逃れたジンたちは、ソウ・ゲレラと会うことができ、ジンは父からのメッセージを受け取ります。それは、父ゲイレンが長年にわたって帝国に従うふりをしてデス・スターに重大な弱点を仕込んだ、という極秘情報でした。しかし、その弱点を正確に衝くには、デス・スターの設計図が必要です。

 同じころ、帝国の最高幹部である野心家ターキン総督(CG:ピーター・カッシング)は、クレニックを呼び出し、脱走兵ボーディーによる情報漏洩と、デス・スター開発の遅延についてくどくどと叱責していました。ターキンがこの件の手柄を独り占めしようとしていることを悟ったクレニックは、皇帝に直接、拝謁する機会を得るべく、デス・スターの試験射撃を実施することにします。その標的は、ボーディーが身を潜めた惑星ジェダでした。

 デス・スターの一撃でジェダは壊滅。危うく難を逃れたジンたちは、ゲイレンがいると思われる帝国軍研究所がある惑星イードゥーに向かいます。ジンはここで、懐かしい父と再会しますが・・・。

 これまで得た情報を基に、デス・スターの脅威と、その弱点について惑星同盟の評議会に力説し、ただちに戦闘を開始するよう求めたジンたちですが、この期に及んで帝国軍との全面戦争になることを恐れた評議会は意見が決裂。やむなく、正式な命令を得ないまま、ジンとキャシアンを始め少数の仲間たちは、特攻隊を編成して、デス・スターの設計図がある惑星スカリフの帝国軍要塞に潜入することに。基地を発進する際に、オペレーターから「そちらのコールサインは?」と聞かれたボーディーは、その場の思い付きで「はぐれ者の第1号部隊」つまり「ローグ・ワン」と名乗ります。かくて、生還を期し難い決死の作戦に、ローグ・ワンの面々は挑むことになります。

 そのころ、デス・スターをめぐる一連の動きを苦々しく見ていた一人の人物がいました。帝国の大立者で、皇帝の側近であるかつてのジェダイ、アナキン・スカイウォーカーこと暗黒卿ダース・ベイダー(声:ジェームズ・アール・ジョーンズ)その人です。クレニックの不手際と独断専行を厳しく叱責したベイダー卿は、自らこの件に介入する必要性を感じ始めていました・・・。

 

 ということで、これはもう典型的な、1960年代あたりに盛んに製作された、ドイツ軍の要塞に潜入して、自らの命と引き換えにしても連合軍を勝利に導く・・・というパターンの特攻隊もの、決死隊もの戦争映画そのものです。さらにまた、盲目の武芸の達人や甲冑のような装備を身に付けた荒武者のような登場人物、壮絶な死闘・・・と、日本人の心の琴線に触れる時代劇の王道パターンにもぴったりとはまります。原案のジョージ・ルーカスがあまたの戦争映画や時代劇映画を見て影響を受けていることは有名ですので、もう私のような、そういう作品が大好きな人間としては、まさにツボにはまった一作です。はっきり言って、今までのSWシリーズでいちばん、感動的だったとすら思います。

 そして、大戦争の緒戦であるために、強い帝国軍の描写が生き生きとしております。ターキン総督の元気なお姿を拝することができたのはもちろん、なんといってもダース・ベイダーが元気で強い。後の作品では、だんだん衰えていくベイダーの晩年が描かれていたわけですし、エピソード1~3では逆に完成前の姿でしたから、暗黒卿としての全盛期の姿を描いたのは本作が初めてかもしれません。いやもう、強い、強い。惚れ惚れします。改めて、やっぱりダース・ベイダーさんがいないとこのシリーズは盛り上がらないな、と思いましたね。声を当てているのも一作目からの名優ジェームズ・アール・ジョーンズ。あのダース・ベイダーが帰ってきた、という感じでした。

 そして、最後に出てくる若き日のレイア・オーガナ姫。フィッシャーさんの悲報に接した直後なので、思いもひとしおでした。

シリーズとしては外伝的な位置づけなのですが、特に第一作(エピソード4)が好きな方は、これを見ない手はありません。お薦めの一作ですね。

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2016年12月25日 (日)

ダイエーのピーターラビット特大サイズを手に入れました!

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 今日がクリスマスで、いよいよ年末のラストスパート。いかがお過ごしでしょうか。
 ところで、ダイエーでは、現在「ぬいぐるみを手に入れよう!」キャンペーンを実施しています。今回は人気の高い「ピーターラビットのぬいぐるみ」がテーマ。
 ダイエーで買い物をして、1000円ごとにレジでシールを一枚もらえ、そのシールを集めて台紙に貼り、15枚集まるとメーカー希望小売価格3240円する、座高28センチのぬいぐるみが激安880円で買えます!Photo_2



 20枚集めると40センチ、5184円の物が1528円に、30枚集めますと、本来なら8100円もする55センチの巨大なぬいぐるみが、2639円でゲットできる、という仕組みです。28センチの物にはピーターラビットのほか、ピーターの従兄ベンジャミン・バニー、ピーターの妹フロプシーのものがあります。40センチの物はピーターとピーターの母親ミセスラビットの2種類、55センチの物はピーターのみです。つまり全部で3サイズ、6種類があるということです。
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 私は前に、ベンジャミン、フロプシーと、ミセスラビットを買いました。そしてこのたび、ピーターラビットの55センチサイズを手に入れました。他のものと比べると、でかいですね。
 今回のキャンペーンは2017年1月8日までシール配布、同15日まで商品販売します。いよいよ終盤ですので、興味がある方はお早めに。

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2016年12月24日 (土)

メリークリスマス! Merry christmas!Frohe Weihnachten!

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 メリークリスマス! Merry christmas!

 Frohe Weihnachten!

イラスト:辻元玲子 illustration : Reiko Tsujimoto

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2016年12月23日 (金)

一足早くクリスマス&忘年会をやりました!

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 皆さま、クリスマスを入れた3連休ですね。いろいろな過ごし方をされる方がいらっしゃると思います。天皇誕生日の今日、銀座から丸の内を歩いてみましたが、さすがにすごい人出です。一方で、地元の駅前などは閑散としているようで。Photo_2



 私どもは、あいにく世間の3連休はすべて仕事となってしまいましたので、一足早く、22日に日比谷の帝国ホテルのレストランで、クリスマスディナーを兼ねた夫婦忘年会をやりました。この日は平日だったので、お客さんの入りもちょうどいい感じでしたけれど、連休に入ってからは、きっと怒濤の大混雑なのではないでしょうか・・・。Photo_3



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 今年もなかなか、大変な一年だったような・・・。おっと、まだ1週間以上ありますね、最後まで気を引き締めていかないといけません。

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2016年12月16日 (金)

衆院議員会館地下の食堂にて。

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 先日ですが、東京・永田町の衆院議員会館地下にある「第二議員会館食堂」というところに行く機会がありました。ご覧のように、玲子は「醤油ラーメン」600円、私は「カツカレー」896円と至って普通のメニューで、普通のお値段。しかし、お味はなかなかのものです。うまいです。あと、普通でないのが、ラーメンに載っている海苔です。表面を削って国会議事堂の絵が浮き出しています。どなたでも、しかるべき議員事務所の関係者とアポイントを取って入館すれば、利用出来ます。会館の地下には、お土産屋さんなどもあり、まあ私たちのような「お上りさん」向けにしっかり設備が出来ているのが印象的でした。

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2016年12月 9日 (金)

【映画評 感想】五日物語-3つの王国と3人の女-

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 「五日物語-3つの王国と3人の女-」
Tale of Talesという映画を見ました。イタリアの鬼才マッテオ・ガローネ監督が描く17世紀初頭(日本でいえば江戸時代の初め)を舞台としたダーク・ファンタジーです。原作は、ナポリ王国の傭兵から詩人となったジャンバティスタ・バジーレ(15751632)が書いた世界最初の「おとぎ話集」です。「白雪姫」や「シンデレラ」「眠れる森の美女」「ラプンツェル」「長靴を履いた猫」など、後の時代にグリム兄弟やペローなどがまとめた有名なおとぎ話の原話のほとんどが、この五日物語(ペンタメローレ)に収められているそうです。

 原作本は、ある君主が五日間にわたって、毎日、十話ずつ面白い話を話させる、という形式で五十話の昔話が集められています。その中に、たとえば後のシンデレラにつながる「灰被り姫」(ツェネレントラ)といった物語があったわけです。

 それで、この映画では、あまり一般に知られていない「魔法の牝鹿」「生皮を剥がれた老婆」「ノミ」の三つの物語をベースとし、大胆にアレンジ。隣り合う三つの王国の物語として再構成しています。オムニバス形式ではなく、いずれも同時代の隣国の話で、直接のかかわりはないけれど話が交差し、最後には一つのエンディングに結びつく巧みな脚本になっております。

 

 不妊に悩むロングトレリス王国の王妃(サルマ・ハエック)と国王(ジョン・C・ライリー)の下に一人の魔術師が現れます。子宝を授かる方法を伝授された夫妻は、その教えに従い、国王は海に潜って海中の化け物を退治しますが、自分も命を落とします。王妃は魔術師に言われた通り、化け物の心臓を貪り食い、ただちに妊娠します。しかしなぜか、心臓を調理した下女も同時に妊娠。こうして、全く同時刻に王妃にはエリアス(クリスチャン・リーズ)という王子が、下女にはジョナ(ジョナ・リーズ)という息子が誕生します。

 それから16年後、エリアスとジョナは兄弟でもないのに、瓜二つの容貌に育ちます。下女の息子と兄弟のように交わるエリアスに対し、王妃の怒りが爆発します。やむなくジョナは城を出て行くことになりますが・・・。

 

 その頃、隣国であるハイヒルズ王国の国王(トビー・ジョーンズ)は、王妃に先立たれて一人娘のヴァイオレット王女(ベベ・ケイヴ)と暮らしていますが、父王は娘の気持ちに鈍感で、自分の趣味に没頭する子供じみた性格。ある日、一匹のノミに魅了され、それを溺愛して飼育するうちに、ついにはノミであるにもかかわらず、人間を上回るほど巨大に成長してしまいます。そんな変わり者の父親に束縛される生活を窮屈に思ったヴァイオレットは、結婚して城を出て行きたいと懇願します。

 しかし、娘を手放す気などない国王は、思いがけない方法で娘の夫選びをすることを宣言します。この国王の気まぐれのために、王女の夫と定められたのは、なんと山奥に住む恐ろしい人食い鬼でした・・・。

 

 さらに別の国、ストロングクリフ王国の国王(ヴァンサン・カッセル)は好色のために、王宮はハーレム状態。ある日、城下から美しい女性の歌声が聞こえてきます。その美声に聞きほれた国王は、声の主が住むあばら家に出かけ、想いを遂げようとします。

 実は、その美声の主は醜い老婆であるドーラ(ヘイリー・カーミッシェル)で、妹のインマ(シャーリー・ヘンダーソン)と2人でつましく暮らしていたのでした。しかし、インマの心配をよそに、国王の誤解に基づく申し出を一世一代のチャンスと考えたドーラは、暗闇の中で、という条件付きで王と一夜を共にします。ところが王は、ドーラが実は老婆であることに気付くと激高し、城の高窓からドーラを突き落とします。裸で傷を負い、泣いているドーラを見て、通りすがりの魔女が魔術をかけてくれます。こうしてドーラは若さを取り戻し、絶世の美女(ステイシー・マーティン)に生まれ変わります。たちまち国王の寵愛を得て、正式に王妃に迎えられることとなりますが、婚礼の場に招かれたインマは、美しく若返り権力を手にした姉に激しく嫉妬します・・・。

 

 というようなことで、三つのお話が進行していくわけですが、主に三つの王国の3人の女性の欲望や無知、執着心といったものから、人間の醜さ、弱さがあぶり出されていく展開で、お話としては極めて陰惨・残酷で救いがありません。カラッとして分かりやすく、爽快なハリウッド映画に慣れた人にはとっつきにくいでしょうが、そこはイタリア人監督による、美意識に満ちた作品です。いわゆる合理的な分かりやすさを求めてはいけないのだと感じます。別に難解な、哲学的な話はないのですが、すっきりと腑に落ちる謎解き、といったサービス精神は全くないと言ってよく、見る人の解釈や感性に多くを委ねる作風です。

 特に、中世のヨーロッパのおとぎ話などは、そもそもダークで不条理で、意味不明な展開になる場合もしばしばあるもので、本作はそういう中世的な要素から免れる考えなど、初めからないのだと思います。

 とにかく、この作品で最も見るべきは「美意識」そのものなのではないか、と思います。合理性という病に侵される前の時代の過剰な美。それ自体がテーマなのではないかとも思えます。13世紀の神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世(後の時代のプロイセン国王、フリードリヒ大王と同名ですが別人です)が築いた世界遺産、デルモンテ城や、断崖にそびえるロッカスカレーニャ城など、イタリアが誇る国宝級の城塞の数々でロケが敢行されております。

さらに登場する人々が身にまとうのは、まさに17世紀初頭のダブレットや半ズボンにタイツ、襟飾りといった歴史上でも最も華麗に男女が着飾った時代の装束。衣装デザインを担当したマッシモ・カンティーニ・パッリーニは、「ヴァン・ヘルシング」や「ブラザーズ・グリム」といった史劇でアシスタントとして修業を積み、本作では素晴らしいコスチューム・デザインが評価され、4つの衣装デザイン最優秀賞を受賞して注目を集めているそうです。やはりこの作品でとにかくすごいのは豪華絢爛たる衣装でして、これだけで一見の価値があると思います。

監督自身、「僕のアプローチはアメリカ的な映画とは対極にある」とパンフレットで述べています。英語を使っており、英語圏の出演者が多いのですが、絶対にハリウッドからは生まれない作風で、とにかくヨーロッパ、イタリアの美を感じさせる映画です。そういうものが好きな方には必見の一作と思います。

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2016年12月 2日 (金)

朝日新聞に辻元よしふみと辻元玲子が登場しました。

 

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きょう2016年12月2日付けの「朝日新聞」朝刊の37ページに「ナチス風・・・批判浴びた欅坂46衣装」という記事が掲載されました。私、辻元よしふみがコメントを寄せ、さらに辻元玲子のイラストが『軍装・服飾史カラー図鑑』(イカロス出版)からの転載の形で掲載されました。
 朝日新聞デジタルの記事は下記。
 http://www.asahi.com/articles/DA3S12686244.html?iref=comtop_list_ren_n07

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2016年11月25日 (金)

【映画評 感想】ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅

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 「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」
FANTASTIC BEASTS AND WHERE TO FIND THEMを見ました。ハリー・ポッター・シリーズの正統な続編、というか前日譚にあたる物語で、脚本はJK・ローリング本人が担当。監督はハリ・ポタ後期作品を手がけたデイビッド・イェーツです。ハリーたちが学んだホグワーツ魔法学院の必読教科書である『幻の動物とその生息地』の著者、魔法動物学者ニュート・スキャマンダーの活躍を描く新シリーズ、ということです。原題は、この教科書のタイトルそのものになっております。一応、児童向けという前提だった(とはいえ、終盤になるとかなりダークなファンタジーになりましたが)ハリー・ポッターと異なって、まず20世紀初めを背景とする時代劇であり、またかなりダークな描写や、処刑シーン、一般人の死傷者も出るような凄惨な展開、それに恋愛模様も描かれて、かなり大人向けの内容になっています。

 

 時は第一次大戦の惨禍から10年ほどが経った1926年。禁酒法時代のアメリカ、ニューヨークが舞台です。アメリカでは英国と異なる独特の魔法文化が栄えておりますが、欧州よりも法的締め付けが厳しく、ピッカリー議長(カーメン・イジョゴ)が率いるアメリカ魔法議会MACUSAが厳しく一般人(米国ではマグルではなく、ノー・マジと呼びます)と魔法使いとのかかわりを規制。また「新セーレム救世軍」と名乗る、現代の魔女狩りを主張する過激な圧力団体も存在し、風土的に魔法に理解のない社会です。また、欧州で悪名高かった闇の魔法使いグリンデルバルドが、少し以前から姿を消しており、その行方に世界中の魔法界の警戒が高まっていました。

 ここに英国からやって来たスキャマンダー(エディ・レッドメイン)は、ふとしたことから偶然、銀行で知り合ったパン屋志望の復員兵士、コワルスキー(ダン・フォグラー)とトランクケースを取り違えてしまいます。スキャマンダーのトランクには、彼が長年、探索して蒐集した世界中の珍しい魔法動物が収められていましたが、コワルスキーはそれと知らずトランクを開けてしまい、動物たちが街に逃げ出して大騒動に。

 スキャマンダーとコワルスキーは、MACUSAの元捜査官ティナ(キャサリン・ウォーターストン)と、その妹クイニー(アリソン・スドル)の協力を得て、動物たちの回収作戦を始めますが、その頃、ニューヨークでは魔法がらみと思われる怪事件が続発していました。そしてついに、ショー上院議員が演説会の最中に明らかに魔法を使った方法で惨殺される悲劇が発生。ショーの父親の新聞王ヘンリー・ショー・シニア(ジョン・ボイト)は激怒し真相究明を誓います。スキャマンダーとコワルスキー、ティナの3人は、MACUSA調査部長官グレイブス(コリン・ファレル)に逮捕されます。グレイブスは、上院議員の死や街で続く破壊事件の原因はすべてスキャマンダーの逃がした魔法動物のせいだと断定し、スキャマンダーとティナを処刑するよう命じます。この取り調べ中に、スキャマンダーはグレイブスが、自分とホグワーツ学院の恩師ダンブルドアの関係など、妙に英国の事情に詳しいことに不審を抱きます。

 クイニーの機転で脱出に成功した3人ですが、グレイブスに追われる身に。さらにそのグレイブスは、新セーレム救世軍の創設者ベアボーン(サマンサ・モートン)の養子で屈折した青年クリーデンス(エズラ・ミラー)と密かに接触し、何かを企んでいる模様です。

 スキャマンダーは自らにかかった濡れ衣を晴らし、動物たちを救い出すことが出来るのでしょうか。そして、一連の怪事件とグレイブスの関わりは・・・。

 

 ということで、さすがに横綱相撲というのか、最初から最後まで見事に見せてくれます。まさに王道の娯楽作品です。ローリング本人が脚本を担当しており、いわばこれ以上に作者自身の世界観に則った正確な映画化はないわけで、それはもう見ていて安心です。映像的にも、今の技術でなければ描けない魔法動物の数々には脱帽です。その中には伝説のアメリカの怪鳥サンダーバードのような有名なものも含まれます。

 1920年代を再現する映像や衣装に手抜かりはなく、「華麗なるギャツビー」に負けていません。出てくる人は皆、その人物の立場として考え抜かれた、しかも時代考証的にも妥当なものを身に付けており、さすがは衣装デザインにアカデミー受賞者のコリーン・アトウッドを起用しているだけのことはあります。

 なんといってもレッドメインははまり役。文句なしですね。それとチームを組む女性2人と一般人のバランスもとてもいい。最後まで見れば、この4人の人間模様が本当にいいんです。このへんが、子役を中心とした学園ものだったハリー・ポッターと異なる大人向け、という要素ですね。

コリン・ファレルは今回、基本的に憎まれ役、悪役と言っていいのですが、なかなかいいじゃありませんか。陰のある悪い二枚目、という感じで芸風が広がったかも。

 クリーデンス役のエズラ・ミラーは「バットマンVSスーパーマン」や「スーサイド・スクワット」で、アメコミ・ヒーローのフラッシュ役に抜擢され、知名度を上げてきた若手。今回の作品でもキーマンであり、これからますます活躍が期待されそうです。

 それから、ロン・パールマンが出てくるのですが、これまでもモンスター役をやってきた彼のこと、一体、どんな怪物役なのかと思うと・・・本当に意外な役柄です。声ですぐにわかりますが。

 注目なのが、カメオ出演であの人が出ています! 「パイレーツ・オブ・カリビアン」のあの人、といえば誰でもわかりますね。しかし、いわゆる顔出しだけのチョイ役ではありません。実は最重要な役柄です。

 

 ところで、この映画の背景には、あのヴォルデモートが登場するまでは最強最悪の闇の魔法使いとされていたゲラート・グリンデルバルドの存在がちらついています。このグリンデルバルド、実は後の時代にヴォルデモートとハリー・ポッターの戦いのカギを握った最強の魔法の杖「ニワトコの杖」を世に出した人物です。本作の時代から少し後の1945年、ダンブルドアとの一騎打ちに敗れ、杖を奪われた、それが後々、ハリーとヴォルデモートの決戦に関わってくる、ということだそうですね。

 おまけに、設定としてダンブルドアは若いころ、グリンデルバルドと親友、同志であり、それどころか同性愛関係にあった、という設定まであるとか。この世界も奥が深いですね・・・。当然ながら、今回もシリーズとして続いていくのでしょうが、若き日のダンブルドア先生、なんてものも出てくるかもしれませんし、その後のハリー・ポッターの時代につながっていく話も出てくるかもしれません。今後の展開が楽しみです。

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2016年11月18日 (金)

ダイエーのピーターラビット・キャンペーンで「ミセスラビット」もゲット!

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 ダイエーでは、現在「ぬいぐるみを手に入れよう!」キャンペーンを実施しています。今回は人気の高い「ピーターラビットのぬいぐるみ」がテーマ。
 ダイエーで買い物をして、1000円ごとにレジでシールを一枚もらえ、そのシールを集めて専用台紙に貼り、15枚集まるとメーカー希望小売価格3240円する、座高28センチのぬいぐるみが激安880円で買えます! なお、レジで「シールを集めています」と自分で申告しないとくれない場合が多いので、必ず申し出ないといけません。
さらに20枚集めると40センチ、5184円の物が1528円に、30枚集めますと、本来なら8100円もする55センチの巨大なぬいぐるみが、2639円でゲットできる、という仕組みです。そもそもダイエーで日用雑貨を購入している方ならすぐに集まるでしょう。20161118114337



28センチの物にはピーターラビットのほか、ピーターの従兄ベンジャミン・バニー、ピーターの妹フロプシーのものがあります。40センチの物はピーターとピーターの母親ミセスラビットの2種類、55センチの物はピーターのみです。つまり全部で3サイズ、6種類があるということです。20161118114452



 私は前に、ベンジャミンとフロピシーを買いましたが、今回はお母さんのミセスラビットをゲットしました。一回り大きいのでいかにもお母さんな感じ!
 今回のキャンペーンは2017年1月8日までシール配布、同15日まで商品販売します。興味がある方はお早めにどうぞ。

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2016年11月11日 (金)

服飾評論家・遠山周平先生がご紹介くださいました。

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服飾評論家の遠山周平先生からご連絡がありまして、

M-43フィールドジャケットの話しをウェッブマガジンのBYRONにアップしました。辻元さんの本のことも軽く触れておきました。モード逍遥#20というコラムです」とのことで、さっそく見てみました。

 

https://byronjapan.com/

 

 

ポーランドの名匠で10月に90歳で亡くなったアンジェイ・ワイダ監督の名作映画「灰とダイヤモンド」を取り上げ、第二次大戦下のポーランドでレジスタンス活動をする主人公が着ていたM43フィールドジャケットについて書いておられます。ぜひ皆様も、遠山先生の達意の名文をご一読ください。

 

該当の部分をちょっと紹介させていただきますと・・・。

 

「最近は若い男女の間でMA-1ブルゾンなどのミリタリーアイテムが流行しているけれど、『灰とダイヤモンド』のなかでマチェックが着たM-43のコーディネートは、現代でもまったく色褪せていない。

 

ジャストタイミングで『軍装・服飾史カラー図鑑』(イカロス出版)の出版記念パーティが南青山のジュンコ・コシノ・ブティックで催されたので、著者の辻元よしふみさんにお聞きすると「アメリカの戦争映画を観ますとね。ベテランの俳優は古参兵としてM-41を着ているのですが、新兵役の若い俳優はM-43なのですよ」という、例の特殊な映画通の答えが返ってきた。

 

M-43が米軍に採用されたのは1943年。それまで使われていたM-41はブルゾンタイプだったが、これは着丈の長いジャケット式。たいへんに機能性に富んだジャケットだった。しかも衿が、その後に登場したM-65のスタンドカラータイプと異なり、カラーとラペルで形成される背広型だったから、シャツとの相性が抜群なのである」

 

 私も、米陸軍のフィールドジャケットを一つ挙げるとするなら、実はM-43が好きですね。戦争の終盤、ノルマンディー上陸後にドイツ軍と死闘を繰り広げた時期の米軍の主力被服で、私の中でGIといえば、くすんだオリーヴドラヴ色のM-43がイメージです。

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2016年11月 7日 (月)

ダイエー「ピーターラビット」キャンペーンでフロプシーをゲット!

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 ダイエーでは、現在「ぬいぐるみを手に入れよう!」キャンペーンを実施しています(ダイエーは現在、イオン・グループの傘下ですが、この作戦はダイエー店舗独自のもの)。数年前に「テディベアを手に入れよう!」キャンペーンを実施して、大きな評判を呼びましたが、今回は人気の高い「ピーターラビットのぬいぐるみ」がテーマ。

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ダイエーで買い物をして、
1000円ごとにレジでシールを一枚もらえ、そのシールを集めて台紙に貼り、15枚集まるとメーカー希望小売価格3240円する、座高28センチのぬいぐるみが激安880円で買えます!

 20枚集めると40センチ、5184円の物が1528円に、30枚集めますと、本来なら8100円もする55センチの巨大なぬいぐるみが、2639円でゲットできる、という仕組みです。そもそもダイエーで日用雑貨を購入している方で、時節柄、クリスマス・プレゼントを何にしようか思案中の人には、なかなか朗報かも。

 28センチの物にはピーターラビットのほか、ピーターの従兄ベンジャミン・バニー、ピーターの妹フロプシーのものがあります。40センチの物はピーターとピーターの母親ミセスラビットの2種類、55センチの物はピーターのみです。つまり全部で3サイズ、6種類があるということです。20161020231645


 私は前に、ベンジャミンのぬいぐるみを手に入れました。そして今回は、フロプシーを買いました。こちらも細部までよく出来ています。ベンジャミンと並べてみても、表情の違いなどもよく出ていますね。このベンジャミンとフロプシーは、大人になって結婚することになっています。

 今回のキャンペーンは2017年1月8日までシール配布、同15日まで商品販売します。興味がある方はお早めに。

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2016年11月 5日 (土)

日刊ゲンダイに「欅坂46の衣装 どこがアウトなのか」掲載。

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 本日、発売の「日刊ゲンダイ」
11月7日号(週末特別版)、4ページ下の「街中の疑問」コーナーにて、私、辻元よしふみが「欅坂46の衣装 どこがアウトなのか?」という記事でコメントしておりますので、ご覧いただけましたら幸いです。

 記事の一部を紹介しますと・・・。

「『軍装・服飾史カラー図鑑』(イカロス出版)の著者で服飾史評論家の辻元よしふみ氏はこう分析する。・・・ワンピースやマントは確かに黒色で、ナチスの親衛隊をイメージさせなくもありませんが、デザイン的にはごく平凡。帽子もどこにでもある19世紀以来の官帽子で、これがダメなら世界中のお巡りさんや警備員が訴えられます。ただ一点、帽子に付いていた“銀色のワシ”が決定的にアウトです」

「ワシのマークは・・・辻元氏によれば、そもそも古代ローマ帝国の国家章で、その後、ロシア帝国やナポレオン帝国、ドイツ帝国などが採用。米国がワシを用いているのもその影響だ。ナチス帝国もこれを流用。ワシが鉤十字をつかんだマークを親衛隊や国防軍の制服に採用したといういきさつがある」Photo_7


「・・・ナチスのワシは足で輪の中の鉤十字をつかんでいますが、欅坂46のものは鉤十字を他のマークに差し替えています。デザイナーは“鉤十字を使っていないから大丈夫”と判断したのでしょうが、軽率でしたね」

「もし意図的な差し替えなら、それがナチスのマークで、“そのまま使ったらやばい”ということを把握していた証拠だ。過去には沢田研二も“そのまんま”な衣装を着てトラブルになった。写真や映像があっという間に世界中に拡散される今、・・・これからの忘年会シーズン、そのコスプレがアウトかセーフか、着る前に冷静に考えた方がよさそうだ」

 

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 (写真は上から、1978年のヒット曲「サムライ」の舞台衣装を着た沢田研二氏、ナチス第三帝国、古代ローマ帝国、ロシア帝国、ナポレオンのフランス帝国、ドイツ帝国、アメリカ合衆国のワシ)

 ということで、あくまでも「あの衣装」のどこがアウトなのか、について語っております。私はあくまで服飾史と軍装史の研究家ですから、欅坂46のその他の要素、歌詞とかパフォーマンス、全体のイメージなどについては承知しておりません。なんでもナチス式敬礼のような右腕を高く上げるポーズも披露していたように聞きますが(追記:その後、道草様からのコメントにより、「欅坂46のデビュー曲『サイレントマジョリティー』の振り付けに含まれる右腕を高く上げるポーズは『モーセの海割り』をモチーフにしているという事を振り付けを担当したTAKAHIRO氏が以前から話しておられます、その振り付けの意味についても、ナチス式敬礼をモチーフにしている訳ではない」とのご指摘がありましたので、ここでご紹介します。道草様、ありがとうございました)。しかしおそらく、アメリカのユダヤ系団体サイモン・ヴィーゼンタール・センターも、日本のアイドルグループについて詳しく知っているわけはなく、最初はツイッターやブログに載った写真だけを見て「アウト」と判断したはずです。そして、彼らだって無闇に文句を付けて、逆に難癖だ、と反論されてしまっては元も子もないので、決定的にアウトだから自信を持って批判を始めたはずです。その決定的な部分は、どう見ても「ワシ」である、と申している次第です。仮にあの部分に、たとえばオレンジ色のカボチャとか、お化けとか、または漢字で「欅坂46」などと書いてあったとしたらどうでしょう? 少なくともアウト、というには根拠が薄弱で、また欅坂サイドもそれなりの反論が出来たに違いない。
 なお、私は欅坂メンバーの皆さまは気の毒な被害者だ、と思っております。本人たちには、なんらの落ち度もない。私は、問題があったのはあのワシのデザインだけである、と申しているわけでして、要するにデザイナー個人の不勉強が最大問題である、と言いたいのであります。仮にあのワシが、たとえば同じくワシであってもアメリカ軍のワシだったら?(それはそれで、なんの意味があっての意匠かは意味不明でしょうが)、しかし少なくとも在米の団体は抗議の対象にできなかったでありましょう。

 

 なお、ローマ帝国以来の歴代のワシの国家章・・・ナチス型のものは、非常にデザイン的に特徴があり、直線的なデザインとなっております。アメリカをはじめ、ほかの国家のワシ(場合によっては双頭のワシ)は、もうちょっと翼や形状が丸いというか、柔らかい。よって、ワシのマークそのものは別にアウトではないのですが、ああいう直線的なデザインで、下部に丸いマーク(本来ならそこに鉤十字が付く)のワシは「ナチスのワシ」と見なされてしまうのは致し方ない感じがします。ゲンダイの記事はあくまで記者さんがまとめたもので、私は事前に点検しておりませんが、ちょっと一読すると「ワシはナチスなのでアウト」とも読めてしまいますが、私が言った趣旨は少し違います。「ああいう直線的なデザインのワシはナチス独特のワシなのでアウトである」という方が正確です。さらに追加するなら、「帽章としてワシを用いることは、アメリカをはじめごく普通に行われているが、帽子のあの位置に独立したワシの徽章を付けるのは、ナチス時代の制服の特徴なのでやめた方がいい」ということもいえます。すなわち、ワシのマークはなんであってもすべてダメ、ということではない。

 ただいずれにしても、ワシは「帝国」の意味合いが強いので、そのへんの普通のファッションに、安易にかっこいいという理由だけで取り入れるのは、そもそもお薦めしません。当然ながら、欧米人はこのへん、日本人よりずっと知識があります。だから日本のデザイナーさんはもっと歴史を勉強してほしいし、自信がない場合は知識のある人に見てもらうべきだと思いました。

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2016年11月 2日 (水)

欅坂46の帽子と「ナチスのワシ」の意味。

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 アイドルグループ「欅坂46」がハロウィーンで使用した衣装が、ナチス親衛隊を思わせるとして問題になりましたね。ナチス親衛隊というのは、ドイツ国家の正規軍ではなくて、ヒトラーの個人的な私兵部隊です。
 それで、私も軍装史と服飾史の研究家として、「どれだけ似ているのだろう」と思ってみてみたのですが、正直のところ、黒いワンピースとマントは平凡なもので、あれだけなら全く問題にならなかったでしょう。確かにナチス親衛隊と言えば黒地に銀の装飾ですが、それがダメだと言ってしまったらリクルートスーツだってダメということになりかねません。
 完全にアウトだったのは制帽型の帽子ですね。これも、ああいう型の帽子そのものは、19世紀以来、世界中で使用されている帽子なので、特に問題ではない。あれがダメなら警察も消防も鉄道員もダメということになります。20161102131840



 決定的にアウト、なのは帽子の正面に付いていた「銀色のワシ」、ですね。あれは確かにどうしようもない。いわゆるナチス型のワシです(ただ厳密に言えば、親衛隊型ではなくて、国防軍型のワシ)。デザイナーさんは不用意だったですね。もちろんナチスのワシは、脚で例のハーケンクロイツ(鉤十字)をつかんでいます。欅坂の物はよく見ると、あの部分をほかのマーク、欅坂を意味するKでしょうか、に差し替えている。鉤十字を使っていないから大丈夫だろう、と判断したのでしょうが、いかになんでもあのタイプのワシで、黒地に銀色、というのは、確かに似過ぎていると思われてしまいそうです。

 さて、あのワシは何の意味かと申しますと。
 「軍装・服飾史カラー図鑑」の188ページ上、185ページ下、183ページ解説、189ページなどに書きましたが、あのワシは「帝国」の象徴です。単なる世襲の王政ではなくて、基本的には共和制を前提として、選挙で選出された皇帝をいただく国家が、あれを継承するのです。
 そもそもは古代ローマ帝国の国家章でしたが、その後、その流れをくむ、あるいはその精神を汲むとする国家がワシを国家章にしてきました。ロシア帝国、ナポレオン帝国、歴代のドイツ帝国などです。アメリカがワシを用いているのも、インディアンがもともとハクトウワシを崇めていたことも理由の一つとしていますが、古代ローマ帝国の影響下にあるのは明白です。
 そして、ナチス帝国もこれを流用し、ワシがハーケンクロイツ(鉤十字)をつかんだマークを採用しました。少なくとも1923年にはナチ党として使用し始め、問題になっている黒い親衛隊制服としては1932年、そしてナチス政権樹立後の1934年になると、本来、ナチ党と関係のなかった国家の正規軍(国防軍)の制服にも付けるようになります。20161102131937



 今回の欅坂の制服の帽子についているワシは、どう見てもナチス型のワシなので、言い逃れできないのは無理もありません。

 なお、ローマ帝国以来の歴代のワシの国家章・・・ナチス型のものは、非常にデザイン的に特徴があり、直線的なデザインとなっております。アメリカをはじめ、ほかの国家のワシ(場合によっては双頭のワシ)は、もうちょっと翼や形状が丸いというか、柔らかい。よって、ワシのマークそのものは別にアウトではないのですが、ああいう直線的なデザインで、下部に丸いマーク(本来ならそこに鉤十字が付く)のワシは「ナチスのワシ」と見なされてしまうのは致し方ない感じがします。ゲンダイの記事はあくまで記者さんがまとめたもので、私は事前に点検しておりませんが、ちょっと一読すると「ワシはナチスなのでアウト」とも読めてしまいますが、私が言った趣旨は少し違います。「ああいう直線的なデザインのワシはナチス独特のワシなのでアウトである」という方が正確です。さらに追加するなら、「帽章としてワシを用いることは、アメリカをはじめごく普通に行われているが、帽子のあの位置に独立したワシの徽章を付けるのは、ナチス時代の制服の特徴なのでやめた方がいい」ということもいえます。すなわち、ワシのマークはなんであってもすべてダメ、ということではない。

 ただいずれにしても、ワシは「帝国」の意味合いが強いので、そのへんの普通のファッションに、安易にかっこいいという理由だけで取り入れるのは、そもそもお薦めしません。当然ながら、欧米人はこのへん、日本人よりずっと知識があります。だから日本のデザイナーさんはもっと歴史を勉強してほしいし、自信がない場合は知識のある人に見てもらうべきだと思いました。
 
 ぜひ、「軍装・服飾史カラー図鑑」を読んでいただきたいですね(笑)。一般の方々が詳しく、こんなマニアックな知識を知るべきだとは言いません。でもデザイナーと名乗るような方は勉強しておく必要があると思います。

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2016年10月30日 (日)

ハッピー・ハロウィーン!(辻元玲子の手描き水彩画です)

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 ハッピー・ハロウィーン! 辻元玲子の手描き水彩画で、ハロウィーンのご挨拶を申し上げます。

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2016年10月29日 (土)

【映画評 感想】スター・トレック BEYOND

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 「スター・トレック
BEYONDSTAR TREK BEYONDを見ました。2009年に再始動した「スター・トレック」シリーズの3作目、そして1979年の劇場版第1作「スター・トレック」から数えると、映画としては13作目になります。さらに言えば、最初のテレビシリーズ「スター・トレック/宇宙大作戦」の放送開始が1966年であるため、本作品はシリーズ50周年記念作品でもあります。

 2009年のリブートで、ロミュラン人ネロ(エリック・バナ)の策略によりバルカン星が滅亡し、スポック大使(レナード・ニモイ)が未来から戻ってきて時間軸が変化、従来のシリーズとは同じ世界ながら、歴史が変わってしまったことは、シリーズをご覧になった方には周知のとおり。その際に宇宙船USSケルビンが犠牲となり、船長代理のジョージ・カーク(クリス・ヘムズワース)が殉職。このために、本来の歴史なら父の背中を見て順当に宇宙艦隊に入隊するはずだったジョージの息子ジェームズ・T・カーク(クリス・パイン)や、若きスポック(ザカリー・クイント)の人生も狂ってしまう・・・そんな話でした。

 それで、09年の新シリーズ1作目では、とにかく「あのカーク船長」と「スポック副長」がエンタープライズ号に乗り組むようになるまで歴史が軌道修正される様が描かれ、13年の2作目「イントゥ・ダークネス」では、旧シリーズの2作目で登場した悪役カーンにベネディクト・カンバーバッチを起用、超強敵の出現により、カークとスポックの絆がようやく深まり、本来のエンタープライズ号の陣容が固まるところまでが描かれました。

 こうして、エンタープライズ号はついに、ジェームズ・T・カークの指揮の下、5年間の深宇宙探査の航海に出る・・・いってみれば、ここまでの2作で、ねじれた歴史が修正され、やっと最初の「スター・トレック」の航海の段階に戻った、というわけでしたので、実は本番と言えるのは今回から、なのですね。

 

 前作の後、5年間の深宇宙探査に出たエンタープライズ号。通常の攻撃的軍隊ではなく、あくまでも平和維持部隊としての重責を帯びる宇宙艦隊の任務には気苦労が多く、また無限に続く宇宙空間は果てしなく、船長カーク大佐は自分たちのあり方に疑問を抱くようになっていました。それを察した医療部長マッコイ少佐(カール・アーバン)はカークを気遣います。一方、副長スポック中佐も通信士・ウフーラ大尉(ゾーイ・サルダナ)との恋が行き詰まり、ひそかに悩んでいます。

 補給と休養のために立ち寄った惑星連邦の宇宙基地ヨークタウンで、スポックはもう一人の自分であるスポック大使(ニモイ)が亡くなったことを知り、ショックを受けます。彼はバルカン星の復興に尽くすために宇宙艦隊を辞職する考えを抱きます。同じころ、カークもヨークタウン基地の司令官パリス准将(シューレ・アグダシュルー)に異動願を提出。船長の任を離れてヨークタウン基地の副司令官にしてもらえるよう依頼します。こうして、カークもスポックもそれぞれ、エンタープライズ号を降りる決意を固めているさなか、それまで連邦が接触したことのない文明の異星人女性が救助を求めてヨークタウン基地に飛来します。

 未知の惑星アルタミッドで宇宙船が遭難した、という女性の訴えを聞き、エンタープライズ号は救助活動のために出動します。しかしその星でエンタープライズ号は正体不明の敵に奇襲されてコントロールを失い、あえなく地上に墜落。この星を支配するのはクラール(イドリス・エルバ)という狂信的な異星人で、なぜかエンタープライズ号、カーク船長のことまでよく知っており、惑星連邦と宇宙艦隊に対する憎悪をみなぎらせています。そして、エンタープライズ号が保管していた古代の恐ろしい兵器アブロナスを手に入れようと躍起になっています。

 クラールの捕虜となったウフーラ、操縦士のスールー大尉(ジョン・チョー)は敵の目を盗んでヨークタウン基地に救援信号を放ちましたが、それもまたクラールの罠で、宇宙艦隊が出動した隙を突き、ヨークタウン基地を襲撃するのが真の狙いでした。

 離れ離れに地上に降りたスポックは瀕死の重傷を負いますが、行動を共にしているマッコイの手当てを受けて、どうにかしてウフーラたちを救い出そうとします。

 一人で地上に降りた機関長スコット少佐(サイモン・ペッグ)は、この星で暮らす異星人ジェイラ(ソフィア・ブテラ)に助けられます。カークと航海士チェコフ少尉(アントン・イェルチン)も合流します。彼らが驚いたことに、ジェイラが住まいとしていたのは、100年も前に消息不明となった連邦の初期の宇宙船USSフランクリン号でした。彼らはこの旧式宇宙船を再起動し、クラールの手からウフーラやスールーらエンタープライズ号のクルーを取り戻そうとします。彼らの目論見はうまくいくのか、そして、ヨークタウン基地を守り抜くことができるのか・・・。

 

 というようなことですが、今回、注目なのが、脚本を書いたのはスコット役のサイモン・ペッグだということ。もともとスター・トレックの熱狂的なファンであるペッグの脚本は、現代的なスピード感にあふれつつ、セリフの端々に60年代、70年代のシリーズ初期にあったユーモア感覚や温かみを強く感じさせます。本作の持ち味に大きく貢献していると思います。

 実際、50周年記念作品ということもあり、昨年2月に亡くなったレナード・ニモイへのトリビュートとして、写真だけですがニモイのスポックと、おまけに旧シリーズのウィリアム・シャトナーらオリジナル・クルーの写真まで登場します。旧作との強いつながりを意識した配慮は見事なものです。

 今回、大いにフィーチャーされているのがマッコイ役のカール・アーバン。どちらかといえば脇に回りがちな船医という役どころですが、今回はクルーの中の兄貴分として、大きな存在であることをアピールしており、戦闘にも駆り出されて出番もたっぷりあります。「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズでローハン王国の騎士エオメル役に抜擢され、一躍有名になったアーバンですが、このシリーズのマッコイ役は、彼の新たな代表作となったようです。

 お子さんを生んだばかりだったというウフーラ役のゾーイ・サルダナは、アクションは控え目ですが、今作では新たな魅力を発揮しています。やはりお母さんとなったからなのか、優しさとか、情愛といった感情表現の深化を感じました。相変わらず美しい人ですが、内面的な美しさも感じさせるような役作りでした。聞けば彼女は今後、出世作「アバター」の続編に出演するようですね。

 新顔ジェイラ役のソフィア・ブテラは、大ヒット作「キングスマン」で義足の女殺し屋を演じて大ブレイクしたアルジェリア出身の新星ですが、もともとダンサーであり、切れのある動きは今回も見事なものです。この人は今後、このシリーズのレギュラーに入ってくるのでしょうか、楽しみです。ただ、何しろ4時間もかけた特殊メークのために顔は全然、分からないのが残念ですが・・・。

 悪役クラールを演じたイドリス・エルバは、今や引く手あまたの売れっ子俳優。この人物の正体が誰なのか、が本作の最大の見どころです。なんでも007ジェームズ・ボンドのダニエル・クレイグ降板後の有力候補の一人だとも噂されているエルバですが、本作品でも確かな演技力とスケールの大きさを見せつけており、そういう声が出るのも当然と思われます。

 それから忘れてならないのが、本作はアントン・イェルチンの遺作であること。今年の6月に27歳の若さで、不慮の事故で亡くなり、この作品でのチェコフ役が最後のスクリーン上での活躍になってしまいました。本作でも彼の存在感は非常に大きく、ロシア訛りの強い早口でまくし立てる生き生きとした演技に接すると、彼が実際にはもう鬼籍に入っていることが信じられません。あまりにもはまり役だったので、今後、このシリーズでのチェコフはどうなるのだろうと心配になってきます。

 作品の最後に、レナード・ニモイとアントン・イェルチンに対する献辞が置かれています。「IN LOVING MEMORY OF LEONARD NIMOY FOR ANTON」ジーンときますね・・・。

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